研究題名 分野:化学・創薬 DHMEQ類縁体の合成とその活性調査 安井 英子 工学部 応用化学科 准教授 キーワード: DHMEQ、NF-kB 概要 近年、がん化学療法の標的分子として注目されているものの1つに転写因子NF-kBがある。 がん細胞内でのNF-kBの活性化が、がん細胞のアポトーシスの抑制並びに抗がん剤に対す る抵抗性発現の原因になるといわれ、NF-kB活性化抑制剤は、新たなタイプの優れた抗がん 剤になると考えられる。天然物エポキシキノマイシンをリード化合物として梅澤らによって設計・ 合成された化合物DHMEQは、NF-kBの活性化抑制剤としての優れた作用を有している (Chart 1)。しかし、DHMEQは体内に普遍的に存在する様々な求核剤との反応性が高すぎる こと、溶媒に対する溶解性が悪いことが問題となっている。そこで、DHMEQの類縁体を合成し NF-kB阻害活性を保ったまま問題点を解決できるかを検討した。 p 関連論文 市販の2,5-ジメトキシアニリンをサリチル酸クロリドと縮合した後にシクロプロパン化し、その後 2工程をへて目的とするシクロプロパン体1を得た(Chart 2)。 COX-2の発現を指標として1のNF-kB阻害活性を調べたが、1にはNF-kB阻害活性が認められな かった。化合物の溶解性はわずかに改善した。 アピール ポイント DHMEQのエポキシド部位はNF-kB阻害活性発現に重要であると言われている。このエポキ シド部位をシクロプロパン環に変化させることでNF-kB阻害活性が失われるという結果は、従 来の主張を支持する新たな知見である。 利用・用途 応用分野 DHMEQのシクロプロパン体は新規化合物であり、ランダムスクリーニングによって新たな活 性を発見できる可能性がある。 関連情報 ●関連論文 = Synthesis and evaluation of a cyclopropane derivative of DHMEQ. Yasui, E.; Takayama, K.; Nakago, T.; Takeda, N.; Imamura, Y.; Nagumo, S. Chem. Pharm. Bull. 2014, 62, 304-307. 工学院大学 総合研究所 研究推進課 東京都八王子市中野町2665-1 〒192-0015 TEL:042-628-4940 FAX:042-626-6726 E-Mail:[email protected] URL:http//www.kogakuin.ac.jp
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