北海道指定有形文化財「旧金森洋物店」

耐震改修優秀建築賞
建築物名称
北海道指定有形文化財 「旧金森洋物店」
耐震改修工事竣工年月
2000 年 3 月
耐震改修関係者
函館市教育委員会
株式会社文化財保存計画協会
有限会社第一構造
株式会社高橋組
推薦理由
本建物は、幕末の開港以来、たび重なる大火や産業基盤の変容を潜り抜けてきた函館を象徴する景観と
建築様式を今に伝える建物の一つで、明治 13 年に建設されたものである。開拓使が奨励した土蔵造りの建
築技術と煉瓦洋風技術との折衷が一つの特色であり、北海道有形文化財に指定されている。
改修に当たっては、煉瓦壁体内部に縦方向に削孔した孔にPC綱棒を挿入し緊張力を導入することによ
る壁体剛性および耐力の増大、エポキシ樹脂圧入による目地モルタル強度の向上、2階壁体頂部へのH鋼
による火打材の設置による面外変形抑制、瓦の下に敷かれた煉瓦と厚い土層による既存屋根の軽量不燃材
への変更、などが行われている。
また同時に長年の歴史における改変部分の建設当時への復元と修理により、後年の構造要素付加を意識
させず文化財としての価値を損なうことなく、往時の建物のたたずまいを維持することに成功している。
(文責:中埜委員)
耐震改修前外観
耐震改修後外観
1
耐震改修概要
耐震改修前後の断面図
R階鉄骨造火打材による補強
煉瓦壁のPC鋼棒による補強状況
2