本ニュースのPDF版はこちら

赤十字国際ニュース
2015 年
第 62 号 2015 年 12 月 21 日
( 通巻 第 1147 号 )
日本赤十字社 国際部
東京都港区芝大門 1-1-3 TEL 03-3437-7087 / FAX 03-3435-8509
E-mail:[email protected]
http://www.jrc.or.jp/
■「きれいな学校ができてうれしい!」
フィリピン・レイテ島で学校修復・再建を支援
台風 30 号(英語名:Haiyan ハイエン)が、フィリピン中部のレイテ島に壊滅的な被
害を与えて 2 年が経ちました。各国政府や各支援団体が引き続き復興支援事業を行って
いる中、日本赤十字社(以下、日赤)はレイテ島で、フィリピン赤十字社と共に被災し
た学校校舎の修復・再建を行っています。
補修・再建の対象となる学校施設のうち、第一期として 7 校 53 教室の工事が今年 11
月末までに完了し、ようやく教室が再び使えるようになりました。
「きれいな学校を造ってくれてありがとう!」と子どもたちから感謝の声も届いて
います。
■実際に工事が進み始めると
学校修復・再建は、被災する前の学校教室が持っていた機能を取り戻すための支援で
あり、災害からの復興支援の一環として行っています。
この支援は建造物が対象であるため、図面という紙の上で計画が進められます。二次
元の紙だけではイメージができないので、それを補うために模型や三次元図を活用して、
どのような工事が進められるのか、完成後にどうなるのかを、学校側や地元の人びとに
説明します。
被災した校舎(写真左)と再建後の校舎(右)
その時は皆さん「理解しました、これでいい」と言うのですが、工事が進み、実際の
建物が立ち上がり始めて目に見えるようになると、今まで紙の上でなされていた話を初
めて現実のものとして受け止めるようです。
すると、窓や扉の大きさやデザイン、防犯用の鉄格子の追加など、変更要請が出てく
るのは世の常です。それに可能な限り応えることで、被災したレイテの人たちが「自分
たちの学校だから、大事に長く使おう」と思えるように、と支援を進めてきました。
■地元の要請との擦り合わせ
しかし、工事には『予算』という越えられない壁があります。さらに、質の良い建設
工事は『段取り 8 割、仕事 2 割』ともいわれ、準備段階にこそ注意深く手間をかけて完
成度が高くなるものとされています。
ところが、学校側と詳細に打ち合わせをして事
前承認をもらうという『段取り』をしても、この
ような要請の多くは『段取り』後に持ち込まれま
す。
予算の上でも事業目的の上でも、すべての要請
をのむわけにはいきません。
追加の要請が、
「本来の教室に求められる学習機
能とはかけ離れた、娯楽的なものになっていない
か」、「引き渡し後に学校側による維持管理が可能
な仕様になるか」といった視点から、要請のすべ
てに応えることができなくても、工事関係者がな
んとか知恵を出し合い、最善の方法を見つけ出し
て学校側に提案し、擦り合わせを重ねるのです。
それは、全体から見れば小さな工程の一つにす
再建対象の高校の校長先生(写真左)
ぎません。しかし、この小さな工程の一つひとつ
と打ち合わせを行う、建設担当要員
の積み重ねが、『地域社会の学校』を再建する工
(写真右)
事を完了させることにつながるのです。
これから第二期工事が本格化します。第二期
でも、追加の要請が出されることを想定して、
工事関係者から先に詳細な提案を行ないたい、
と考えています。
また、第二期工事の進捗と重なるように、11
月ごろから翌 5 月ごろまで、フィリピンは台風
シーズンを迎えます。工事関係者一丸となって、フィリピンの新学年が始まる6月に
無事に教室で授業を始められるよう、安全第一
で工事を進めていきます。
再建された高校で、手製の
フィリピン復興支援の事業概要はこちら
クリスマスツリーを飾った生徒たち
●海外たすけあい募金を募集しています
郵便振替口座から:口座番号 00120−5−220 / 口座名義 日本赤十字社
※窓口で手続きを行った場合、振込手数料はかかりません。
★海外たすけあいについての様々な情報を配信中です!ぜひご登録ください★
Facebook : https://www.facebook.com/jrc.tasukeai
Twitter : @jrc_tasukeai
Instagram: @kaigai_tasukeai
●日本赤十字社『海外たすけあい』ページ:http://www.jrc-kaigai.jp/●