練習問題その9(解答)

練習問題その9 (解答)
問題 1. (i) 帰納法を用いて、λk が F k の固有値であることを示す。k = 1 のときは自明なの
で、k = r − 1 のときを正しいと仮定し、k = r のときを示せばよい。さて、u を λ に属する
固有ベクトルとすると、
F r (u) = F r−1 (λu) = λF r−1 (u) = λ(λr−1 u) = λr u
ため、命題が成り立つ。
(ii) λ を F の固有値とすると、(i) より、λk が F k の固有値であることが分かる。F k = 0 た
め、λk = 0 を得るため、λ = 0 が成り立つ。
(iii) λ 6= 0 のとき、(ii) より、λ は F の固有値ではないので、ker(F − λ id) はゼロ空間である
ことが分かる。すなわち、F − λ id は単射である。このとき、
rank(F − λ id) = dim(V ) − null(F − λ id) = dim(V )
ため、F − λ id も全射であることが分かる。


−1 − t
0
−2




問題 2. (i) χF (t) = det  3
2−t
2  = (2 − t)(1 − t)2


1
−1 3 − t
(ii) 定理 7 より、F の固有値は λ = 1 と λ = 2 である。
(iii) 計算すると、

  




−1



  
 
ker(F − idR3 ) = c  1 | c ∈ R ⊂ R3


 






1
  





−2


  

 
ker(F − 2 idR3 ) = c  1 | c ∈ R


 






3
を得る。特に、R3 が F の固有ベクトルからなる基底を持たない。
1
問題 3. Fa の固有多項式は、


1−t
1
a




χFa (t) = det  0
2−t
a  = (1 − t)(2 − t)(a − t)


0
0
a−t
である。a 6= 1 かつ a 6= 2 のとき、λ = 1、λ = 2 と λ = a は三つの互いに異なる固有値なの
で、系 10 より、R3 が Fa の固有ベクトルからなる基底を持つ。計算すると、


a




u1 = e1 ,
u2 = e1 + e2 ,
ua =  a 


a−2
は、それぞれ λ = 1, λ = 2, λ = a に属する固有ベクトルであることを得る。
a = 1 のとき、λ = 1 と λ = 2 が全ての固有値である。計算すると、e1 , e2 − e3 は λ = 1 に属
する固有ベクトル、e1 + e2 は λ = 2 に属する固有ベクトルであることを得る。特に、R3 が
F1 の固有ベクトルからなる基底を持つ。
a = 2 のとき、λ = 1 と λ = 2 が全ての固有値である。計算すると、e1 は λ = 1 に属する固
有ベクトル、e1 + e2 は λ = 2 に属する固有ベクトルである。さらに、F2 の λ = 2 に属する
の固有空間は1次元である。よって、R3 が F2 の固有ベクトルからなる基底を持たない。
2