世界の投資環境(2016年1月)

ご参考資料
ピクテ・グローバル・マーケット・ウォッチ 2016年1月15日
グローバル
Pictet Global Market Watch
世界の投資環境(2016年1月)
2016年の世界の金融市場は波乱の幕開けとなりました。2015年は商品市況の悪化や新興国経済の減速懸念など
が重荷になりました。2016年もこれらの要因が引き続き市場に大きな影響を与えると見込まれ、米国をはじめとした
先進国は景気回復基調にあるものの、不透明感が強い投資環境が続くと思われます。
国際通貨基金(IMF)による
主要国の経済予想
図表1: 主要国・地域の2015年の経済成長率予想
前年比
国際通貨基金(IMF)は2015年の世界経済成長率予
想(10月時点)を+3.1%成長と前回の7月予想から下
方修正しました(図表1参照)。原油をはじめとした商品
市況の悪化により、新興国経済が軟調に推移している
ことが主な背景です。ブラジルやロシアなど、資源輸出
国の成長率予想が下方修正されました。
一方、米国経済の成長率予想はエネルギー価格の下
落による個人消費の回復や堅調な住宅市場などを背
景に上方修正されました。商品市況の下落が米国と新
興国の明暗を分ける結果となりました。
8%
6.8% 6.8%
2015年7月予想
2015年10月予想
6%
4%
4.2%4.0%
3.3%
3.1%
2.5% 2.6%
2.1% 2.0%
1.5% 1.5%
0.8%0.6%
2%
0%
-2%
-1.5%
-3.0%
-4%
世界
IMFは2016年の世界経済の成長率予想も+3.8%から
+3.6%へ下方修正しました。しかし、2015年10月時点
では2016年の世界経済は2015年よりも高い成長を見
込んでおり、新興国経済の成長率も2015年を上回ると
予想しています(図表2参照)。注目すべきは中国経済
の成長率予想で、2016年の中国経済の成長率は
+6.3%と予想されています。中国経済の悲観論が台頭
する中、中国の経済成長は減速することが予想されて
いるものの、依然として新興国経済全体より高い成長
率が見込まれています。
先進国
ユーロ圏
日本
新興国
中国
ブラジル
図表2:主要国・地域の2016年の経済成長率予想
前年比
8%
2015年7月予想
6.3% 6.3%
2015年10月予想
6%
4.7% 4.5%
4% 3.8% 3.6%
2.4%
米国をはじめとした先進国も、2016年の経済成長率は
2015年を若干上回ると予想されており、世界経済は緩
やかな拡大が続くと見込まれています。ただし、足元で
は中国経済への懸念と商品市況の悪化により、金融
市場が不安定になりやすいため注視が必要です。
米国
3.0% 2.8%
2.2%
1.7% 1.6%
1.2% 1.0%
2%
0.7%
0%
-1.0%
-2%
-4%
世界
<次ページに続きます>
先進国
米国
ユーロ圏
日本
新興国
中国
ブラジル
出所:国際通貨基金(IMF)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
せん。
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
1
8
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グローバル
米国:利上げ開始決定。
利上げペースが次の焦点に
図表3:米国政策金利の推移と利上げのペース
2015年12月に連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ
を決定し、今後の利上げのペースに注目が集まってい
ます。過去の利上げを見てみると、約1年で6~8回程
度のペースとなっています(図表3参照)。ただ、現在の
米国の経済成長率は過去の利上げ時と比較しても相
対的に低い水準で推移しており、同じペースで利上げ
できるかは不透明な状態です(図表4参照)。
また、利上げは長期金利の上昇要因となりますが、利
上げのペースが非常に緩やかなものになると、長期金
利への影響も限定的になる可能性もあります。実際、
2004年6月から2年間に渡って行われた利上げでは、
長期金利は緩やかな上昇にとどまりました(図表3青丸
部分参照)。
日次、期間:1990年1月2日~2015年12月31日
①
10%
7回
12ヵ月
9%
②
6回
11ヵ月
③
17回
24ヵ 月
8%
利上げ局面
米国政策金利
米国10年国債利回り
7%
6%
5%
4%
3%
2%
1%
0%
90年1月
95年1月
00年1月
05年1月
10年1月
15年1月
①1994年2月~1995年2月②1999年6月~2000年5月③2004年6月~2006年6月
米国:利上げペースを占う上で
注目のデータ
図表4:米国の実質GDP成長率の推移
四半期、期間:1990年1-3月期~2015年7-9月期
インフレ率は利上げペースを考える上で重要なデータ
の1つですが、米国のインフレ率は原油価格の下落に
よって非常に低い水準で推移しており、利上げを抑制
する要因となることが考えられます(図表5参照)。
また、現在の米国経済は内需が堅調に推移しているこ
ともあって回復基調にありますが、ドル高の影響により
輸出が落ち込みを見せており、二極化の様相を呈して
います(図表6参照)。
FRBは米国経済全体は回復基調として利上げに踏み
切りましたが、商品市況や新興国経済の悪化懸念もあ
り、ギリギリの判断であったことがうかがえます。その
ため、市場でも利上げのペースは非常に緩やかなもの
になるとの見方が優勢で、長期金利への影響も限定的
になる可能性があります。
<次ページに続きます>
10%
12四半期移動平均
6%
4%
2%
0%
-2%
-4%
-6%
-8%
-10%
90年3月
95年3月
00年3月
05年3月
10年3月
15年3月
図表5:米国のインフレ率(消費者物価指数)の推移
月次、期間:1990年1月~2015年11月
7%
米国消費者物価指数(前年同月比)
6%
図表6:米国の個人消費(内需)と輸出(外需)
米国実質GDP成長率(四半期、年率)
8%
12ヵ月移動平均
5%
月次、期間:2011年3月~2015年10月(個人消費は四半期ベース)4%
3%
4%
30%
米国実質GDP個人消費変化率(前年同月比、左軸)
米国輸出(前年同月比、右軸)
2%
1%
3%
20%
0%
-1%
2%
10%
1%
0%
0%
-10%
-1%
11年3月
-20%
12年3月
13年3月
14年3月
15年3月
-2%
-3%
90年1月
95年1月
00年1月
05年1月
10年1月
15年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
せん。
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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グローバル
米国:外部要因に不安はあるが
基本的に回復基調維持
図表7:米国の交易条件
月次、期間:1999年12月末~2015年12月末
米国経済はドル高や軟調な新興国経済など外部要因
に不安は残るものの、基本的に回復基調を維持してい
ます。利上げによるドル高が製造業を中心とした輸出
企業の業績を下押しする懸念もありますが、輸入物価
の下落による消費の下支えなどプラスの要因にもなり
ます。実際、米国の交易条件(輸出品と輸入品価格の
交換比率)は足元改善してきており、米国景気の下支
え要因になるとも考えられます(図表7参照)。また、エ
ネルギー価格の下落や良好な雇用環境は個人の購買
力の増加要因となり、消費を押し上げる効果を期待で
きます(図表8参照)。
米国:利上げペースが次の焦点に
前ページでも述べたように、米国経済は輸出の落ち込
みや商品市況と新興国経済の悪化という逆風も受けて
います。そのため、利上げペースも緩やかなものにな
ると見られていますが、市場の利上げ予想はFOMC参
加者の予想よりも更に緩やかなものになっており、この
ギャップに注意が必要と見られます(図表9参照)。
また、日銀と欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を継続
する一方で、利上げを開始した米国では将来的にマ
ネーの縮小が見込まれます(図表10参照)。
0
米国の交易条件
-5
-10
-15
-20
-25
-30
99年12月
02年12月
図表10:各中央銀行のマネタリーベースの推移と
今後の予想
月次、期間:2007年12月~2015年12月(実績)、
2016年1月~2016年12月(予想)
11年12月
14年12月
図表8:米国の小売売上げの伸び率内訳とガソリン
価格の推移
月次、前年同月比、期間:2009年1月~2015年11月
4.5
12%
前年同月比
米ドル/ガロン
8%
4.0
4%
3.5
0%
3.0
2.5
-4%
レストラン・飲食店(左軸)
ガソリンスタンド(左軸)
自動車ディーラー(左軸)
その他の小売店(左軸)
ガソリン価格(右軸)
-8%
2.0
時点:2015年6月、2015年9月
参考:2015年7月末時点の市場予想
2015年9月時点の予測
2015年6月時点の予測
2.9%
FRBは2014年11月以降の
量的緩和の停止を決定
2007年12月末=100として指数化
3.4%
3%
450
400
日銀は年間80兆
円の量的緩和を
継続
350
300
年1.3%の上昇
2%
1%
2.6%
1.6%
年1.2%の上昇
年1.0%の上昇
250
200
1.5
図表9:FOMC参加者による政策金利予測
4%
550
0.6%
150
1.4%
年1.0%の上昇
ECBは2017年3月まで月間600億
ユーロの量的緩和を決定
100
50
07年12月
08年12月
-12%
09年1月 10年1月 11年1月 12年1月 13年1月 14年1月 15年1月
<次ページに続きます>
500
05年12月
0%
0.4%
2015年
09年12月
11年12月
13年12月
2016年
2017年
2018年
15年12月
※FRBのマネタリーベース予想は、保有債券の満期償還分は全額再投資されると
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
想定。ECBのマネタリーベース予想は、2015年1月及び2015年12月の定例理事
会で決定した月間600億ユーロの資産購入を仮定。日銀のマネタリーベース予想は、
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
年間80兆円の資産買取を行う日銀目標に従い計算。 ※米国のマネタリーベース
変更される場合があります。)
予想は2015年12月~2016年12月 ※政策金利の予測値は、各参加者の予測の
中央値
出所:ブルームバーグ、日本銀行、各種報道、FOMC関連資料のデータを使用しピ
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
せん。
クテ投信投資顧問作成
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グローバル
ユーロ圏:経済は緩やかながら回復傾
向を維持する見込み
図表11:ユーロ圏製造業景況感と消費者信頼感の推移
月次、期間:2006年1月~2015年12月
ユーロ圏経済は堅調な内需などにけん引され、緩やか
な回復を維持する見込みです。ギリシャ債務危機以降、
落ち込みを見せていた消費者マインドと製造業景況感
は足元では改善傾向にあります(図表11参照)。
ユーロ圏の信用の伸び率を見てみると、2013年からは
回復傾向にあります。足元では金利の低下を受け、銀
行貸出が家計向けを中心に回復傾向を維持すると見
込んでいます(図表12参照)。また、ドイツなどの失業
率が歴史的な低水準となるなど雇用にも回復が見られ
ます。銀行貸出と雇用の回復は個人消費を下支えする
要因となり、内需拡大に貢献すると考えられます。一方、
中国など新興国向け輸出は軟調になることも懸念され、
製造業の今後の動向に注視が必要と見ています。
0
80
-5
70
-10
60
-15
50
-20
40
-25
30
20
-30
ユーロ圏消費者信頼感指数(左軸)
-35
10
ユーロ圏製造業PMI(右軸)
-40
06年1月
0
08年1月
10年1月
12年1月
14年1月
図表12:ユーロ圏のマネーサプライと信用の伸び率
ユーロ圏:ECBの金融緩和政策の
動向に注目
月次、期間:2005年1月~2015年11月
14%
マネーサプライ(M3)
信用の伸び
12%
利上げを開始した米国とは対照的に、欧州中央銀行
(ECB)は金融緩和を継続する方針です。ユーロ圏の
インフレ率を見てみると、ECBが目標とする「2%を上回
らない範囲でその近辺」を大きく下回る状態が続いて
います(図表13参照)。原油価格の下落などによってイ
ンフレ率に回復の兆しが見られないことから、更なる金
融緩和が期待されています。ただ、2015年12月に公
表された追加金融緩和策は市場の期待を下回ってお
り、過度な緩和期待には注意が必要と見ています。
ユーロ圏各国の長期金利は低下を続けており、すでに
非常に低い水準で推移しているからです(図表14参
照)。
なお、懸念されるギリシャですが、2015年に再発した
ギリシャ債務返済懸念は第3次金融支援の合意により
当面後退したと見られますが、2016年中頃に返済が
集中しており、注意は必要と見ています。
<次ページに続きます>
10%
8%
6%
4%
2%
0%
-2%
-4%
-6%
05年1月
09年1月
11年1月
13年1月
15年1月
図表13:ユーロ圏の消費者物価指数の推移
月次、前年同月比、期間:2010年12月~2015年11月
3.5%
ユーロ圏消費者物価指数
3.0%
ECBのインフレ目標=2%を上回らない範囲で、
その近辺
2.5%
2.0%
1.5%
図表14:ユーロ圏各国の10年国債利回りの推移
1.0%
週次、期間:2010年12月31日~2015年12月25日
0.5%
0.0%
40%
ドイツ
イタリア
スペイン
ポルトガル
ギリシャ
35%
30%
25%
20%
-0.5%
-1.0%
10年12月
11年12月
12年12月
13年12月
14年12月
出所:ブルームバーグ、ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用し
ピクテ投信投資顧問作成
15%
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
10%
5%
0%
10年12月
07年1月
11年12月
12年12月
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13年12月
14年12月
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
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4
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Pictet Global Market Watch
グローバル
日本:景気回復の鈍化傾向が続く日本経済 図表15:日本のGDP成長率と寄与度の推移
日本経済の成長率は速報値ではマイナス成長になり
ましたが、設備投資が増えたことなどを受けて2015年
7-9月期時点で前期比年率+1%となりました(図表15
参照)。しかし、個人消費が同+0.4%に下方修正される
など不安が残る結果となりました。国際通貨基金
(IMF)は2016年の日本経済の成長率予測を+1.0%と
しており、先進国全体の+2.2%成長を下回ると見込ん
でいます(1ページ図表2参照)。
足元のインフレ率を見てみると、消費の回復が低迷し
ていることや、エネルギー価格の下落によって低水準
が続いています(図表16参照)。賃金の上昇などにより
足元では若干回復する兆しを見せているものの、日銀
が掲げる2%のインフレ率目標を大きく下回っている状
態です。
このような中、更なる追加金融緩和を期待する声も聞
かれますが、急激な円安への懸念や、日銀自体は
2015年12月時点でも景気全体は緩やかに回復してい
るという認識を示しているため、日銀が追加金融緩和
のカードを切るかは不透明な状態です。
<次ページに続きます>
四半期、前期比年率、季節調整後、期間:2012年4-6月期~
2015年7-9月期
10%
4.4%
5%
5.0%
1.8%
1.0%
0%
-0.5%
-2.8%
-5%
-7.2%
-10%
民間在庫
公共投資
設備投資
個人消費
-15%
-20%
2012年
4-6月期
純輸出
政府消費
住宅投資
GDP成長率
2013年
4-6月期
2014年
4-6月期
2015年
4-6月期
図表16:日本の消費者物価指数と
給与の伸び率の推移
月次、前年同月比、期間:2010年10月~2015年11月
4%
3.0%
消費者物価指数(左軸)
毎月勤労統計現金給与総額(右軸)
3%
2.0%
2%
1.0%
1%
0.0%
0%
-1.0%
-1%
-2.0%
-2%
10年10月
11年10月
12年10月
13年10月
14年10月
-3.0%
15年10月
出所:ブルームバーグ、内閣府のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
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5
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Pictet Global Market Watch
グローバル
中国:構造的な変化に直面する中国、
投資から消費へ
図表17:中国の経済成長率の推移
四半期、期間:2005年10-12月期~2015年7-9月期
2015年に世界経済に大きな影響を与えた中国経済で
すが、現在は大きな構造転換に直面しています。これ
20%
1,600
兆円
中国名目GDP(年率、円換算、右軸)
までは投資(住宅や設備投資)や輸出主導により高い
1,400
中国実質GDP成長率(前年比、左軸)
経済成長を維持してきましたが、今後は消費を主体と 16%
1,200
した緩やかな経済成長への移行を進めると見られてい
1,000
ます(図表17参照)。中国の輸出と消費の推移を見て 12%
みると、輸出の伸び率は変動が激しい一方、消費(小
800
8%
売売上高)は安定して推移していることがわかります
600
(図表18参照)。2016年~20年の経済運営を討議する
400
中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)でも、 4%
200
この構造改革推進が支持されたことから、成長率の低
0%
0
下が見込まれます。
05年12月
07年12月
09年12月
11年12月
13年12月
ただし、景気の急激な落ち込みを避けるため、預金準
備率の引き下げを中心に、金融緩和や財政政策の拡 図表18:中国の小売売上高と輸出の伸び率の推移
大が想定されています。短期的に景気を下支えしつつ、 月次、前年同月比、期間:2005年11月~2015年11月
ゆっくりと舵を切りたいのが中国当局の姿勢かと思わ
60%
れます。
50%
中国:短期的に金融緩和などで下支え
される中国経済
40%
30%
20%
預金準備率の引き下げを主体に、貸出および預金準
10%
備金利の引き下げを継続するなど、中国当局は緩和
0%
的な金融政策を実施しています(図表19参照)。今後も -10%
金融緩和による景気支援は続くものと見られ、2015年 -20%
夏のような中国経済の過度の悲観論には修正も期待
中国小売売上高
-30%
中国輸出
されます。また、金融緩和に加えて、住宅取得を促進
-40%
05年11月
07年11月
09年11月
11年11月
13年11月
15年11月
するための規制緩和により、足元では不動産価格に下
げ止まりの兆しが見られます(図表20参照)。
中国経済悲観論が台頭する中、中国当局が景気下支 図表19:中国の預金準備率とM2の推移
えのために積極的な対応を打ち出す姿勢を鮮明にす
月次、期間:2007年1月~2015年11月、預金準備率は6ヵ月先行
ることが中国経済の下支え要因になると思われます。
35%
<次ページに続きます>
M2前年比伸び率(左軸)
預金準備率(6ヵ月先行、右軸、逆目盛り)
30%
図表20:中国の住宅市況
月次、期間:2013年11月~2015年11月
0%
5%
25%
10%
100%
住宅価格が上昇した都市の割合
20%
90%
15%
15%
80%
70%
20%
10%
60%
50%
5%
07年1月
40%
30%
25%
09年1月
11年1月
13年1月
15年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
20%
10%
0%
13年11月
14年5月
14年11月
15年5月
15年11月
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
せん。
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6
8
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グローバル
商品:原油価格は上値が重い展開か
2015年は商品市況にとって苦しい年となりました。原
油の供給過剰感が解消されないうえに、米国の利上げ
によりドル高が進行したため、原油価格は大きく下落し
ました。2016年も商品市況は原油の供給過剰に左右
されやすい展開になると思われます。
図表21:原油の需給動向と原油価格(WTI)の推移
四半期、期間:2012年1-3月期~2016年10-12月期(予想含む)
3.5
3.0
ドル/バレル
百万バレル/日
予想
2.5
120
110
100
2.0
90
1.5
80
1.0
70
原油需給を占うため米エネルギー省情報局(EIA)の予 0.5
60
50
0.0
測を見てみると、2015年後半には原油消費量の伸び
40
-0.5
が供給量の伸びを上回ったと予想されています(図表
30
-1.0
21参照)。また、米国では採算が取れない新規石油掘
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
1-3月期
1-3月期
1-3月期
1-3月期
1-3月期
削計画に縮小が見られ、石油掘削装置(リグ)の稼動
非OPEC諸国の原油供給量の伸び(前年同期比、左軸)
数も減少に転じています(図表22参照)。しかし、米国
世界の原油消費量の伸び(前年同期比、左軸)
WTI原油価格(右軸)
の原油在庫は2015年8月以降再び増加に転じており、
原油価格下落の要因となりました。これは採算性の高
いリグからの生産量を増加させていることからリグ1基 図表22:米国の石油掘削装置の稼動数と原油在庫
の推移 週次、期間:2010年12月3日~2015年12月25日
あたりの生産性が向上している可能性などもあり、供
給過剰が解消されるのかは不透明な状態です。
2,000
また、イランの原油輸出再開による供給量の増加懸念
や、中国をはじめとした新興国の景気減速懸念という
需要面でも不安要素があり、原油価格の回復が遅れ
る可能性も考えられます。2016年の年明けにはサウジ
アラビアとイランが国交を断絶する事態にもなっており、
OPECでの原油の減産合意が一層遠のくことも想定さ
れます。
このような状況下では、2016年の原油価格も上値が重
い展開が続く可能性があります。
<次ページに続きます>
基
百万バレル
550
石油掘削装置の稼動数(左軸)
1,700
500
原油在庫(右軸)
1,400
450
1,100
400
800
350
500
10年12月
300
12年12月
14年12月
出所:米エネルギー省情報局(EIA)、ブルームバーグのデータを使用
しピクテ投信投資顧問作成
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
せん。
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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ご参考資料
Pictet Global Market Watch
グローバル
資源国:主な資源国の経済
資源国経済は商品市況の動向と連動する傾向があり、
商品市況が景気を左右する展開が想定されます。
主要な資源国の1つであるオーストラリア経済は、中国
経済の減速で鉄鉱石等の資源の輸出が低下すると見
込まれています。しかし、低金利政策によって住宅販
売や個人消費は底堅く、これらの要因がオーストラリア
経済を下支えすると想定しています。足元のオーストラ
リア経済の成長率は改善傾向を示しており、インフレ
率も若干回復の兆しを見せています(図表23参照)。
一方、ブラジル経済は足元ではマイナス成長になって
おり、国際通貨基金(IMF)によると2016年もマイナス
成長が継続する見込みです(図表24参照)。商品市況
の悪化に加え、高インフレを抑制するための利上げ、
財政改革のための歳出削減、政治機能の低下など、
現在のブラジル経済は複数の重荷を抱えている状態
です。ブラジルの政策金利と主な新興国・資源国の政
策金利を比較すると、ブラジルの政策金利が突出して
高いことがわかります(図表25参照)。ブラジルのイン
フレ率は10%近くに達しており、国内経済が悪化してい
るにも関わらず高インフレを抑制するために高金利政
策を維持している状態です。
図表23:オーストラリアの経済成長率の推移
四半期、前年同期比、期間:2005年1-3月期~2015年7-9月期
6%
オーストラリアGDP成長率
オーストラリア消費者物価指数変化率
5%
4%
3%
2%
1%
0%
05年3月
08年3月
11年3月
14年3月
図表24:ブラジルの経済成長率の推移
四半期、前年同期比、期間:2005年1月-3月期~2015年7-9月期
12%
ブラジルGDP成長率
ブラジル消費者物価指数変化率
10%
8%
6%
4%
2%
0%
-2%
-4%
商品市況下落の影響で通貨が下落している資源国は、 -6%
05年3月
08年3月
11年3月
14年3月
ブラジルのように通貨防衛とインフレ抑制のために金
融引き締めを余儀なくされている状態となっています。
図表25:主な新興国・資源国の政策金利の推移
一方、原油価格の下落によって物価抑制が進んだ国 日次、期間:2006年12月末~2015年12月31日
(インド、中国、オーストラリア)では逆に利下げ余地が
17%
出てきています。
15%
資源国経済は当面商品市況との戦いが続く見込みで
すが、商品市況の低迷が長期化する可能性もあり、今
後の経済動向には注視する必要があると考えます。
ブラジル 14.25
13%
ロシア 11.0
11%
トルコ 7.5
9%
インドネシア 7.5
7%
インド 6.75
南アフリカ 6.25
5%
中国 4.35
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が
変更される場合があります。)
記載のデータは、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありま
せん。
3%
豪州 2.0
1%
06年12月
08年12月
10年12月
12年12月
14年12月
※中国は貸出基準金利(1年)を使用、トルコは2010年5月20日から、ロシア
は2013年9月13日から2015年12月31日まで
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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