! 1 べる力を引き出す 集 食 特 の食事ケア 認知症高齢者 京都まちづくり口元気塾 塾長 歯科衛生士/口腔介護アドバイザー 本稿では,「認知症の人の口腔ケア」 フリーランス歯 科 衛生士,口腔 介 護 アドバイザーとして「口から食べるこ と」への相談支援を行い,広島大学歯学部(歯学科およ び口腔健康科学科口腔保健学専攻) ,大阪保健医療大学 言語聴覚専攻科,京都歯科医療技術専門学校衛生士科の 非常勤講師や医療福祉専門職 対象の研 修会講師を務め るなど幅広く活躍している。介護支援専門員,ホームヘル パー2級,保育士。塾長を務める「京都まちづくり口元気 塾」の合言葉は“よく噛みよく食べよく笑い,楽しい仲間 と健口人生 口ケアからの食支援,地域に根ざして楽しい 町づくり”。 が目的ではなく, 「認知症の人の生活を 介助すればよいか」など,一連の動作過 支援するための食べられる口つくりの口 程を観察し,見たままを言語化する「質 腔ケア」を目的とし,味わい咀嚼を楽し 的評価」が重要となります。 喫食につなげる 認知症高齢者の口腔ケア 「食べられる口つくり」が目的 む口つくり,義歯を使いこなすために, 義歯が使用困難になった人へ,食べ方を 評価は生活の場を大切に 忘れた人への食直前の機能的な口腔ケア 意思疎通が困難な認知症の人の場合, など,生活支援の一部として,アルツハ 臨床的な摂食嚥下評価やリハビリテー イマー型認知症を中心に臨床の立場から ションが困難なことが多いです。例えば, お伝えします。 医療の場で「水飲みテスト」を行い,注 認知症の進行に伴う 「口腔ケアや義歯のしづらさ」 射器による口への注入により「むせあり」 身体機能が保持されている認知症の人 むせの問題が見られないことがあります。 は自立とみなされることが多く,認知症の このように,評価場面の違いにより能力 進行に伴う「口腔ケアや義歯のしづらさ」 の発揮に差が見られるため,医療の場で に気付かれず,また,本人から「痛み」 は生活情報を収集し,「日常的な対応の や「しづらさ」を訴えることがないので 取り入れ」を心掛け,質的評価をより丁 口腔環境の重症化や喫食に影響が出ます。 寧に行う必要があります。 より重要な質的評価 量的評価は,医療的な検査や睡眠・排 22 金子みどり と評価されたとしても,生活の場に戻り, 自分の湯飲みで好きなお茶を飲む時には 「喫食につなげる口腔ケア」 を業務に取り入れる 泄・入浴・摂取量・水分量など,数字で 「喫食につなげる口腔ケア」を業務に 測れる基礎的な情報です。認知症の人へ 取り入れるには, 「組織・チーム・個人」 は,さらに, 「どこが抜け落ちていて実 を「誰が・どう動かし・評価するか」が 行できないか」 「どこをどのように誘導・ 鍵となります。何が課題か,どうしたい 臨床老年看護 vol.22 no.2 ➡続きは本誌をご覧ください
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