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2015 年 2 月 13 日
日銀内の慎重姿勢と米リテールショックが円安を阻む
円の対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/06 ⇒ 02/12
02/12
%
1.00
0.71
0.50
0.32
0.00
-0.19
-0.09
-0.50
円高
-0.88
-1.00
-1.00
-1.15
円安
-1.50
USD
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
■日米政治事情と大規模緩和の副作用が円安を阻む
・ 日銀内部では一段の追加緩和はむしろ「逆効果」と
日銀内部では一段の追加緩和はむしろ「逆効果」との見方が浮上
むしろ「逆効果」との見方が浮上
・ 米議会では与野党議員らが通商交渉で「為替規定」を求めている
・ 日本政府は「統一地方選」と「日米
交渉」を控え為替発言自粛
日本政府は「統一地方選」と「日米TPP交渉」を
日米
交渉」を控え為替発言自粛
●14年
年10月
月31日:
日: 日銀金融政策決定会合 「黒田バズーカ・2」を決定
「黒田バズーカ・ 」を決定
・黒田総裁がデフレマインドの転換が遅延しないよう追加緩和を提案
・民間企業出身の審議委員4名が反対し「
」の薄氷を踏む多数決
・民間企業出身の審議委員 名が反対し「5対
名が反対し「 対4」の薄氷を踏む多数決
⇒ 副作用が効果を上回るため物価の下振れリスクだけでは判断しない
●15年
年1月
月20日:
日: 日銀金融政策決定会合 「追加的な措置」は要らない
・大幅な原油安でも物価の基調的な動きの見通しに変化はない
・2%の目標達成が難しくなるような状況になれば躊躇なく調整する
%の目標達成が難しくなるような状況になれば躊躇なく調整する
⇒ 企業や家計の物価観が2%に向け進んでいれば追加措置は要らない
企業や家計の物価観が %に向け進んでいれば追加措置は要らない
●15年
年1月
月23日:
日: 政府の月例経済報告 日銀の物価目標の文言を変更
前回:日銀には“
は“出来る
出来るだけ早期
だけ早期に
前回:日銀に
は“
出来る
だけ早期
に”2%の物価安定目標の実現を期待
%の物価安定目標の実現を期待
今回:“
%の物価安定目標の実現を期待
今回:“経済
:“経済・物価情勢を
経済・物価情勢を踏まえつつ
・物価情勢を踏まえつつ”
踏まえつつ”2%の物価安定目標の実現を期待
⇒ 甘利経済再生相は「物価目標の達成は余裕があっていい」と説明
甘利経済再生相は「物価目標の達成は余裕があっていい」と説明
●15年
年1月
月27日:
日: フロマン米通商代表部代表 「TPP合意」に期待示す
合意」に期待示す
・フロマンUSTR代表は「あと数カ月での合意を期待している」と発言
・フロマン
代表は「あと数カ月での合意を期待している」と発言
⇒ 米側から「円安を促すような動きは議会対策上望ましくない」と伝わる
米側から「円安を促すような動きは議会対策上望ましくない」と伝わる
■日銀金融政策決定会合
「期待」巡り真っ
「期待」巡り真っ二つ
・ 14年
年10月末の追加緩和は
月末の追加緩和は5対
の薄氷を踏む多数決となった
月末の追加緩和は 対4の薄氷を踏む多数決となった
・ 15年には
年には6名
月と6月に任期
年には 名の審議委員のうち
審議委員のうち2名
委員のうち 名が3月と
月と 月に任期切れとなる
月に任期切れとなる
・ 安倍政権は国会同意人事でリフレ派の論客・原田早大教授を提示
安倍政権は国会同意人事でリフレ派の論客・原田早大教授を提示
・ 市場では「追加緩和は不要」との政府見解反映との見方が広がる
14年10月31日・日銀金融政策決定会合 追加緩和への賛否
賛成 5名
氏 名
反対 4名
前・元職
任 期
氏 名
前・元職
任 期
財務官
18年4月
森本審議委員
東電副社長
15年6月
岩田副総裁
大学教授
18年3月
石田審議委員
金融機関社長
16年6月
中曾副総裁
日銀理事
18年3月
佐藤審議委員
民間エコノミスト
17年7月
宮尾審議委員
大学研究所
15年3月
木内審議委員
民間エコノミスト
17年7月
白井審議委員
大学教授
16年3月
黒田総裁
物価の下振れリスク高まれば
躊躇なく追加緩和
最大限の規模で
デフレ脱却への揺るぎない決意を示し
物価上昇への「期待」を再び刺激する
物価の下振れリスクだけでは
追加緩和を判断しない
副作用見合わず
緩和の「副作用」が効果を上回る
「期待」に働きかける政策は危うい
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 1 ―
Techno-fundamental Analysis
TechnoDaily Market Comment
昨日のドル/円は、日銀内部で追加緩和は逆
効果との見方が浮上しているとの報道や、米 1 月
小売売上高が予想以上に減少したことで再び 118
円台へ押し返されるなど、過去 2 日間に見られた
やや違和感のあるドル高動意に対するモヤモヤ
感を吹き飛ばしてくれるような相場展開となった。
欧州序盤に、ブルームバーグが関係者の話とし
て「現時点での一段の追加緩和は日本経済にむ
しろ逆効果になるとの見方が日銀内で浮上してい
る」と報じたことを受け、ドル/円は 120 円 Low か
ら 118.60 円まで急落したが、直ぐに 119 円 High
へ切り返した。 一部通信社は「報道をよく読む
と、よくある観測記事にすぎず、材料にはしづら
い」(邦銀の為替ディーラー)との声があったと報じ
ていたが、この点については昨年 10 月末の「黒田
バズーカ・2」を 5 対 4 の薄氷を踏む多数決となっ
た日銀決定会合にさかのぼる必要がある。
同会合で反対票を投じた 4 名(森本、石田、木
内、佐藤氏)は民間企業出身の審議委員であり、
実務に精通した立場から追加緩和の副作用が効
果を上回るとの見解示していたことが議事要旨で
明らかになっている。
具体的には、「追加緩和の効果はコストや副作
用に見合わない」、「追加緩和によって経済・物価
に対する限界的な押し上げ効果は大きくない」、
「追加緩和の効果は QQE 導入時に比べてかなり
限定的なものにとどまる」、「実質的な財政ファイ
ナンスであるとみなされるリスクがより高まる」、
「市場の流動性を著しく損なう」、「円安が進めば
中小企業への影響が懸念される」との懸念が指
摘されていた。 また、追加緩和による物価上昇
への期待を巡り賛否は真っ二つに割れ、議論は
平行線のまま追加緩和の採決は 5 対 4 で日銀執
行部が押し切った格好となっていた。
しかし、今年 1 月 21 日の金融政策決定会合で
は、大幅な原油安でも物価の基調的な動きの見
通しに変化はないとの認識を示し、黒田総裁は企
業や家計の物価観が 2%に向け着実に進んでい
れば追加措置は要らないと述べるなど、早期の追
加緩和に距離を置く発言を行っている。
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また、今年 3 月に任期切れとなる宮尾日銀審議
委員会の後任人事について、リフレ派の論客で知
られる原田早大教授を提示しており、同氏の最近
の発言から市場では「追加緩和は不要」との政府
見解を反映したものとの見方が広がっている。
一方、政府サイドは 1 月 23 日に発表した 1 月の
月例経済報告で、「日銀には経済・物価情勢を踏
まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期
待する」と記述し、13 年 1 月に政府・日銀が脱デフ
レへ共同文書で盛り込んだ「できるだけ早期に実
現する」との文言を 2 年ぶりに削除している。
この点について甘利経済担当相は、1 月 27 日
の閣議後の会見で、日銀の物価目標について「具
体的にいつまでという厳格な期限を政府も日銀も
■15年
年1月
月の米小売売上高
リテールショック再び
コミットしているわけではない」と説明している。
・ 総合指数は前月比0.8%減と市場予想の
%減と市場予想の0.5%減を上回る落ち込み
%減を上回る落ち込み
総合指数は前月比
%減と市場予想の
・ 減少は2カ月連続で家計が幅広い分野で支出を抑制したことを示唆
減少は カ月連続で家計が幅広い分野で支出を抑制したことを示唆
さらに、1 月 30 日に開催された政府の経済財政
・ コアベースの
%増と市場予想の0.4%に届かなかった
%に届かなかった
コアベースの売上高は0.1%増と市場予想の
売上高は
%増と市場予想の
諮問会議(四半期に一度の物価・金融政策の集中
・ 堅調な雇用と高い消費者信頼感にも関わらず鈍い消費動向が続く
堅調な雇用と高い消費者信頼感にも関わらず鈍い消費動向が続く
審議)では、日銀に対して追加緩和要請どころか、 1.5
データ:米商務省
米小売売上高の推移(前月比)
1.3
2月12日発表
2012/122012/12-2015/01
2015/01
物価を多面的に評価する必要があるとして、2%物
GDPの算出に使用される
の算出に使用される
1.0
コアベースの売上高が重要
価目標達成の後ズレを容認している。
0.7
0.6
0.6
この会議はもともと、当時の白川日銀総裁に緩
0.5
0.5
和圧力をかける場としての狙いも込められていた
0.1
0.2
が、政府内では春の統一地方選を控え、早期の追 0.0
0.0
0.0
加緩和に慎重な声が広がりつつあることを示した。
-0.3
また、1 月 27 日にフロマン米通商代表部代表が -0.5
-0.5
総合指数
「(TPP 交渉について)あと数カ月での合意を期待
自動車・ガソリン・建設資材を除く売上高
している」と発言したことに関連して、米側から「円 -1.0 Dec-12 Mar-13 Jun-13 Sep-13 Dec-13 Mar-14 Jun-14 Sep-14 Dec-14
安を促すかのような日本側の動きは議会対策上 ■FFレート先物市場
レート先物市場 米利上げ観測は高まらず
望ましくないので控えて欲しい」との趣旨の要請が
・ 市場の米金利先高観は9月半ばに高まったあと急速に萎む
市場の米金利先高観は 月半ばに高まったあと急速に萎む
・ 15年
年6月限は昨年
月限は昨年9月の
%をピークに0.1%台で推移
%台で推移
月限は昨年 月の0.305%をピークに
月の
%をピークに
伝えられていたことも影響していると推測される。
・ CMEウォッチによれば
ウォッチによれば6月の
の利上げの確率は
%
ウォッチによれば 月のFOMCの利上げの確率
月の
の利上げの確率は22%
安倍首相は 12 日午後の衆院本会議で施政方
・ 15年
年9月の利上げ
月の利上げ確率も
月の利上げ確率も61%と利上げ観測はなお高まらず
確率も %と利上げ観測はなお高まらず
針演説を行い、成長戦略実行に向け「この国会に
ドル高・円安
FFレート先物とドル/円の動向
レート先物とドル/円の動向
%
円
121.49 120.67
120.45
求められていることは『改革の断行』だ」と強調し、 0.50
2014/08/01-2015/02/12
120.0
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は「出口が見
15年
年6月限(左目盛)
月限(左目盛)
0.40
えてきた」と早期妥結に意欲を示している。
ドル/円(右目盛)
116.39
116.15
115.0
つまり、日本の国内要因では日銀による早期の
0.305
110.0
追加緩和は期待薄の状況であり、ドル/円の行方 0.30
利上げライン
0.25
0.215
は主に米国のファンダメンタルズや国際金融情勢
0.24
0.19
0.20
105.89
105.0
に左右されることになりそうだ。
0.15
こうしたなか米商務省が昨日発表した 1 月の米 0.10 102.01
0.135
100.0
小売売上高は、前月比 0.8%減少と 2 カ月連続で
減少し、市場予想の 0.5%減を上回る落ち込みと
なった。 また、GDP の算出に使用されるコアベースの売上高(自動車やガソリン、建設資材、飲食業除く)
は 0.1%の伸びにとどまり、市場予想の 0.4%増に届かなかった。
米国では、エネルギー価格の下落という恩恵に加えて、堅調な雇用と高い消費者信頼感にも関わらず、
鈍い消費動向が続いており、市場での早期利上げ観測は一向に高まる気配はみられない。
市場の金利観を反映する FF レート先物市場では、15 年 6 月の FOMC での利上げ確率は 22%にとど
まり、9 月までの確率も 61%と年央の利上げを積極的に織り込むには力不足の状況が続いている。
%
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 2 ―
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昨日のドル/円は、リテールショックを受けて一
時 118.51 円まで急落したものの、日足均衡表の
「転換線」(=118.68 処)が NY クローズのサポー
トとなり、下げ渋る格好となっている。
もっとも、日足均衡表では「遅行線」が再び転換
線(=119.40 処)を下抜けており、前日のドル急
伸がダマシであった可能性を示唆している。
足下では、すでに 119 円 Low の戻り上値は重
く、このあと「転換線」が NY クローズで破られる場
合は 118.25 処(=61.8% of 116.87⇒120.48)
や上向きで推移する「21 日平均線」(=118.12
処)を試す展開を想定する必要が生じそうだ。
波動面では、重要な戻り高値となる 120.89 円
(12/23)を上抜けなかったことで、ⅳ波による日柄
調整的な「三角保ち合い」(a-b-c-d-e)を形成中と
みられ、ドルが上昇に転じる前に保ち合い圏の下
限(e)に向けたドル安シナリオも念頭に置いてお
きたい。
USDJPY Daily Chart
Global Range
2014/10/132014/10/13-2015/02/12
ⅲ
5
121.70
12/08 120.89
b
12/23
118.98
11/20
120.0
115.0
118.87
01/20
a
115.57
12/16
c
120.48
02/11 d
116.87
115.85 02/03
01/16
e
ⅳ
Runaway gap 112.35~112.83
110.0
105.0 105.20
10/15
4
NYクローズと移動平均線
NYクローズと移動平均線
119.12
118.12
116.28
120.0
115.0
21
110.0
(2 月 13 日 11:25 記)
105.0
109.24
89
200
100.0
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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2015 年 2 月 12 日
ギリシャ債務問題は 16 日のユーロ圏財務相会合が天王山に
日のユーロ圏財務相会合が天王山に
円の対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/06 ⇒ 02/09
0.50
%
0.00
-0.16
-0.35
-0.50
-0.96
-1.00
-1.13
-1.21
-1.37
-1.39
-1.50
USD
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
ドルの対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/06 ⇒ 02/11
02/11
1.50
%
ドル高
1.21
1.00
0.98
ドル安
0.84
0.50
0.25
0.01
0.00
-0.16
-0.24
-0.50
JPY
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
世界の主要株価指数・週間騰落率
<終値ベース 2015/02/06⇒ 02/11
02/11
%
1.20
1.0
0.64
0.5
0.45
0.21
0.0
0.02
-0.25
-0.51
-0.5
-0.87
(米)
NASDAQ
-1.0
(米)
S&P500
(米)
NYダウ
NYダウ
(英)
FTSE100
2.382
11/06
C
2.2694
12/23
2.3378
08/28
2.25
C
B
A
C
B
2.1288
10/15
2.00
2.0211
02/10
1.8752
01/21
A
B
下 落
米金利
上 昇
1.50
A
2.0608
12/16
債券価格
1.75
(日)
日経225
225
日経
米長期金利とリスク選好の関係
Aは「良い金利上昇」と「株高・円安」
は「良い金利上昇」と「株高・円安」
Bは「悪い金利低下」と「株安・円高」
は「悪い金利低下」と「株安・円高」
Cは「良い金利低下」と「株高・円安」
は「良い金利低下」と「株高・円安」
Dは「悪い金利上昇」と「株安・円高」
は「悪い金利上昇」と「株安・円高」
A
2.50
(仏)
CAC40
(独)
DAX
米10年物国債利回りの推移
10年物国債利回りの推移
2014/08/012014/08/01-2015/02/11
2015/02/11
2.6216
09/17
%
(加)
トロント300
トロント300
米金利
米株価
A
円安・株高
C
円安・株高
米株価
D
円高・株安
B
円高・株安
1.7275
01/15
B
1.6390
01/30
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判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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Techno-fundamental Analysis
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昨日のマーケットは、ギリシャの債務問題やウ
クライナ情勢を巡る不透明感が重しとなり、欧米
主要株価指数が軟調に推移したものの、ユーロ
圏財務相がギリシャの救済プログラム延長に向け
前進したとの報道が手掛かりとなり、米金利上昇
に伴って円は全面安の展開となった。
米 CNBC がギリシャは EU の支援プログラムに
とどまることについて EU 側と基本合意に達したと
の報道でユーロ買いと同時に円売りが強まったも
のの、ユーログループのデイセルブルム議長が臨
時ユーロ圏財務相会合で最終的な声明文につい
てギリシャ側と合意できなかったと述べたことを受
け、本日の早朝取引ではユーロの売り戻しと同時
に円が買い戻される格好となった。
もっとも、今回の臨時ユーロ圏財務相会合は、
ギリシャが自らの見解を示す機会とされていたた
め、同会合での合意は当初から想定されておら
ず、欧州委員会の報道官によれば 12-13 日に
開催される EU 首脳会議での事態打開も望み薄
との見通しを示している。
ギリシャのツィプラス首相にしてみれば、反緊縮
を掲げた選挙で圧勝した経緯があるため、安易な
妥協は政治的に受け入れられず、合意に向けた
期はまだ熟さずといったところであろう。
EU 側もこうした事情は十分承知しており、複数
の外交関係者によれば支援自体は継続する一
方、正式な支援プログラムは終了とし、ギリシャ政
府の顔を立てる方向で調整が進んでいる可能性
があると述べている。
こうした動きに鑑みれば、ギリシャの債務問題
を巡る天王山は来週 16 日に開催されるユーロ圏
財務相会合となり、同会合で支援延長に関する合
意形成がなされれば、現在の支援期限が 28 日に
切れる前に、ユーロ圏各国議会で必要な承認手
続きを行う時間も確保できることになる。
最近のユーロ相場の動向をみると、1 月末の安
値から水準を切り上げており、ギリシャのデフォル
トやユーロ離脱といった極端なリスクシナリオを想
定した動きはみられていない。
M
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FX Market Daily Comment
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Mori
ユーロ/ドルは、週明けに付けた 1.1359 ㌦が
戻り高値となり、1.1275 処(=61.8% of 1.1115
⇒1.1534)を達成する 1.1270 ㌦まで下押したも
のの、その後は同水準を割り込むことなく底堅く
推移している。 当面の焦点は、「21 日平均線」
(下向き)を巡る上抜け攻防となり、同線を NY ク
ローズで上抜く場合は重要な戻り高値 1.1534 ㌦
(02/03)や N-計算値の 1.1689 処を目指す展開
が想定されるが、「21 日平均線」がレジスタンスと
なり直近安値 1.1270 ㌦(02/09)が破られる場合
は 1.1214 処(=76.4% of 1.1115⇒1.1534)を試
す一段安に備えたい。
ユーロ/円については、149.55 円(12/08)を起
点とする下落波動が五波構成により 130.75 円
(01/26)を示現したあ と、修正波(三波構成の
a-b-c)を形成中とみられ、10 日に「21 日平均線」
を NY クローズで上抜けて、昨日は 136.68 円ま
で上昇している。
日足均衡表では、「転換線」(上向き)がサポー
トとなり、昨日は「基準線」(=136.24 処)を NY ク
ローズで上抜けており、次なる焦点は「遅行線」が
日々線(下向き)に接近・衝突する局面の動向と
なってくる。 「遅行線」が日々線に衝突したあと転
換線を上抜く場合は、137.93 処(=38.2% of
149.55⇒130.75)を試す展開が想定されるが、
日々線や転換線(下向き)がレジスタンスとなる場
合は B 波-b の位置付けで一時的な下げを想定す
る必要がありそうだ。
一方、ドル/円については「三角保ち合い」を上
放れて 120.48 円まで上昇している。
また、日足均衡表では「遅行線」が転換線の上
方 へ 抜 け 出 て お り 、 Fibonacci expansion の
120.71 処 ( = 116.87+ 【 115.85 ⇒ 118.87 】 ×
1.272)や、重要な戻り高値の 120.89 円(12/23)を
目指す展開が想定されそうだ。
但し、外為市場の縮図とされる IMM 日本円先
物では、レンジブレイクを伴う円安進行にもかかわ
らず総取組高は 2 月 6 日の 21.2 万枚が直近のピ
ークとなり、最新データとなる 10 日時点では 20.4
万枚と 2 日連続で減少し、売買高は過去 1 カ月の
平均の 7 割程度にとどまっている。
本日明らかになる 11 日時点の総取組高と出来
高の変化を確認する必要があるものの、現状では
ドル高・円安の持続性に疑問符を付けている。
本日は 1 月の米小売売上高の発表が予定され
ており、消費拡大がハードデータで確認される場
合は米長期金利の上昇と共にドル/円の一段高
1.2887
10/15
ⅳ
EURUSD Daily Chart
Global Range
2014/10/132014/10/13-2015/02/11
2
1.2602
11/19
1.2569
12/16
1.250
1.2358
1 11/07
1.2247
12/08
Runaway gap
1.2001⇒1.1947
1.200
1.1680
01/21
1.1534
02/03
4
1.150
1.1460
01/14
1.1270
02/09
1.1115
3 01/23
1.100
1.400
5
ⅴ
NYクローズと移動平均線
NYクローズと移動平均線
200
1.300
1.2828
89
1.200
1.2168
21
1.1416
1.1335
1.100
5
149.55
149.12
12/08
11/20
150.0
144.23
11/06
145.0
EURJPY Daily Chart
Global Range
2014/10/132014/10/13-2015/02/11
1
147.22 ⅱ
12/29
ⅰ 144.96
12/16
142.09
11/10
140.0
135.0
ⅳ
137.64
01/20 136.68
02/11
B
4
ⅲ 134.81
134.15
10/16
01/16
ⅴ
130.0
150.0
130.75 A
01/26 2
NYクローズ移動平均線
NYクローズ移動平均線
145.0
21
140.0
200
89
135.0
141.22
139.55
136.53
134.74
130.0
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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M
Forex Watch
FX Market Daily Comment
Forex Watch Kojiro Mori
Mori
シナリオが描けるが、前月に続いて減少する場合
は反動的なドル安・円高に注意したい。
円
120
IMM日本円通貨先物市場
IMM日本円通貨先物市場
取引中心限月終値と総取組高
2014/09/152014/09/15-2015/02/11
2015/02/11
121.40
12/05
115
110
1枚=
枚=1,250万円
万円
枚=
450,000
総取組高(右目盛)
350,000
12月限
12月限
売買終了
204,193
212,447
202,848
95
120.24 550,000
枚
02/11
116.46
01/15
231,223
182,419
100
118.76
01/20
取引中心限月終値(左目盛)
262,272
105.97
10/15
211,603
244,171
105
109.81
10/03
117.11
12/16
338,695
(2 月 12 日 11:30 記)
円安・ドル高
120.64
12/23
250,000
150,000
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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