線形代数 II 中間試験 (2015 年 11 月 27 日) 担当:新國裕昭 約束 • 学生証 を持参してください。 当日チェックをします。 • 受講人数の都合により, 151 教室 にて試験を行います。通常の授業の教室とは異なりますので注意をして ください。 • 答えのみの解答は不可とします。計算の過程を必ず書いて,問題集の解答を作るつもりで答案を作成し ましょう。 • 携帯電話やスマートフォン,タブレットなどの通信機器は電源を切ってカバンにしまって下さい。(時計 代わりに使用したり,外部との通信をしたりすることは禁止します。) • 机の上には筆記用具,学生証,時計以外のものは置かないで下さい。(関数電卓・ノート・教科書などは 持ち込み不可です。) • 開始の合図があるまで,学籍番号と氏名以外のものを書き込んではいけません。 • 不正行為を行った場合,他の授業科目も含めて今学期中のすべての科目の単位が出なくなります。 • 問題に不備があると感じた場合は,それを指摘することを問題とし,正しく指摘ができていることによっ て正解, 正しく指摘していなければ不正解とする。 • 解答は採点終了後,ホームページに掲載するので復習すること。 • 試験当日は事前に配布した座席表の通りに着席して受験すること。 ◆◆◆試験内容◆◆◆ 試験範囲は, 基本問題集の 19 まで(線形写像の核・像まで)の内容です(注 1) . 1 線形代数 II で学ぶいろいろな用語の定義を問います. 例えば,ベクトル空間,部分空間,一次結合,一次 独立,一次従属,基底,次元,ベクトルの生成する空間,和空間,積空間,写像,線形写像,核,像とは何で すか? 例えば, 2014 年度の中間テストの 1 に答えられるようにしておくこと. 2 部分空間かどうか確かめる問題を出します. レポート No. 1 にあるような問題を出題しますので, 部分空 間の定義を理解して, 使えるようにしておくこと. 3 ベクトルの 1 次独立・1 次従属性を確かめる問題を出題します (基本問題集 2 ・レポート No.2 参照). また, ベクトルが生成する空間の基底・次元が答えられるようにしておくこと(基本問題集 7 ). 前期の内容ですが, 「1 次結合」という言葉の意味も教科書など確認しておくこと. 4 ここでは成績評価 S を狙う人向けの問題を出題することにします. テーマは線形写像 f の像 Im f の基底・ 次元に関する問題です. 基本問題集の 18 , 19 を解けるようにしておくことが大前提となりますが,少し対応 力を見るために Rn タイプのベクトル空間以外のものが紛れ込む形になります. 1 回目の講義で登場した Rn [x] というベクトル空間を絡めた問題を出題します. 市販の問題集を探せば似たような問題はあると思いますが,練 習の為に,下に 問題 A を準備しましたので考えてみてください. 5 和空間,積空間に関して勉強しておきましょう. 基本問題集の 9 , 2015 年中間テストの 5 とだいたい同 じです. (注 1) 過去問(2013 年度)にあるグラム・シュミットの直交化法は期末試験の範囲とします. 問題 A(訂正版) U = R3 , V = R3 [x] = {a0 x3 + a1 x2 + a2 x + a3 | a0 , a1 , a2 , a3 ∈ R} とし, 写像 f : U → V を a1 f ( a2 ) = (a1 + a2 )x3 + (a2 + a3 )x2 + (a1 + 2a2 + a3 )x + (−a1 + a3 ) a3 a1 によって定義する ( 但し, a2 ∈ R3 ) を考える. このとき, 以下の問いに答えよ. a3 (1) 1, x, x2 , x3 は V の基底であることを示しなさい. (2) V のベクトル x3 + x − 1, x3 + x2 + 2x は一次独立であることを示しなさい(【訂正】). (3) f は線形写像であることを示しなさい. (4) Ker f のひと組の基底と次元を求めよ. (5) Im f のひと組の基底と次元を求めよ . 1 答え (4) の答えは, { −1 } が Ker f の基底になって, dim Ker f = 1. 1 (5) の答えは, {x3 + x − 1, x3 + x2 + 2x} が Im f の基底になって, dim Im f = 2 となる (【訂正】). 問題 A の答えの補足 (2) は一次独立の定義に従って, c1 (x3 + x − 1) + c2 (x3 + x2 + 2x) = 0 (c1 , c2 ∈ R ) とおけば, c1 = c2 = 0 が導かれ るでしょう. (4) は (a1 + a2 )x3 + (a2 + a3 )x2 + (a1 + 2a2 + a3 )x + (−a1 + a3 ) = 0, すなわち(係数を比較して)a1 + a2 = 0, a1 a2 + a3 = 0, a1 + 2a2 + a3 = 0, −a1 + a3 = 0 を解けば a2 がどのような形をしているかがわかるでしょう. a3 (5) は, Im f = {(a1 + a2 )x3 + (a2 + a3 )x2 + (a1 + 2a2 + a3 )x + (−a1 + a3 )| a1 , a2 , a3 ∈ R} = {a1 (x3 + x − 1) + a2 (x3 + x2 + 2x) + a3 (x2 + x + 1)| a1 , a2 , a3 ∈ R} = < x3 + x − 1, x3 + x2 + 2x, x2 + x + 1 > である,というところまで Im f の定義から導けます. あとは, x2 + x +1 が x3 + x2 +2x から x3 + x−1 を引けば作れ ることに気付ければ, Im f =< x3 + x − 1, x3 + x2 + 2x > であることがわかり, (2) の結果から, {x3 + x − 1, x3 + x2 + 2x} が基底であることが分かる,というストーリーになります. 線形代数 II 中間テスト(2015 年 11 月 27 日 金曜日) ※ 答案はすべて答案用紙(本紙)内に記入すること(計算用紙は提出せずに持ち帰ること). ※ スペースが足りない場合は,続きがどこに書いてあるか明記した上で,余白部分に続きを書いてよい. 学籍番号 氏名 点数 1 U, V を K 上のベクトル空間とする. この時,以下の問いに答えなさい. (1) V の部分集合 W が V の部分空間である事の定義を述べよ. (2) V のベクトル a1 , a2 , . . . , an が 1 次独立である事の定義を述べよ. (3) f が U から V への写像である事の定義を述べよ. (4) 写像 f : U → V が 線形写像である事の定義を述べよ. 2 x 3 3 y ∈ R R の部分集合 W = z cos x + sin y + sin 2z = 0 は R3 の部分空間かどうか調べなさい. 1 0 2 3 2 1 3 6 4 , a = , a = とそれらの生成する空間 3 R 内の 4 つのベクトル a1 = , a2 = 1 −1 3 −1 4 −5 1 −3 −3 −13 W =< a1 , a2 , a3 , a4 > について以下の問いに答えなさい. (1) a1 , a2 , a3 , a4 は一次独立であるか一次従属であるか調べなさい. (2) W のひと組の基底を求め , dim W の値を答えなさい. 8 12 を (2) で求めた基底をなすベクトルの 1 次結合として表しなさい. (3) ベクトル b = 0 −4 線形代数 II 中間テスト(2015 年 11 月 27 日 金曜日) 学籍番号 4 U = R3 [x] = {a0 x3 + a1 x2 + a2 x + a3 | 線形写像 f : U → V を 氏名 a0 , a1 , a2 , a3 ∈ R}, V = R3 という R 上のベクトル空間を考えて(注 2) , a0 + a1 − a2 + a3 3 2 f (a0 x + a1 x + a2 x + a3 ) = 2a0 + a1 + 2a2 + a3 a0 + 3a2 によって定めることにする. このとき, Im f のひと組の基底と dim Im f を答えなさい (成績評価 S を狙う人, 時 間に余裕がある人は Ker f のひと組の基底と dim Ker f も求めよ. 正解していれば 100 点を超えて加点します.). (注 2) U はすなわち, 3 次以下の実係数多項式全体の集合で, 1 回目の講義で R 上のベクトル空間であることは確認済みである. 5 R3 の部分空間 x1 3 x2 ∈ R x1 − x2 + x3 = 0 W1 = x 3 を考える(注 3) . この時, 以下の問いに答えなさい. (1) W1 のひと組の基底と次元を求めよ. (3) W1 ∩ W2 のひと組の基底と次元を求めよ. (注 3) , 1 0 W2 =< 0 , 0 > 1 1 (2) W1 + W2 のひと組の基底と次元を求めよ. W1 , W2 が R3 の部分空間である事は証明せずに用いてよい.
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