ご参考資料 ピクテ・マーケット・マンスリー 2015年3月発行 欧州・米国市場 Pictet Market Monthly 2015年2月発行の欧州・米国市場ニュース 2月の欧米市場ニュース ユーロ圏の主要経済指標 タイトル 頁 ユーロ圏消費者物価:コア・インフレは過去最低水準 に 欧 州 2014年10-12月期のユーロ圏GDP:中核国経済は強 弱交錯 2 指標名 時点 前回値 市場 予想 公表値 次回 発表 次回 予想 小売売上高 (前月比,%) 14年12月 0.7 0.0 0.3 3月4日 0.2 サービス業購買担当 者景気指数(PMI) 15年2月 52.7 53.9 53.9 3月4日 53.9 実質GDP (前期比,%) 14年12月 0.2 0.3 0.3 3月6日 0.3 鉱工業生産 (前月比,%) 14年12月 0.1 0.2 0.0 3月12日 -- 4 2月のユーロ圏PMI:市場心理、改善 6 ユーロ圏マネーサプライ:正常化への道のり 8 消費者物価指数(前 年同月比,%) 15年2月 -0.6 -- -0.3 3月17日 -- 米国GDP成長率: 2014年下期は堅調 10 製造業購買担当者 景気指数(PMI) 15年2月 51.0 51.1 51.0 3月24日 51.1 失業率(%) 15年1月 11.3 11.4 11.2 3月31日 11.4 米 国 米国小売売上高:2ヵ月連続の減少 12 米国の主要経済指標 ※2015年3月3日時点(日本時間)の発表データと予想 ※予想はブルームバーグ集計市場予想 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ピクテ投信投資顧問株式会社 前回値 市場 予想 指標名 時点 ISM製造業景況指数 15年2月 ISM非製造業景況指 数 15年1月 56.5 56.4 失業率(%) 15年1月 5.6 非農業部門雇用者 数(前月比,千人) 15年1月 小売売上高 (前月比,%) 53.5 53.0 公表値 52.9 次回 発表 次回 予想 3月3日 53.0 56.7 3月5日 56.5 5.6 5.7 3月6日 5.6 329.0 227.5 257.0 3月6日 235.0 15年1月 -0.9 -0.4 -0.8 3月12日 0.5 消費者物価指数 (前月比,%) 15年1月 -0.3 -0.6 -0.7 3月24日 -- 実質GDP (前期比,%,年率) 14年12月 5.0 2.0 2.2 3月27日 -- 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年2月3日発行ニュース ユーロ圏消費者物価:コア・インフレは過去最低水準に 2015年1月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は、総合インフレ率がマイナス幅を広げ、コア・インフレ率も過去最低 水準に低下しました。当面の優先課題は期待インフレ率低下への対応です。3月開始の欧州中央銀行(ECB)の量 的金融緩和は、バランスシートの拡大とマネーサプライの伸びを通じて、これを下支えするものと考えます。 消費者物価の下落続く 図表1:ユーロ圏インフレ率の推移 (月次、期間:1999年1月~2015年1月) 2015年1月のユーロ圏消費者物価指数(総合インフレ 率、CPI)はマイナス幅を拡大し、コア・インフレ率は、過 去最低水準を記録しました。一方、マネーサプライは改 善基調が確認されました。 もっとも、マネーサプライの改善がマイナスのインフレ 率を阻止するに十分な水準にまで回復したとは言えそ うにありません。また、コア・インフレ率の低下が示唆す る通り、原油価格の下落に伴って、デフレ圧力が増す ものと予想されます。 %、前年同月比 4 2%(ECB目標) 3 総合インフレ率 2 1 コア・インフレ率 0 -1 コアCPIは過去最低水準に 99年 欧州連合統計局(ユーロスタット)が発表した2015年 1月のユーロ圏CPI(速報値)は前年同月比-0.6%と市場 予想を下回り、 2014年12月の同-0.4%からさらに低下 しました。また、エネルギー、食品、アルコール飲料・タ バコを除いた1月のコア・インフレ率も、前月の同+0.7% から同+0.6%へと低下し、通貨ユーロ創設以来の最低 水準を記録しました(図表1参照)。 広範囲の物価下落 01年 03年 05年 07年 09年 11年 13年 15年 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 マネーサプライは改善基調 CPIの構成項目では、1月のエネルギー工業品価格が 前月比-2.8%となり、下げに拍車がかかりました。また、 前年同月比では-8.9%と、2014年12月の同-6.3%から下 げを拡大しました。一方、1月の食料品価格は、前月比 で+0.4%、前年同月比で-0.1%と概ね安定推移しました。 コア・インフレ率の構成項目では、1月の非エネルギー 関連の工業品価格が前年同月比で-0.1%とマイナス圏 に落ち込んだ他、 サービス価格は前月比-0.6%、前年 同月比では+1.0%となりました。 インフレ率が低位に留まった一方、2014年12月のユー ロ圏M3(広義のマネーサプライ指標)の伸び率は前年 同月比+3.6%と予想の同+3.5%ならびに11月の同+3.1%を ともに上回りました。欧州中央銀行(ECB)のバランス シートの拡大とベース効果が寄与しました。 また、2014年12月のユーロ圏M1(狭義のマネーサプラ イ指標)の伸び率も前年同月比+7.8%と11月の同+6.9% を上回りました。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 2 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 課題は期待インフレ率の安定化 企業向け融資はプラス転換 2014年12月の民間向け銀行融資は32ヵ月連続で減少 したものの、11月の前年同月比-0.9%に対して同-0.5% と、減少率は縮小しました。12月の非金融企業向け銀 行融資は増加し、2012年7月以来初めてプラスに転じ ました。住宅ローン融資の増加を受けて家計向け融資 も増加しましたが、消費者信用は若干の減少に終わり ました。 ECBが四半期毎に実施する銀行貸出調査が示唆する 通り、融資条件は徐々に緩和される公算が高いと考え ます。民間各行は、2015年1-3月期を通じ、融資条件 の緩和を続けることが予想されます。当調査は、融資 全般に対する需要の増加を示唆しています。 総合インフレ率はマイナス圏で推移 当面の最優先課題は、期待インフレ率低下への対応 です。期待インフレ率を測る指標としてECBが注視して いるユーロ圏の5年先5年物ブレイクイーブン・フォワー ドレートは、量的金融緩和を発表した1月22日にいった ん1.7%台へ上昇したものの、その後は1.5%台に戻して います。 ECBが勝利宣言をするには時期尚早ですが、 3月に量的金融緩和が開始されれば、ECBのバランス シートの拡大と狭義のマネーサプライの伸びが期待イ ンフレ率の安定化に寄与するものと考えます。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 足元発表の経済指標は、マネーサプライが回復基調 にあることを示唆しています。 域内主要行を対象とした資産査定とストレステストの終 了ならびに中小企業向け融資に目標を定めた長期性 資金供給オペ(TLTRO)の継続に加え、3月のECBの量 的金融緩和開始を控え、狭義のマネーサプライは、 2015年を通じて伸びを加速させるものと考えます。ただ し、ギリシャやロシアを巡る緊張が、信用の需要と供給 を下押し続ける可能性は否めません。 一方、マネーサプライの改善がインフレの低下傾向を 断ち切る公算は低いと考えます。域内経済を取り巻く 環境が、総じてデフレの状況に留まっているからです。 ユーロ圏の大半の加盟国では、総需要が伸び悩み、 失業率が高止まりしています。したがって、インフレの 安定には時間を要するものと考えます。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 3 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年2月18日発行ニュース 2014年10-12月期のユーロ圏GDP:中核国経済は強弱交錯 2014年10-12月期のユーロ圏実質GDP(域内総生産)成長率は、前期比+0.3%と市場予想を上回りました。また、 2014年通年の成長率は+0.9%と、2013年の-0.3%からプラス成長に転じた模様です。ドイツならびにスペインが好調 で域内経済をけん引しました。ユーロ圏経済は、2015年を通じて緩やかな回復を続けるものと見ています。 ユーロ圏経済は改善基調 図表1:ユーロ圏実質GDP成長率の推移 (四半期、期間: 1999年1-3月期~2014年10-12月期) 2014年10-12月期のユーロ圏実質GDP(域内総生産) 成長率(速報値)は市場予想を僅かに上回り、7四半期 連続のプラス成長となりました。足元の景気先行指標 は2015年1-3月期についても同様の緩やかな成長が 続くことを示唆しています。 6 % 4 前年同期比 2 0 前期比、年率 -2 2014年10-12月期のユーロ圏実質GDP 成長率は予想を上回る 欧州連合統計局(ユーロスタット)が発表した2014年 10-12月期のユーロ圏実質GDP成長率は速報値で前 期比+0.3%(年率+1.4%、前年同期比+0.9%)と、7-9月期 の前期比+0.2%ならびに市場予想の同+0.2%を僅かなが ら上回りました(図表1参照)。この結果、2014年の実質 GDP成長率は前年同期比平均で+0.9%となり、2012年 の同-0.7%、2013年の同-0.4%から改善したことを示唆し ています。 -4 -6 -8 -10 -12 99年 01年 03年 05年 07年 09年 11年 13年 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 イタリアはマイナス成長に歯止め ドイツの改善際立つ 2014年10-12月期のユーロ圏構成国実質GDP成長率 は、ギリシャ、フランスを除き、域内全域で予想を上回 りました。なかでもドイツの成長率は、おそらく、昨年半 ばの景気停滞局面からの反発を一部反映し、前期比 +0.7%と市場予想の同+0.3%を大きく上回りました。(詳 細はまだ発表されていませんが)ドイツ統計局によれ ば、家計の消費や輸出の大幅な改善に加え、4-6月期、 7-9月期ともに減少していた設備投資が幾分ながら改 善された模様です。 2014年10-12月期のスペインの実質GDP成長率は、ド イツと同じく前期比+0.7%と、2007年10-12月期以来の 高成長となりました。また、ポルトガルとオランダも同 +0.5%と好調でした。一方、フランスは7-9月期には同 +0.3%と予想外の回復を見せたものの、10-12月期は、 市場予想に並ぶ同+0.1%に留まりました。イタリアも低 調で、市場予想は上回ったものの、2011年4-6月期以 降プラス成長を実現していません。ギリシャは前期比 -0.2%とマイナスに転じ、市場予想の同+0.4%に届きませ んでした。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 4 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 個人消費と輸出が貢献 2014年10-12月期のユーロ圏実質GDP速報値には支 出項目の詳細が含まれていません(発表は3月6日の 予定)が、フランス、ドイツ、オランダの国別GDP統計は、 家計の消費と輸出が最も大きく貢献し、原油安とユー ロ安のプラスの効果が現れたことを示唆しています。 一方、企業投資はまちまちで、ドイツ、オランダ両国で は拡大した一方、フランスではマイナス圏で推移してい ます。 2015年のGDP予想は変わらず ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)、ドイツIfo企業景 況感指数など、足元の景況感指数や調査結果は、 2015年のユーロ圏経済が、2014年10-12月期と同様の 緩やかな改善を続ける公算が高いことを示唆していま す。 原油ならびにユーロ安、緊縮財政の緩和ならびにマ ネーサプライの改善、欧州中央銀行(ECB)の量的金 融緩和等は、すべて、ユーロ圏経済の強い追い風にな ることが予想されます。一方、ギリシャ情勢を巡る不透 明感が個人消費や企業投資を抑え、域内経済の短期 的な下押し要因となる可能性は否めません。したがっ て、2015年のGDP成長率予想は、従来予想を維持しま す。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 5 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年2月24日発行ニュース 2月のユーロ圏PMI:市場心理、改善 2015年2月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI、総合指数)は、前月改定値、市場予想をともに上回りました。 サービス業PMIの大幅上昇を受け、市場心理が改善しました。もっとも、域内経済には追い風と向かい風が同時に 吹きつけており、今後の動向が注視されます。 図表1:ユーロ圏PMIの推移 ユーロ圏PMIは改善基調 (月次、期間:2006年1月~2015年2月) 2015年2月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI、総 合指数)は、市場予想を上回りました。製造業PMIが前 月と同水準に留まった一方で、サービス業PMIが大きく 上昇し、総合指数を押し上げました。このことから、 ユーロ圏GDP(国内総生産)は、2014年10-12月期の 予想外の上昇に続き、2015年1-3月期も改善を続ける 公算が高いと考えます。 65 60 PMI総合指数 サービス業PMI 55 50 製造業PMI 分岐点 45 40 35 製造業指数は変わらず、 サービス業指数は上昇 GDPマイナス成長 30 06年 製造業PMIは前月とほぼ変わらずの51.1となり、市場 予想の51.5に届きませんでした。一方、サービス業PMI は、市場予想の53.0を上回り、前月比では+1.2ポイント の53.9となりました。この結果、(両指数を加重平均し た)2月のPMI総合指数は53.5と1月の52.6を上回って 3ヵ月連続の上昇となり、2014年7月以来の水準を回復 しました(図表1参照)。 07年 08年 GDPマイナス成長 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ドイツ:サービス業PMIは上昇 サブ指数:事業期待指数が上昇 製造業PMIのサブ指数は、概ね変わらず、大きく上昇し たのは、前月比+1.0ポイントの51.8と7ヵ月ぶりの水準 を回復した新規輸出受注のみでした。生産ならびに仕 入価格は、上昇したものの景況感の境目となる50を下 回る水準に留まっており、指数の低下基調を示唆して います。 一方、サービス業PMIはすべてのサブ指数が大きく上 昇しました。事業期待指数が前月比+1.0ポイントの64.9 と、2011年5月以来の水準を回復したことは、特に注目 されます。 2015年2月のドイツの製造業PMIは、市場予想の51.5を 下回り、前月比変わらずの50.9に留まりました。製造業 PMIのサブ指数で前月の水準を上回ったのは、前月比 +1.3ポイントの50.8を付けた新規輸出受注のみだった ことには留意が必要です。 一方、サービス業PMIは、前月比+1.5ポイントの55.5と 好調でした。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 6 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 フランス:製造業PMIは低下基調を 脱せず 2015年2月のフランス製造業PMIは、前月比-1.5ポイン トの47.7と低下基調を辿り、10ヵ月連続で50を下回りま した。サブ指数は総じて低調でしたが、なかでも、新規 受注指数(前月比-2.8ポイントの45.1)ならびに生産指 数(同-2.1ポイントの47.0)の大幅低下が際立ちました。 一方、サービス業PMIは、前月比+4.0ポイントの53.4と 50を回復しました。 ユーロ圏経済の見通しは変わらず 2015年2月のユーロ圏PMIは、2015年1-3月期のユー ロ圏実質GDPが、前期の成長率を若干上回って上昇 することを示唆していると考えます。もっとも、当指数は、 2014年を通じてGDP成長率を過大評価する傾向が認 められたこと、また、2月の指数が製造業活動の低調な 先行きを示唆していることには留意が必要です。 ユーロ圏経済を取り巻く環境については、原油安、 ユーロ安、緊縮財政の緩和、マネーサプライの改善、 欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和等が強い追い風 になるものと予想されます。一方で、金融機関の債務 圧縮、デフレの脅威、構造問題、政局の不透明感等は、 引き続き域内経済の向かい風です。 ピクテでは、2月のユーロ圏PMIの上昇が追い風となり、 ユーロ圏GDP成長率の改善を後押しするものと考えま す。したがって、2015年のGDP成長率予想は、従来予 想を維持します。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 7 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年2月27日発行ニュース ユーロ圏マネーサプライ:正常化への道のり 2015年1月のユーロ圏マネーサプライ統計は、M1(狭義のマネーサプライ)、M3(広義のマネーサプライ)双方の伸 びの加速を確認するものとなりました。3月には欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和が開始されます。ユーロ圏の マネーサプライの伸びは一段と加速度を増し、正常化に向けた道のりを歩んで行くものと考えます。 図表1:ユーロ圏 M3と民間向け融資の 伸び率の推移 ユーロ圏経済の支援要因 (月次、期間: 1999年1月~2015年1月) 足元のユーロ圏経済は、原油安、ユーロ安、緊縮財政 の終了、金融緩和政策の継続という4つの要因に支え られています。2015年2月26日、欧州中央銀行(ECB) が発表したユーロ圏マネーサプライ統計は、ECBの量 的金融緩和に先立って、マネーサプライ正常化への局 面が始まったことを示唆するものとなりました。もっとも、 ユーロ圏経済は依然としてぜい弱であることから、域 内経済の回復には、当面、4つの要因が維持されるこ とが必須です。 %、前年同月比 14 12 民間向け融資 10 8 6 M3参照値 4 M3 2 0 -2 -4 M3の伸び:長期参照値の+4.5%に 迫る勢い 99年 01年 03年 05年 07年 09年 11年 13年 15年 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 2015年1月のユーロ圏M3(広義のマネーサプライ指 標)の伸び率は前年同月比+4.1%となり、2014年12月改 定値の同+3.8%、市場予想の同+3.7%をともに上回りまし た。 1月のM3の伸び率は2009年4月以降最も高く、長 期参照値の同+4.5% に迫りました。 一方、1月の民間向け融資は前年同月比-0.1%に留ま り、前月の同-0.5%と比べ減少率は鈍ったものの33ヵ月 連続の減少となりました(図表1参照)。 非金融企業向け融資:再び減少に転じる 2015年1月の非金融企業向け銀行融資は、前月の100 億ユーロの増加に対して、40億ユーロの減少となりま した。また、家計向け融資は、住宅ローン融資の増加 (40億ユーロ)を受けて増加基調を維持したものの、消 費者信用は前月と同程度に留まりました。 M1の伸びがM3の伸びをもたらす ユーロ圏M3の伸びの背景にあるのは、M1(狭義のマ ネーサプライ指標)の大幅な伸びです。1月のM1は、前 年同月比+9.0%と 2014年12月の同+7.9%を上回り、2010 年6月以降、最も高い伸び率を記録しました。翌日物預 金の急増を反映したものと考えます。また、ECBによる 債権担保付社債(カバードボンド)や資産担保証券 (ABS)の購入ならびに長期性資金供給オペ(LTRO)を 通じた借入の返済の終了を反映した可能性もあると考 えます。実質M1の伸びは、経済活動の信頼のおける 先行指標とされますが、ユーロ圏購買担当者景気指数 (PMI)や欧州委員会(EC)サーベイ等といった足元の 景況感指数が示唆する通り、今後数四半期を通じて加 速度を増す公算が高いと考えます。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 8 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 マネーサプライの正常化は ユーロ圏経済回復の必須要因 2015年1月のユーロ圏マネーサプライ統計は、域内の マネーサプライの一段の回復を示唆するものとなりま した。もっとも、信用供与は過去の水準を下回り、ぜい 弱さが払拭されない状況です。 3月には ECBの量的金融緩和が始まることに加え、中 小企業向け融資に的を絞った長期性資金供給オペ (TLTRO)が予定されており、また、LTROを通じた借入 の返済が終了することから、M1の伸びは今後数ヵ月を 通じて加速度を増すことが予想されます。このような進 展は、ユーロ圏のマネーサプライの正常化に向けた局 面の始まりを示す可能性が高いと考えますが、マネー サプライの正常化は、マネーの創出、インフレ期待の 定着、信用供与条件の緩和、ユーロ安等を実現させる ための前提条件です。また、このような状況が実現す れば、マネーの創出が2015年を通じたユーロ圏経済回 復の重要な支援要因となることが確認されることとなり そうです。 とはいえ、マネーサプライの正常化には時間を要しま す。原油価格が足元の水準で推移し続ける限り、イン フレ期待が急速に反転し、インフレ率が短期間のうち に上昇に転じる可能性は低いと考えます。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 9 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年2月2日発行ニュース 米国GDP成長率: 2014年下期は堅調 2014年10-12月期の米国の実質GDP成長率は、特殊要因を反映して予想を下回りましたが、下期(7-12月)を通じ て見ると堅調なペースを維持したことが確認されました。2015年上期(1-6月)も同様の展開が予想されるものの、米 ドル、原油価格、長期金利等の動向には注視が必要だと考えます。 2014年下期のGDPは堅調 図表1:米国実質GDP成長率の推移 米国の2014年10-12月期の実質GDP(国内総生産)成 長率(速報値)は市場予想に届きませんでしたが、下期 (7-12月)を通した数値は堅調でした。また、2015年上 期の見通しも良好と見ています。 米国の2014年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比 年率ベースで+2.6%と市場予想の同+3.0%に届かず、7-9 月期の同+5.0%を大きく下回りました。(図表1参照) もっとも、10-12月期の減速の最大の要因が、国防関連 支出の大幅な落ち込み(前期比、年率-12.5%)であるこ とには留意が必要です。これは、7-9月期の大幅増(同 +16%)の反動で、予想通りの展開です。国防関連支出 は7-9月期には実質GDP成長率を大きく押し上げた一 方で、10-12月期には実質GDP成長率を押し下げており、 7-9月期と10-12月期を併せた 2014年下期の実質GDP 成長率を見ることが適切だと考えます。実質GDP成長 率の2014年下期平均は、前年同期比+3.8%と堅調でし た。 2009年第3四半期~ 2014年第4四半期 平均:2.4% % 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 09年 第3Q 10年 第3Q 11年 第3Q 12年 第3Q 13年 第3Q 14年 第3Q 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 図表2:米国実質GDPの構成項目 個人消費は堅調 (前期比、年率、期間:2014年第2四半期(4-6月期) ~2014年第4四半期(10-12月期)) GDP統計の構成項目を見ると、個人消費支出が予想通 り好調で、2014年10-12月期は前期比、年率+4.3%と、79月期の同+3.2%を上回りました。順調な雇用の創出と 足元数週間のガソリン価格の一段の下落を勘案すると、 2015年上期の見通しも明るいと言えそうです。その他の 項目では、住宅投資が+4.1%と好調だった一方で、非住 宅投資は、懸念された通り予想に届かず、機器投資は2 四半期連続の2桁成長からマイナスに転じました。また、 輸出が小幅の伸びに留まる一方、輸入は予想外の大 幅な伸びを記録しました。 10-12月期の政府支出は、前期比、年率-2.2%のマイナ スとなりました。前述の通り、国防関連支出の大幅な落 ち込み(同-12.5%)が反映されました。一方、国防関連を 除いた連邦政府支出は同+1.7%、州・地方自治体支出 は同+1.3%でした。 (図表2参照) ピクテ投信投資顧問株式会社 (前期比、年率、期間:2009年第3四半期(7-9月期) ~2014年第4四半期(10-12月期)) % 2014年 4-6月期 7-9月期 10-12月期 個人消費 2.5 3.2 4.3 住宅投資 8.8 3.2 4.1 非住宅投資 9.7 8.9 1.9 輸出 11.1 4.5 2.8 輸入 11.3 -0.9 8.9 1.7 4.4 -2.2 政府支出 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 <次ページに続きます> 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 10 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年通年のGDP成長見通し 前述の通り、10-12月期の個人消費の見通しは良好で す。米国の2014年の雇用創出は1999年以来最大の水 準に達しており、しかも、年後半に伸びが加速していま す。賃金上昇率は鈍いものの、家計の所得の伸びは勢 いを増しており、消費者信頼感は、明らかに上昇基調を 辿っています。 また、原油価格ひいてはガソリン価格の大幅下落が、 実質個人所得のみならず、実質消費支出の押上げ要 因となっています。季節要因調整後のガソリン価格は、 6月から12月にかけて大幅に下落していますが、12月か ら2015年2月にかけては更に25%程度の下落が予想さ れ、長期的な消費の押上げ要因となることが予想され ます。 一方、米国経済へのマイナス要因も挙げられます。原 油価格の大幅な下落は、原油生産の伸びの鈍化とエネ ルギー・セクターの投資抑制をもたらしています。また、 実質実効為替ベースで見たドル高が加速度を増してお り、2015年の経済成長を下押すことが懸念されます。 1月29日、米連邦準備制度理事会(FOMC)は、前回の 会合後に発表された声明文に若干の修正を加えた声 明文を発表しました。金融政策の正常化の開始に「忍 耐強くなれる」との文言が残され、フォワード・ガイダン スに変更がなかったことは、最初の利上げが6月より前 の時期になる公算が極めて低いことを示唆しています。 ピクテでは、6月の会合で利上げが決定される可能性 が最も高いと見ています。もっとも、市場のインフレ期 待が低下していること、賃金上昇率が低位に留まって いること、ドル高の継続が予想されること等を勘案する と、足元、FOMCが利上げを先送りする確率が明らか に上昇していることには注視が必要です。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 ピクテでは、足元発表の経済指標や原油価格の一段の 下落、長期金利の低下等を勘案し、2015年通年のGDP 成長率は堅調と見ています。もっとも、原油価格下落の 恩恵は2015年上期でピークを迎え、下期には、ドル高と 原油開発企業の投資抑制が、米国経済を下押す可能 性もあると考えます。 2014年10-12月期の 賃金上昇率は伸び悩み 2015年1月30日に発表された雇用コスト指数は、賃金・ 諸手当の最も信頼できる指標として注目されています。 当指数と同様注目度の高い平均時給が予想に反して 2014年12月に下落し、インフレ見通しがとりわけ不透明 な環境下、2014年10-12月期の雇用コスト指数は前期 比+0.6%と市場予想に並びました。前年同期比では7-9 月期とほぼ変わらず+2.2%に留まりました。 コア・インフレ率が前年同期比1.6%程度で推移している ことを勘案すると、10-12月期の賃金上昇率は穏やかな 水準に留まったと言わざるを得ませんが、今後数四半 期のうちには、徐々に勢いを増していくものと見ていま す。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 11 12 ご参考資料 Pictet Market Monthly 先進国 2015年2月13日発行ニュース 米国小売売上高:2ヵ月連続の減少 2015年1月の米国小売売上高は、予想に反して2ヵ月連続の減少となりました。もっとも、最近の小売売上高統計は、 消費全体の先行きを占う指標としての信頼性に欠ける傾向が強まっています。雇用の力強い伸びや消費者信頼 感の回復等を勘案すると、個人消費の先行きは明るいとの見方は変わりません。 図表1:米国コア小売売上高の推移 1月の名目小売売上高は低調 米国の2015年1月の小売売上高統計は失望を誘う内 容となりましたが、同統計が消費全般を占う指標として の信頼性に欠ける傾向が強まっていること、また、国内 経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が極めて堅調 であることを勘案し、消費の先行きは明るいとの見方を 維持します。 1月の名目小売売上高は、前月比-0.8%と市場予想の 同-0.4%に届かず、2014年12月(同-0.9%)に続いて2ヵ 月連続の減少となりました。12月改定値は速報値と変 わりませんでした。 1月の名目小売売上高は、2014年12月と同様、ガソリ ン価格急落の影響を反映するものとなりました。1月の ガソリンスタンド売上は前月比同-9.3%と12月(同-7.4%) に続き大きく減少したものの、意外感はありませんでし た。名目自動車販売は同-0.5%となり、自動車販売台 数統計から想定された範囲内の数値となりました。一 方、建設資材(及び園芸関連)売上は同+0.6%と、12月 の-0.7%からプラスに転じました。 1月のコア小売売上高も低調 名目小売売上高から最も変動の大きい項目を除いたコ ア小売売上高(個人消費の算出に使われる数値)も期 待外れに終わりました。2015年1月のコア小売売上高は 前月比+0.1%に留まり、市場予想の+0.4%を大きく下回り ました。また、2014年12月改定値は、速報値の同-0.4% から同-0.3%と僅かながら上方修正されました。この結果、 1月のコア小売売上高は、2014年10-12月期比、年率で +1.2%となり、10-12月期の前期比、年率+4.0%を下回りま した(図表1参照)。 (3ヵ月移動平均、年率、期間:2005年1月~2015年1月) % 8 4 0 -4 -8 -12 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 1月のコア小売売上高が 2015年1-3月期の低調な個人 消費を示唆することは明らかです。とはいえ、2014年下 期の小売売上高統計、とりわけ速報値が消費全般の 伸びを示唆していたとは思われません(当期の小売売 上高は消費全体の30%以下に留まっています)。1月以 前の数値を含めた足元数ヵ月の小売売上高は消費全 体の動向と相容れないものとなっています。 消費関連指標の大半は、消費の力強い回復を示唆す るものとなっています。雇用の創出は足元の数ヵ月で 伸びが加速しており、消費者信頼感指数も数年ぶりの 高水準を回復しています。また、賃金上昇率は、名目 ベースでは伸び悩んでいるものの、実質ベースでは大 幅に上昇しています。したがって、2015年上期の消費 動向は明るいとの見方は変わりません。もっとも、最近 発表の指標等を勘案し、GDP(国内総生産)成長率予 想は、1-3月期を小幅に下方修正し、通年は従来通りと しています。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更さ れる場合があります。 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場 の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将 来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用 目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。 ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象 ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、 会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。 12 12
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