赤十字国際ニュース

赤十字国際ニュース
2015 年
第 20 号 2015 年 4 月 10 日
( 通巻 第 1105 号 )
日本赤十字社 国際部
東京都港区芝大門 1-1-3 TEL 03-3437-7087 / FAX 03-3435-8509
E-mail:[email protected]
http://www.jrc.or.jp/
■中央アフリカ共和国:
長期化する紛争とそこに暮らす人びと
何年も情勢不安の続く中央アフリカで
は、2013 年 12 月 5 日から首都バンギで
武力対立が急激に悪化しました。3 月現
在、国内避難民が約 43 万 6300 人、近隣
国へ避難している難民が約 45 万 5100 人
に上っています(国連難民高等弁務官事
務所)
。
赤十字国際委員会(ICRC)は 2007 年か
ら中央アフリカでの活動を継続。中央ア
フリカ赤十字社(以下、中央アフリカ赤) 国 内 避 難 民 キ ャ ン プ で 食 事 の 準 備 を す る 親 子 ©Benoit
とともに、500 万リットルの飲料水の配 Matsha Carpentier/IFRC
給や、3 万 6000 人分の食料や救援物資の
配布、医療専門家を現地の病院に派遣する医療支援、また遺体の管理などの救援活動を
実施しています。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、2013 年から 230 万人に対する蚊
帳の配布を行い、感染症の予防を呼びかけたり、住む場所を失われて避難生活を送る人
びとに対して生活用品の配布を実施しています。
日本赤十字社は、これら国際赤十字による中央アフリカへの緊急救援に対し、1500 万
円の資金援助を行いました。
■
子どもたちが「子ども」でいることのできない紛争
国内避難民キャンプで水を探す子どもたち©Nelly
Muluka/IFRC
長年にわたる紛争の影響を最も受けるのは
子どもたちです。子どもたちは家族を失う、家
族と離れ離れになり寂しさを抱える、学校に通
えなくなる、暴力を受ける、行動が制限さるな
ど、危険な中で過ごさなければならないため、
子どもらしく生きられなくなります。国内避難
民キャンプで、水くみなどの手伝いをする子ど
もたち。水や食料を得ることも簡単でないキャ
ンプ内には、1 年以上学校に通えない子どもた
ちもたくさんいます。
ベロニカちゃん(9 歳)は、紛争で父親を亡く
した一人です。
「ある日お母さんからお父さんが殺されたと言われました。そして、この
国で何が起こっているかを教えてくれました。お父さんを失くした私たちを守るために
お母さんの友だちが家に来ましたが、すぐに、その人は敵をかくまったという疑いがも
たれているとわかり、危険だと知ったお母さんは、私たちを連れて避難民キャンプに逃
げました。その次の日、家にあるものが盗まれ、家はこわされてしまいました」
首都バンギ近くのセント・チャールズ・
ルワンギ避難民キャンプのアルベルティー
ンさん(40 歳)は 9 人の子どもたちのお母
さん。
「以前は小さな商売をしていましたが、
今は手持ちのお金も尽きてしまいました。
食料が手に入らないため、
食事は 1 日 1 回。
子どもたちは毎晩、お腹を空かせたまま眠
りにつきます。近くの学校が閉鎖されてい
るので、子どもたちは誰も学校に行ってい
ません」
。彼女の夫は自宅から紛争を逃れて
避難してきた同キャンプ内で殺害されてし
まいました。
国内避難民キャンプで 9 人の子どもを育てるアルベルティ
ーンさん© Benoit Matsha Carpentier/IFRC
首都バンギの避難民キャンプを管理しているマティアス・ヤジェマイさんは「ここに
は 50 人以上の身寄りのない子どもたちがいます。中には、自分の名前さえわからない子
どもたちもいます」と言います。さらに「不安定な状況下で行動を制限され、逃れてき
た避難民は、支援に頼って生きるしかありません。しかし、それは簡単なことではあり
ません」と続けます。中央アフリカ赤の事業調整員ジーン・ワレグーは、
「私たちは、さ
まざまな方法で紛争の被害を受けている人びとを支援しています。しかし、避難生活が
長引くほど、避難民は脆弱になってしまいます。短期的な支援だけでなく、何カ月も先
を見据えた長期的な支援ができるようにしなければなりません」と語ります。
国連によると 3 月現在、中央アフリカにで人道支援を必要とする人びとは 270 万人に
上ります。
ブアルで行った 428 世帯への物資支援© Gerald Bikombi/
キャンプ内のテントでは、多数の人が1カ所に暮らし、
中央アフリカ赤
プ ラ イ バ シ ー の 保 護 が 難 し い 状 態 で す ©Nelly
Muluka/IFRC
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