海外通信 from London ブラックフライデー襲来? ― 英国のクリスマス消費に変化の予兆 ― になりつつあるのだ。もともとブラックフライデー クリスマスムード一色のロンドン とは、米国で感謝祭(11 月の第 4 木曜日)翌日の金曜 日からクリスマスセールが本格化し、それを境に小 ロンドンに赴任したのが 9 月末。それから次第に 日が短くなり、曇りがちの天候とも重なって太陽を 売店が黒字に転じることに由来する。英国では 2013 年くらいから知名度が上がっているようだ。 目にする機会が減っていく。こうした天候に慣れな い日本人は、ロンドンの冬に気分が落ち込んでしま セール前倒しとインターネット販売の増加 うことも多いと聞いていた。 しかし、11 月終わりごろから街は一気にクリスマ 小売業者間の競争が激化する中、ブラックフライ スムードに彩られる。クリスマスツリーがあちらこ デーに合わせて値引きを始める事業者が増加した。 ちらに立てられ、店は華やかに飾りつけられる。週 伝統的に英国ではクリスマス翌日の祝日(ボクシン 末のショッピングセンターには人があふれ、道行く グデー)がバーゲンセール開始日だったが、セールが 人々は皆楽しそうだ。 前倒しされる傾向が強まっているようだ。 オンラインセールスの増加も大きな特徴である。 ブラックフライデーが英国にも定着 英小売調査センターは、2014 年のクリスマス期間の オンライン販売が前年から約 20%増加し、743 億ポ 英国の小売業者にとって、クリスマスセールの ンドに達すると予測している。これはクリスマス商 成否はきわめて重要だ。売上高が 1 年間でもっとも 戦の約 23%を占め、オンライン販売の割合は米国や 大きいのが 12 月、2013 年の例だと年間売り上げの ドイツ・フランスなどより高いとのことである。報道 12.7%(約8分の1) を占めている(図表)。 によればブラックフライデーのオンラインセールス そのクリスマス商戦に、変化の兆しがみられる。 「ブラックフライデー」という言葉が英国でも一般的 は過去最高を記録し、一部に配送の遅延も生じてい る模様である。 当然ながらクリスマスの消費動向は、英国経済の 現状判断にとってもきわめて重要な意味を持つ。 ●英国の小売り売上高 2014年7∼9月期の実質GDP成長率は前期比+0.7% (10億ポンド) 45 12月の売上高 と高めの成長を維持したが、4∼6月期の同+0.9%か 40 らは伸びが鈍化した。10 ∼ 12 月期の成長率が再び加 35 速するかどうかは、クリスマス明けのセールまで含 30 めた個人消費の盛り上がり次第と言えるだろう。英 25 国のクリスマス消費の出来上がりに注目したい。 20 15 10 2007 みずほ総合研究所 ロンドン事務所 08 09 10 11 12 13 所長 山本康雄 14 (年) (注)自動車燃料を除く小売り売上高。 (資料)Office for National Statistics 12 [email protected]
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