中間試験やり直しレポート 以下の要領に従って中間試験の問題を解きなおして提出してください.このレポートの内容は 成績評価に影響します. • 締切は 2015 年 1 月 6 日(火)講義時とします. • (たとえ試験で完璧にできたと思う問題があっても)すべての問題に解答してください. • 配布する所定の解答用紙を使用して提出してください.なお,すべての解答用紙に,クラ ス・学科・入学年・学生番号・氏名を明記してください.答案は問題ごとにばらして採点 することがあるため,必要事項の明記は忘れずに行ってください. • いつものレポートと同様,どのような参考書を見てもよいし, (教員以外の)誰と相談して も構いませんが,参考文献および謝辞を明記してください.これが守られていない疑いの ある答案が見つかった場合には別途事情を聴くことがあります.その時点でルール違反が あることがわかれば単位は不可となります. • どうしてもわからないということで投げ出してしまうことのないよう,最後に簡単なヒン トを付けました.必要に応じて参照してください. • 中間試験後の講義で線形写像の表現行列という考え方を扱います.この考え方を用いて解 答しても構いません. 1 R 上の何回でも微分できる関数の全体のなすベクトル空間を C ∞ (R) とする.C ∞ (R) の部分 空間 W = {f (x) ∈ C ∞ (R) | f ′′′ (x) − 4f ′′ (x) + 6f ′ (x) − 4f (x) = 0} を考える.W の元は,(f (0), f ′ (0), f ′′ (0)) を決めるとただ一通りに決まることに注意して以下の 問いに答えよ. (1) W に属する 3 つの関数 f1 (x) = e2x , f2 (x) = ex cos x, f3 (x) = ex sin x は W の基底になることを示せ. (2) (f (0), f ′ (0), f ′′ (0)) = (1, 1, 2) を満たす W の元 f (x) について,基底 (f1 , f2 , f3 ) に関する座標 を求めよ. 2 R[x]n を n 次以下の実数係数 1 変数多項式全体のなすベクトル空間とする. (1) R[x]3 の部分集合 W = {f (x) ∈ R[x]3 | x(1 − x)f ′′ (x) + (2x − 1)f ′ (x) − 2f (x) = 0} を考える. (i) W は R[x]3 の部分空間であることを示せ. (ii) W の次元と基底を一組求めよ. (2) 写像 φ : R[x]4 → R[x]3 を φ(f (x)) = ((1 + x)f (x) を x4 − 1 で割った余り) で定義する. (i) φ が線形写像であることを示せ. (ii) Ker φ の次元と基底を一組求めよ. (iii) Im φ の次元と基底を一組求めよ. (3) (1) の W と (2) の Im φ について,共通部分 Im φ ∩ W の次元と基底を一組求めよ. 3 実数の無限数列全体のなすベクトル空間を ℓ(R) とする. (1) 3 つの数列 • 初項 1,公差 1 の等差数列 {xn } • 初項 2,公差 3 の等差数列 {yn } • 初項 5,公差 −2 の等差数列 {zn } は ℓ(R) の中で一次独立か.もし一次独立ならそのことを証明し,一次独立でないなら非自 明な一次関係式をひとつ求めよ. (2) ℓ(R) の部分集合 W = {{an } ∈ ℓ(R) | 数列 {an } は等差数列.} は ℓ(R) の部分空間であることを示せ. (3) W の次元と基底を一組求めよ. 4 (1) R5 の次の部分空間の次元と基底を一組求めよ. ⟨ W = (2) f x1 x2 x3 x4 x5 1 −5 −2 0 1 , 2 4 3 2 −2 , 4 −6 −1 2 0 x1 2x2 = 2x1 x1 + 2x2 x1 + x2 + − + − , 2x3 4x3 4x3 2x3 −1 5 3 1 0 , −6 2 −2 −4 2 − x4 + 4x4 − 2x4 + 3x4 + x4 + + + + + ⟩ 3x5 2x5 6x5 5x5 4x5 で定義される線形写像 f : R5 → R5 を考える. (i) Ker f の次元と基底を一組求めよ. (ii) Im f の次元と基底を一組求めよ. (3) 和空間 Ker f + W の次元と基底を一組求めよ. (4) 共通部分 Ker f ∩ W の次元と基底を一組求めよ. (5) f の定義域を W に制限すると,線形写像 f : W → R5 が定まる.このとき,この線形写像の 像の次元と基底を一組求めよ. 中間試験やり直しレポートのためのヒント 1 (1) 基底であることを証明するためには, 「一次独立であること」と「V を生成すること」の 2 つ を示さなければなりません. • 関数の一次独立性を示すにはどうすれば良かったか,第 3 回の講義の内容や第 2 回レポー ト 1 (2) を復習してください. • 生成することの証明にはいくつか方法があります. – 第 5 回の講義でやったように V にはすぐにわかる基底があり,次元が決まります.次 元の個数と一致する一次独立な元の組は全体を生成します. – (f (0), f ′ (0), f ′′ (0)) = (a, b, c) となるような V の元をとってきたとき,f (x) が f1 , f2 , f3 の一次結合で書けることを示します.f (x) = c1 f1 (x)+c2 f2 (x)+c3 f3 (x) となる c1 , c2 , c3 を a, b, c の式で表すためにはどのような連立一次方程式を解けばよいか考えてみてく ださい. c1 (2) 座標を求めるということは,f (x) = c1 f1 (x) + c2 f2 (x) + c3 f3 (x) となる c2 ∈ R3 を求め c3 るということです.(f (0), f ′ (0), f ′′ (0)) = (1, 1, 2) のとき,c1 , c2 , c3 を求めるにはどのような連立 一次方程式を解けばよいか考えてみてください. 2 (1) (i) 部分空間の定義を確認してください.第 4 回・第 5 回の講義の内容や第 4 回のレポート 1 なども復習すると良いでしょう. (ii) 多項式のなすベクトル空間の部分空間の内容や第 4 回レポート問題 1 (2) および第 7 回の 講義で行った解説を復習してください. a0 + a1 x + a2 x2 + a3 x3 ∈ W となるための a0 , a1 , a2 , a3 の条件を決定することで,W を生成す る多項式の組がわかりますから,それらが一次独立であることを言えば,次元も基底もわかると いう流れです. なお,この問題は W をある線形写像の核とみることで,表現行列の考え方を用いても解答で きます. (2) (i) 第 6 回の講義内容にある線形写像の定義や第 5 回レポート問題 2 および第 7 回の講義で 行った解説を復習してください.第 5 回レポートの返却答案や解説コメントも参考になります. (ii) φ(a0 + a1 x + a2 x2 + a3 x3 + a4 x4 ) = 0 となるための a0 , a1 , a2 , a3 , a4 の条件を求めるという 方法でも解答できますが,x4 − 1 = (x + 1)(x3 − x2 + x − 1) に注目するともう少しうまく解答 できます.第 5 回レポート問題 2 (2) や第 7 回の講義で行った解説を復習してください. (iii) dim Im φ だけなら第 6 回の講義で扱った次元公式からわかります.基底を求めるために 中間試験前に扱った方法は,Ker φ の基底を R[x]4 全体に延長し,それを φ で送ることによって 構成する方法でした.第 5 回レポート 2 (4) や第 7 回の講義で行った解説を復習してください. なお,この問題は,(1, x, x2 , x3 , x4 ) と (1, x, x2 , x3 ) という基底に関する線形写像 φ の表現行列 を考えることによっても解答できます. (3) R[x]3 の基底 (1, x, x2 , x3 ) に関する座標を考えることにより,数ベクトル空間 R4 の 2 つの部分 空間の共通部分を求めることに帰着できます. 座標を用いて数ベクトル空間の部分空間と対応させる方法は第 5 回の講義の内容や第 4 回レ ポート問題 2 などを復習してください. 数ベクトル空間における共通部分の基底の求め方については第 4 回の講義の内容や第 3 回レ ポート問題 3 などを復習してください. 3 (1) 実数の無限数列全体のなすベクトル空間の中で,数列の一次独立性を判定するにはどのよう にすればよかったか,第 3 回の講義の内容や第 2 回レポート問題 1 (3) などを復習してください. なお,非自明な一次関係式がある場合には,p{xn } + q{yn } + r{zn } = 0 という形で答えてく ださい. (2)(3) この 2 問は少し難しい問題です. W が部分空間であることを示すには,2 つの等差数列の和や等差数列の定数倍が,再び等差数 列になることを示さなければなりません.また基底や次元を考えるためにも,等差数列は何を決 めればただ一つに決まるかという点,いわば等差数列の持っている自由度が何かを考える必要が あります. 4 (1) 列ベクトルで生成される部分空間の次元や基底に求め方は第 4 回の講義内容や第 3 回レポー ト問題を復習してください. (2) (i)(ii) f = fA となる行列 A を決定することにより,¥Kerf や Im f の基底や次元を求める 問題は,行列 A の零空間や像空間=列空間の次元や基底を求める問題に読み替えられるのでし た.第 6 回の講義内容や第 5 回レポート問題 1 を復習してください. (3)(4) 数ベクトル空間における和空間や共通部分の次元や基底の求め方は第 4 回の講義内容と 第 3 回レポート問題を復習してください. (5) この問は少し難しい問題です. まず f の定義域を W に制限することで得られる線形写像の核はどういうものになるか,特に Ker f と W を用いてどう表せるか考えます.次に次元公式を使って像の次元を決定します.最後 に,W の基底の行先を考えて像の基底を求めます.
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