国土交通大臣賞・耐震改修優秀建築賞

国土交通大臣賞・耐震改修優秀建築賞
建築物名称
耐震改修工事竣工年月
耐震改修関係者
東京タワー
第1期工事 2003 年 3 月
第2期工事 2014 年 9 月
日本電波塔株式会社
株式会社日建設計
株式会社竹中工務店
推薦理由
近年のタワー構造物が筒状形状であるのに対し、東京タワーは足元を拡げてどっしりと 333m の
高さを支えている。名古屋、札幌に現存する電波塔や観光施設塔の設計を多数手がけ、「塔博士」
とも呼ばれる内藤多仲博士の指導により昭和 33 年に竣工した。TV 放送システムのディジタル化
に伴う頂部アンテナの増設および送信機室の増築等による重量増ならびにコンピュータによる応
答計算が可能になったことより耐震性能の確認を行ったところ、塔頂部の鞭振り現象により耐力
が不足することが確認され、2001~03 年の第 1 期と 2012~14 年の第2期にわたって耐震改修が
実施された。耐震改修は、①トラス構成部材の断面補強による部材強度増、②頂部 SG 塔部に補強
フレームを新設、③東日本大震災の際に被災した最頂部 ST 柱の更新、④塔体と SG 塔部の接続部
に生じる水平変形間にオイルダンパーを挿入する制震システムによる応答低減等の改修を施し
た。手計算時代に設計された構造物に対し、最新の解析手法を用いてその地震応答性状を把握し、
耐力向上を目標に部材断面補強を図るとともに、新しい制振技術を組み込む補強法を提案した耐
震改修例として国土交通大臣賞・耐震改修優秀建築賞を受けるに値すると考え、ここに推薦する。
第1期、第2期の補強工事概要
水平抵抗杭施工状況
東京タワー全景
補強フレーム
オイルダンパー
(上下)
オイルダンパー
(水平)
H25
既存フレーム
オイルダンパー(水平)およびロック機構設置状況
補強フレーム
SG 塔の補強概要
塔体部斜材断面補強
塔脚部柱断面補強