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2015 年
赤十字国際ニュース
第 16 号 2015 年 3 月 27 日
( 通巻 第 1101 号 )
日本赤十字社 国際部
東京都港区芝大門 1-1-3 TEL 03-3437-7087 / FAX 03-3435-8509
E-mail:[email protected]
http://www.jrc.or.jp/
南スーダン人道危機 ~日赤の医師と看護師を派遣~
■「アフリカ最長の内戦」の和平合意から 8 年、再び紛争状態へ
ケニア北部ロキチョキオの赤十字戦傷外科病院は、南北スーダン内戦時に、主に現在
の南スーダンの人びとのために赤十字が実際に開設していた病院です。現在公開中の映
画『風に立つライオン』(三池崇史監督、東宝)の中で、大沢たかおさん演じる主人公
の医師と石原さとみさん演じる看護師が赴任し、活動する舞台の一つとなりました。
「アフリカ最長の内戦」ともいわれる南北スーダン内戦。2005 年に包括和平合意が
署名され、その後 2011 年 7 月に南スーダンが独立しました。しかし 2013 年 12 月から、
政治抗争に端を発した民族間の武
力衝突により、南スーダン国内は
再び紛争状態となっています。
政府軍と反政府武装勢力の双方
に重大な国際人道法の違反が認め
られるといわれており、今回の紛
争で数万人が殺され、200 万人が家
を追われ、現在 150 万人が深刻な
食糧不足に直面していると報告さ
れています。
家を追われ国内に留まっている住民のうち、避難民キャンプで暮
らしているのは 4 分の 1 で、4 分の 3 は近隣地域に身を寄せていま
す ⓒMarco Yuri Jimenez Rodriguez/ICRC
■半年間続く雨季が支援をさらに困難に
国際赤十字は南スーダン赤十字社と協力して、ジュバやマラカル、ワウ、ボー、ベン
ティウなどに拠点を置き、住民や避難民に対して、医療、食料と生活必需品、給水・衛
生、離散家族、生活再建などの支援活動を展開しています。また、捕虜収容所への訪問
活動や、政府軍と反政府武装勢力
への国際人道法の普及活動なども
行っています。
南スーダンの国土は日本の約
1.7 倍。道路をはじめとする交通
インフラは非常にぜい弱で、特に
雨季には国内の 3 分の 2 の地域へ
陸路でアクセスできなくなると言
われています。まもなく始まり半
年間続く雨季の前に、できる限り
南スーダンの地図と国際赤十字の活動拠点 ⓒICRC
の支援を届けることが現在求めら
れていますが、政府軍や反政府武
装勢力の検問などが影響し、さら
に住民へのアクセスを難しくして
います。少しでも多くの支援を届
けるため、赤十字は飛行機も活用
して各活動を行っています。
アクセスの難しい地域は医療スタッフや患者
を飛行機で輸送して医療活動を行います ⓒ
Jacob Zocherman/ICRC
■乏しい保健施設、さらに 3 分の 1 が機能不全に
長年にわたった南北スーダン内戦の影響から、人材や施設のインフラが非常に乏しく、
とてもぜい弱な南スーダンの保健システム。さらに今回の紛争により、現在既存の保健
施設の 3 分の 1 が機能していないと報告されています。南スーダンでの妊産婦と 5 歳未
満児の死亡率は世界で最も高く、マラリアをはじめとする感染症やコレラなどの下痢性
疾患による慢性的な脅威に加え、今回の紛争によって銃火器による負傷者や性暴力の被
害者が急増しています。
赤十字はジュバやマラカルなど
の既存の病院に医療スタッフを派
遣して支援しています。また、病院
に自らアクセスできない人びとの
ために移動外科チーム(外科医、麻
酔科医、手術室看護師、病棟看護師)
を編成し、各地を訪れて医療活動を
行っています。
日本赤十字社は来月、熊本赤十字
病院の杉本医師と沖縄赤十字病院
の高尾看護師を現地に派遣します。
ジュバを拠点とした赤十字の移動
外科チームに合流する杉本医師は
「全力で取り組んできます」と意気
込みを語ります。マラカルの医療施
設を支援する高尾看護師は、南北ス
ーダン内戦時には前述のロキチョ
キオの赤十字戦傷外科病院に派遣
されていました。今回は「必要とす
る人びとに少しでも支援を届けら
れるよう、役割を果たしたい」と語
っています。
赤十字国際委員会(ICRC)の医療スタッフの支援を受けながら小児
の看護を行う地元の看護師 ⓒPawel Krzysiek/ICRC
杉本医師(左)と高尾看護師(右)
ⓒ日本赤十字社
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