「福祉」をテーマに取り組んだ総合学習

PISA 型読解力を高める指導の授業提案
さいたま市立東宮下小学校
教諭 菊池健一
■(22)6学年での実践 (総合・
『心のバリアフリーをめざして』(福祉)より)
「福祉」をテーマに取り組んだ総合学習
PISA型読解力育成の手だて
【情報へのアクセス・取り出し】
・新聞などの資料から、自分に必要な情報を選ぶ。
・調査活動からバリアフリーについての情報を収集する。
【解釈・統合】
・各資料や調査で分かったことを分析する。
【熟考・評価】
・調べて分かったことをまとめて発表する。
・学習して感じたことや考えたことを発表する。
【取り組む能力】
・福祉について調べたいことについて考える。
6学年の総合的な学習の時間において「福祉」を取り上げた実践を行いました。児童が
身のまわりから体の不自由な人にとっての「バリア」を探し、それを解決する方法を具体
的に提案することを目標にしました。児童の住む、さいたま市にはさいたま新都心があり、
バリアフリーが充実した施設があるので、新都心の見学も行い、バリアフリーについての
調査も行いました。この活動の中でも、PISA 型読解力を高めるための方策を積極的に取り
入れました。
児童はまず、新聞記事などから「バリアフリー」という言葉について学びます。体の不
自由な方にとって暮らしにくくなるものを「バリア」ということを理解し、身の回りにあ
るバリアを探す活動を行いました。また、体験活動として「アイマスク体験」「お年寄り体
験」などを行い、児童が自分自身でもバリアを感じられるように工夫しました。
新聞記事や資料・体験で学んだこ
となどをもとに「バリアフリーマ
ップ」を作りました。児童のバリ
アフリーへの意識が高まり、課題
発見に大変役立ちました。この
後、児童は自分が取り組みたい課
題を立てました。
(児童と考えたバリアフリーのマップ)
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新聞記事や体験からバリアについて学んだ児童は、自分が取り組んでみたい課題につい
て考えました。そして、同じ課題をもつ友達とチームを作り、チームのテーマを考えまし
た。児童が考えたチームテーマは以下のものです。
○ お年寄りが使いやすい階段やスロープ
○ 目の見えない人が安全で安心にくらせるようにする
○ 目の見えない人が不安にならないためのバリアフリー
○ 目の見えない人が安全にくらせるバリアフリー
○ 外国人や耳の聞こえない方が安心できるバリアフリー
○ 道路の不便なところや直してほしいところ、建物の工夫
○ 目の見えない人のための「施設」のバリアフリー
○ 小さい子どもに不便なく安心なバリアフリー
課題が決まると、チームごとに調査計画を立て、調査を開始しました。本やインターネ
ット、新聞を活用して調べるチームや地域に出てバリアフリーについて調査するチーム、
そして、様々な関係機関にインタビューにいくチームなど様々でした。その中で、全チー
ムがバリアフリー都市・さいたま新都心を見学しました。たくさんの情報源から情報を集
めることができました。
さいたま新都心見学では、たくさん
のバリアフリーについて学ぶこと
ができました。自分たちが住んでい
る町にも取り入れてほしい施設が
たくさんあることに気がつきまし
た。
(さいたま新都心見学の様子)
情報集めが終わった後には、集めた情報を整理・分析し、発表に必要なものを選び出す
作業を行いました。そして、調べたことをわかりやすくまとめることができました。まと
め方には新聞記者さんから指導していただいた「見出しの付け方」を参考にしました。
今回の学習で、総合的な学習の時間としての目標が達成
できたほか、PISA 型読解力の向上にもつながったと考えて
います。情報にアクセスして取り出し、その情報を整理・
分析し、自分の考えと照らし合わせて発表をすることで総
合的に読解力も身につくと考えています。今後も総合的な
学習の時間における指導を工夫していきたいと思います。
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