日本基準トピックス 改正実務対応報告第31号「リース手法を活用した 先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計 処理等に関する実務上の取扱い」の公表 2015年3月17日 第278号 ■主旨 2015年3月11日、企業会計基準員会(以下、「ASBJ」)は、2014年6月30日に公表した 実務対応報告第31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける 借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(以下、改正前実務対応報告)を改正 した改正実務対応報告第31号(以下、本実務対応報告)を公表しました。 本実務対応報告は、改正前実務対応報告の公表後に、ASBJにおいて別途定めると していた、契約変更時の借手の会計上の取扱いについて改正を行うものです。 本実務対応報告は、公表日以後、即時に適用されます。 ・原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/lease_2015/ ------------------------------------------------------------------------- 1.経緯 日本再興戦略(2013 年 6 月 14 日閣議決定)に基づき実施する施策として、新たなスキーム によるリース取引(以下、本リース・スキーム)が導入されたことを受け、ASBJ は 2014 年 6 月 30 日に実務対応報告第 31 号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける 借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」を公表しました(注 1)。 この改正前実務対応報告では、リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された 場合にファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行うとされ ていますが、その際の借手の会計上の取扱いについては別途定めることとされていました。 その後、引き続き ASBJ で検討が行われていましたが、その検討の結果、本実務対応報告 が公表されました。 なお、2014 年 11 月 26 日に公表されている公開草案の内容から大きな変更はありません。 (注 1) 改正前実務対応報告第 31 号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける 借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」の概要については、以下をご参照ください。 http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2014/pitf 31-lease-investment140702.jhtml 1 2.改正の内容 本実務対応報告では、本リース・スキームにおけるリース契約について、リース取引開始日後 に取引の契約内容が変更された場合の取扱いに関し、次のとおり定めています。 (1)ファイナンス・リース取引かどうかの再判定 ファイナンス・リース取引かどうかの再判定にあたっては、契約変更日に契約変更後の条件 に基づいてリース取引開始日に遡って行うこととされました(第 6 項)。 ここで、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定のために用いる 割引率は、借手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算 利子率を知り得るときは当該利率とし、知り得ないときは契約変更後の条件に基づいてリース 取引開始日における借手の追加借入に適用されていたであろうと合理的に見積られる利率 とすることとされています(第 7 項)。 (2)オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引への変更 契約変更の結果としてオペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引へ変更 される場合、契約変更日に、リース資産およびリース債務を、次に示すいずれかの価額で 計上することとされました(第 8 項、第 9 項)。 ① リース資産とリース債務を次のとおり算定し、差額を損益として処理する a. リース資産 契約変更後の条件に基づくリース取引開始日から将来のリース料(残価保証が ある場合は、残価保証額を含む)を、「ファイナンス・リース取引かどうかの再判定」 で現在価値基準を適用する場合に用いた割引率で割引いた現在価値と、 リース取引開始日における借手の見積現金購入価額とのいずれか低い額から、 リース取引開始日から契約変更日までの減価償却累計額相当額を控除した価額 b. リース債務 契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来リース料(残価保証がある 場合は、残価保証額を含む)を、「ファイナンス・リース取引かどうかの再判定」 で現在価値基準を適用する場合に用いた割引率で割引いた現在価値 ② リース資産とリース債務を同額で計上する(①のリース債務と同額とする) なお、上記の方法のうち、①の方法が原則とされています(第 9 項)。 (3)設例の追加 リース料が固定型のケースと変動型のケースのそれぞれについて、本リース・スキームに おいてオペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引への契約変更を行う場合 の設例が新たに追加されています。 2 3.改正による現行の取扱いへの影響 本実務対応報告に示されるリース契約の変更の取扱いは、本リース・スキームにおける契約 内容の変更のみに着目しており、一般的な契約内容の変更そのものの包括的な検討を行 ったわけではないため、本リース・スキーム以外のリース取引に係る現行の取扱いに影響を 与えるものではないことが明示されています(第 10 項、第 27 項)。 4.適用時期等 本実務対応報告は、公表日以後、即時に適用されます(第 33 項)。 あらた監査法人 東京都中央区銀座8丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル (〒104-0061) お問い合わせ: [email protected] 本資料は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナル からのアドバイスを受けることなく、本資料の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本資料に含まれる情報は正確性または完全性を、 (明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本資料に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、 起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査法人、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範囲に おいていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2015 PricewaterhouseCoopers Aarata. All rights reserved. PwC refers to the PwC Network member firms in Japan and/or their specified subsidiaries, and may sometimes refer to the PwC Network. Each member firm is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details. This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors. 3
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