回復期リハビリテーション病棟通信 2 第 回 1)口から食べることの重要性について 一般的に回復期リハビリテーション病棟の主たる対象疾患である 脳卒中患者の中で、7割の方が有すると言われている「摂食・嚥下障 害(特に重症患者に多発) 」 は、患者さまの日常生活動作獲得の起点と なる「 (経管栄養等からの)食事再開」を阻害するだけでなく、不用意 な対応によるムセ込みが原因で「誤嚥性肺炎」を引き起こし、早期の 生活機能の回復を妨げるリスクとなると言われています。 当院回復期リハビリテーション病棟では、このような課題・リスク に真正面から取り組み、入院した摂食・嚥下障害のある患者さまに対 し、できる限り早期に安全な経口摂取を可能にするべく、 「摂食・嚥下 チーム (医師・看護師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・管理栄養 摂食・嚥下チーム カンファレンス 士・薬剤師・歯科衛生士が参加)」 を発足し、 「摂食・嚥下回診」 を実施し ています。 2)当院回復期リハビリテーション病棟における 重症患者さまに対する入院早期からの食事再開に向けた3つの取り組み ① 全入院患者さまへの 入院時嚥下スクリーニング検査の徹底 当院回復期リハビリテーション病棟では、摂食・嚥下障害を有し て入院した全ての患者さまに対して、重症度に関わらず、 (誤嚥等の リスクに配慮しながら)入院当日に嚥下スクリーニング検査を実施 しています。 具体的には、反復唾液嚥下、改訂版水飲みテストなどを実施して います。 嚥下スクリーニング検査(水飲みテスト) ②「摂食・嚥下チーム」による回診 当院回復期リハビリテーション病棟で発足した「摂食・嚥下チーム」 による回診では、 「出来る限り早期の経口摂取を可能とし、さらに栄養 状態を含む身体機能・精神機能の改善を通して、日常生活の質の向上 を図ること」を目的に、 「入院時に摂食・嚥下障害を有し、経口摂取が困 難な患者さま(又は入院中にチームの介入により改善が見込める患者 さま)」に対して、回診を実施しています。 回診の中では、担当職員が気づきにくい課題等に関しての助言・指 導などを実施し、日々のリハビリ・ケアを支援しています。 鶴巻温泉病院 地域連携室 0463-78-1319 入院相談専用ダイヤル(9時から17時まで) 0120-131146 摂食・嚥下チーム回診 もっともっと多くの患者さまに鶴巻温泉病院回復期リハビリ テーション病棟の取り組みを知ってもらって、見てもらって、 体 験 し て も ら っ て、そ の 人 ら し い よ り 良 い 退 院 後 生 活 (Enjoyment Of Life)を送って頂きたいです !! 鶴巻温泉病院 回復期リハビリテーション病棟 ③(朝・昼・夕食)3食経口移行に向けたチームアプローチの実践 ⅰ. 患者さま一人一人に合わせたアプローチ 「摂食・嚥下チーム」による回診中や回診実施後には、患者さまの安全且 つ効果的な経口摂取の環境を整えるために、車椅子・クッションの調整、 自助具・食器・食形態の選定を全てオーダーメイドで行っています。 3食経口移行に向けたチームアプローチ ⅱ. 早出・遅出リハビリテーション体制によるアプローチ 入院患者さまの病棟生活における早期経口摂取をスムーズに行う ために、言語聴覚士を中心としたリハビリ職員が実際の朝食・夕食場 面に直接介入しています。 チームの合言葉は、 「出来る限り早期に患者さまの【できるADL】 を【しているADL】へ」 です。 言語聴覚士による早出リハでのアプローチ 3)入院早期の重度摂食・嚥下障害患者さまへの介入効果 (シングルケーススタディ) 実際に「摂食・嚥下チーム」回診を実施し、その後のチームアプローチにより、 「3食経口開始」以降、加速的に日常 生活動作(ADL)の改善を認めた症例をご紹介致します。 63点 48点 21点 18点 FIM点数 FIM:機能的自立度評価表(Functional Independence Measure) の略で、 患者 さまの日常生活動作をみる検査の中 で、 現在最も信頼性の高い検査法。合計 18点∼126点 (合計点が高いほど、 実生 活での日常生活動作の自立度が高いこ とを意味する) 。 入院時 3食経口開始 開始1ヶ月 2ヶ月 「神奈川脳卒中カンファレンス2014(in藤沢湘南台病院) 」 発表データより抜粋 医療法人社団 三喜会 鶴巻温泉病院
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