平成25年度教員免許状更新講習 千葉大学教育学部 長根 光男 (教育心理学) HP www.nagane-education.jp/ 1 教育の目的は何か? • • • • 民主主義国家の一員としての市民の育成 (スウェーデン) 「生きる力」の育成 (日本) 国際的な競争力向上(シンガポール) 幸福度社会の実現(ブータン) (資料 ブータン政府観光局) 2 参考 ユニセフの幸福度調査 • ユニセフは2013年4月、先進国における子供幸 福度ランキングを発表した。 ユニセフの調査は、子どもの貧困を、 第1位 オランダ 所得という側面だけではなく、生活 必需品の有無、健康、教育、住宅、 第2位 ノルウェイ 問題行動と、子どもの生活をより直 接的かつ多角的に測っている。 第3位 アイスランド • このランキングには日本は入っていない。 OECD加盟国を対象としているが、日本や韓国 はデータが不足し調査対象外となっている。 (資料 日本ユニセフ協会) 3 世界教育水準ランキング(2012) 1.フィンランド 2.韓国 3.香港 4.日本 5.シンガポール 6.イギリス 7.オランダ 8.ニュージーランド 9.スイス 10.カナダ 11.アイルランド 12.デンマーク 13.オーストラリア 14.ポーランド 15.ドイツ 16.ベルギー 17.アメリカ (出典 http://news.livedoor.com/article/d etail/7186583/) 世界的な総合教育企業、英Pearson 社の世界の教育水準ランキング トップはフィンランドで、韓国、香港と 続いて、日本は4位。英国は6位、米 国は17位であった。 ランキングは、英国の経済雑誌『The Economist』のリ サーチ部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユ ニットがまとめたレポート”The Learning Curve (http://thelearningcurve.pearson.com/)”に収められ たもの。40ヵ国の教育水準を、質(学校の自治度、選 択肢の豊富さ)、量(義務教育の年数、教師1人あた りの生徒数)、知能(国際学力テストのスコア)、教育 成果(卒業率、読み書き能力、雇用)の4分野にわ たって精査した。 4 ・日本は、OECD(経済協力開発機 構)が2009年に世界の15歳を対象 に行った学習到達度調査(PISA) で、香港、フィンランド、シンガポー ル、韓国に次いで5位に入った実 績が評価された。 ・総合4位だったものの、学校の選 択肢の豊富さや、教員の質の指針 の一つとなる教員給与水準で他の アジア諸国や欧州各国に比べて 遅れが目立った。 注)国全体の教育水準を引き 上げるためには、優れた教員 の確保と教育に価値を置く文 化、環境づくりが必須と指摘し ている。 • 1位のフィンランドは、子どもの考 える力や応用力を伸ばすことに 主眼を置いた教育制度で、少人 数学級だが授業時間が短く、宿 題もない。 • 2位の韓国は、ペーパーテストの 成績重視の暗記型カリキュラム で、多くの生徒が放課後も夜遅く まで塾で勉強を続ける。 • 専門家は共通項として、学校制 度や教育そのものに対する国を 挙げてのサポート体制や、整っ た教育環境、優れた教員養成課 程があることを指摘している。 5 OECD Programme for International Student Assessment (PISA) PISA countries in 2009 Coverage of world economy 87% OECD『国際学習到達度調査(PISA)』 6 OECD経済協力開発機構 OECD条約の第一条 経済成長を支援する。 雇用を拡大する。 生活水準を向上させる。 財政金融上の安定を維持する。 他国の経済発展を支援する。 国際貿易の発展に貢献する。 雇用・教育・福祉 すべての人に平等に教育の機会を保障する。 効果的で利用しやすい医療制度を促進する。 社会的疎外、失業と闘う。 富裕層と貧困層の情報格差を埋める。 7 ライフスタイルと教育 楽しいから学習する 必要だから学習する 8 PISA調査の「読解力」とは・・・ 読解力とは、「自らの目標を達成し,自らの知識 と可能性を発達させ,効果的に社会に参加する ために書かれたテキストを理解し,利用し,熟考 する能力」 科学的リテラシーとは、 「自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し, 意思決定するために,科学的知識を利用し,課題を明確にし,証拠 に基づく結論を導き出す能力」 経済開発協力機構(OECD) 2006 フィンランドの教育方針 1. 情報社会: Information society 2. 数学と自然科学を重視する教育 : Education in mathematics and natural sciences 3. 言語や国際的視点を重視する : Language teaching and internationalization 4. 教育の標準と質を高める : Rising the standards and quality education 5. 教育と実社会との協調に配慮する : Co-operation between education and working life 6. 新任、現職教員のトレーニングを重視する : Initial and continuing training for teachers 7. 生涯学習 : Lifelong learning 10 相克する?日本における2つの学力観 基礎基本 基礎知識 基礎技能 数理能力 語い力 文章理解力・読解力 リテラシー 問題解決能力 創造性、発想力 判断力 プレゼンテーション能力 コミュニケーション能力 11 基礎基本 リテラシー リテラシー 基礎 基本 12 デンマークの教育における学びの姿勢 • When they are small, they read and understand what are written in textbooks. • If they are later put in such a learning situation that they either have to follow uncritically what people of a high social rank or of power say, they may get confused seeing nowhere to go in a rapidly changing society. (江口千春 デンマークの教育に学ぶ かもがわ出版 2010) 13 考えさせることの重要性 ・ どうしてそのように考えるの? ・ 本当にそうなの? ・ 自分だったらどうするの? 14 教育に価値を置く文化、環境づくりのための ライフスタイルの総点検私案 1.ワーク・ライフ・バランス(内閣府) 2.男女共同参画社会(内閣府) 3.グローバル化による夜型生活の見直し 4.競争原理の学歴社会 ドイツ,マイスター型? 5.食生活,食文化の見直し 15 教育に価値を置く文化、環境づくり の中核となる授業の位置づけ総点検私案 いかに内発的にmotivationを高 めるか? ・子ども達の未来の生活に役立ちそうな学習内容か ・子ども達が楽しさを感じる,取り組みたい内容か ・授業で考える場を多く設定する ・授業で発言の場を多く設定する ・教師からの発問・応答のタイプの見直し ・個に応じた指導 ・教師自身が学習内容に本当に関心を持っているか 16
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