PISA 型読解力を高める指導の授業提案 さいたま市立東宮下小学校 教諭 菊池健一 ■(20)6学年での実践 (算数・ 『比例「変わり方を調べよう」 』より) 新聞を通して具体的に生活場面とリンクさせた算数指導 PISA型読解力育成の手だて 【情報へのアクセス・取り出し】 ・新聞から「2量が伴って変わる」ものを見つける。 ・生活の中から「2量が伴って変わる」ものを見つける。 【解釈・統合】 ・ 「2量が伴って変わる」場面の記事を見比べて、共通性や相違点を考える。 ・問題について、どのように考えればよいかという見通しをもつ。 【熟考・評価】 ・問題の解き方について、自分なりの方法で表現をする。 ・問題の解き方について、友達の考えと自分の考えを比べる。 【取り組む能力】 ・進んで新聞から「2量が伴って変わる」ものを探す。 ・進んで問題を自分なりのやり方で解こうとする。 6年生の算数科に『比例「変わり方を調べよう」 』という単元があります。この単元の学 習では、児童が身の回りから「2量が伴って変わる」ものを探す活動からスタートします。 「ふえるとふえる」ものと「ふえるとへる」ものに分けて具体的に探していきます。そし て、その後に伴って変わる2量の関係について詳しく調べる活動を行い、 「比例」という関 係について学びます。さらに、比例関係をグラフに表したり、グラフから比例の関係を読 み取ったりする活動を行います。 この単元において、 新聞を活用しながら PISA 型読解力を向上させる試みを実践しました。 児童はまず、普段の NIE 活動を生かして、新聞記事や新聞写真をもとに、 「伴って変わる2 量」を見つける活動を行いました。例えば、以下のようなものが紹介されました。 ・アメリカの車が日本で売れているという記事をもとに・・・アメリカの車がたくさん 輸入されるに伴って、日本の車の売れ行きが下がる。 ・パン食を好む人が多くなってきたという記事をもとに・・・パンを好んで食べる人が 増えるに伴って、お米の消費量が下がる。 ・国の借金が増えているという記事をもとに・・・国がお金をたくさん使うに伴って、 1 国の借金も増える。 ・テレビの視聴率を取り上げた記事をもとに・・・テレビをたくさん見ることに伴って、 視聴率も上がる。 児童が新聞記事をもとに考え た「伴って増える2量」を教 室に掲示し、みんなで共有し ました。 児童が作成した掲示物 新聞記事をもとにすることで、社会のリアルな現実とリンクする形で、算数で学習する 内容をとらえることができました。また、新聞から自分の関心のある記事や写真を探し、 「伴 って変わる」という視点でそれらを読み、友達に紹介することで、PISA 型読解力も向上す ると考えます。 この活動の後に、実際の算数の授業に入りました。児童は□が1段、2段、3段・・・ と増えていくと周りの長さはどう変わるかということを考え、 「10段の時にはどのくらい の長さになるか」という問題を解くことにチャレンジしました。児童は、問題を自分なり の方法で考え、それを表現し、友達と発表し合う活動を行いました。 (比例を考える授業の板書) (児童の考え方の例) 児童は自分が考えた方法を友達と発表し合い、共通点や相違点などを話し合う活動を行 いました。文科省の資料に「PISA 型読解力を高める方策として、算数では友達の考えと自 分の考えを比べる」ということが例示されています。友達の考えの中から、自分の考えに 共通するところを考えたりすることで、読解力が向上するのだと考えます。 これからも、算数科においても積極的に新聞を活用し、PISA 型読解力を向上させること も意識した授業を実践していきたいと考えています。 2
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