こんにゃ く の生子(吸枝)発生部位について

こんにゃくの生子(吸枝)発生部位について
1 試験のねらい
生子(吸枝)の発生生態及び発生部位を明らかにし,生子の増収を図る栽培法確立の参考資料
とする。
2 試験方法
本場畑圃場において二年生を用いて行った。植付時期は5月14目である。施肥量はアール当
たり窒素1.5kg,リソ酸1.25kg,カリ1.5kgで植付時に1/3,培土時に2/3施用した。調査は
7月3日から10月12日まで10目おきに堀り取り,地上部,地下部の各形質について行った。
なお,その他の管理については慣行に準じた。
3 試験結果及ぴ考察
地上部の各形質は7月25日まで増加したが,その後の変化はほとんど認められなかった。た
だ地上部重は8月22日以降漸減した。地下部は新球茎が7月3日には既に肥大を始めており,
その後,徐々に増加した。9月4日以降の増加は確認できなかったが・作況調査等から推定
するとそれ以降も増加を続けるものと考えられる。吸枝も7月3日には発生しており,地上部の
生育が一定になった10日後の8月3日には吸枝数の増加が止まった。その後,先端の肥大が始
まり,1ヶ月後の9月4日には大部分の吸枝の先端が肥大した。また同時に吸枝の伸長と吸枝重
の増加が停止した(図一1)。
このことから,こんにゃくの地上部形質は7月下旬に増加を停止し,吸枝数は8月上旬に決定
し,9月上旬には先端肥大吸枝数が決定し,吸枝の伸長及び吸枝重の増加が停止すると考えられ
る。
吸枝は2/5の葉序で分布する奄及び葉柄痕1に対して1の割合の吸枝群から発生してい走。
吸枝群は1株平均10.5群認められ,1株当たりの吸枝発生数は15.7本であった。また,上部か
ら第6番目の吸枝群からの発生数が最も多く3−5本であった。最長吸枝のある位置は,吸枝の発
生数の多い吸枝群の位置と一致する傾向が認められた(図一2)。
このことから,新球茎の中央部は吸枝の発生及び伸長について,最も活性の高い部位であると
推定される。
4 成果の要約
地上部形質の増加は7月下旬に停止し,吸枝数は8月上旬に決定し,9月上旬には先端肥大吸
枝数が決定する。このころ,吸枝の伸長及び吸枝重の増加が停止すると考えられる。
吸枝は葉柄痕1に対して1の割合に分布する吸枝群から発生しており,中央部の吸枝群から発
生している吸枝は数も多く,伸長も盛んであった。
(担当者 作物部倉井耕一,米内貞夫)
一35一
㎝
(地上部)
50
㌣; }
40
30
⑤\◎、
、◎
lll.
H葉身’長(㎝)
20
一二、 \ム
400g
一300
一200
◎_一〇葉柄長(㎝)
100
H葉柄直径(ππ)
10
◎一◎地上部重(2)
(地下部)
9
H古球茎重(9)
!◎
O一一◎新球茎重(9)
300
本
ト“根 数(本)
200
200
▲
100
100一
本
㎜
15
←●吸枝数(本)
2 H肥大吸枝数(本)
一一{
H最大吸枝長(〃π
20g
1
㈱吸枝1個匿
(9)
10
’ ・、◎一一一◎
1
王0
開葉期
十一十生子1個重住)
(7.8)
⑨
■麟揃
43
十一十一
十!成熟期
N
7.12 725 8・3 8.13 822 9.4 9.13 922 103 10.12
図一1 各形質の10日毎の推移
注 10月3日は立っているものについてのみ調査をした。
上部
1
図一2
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12下部
群番号
各吸枝群における最長吸枝の分布と工株当たりの吸枝数の分布
一36一