第3章 1 学習指導 指導と評価の一体化の効果的な取組 指導と評価の一体化は、評価の役割や機能に関する3つの分類、診断的評価、形成的評価、総括 的評価の区分のうち、主に形成的評価で行われます。学習指導の途中で児童生徒の達成度を確認し たり、つまずいている点を発見したりして、指導方法の工夫改善に生かすためのものです。(本書p. 14参照)ここでは、本年度行われた教育課程研究集会や計画訪問等で確認した、指導と評価の一体 化についての効果的な事例を紹介します。 (1) 評価規準の児童生徒との共有化 指導と評価の一体化が機能する条件の一つに、評価 規準を教師だけでなく、児童生徒も意識して授業に臨 むことがあげられます。本地区では授業中にねらいを 掲示するなど、児童生徒が評価規準を意識できる取組 がなされています。 A中学校の社会科では「学びカード」を作成し、単 元を通してどのような内容や評価規準で学習が進んで いくかを生徒に示しています。各 授業の評価規準が 明確になっており、また、次の学習学習内容がわか るので、積極的に授業に取り組む生徒が増えていま す。 (2) 自己評価 本時のねらいが、児童生徒の中でどの程度達成されたかを振り返らせることも、指導と評価の 一体化を進める上では大切です。 B小学校では2年生以上で、授業の最後に自己評価を行っています。自己評価を行うに当たっ ては、授業を振り返って「わかったこと」「わからないこと」「もっと知りたいこと」を、文章 で表現するようにしています。この取組を始めて3年目になりますが、自己評価を行うことで、 児童はわかったことを実感すると 同時に、達成感も味わうことがで きています。また、教師は児童が どこでつまずいているかを把握す ることができるため、次の手立て に生かすことができます。 (3) ICTを用いたフィードバック 指導と評価の一体化を効果的に行うためには、評価した情報をどのように児童生徒へ伝達(フ ィードバック)するかが鍵となります。最近、このフィードバックにICTを活用する授業が見 られるようになっています。 C小学校5年生体育の走り幅跳びの授業では、 児童が跳んだ時の様子をビデオで撮影し、それを パソコン処理して約10秒後にテレビに映し出すこ とでフィードバックを行っています。時間差があ ることで、児童が自分の跳んでいる様子を映像で 確認することができると同時に、教師も優れてい る点や不十分な点を映像で具体的に指導できるの で、有効なフィードバックとなっています。この ように、ICTを活用すれば、フィードバックの 質を向上させることが可能となります。 - 74 - 学 校 経 営 習 指 導 道 徳 教 育 特 別 活 動 総 合 学 習 生 徒 指 導 キ ャ リ ア 人 権 教 育 健 康 安 全 特 別 支 援へ き 複 式 生 涯 学 習 生 涯 ス ポ 講 演 記 録 H25那 須 地 区 教 育 の 概 要 H25那 須 地 区 教 育 の 概 要 言語活動の充実を基盤とした思考力・判断力・表現力等の育成 言語を通した学習活動を充実することで、思考力・判断力・表現力等の育成が効果的に図られるこ とから、いずれの教科等においても、記録、要約、説明、論述などの言語活動を発達の段階に応じて 取組について紹介します。 (1) 話合い活動の工夫 学習指導 言語活動の充実を図るために、話合い活動を授業の中核 に据えている学校が多くあります。話合いの形態は学習活 道徳教育 動により様々ですが、個人で考えてからグループの話合い に入ったり、グループの話合いの後に個人の考えを振り返 る時間を設けたりと、個人の考えを生かした話合い活動を 特別活動 行っている学校があります。しかし、グループで話し合う 前から各自の考えを長文でまとめると、その後の話合いが 作成した文章の単なる「伝え合い」になる場合があります。 間を設け、そこで、自分の考えを短文にまとめて付箋に書 く活動を取り入れています。その後の話合いでは、付箋を基に意見を交換しながら、それらを類 えることができる児童が増えています。 生涯学習 生 涯ス ポ - 75 - 中央教育審議会答申 帰国外国 平成20年1月 へ き複 式 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について 図書文化 特別支援 平成24年10月・平成25年4月 健康安全 指導と評価 人権教育 参考資料 キャ リ ア (2) ホワイトボードの活用と発表の場の工夫 E中学校では大小2種類のホワイトボード(以下「WB」 という)を用意して、問題解決型の授業で場面に応じた使 い分けをしています。小さいサイズ(A3版)のWBは主に 個人の意見をまとめたり、班の中で意見を交流したりする 際に使用し、大きいサイズ(B2版)のWBは主に班の考え を一つに練り上げ、他の班やクラス全体に説明する際に使 用しています。WBは班全員が同じものを見ながら話し合 うことができ、修正がしやすく、また、多様な表現が可能 なので、考えを練り上げる際に有効なツールとなっていま す。 また、班の考えを発表する際も、「特派員方式」と呼ば れる方法を用いています。「特派員方式」とは、まず各班 1名が大きなWBを持って隣の班に行き、自分の班の考え を説明します。説明された班は、その考えについてできる だけ多くの疑問点や矛盾点を指摘します。答えられるもの はその場で答えますが、答えられないものについては自分 の班にもち帰り、もう一度考えを練り直します。考えが再 度まとまったら、別な一人が最初とは違う班に行き、同じように説明をします。この活動を班の 人数分繰り返す発表方法を、「特派員方式」と呼んでいます。これにより、生徒全員が説明した り、質問したりする機会が多くなるので、生徒自身も丁寧に説明し、正しく聞き取ろうとする姿 勢で授業に臨んでいます。 このように、WBの活用と「特派員方式」の組合せにより、友達と練り上げた考えを、表情豊 かに、自信をもって表現できる生徒が増えています。 生徒指導 型化したり、関係付けたりして考えを深めています。このような活動により、課題を多面的に捉 総合学習 D小学校では、グループで話し合う前に個人で考える時 ※ 教育課程 行うことが重要であるといわれています。そこで、本地区で行われている、言語活動の充実に向けた 学校経営 2
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