NEWS RELEASE 2015年3月4日 電力・ガスの事業法改正案-格付は動かさぬが、中長期的影響を注視 政府は 3 日、電力システム改革の第 3 段階にあたる電気事業法改正案や小売全面自由化などを盛り込 んだガス事業法改正案を閣議で決定した。政府はエネルギーシステム改革を一体的に進め、電力・ガス の相互参入促進による需要家選択肢の拡大などを狙っている。開催中の通常国会での成立を目指す。 今回の電気事業法改正案は、送配電部門の法的分離などを定めている。第 2 段階で小売りを全面自由 化するのを受け、競争環境整備に向け同部門の一層の中立化を図るのが狙いだ。信用力評価上、焦点だ ったグループの一体性の評価や競争環境への影響などについては、送配電部門に対する行為規制の内容 が鍵を握るが、資金調達面への配慮など、政府の小委員会での議論を反映した内容になっている。 電力システム改革に伴う事業リスクの増大は、2013 年 11 月に電力各社の格付に一定程度、反映済み。 その後の推移は想定の範囲内で、法案が通っても格付を動かす必要はないと判断している。 ガス事業法改正案には、小売全面自由化、LNG(液化天然ガス)基地の第三者利用やガス導管網の整備 の促進、ガス導管部門の中立化などの競争活性化策が盛り込まれた。1 月にまとまった小委員会の報告 書では具体策が未定の部分が多かったので、詳細設計がどうなるか注視していく必要がある。 大手 3 社を対象とした導管部門の法的分離が盛り込まれるなど、改革各段階での検証規定も含め電力 システム改革の内容をおおむね踏襲している。都市ガス業界も改革の荒波に直面することになったが、 導管部門の法的分離の実施時期は 2022 年 4 月と、電力以上に実現までに時間をかける。財務基盤が比較 的強固なこともあり、成立してもネガティブな格付アクションを取ることは考えていない。 都市ガス事業の場合、新規参入には LNG の調達力が必要だ。事業者の規模の格差が大きいほか、地域 によって競合状態は異なる。また、導管網が未整備の地域が多く競争の活性化には制約がある。制度改 革の中長期的な影響は読みにくく各社一様でない公算が大きい。 R&I は両事業とも改革法案成立後の動向をじっくり見守っていく方針で、信用力に想定を上回るイン パクトが予想されるなど、影響がある程度はっきりしてきた段階で格付に織り込んでいく。 主任格付アナリスト:西村 聡彦 ■お問合せ先 ■報道関係のお問合せ先 株式 会社 : インベスターズ・サービス本部 : 経営企画室(広報担当) TEL. 03-3276-3511 TEL. 03-3276-3438 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 E-mail. [email protected] 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありません。また、R&Iは、信 用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に際し関連情報の正確性等につき独自の 検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発 行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ©Rating and Investment Information, Inc.
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