2015/4/11 国連障害者の権利条約 「国連障害者の権利条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)2006 年採択」 有川研究室の一年を振り返って これからの特別支援教育の研究 について 障害(身体障害、精神障害及び知的障 害)のある人の尊厳と権利を保障するた めの国際的な人権条約 日本は2007年に署名、2014年1月20日、 批准書を国連に提出し、140番目の締約 国となった。 合理的配慮(reasonable accommodation)とは 障害を理由とする差別の解消の推 進に関する法律 「障害者の権利に関する条約」では 平成25年6月19日に可決、成立。平成28年4月1 日から施行。 障害者基本法第四条「差別の禁止」の規定を 「合理的配慮」とは、障害者が他の者と平 等に全ての人権及び基本的自由を享有し、 又は行使することを確保するための必要か つ適当な変更及び調整であって、特定の場 合において必要とされるものであり、か つ、均衡を失した又は過度の負担を課さな いものをいう。 学校教育法施行令の一部改正(平成25年9月) 平成24年7月に公表された「共生社会の 形成に向けたインクルーシブ教育システ ム構築のための特別支援教育の推進」に おける提言を踏まえて改正された。 「認定就学者から、認定特別支援学校就 学者へ」 保護者の意見については、可能な限りそ の意向を尊重しなければならない 具体化する目的。 合理的配慮をしないことは差別にあたる。 公共機関や民間企業に対し、障害を理由 とした不当な差別的取り扱いを禁じ、過 重負担にならない限り、施設のバリアフ リー化を進めるなどの合理的配慮を求め る内容。 「インクルーシブ教育システム」 (inclusive education system) 障害者の権利に関する条約第24条では 「人間の多様性の尊重等の強化」「障害者がそ の人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体 的な能力をその可能な最大限度まで発達させる こと」「障害者が自由な社会に効果的に参加す ることを可能とすること」 障害を理由に障害者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排 除されないこと、自己の生活する地域において 包容され、質が高い初等中等教育の機会が与え られること、個人に必要な「合理的配慮」が提 供されること」等が言われている。 1 2015/4/11 認定就学者と、認定特別支援就学 者って・・・なに1? これまで(平成25年9月まで)は・・・ 特別支援学校 原 則 ( 認 定 例 外 小・中学校 「就学基準」に該当 一 知的発達の遅滞があり、 他人との意思疎通が困難で日 常生活を営むのに頻繁に援助 を必要とする程度のもの 「その他」の者 「就学基準」に該当する者 一 知的発達の遅滞があり、 他人との意思疎通が困難で日 常生活を営むのに頻繁に援助 を必要とする程度のもの 二 知的発達の遅滞の程度が 前号に掲げる程度に達しない もののうち、社会生活への適 応が著しく困難なもの 特別支援学校 ) 小・中学校 原 則 認定就学者と、認定特別支援就学 者って・・・なに2? 学校教育法施行令の一部改正は・・・ 「その他の者」 教育における「合理的配慮」は? 『障害のある子どもが、他の子どもと平 等に「教育を受ける権利」を享有・行使 することを確保するために、学校の設置 者及び学校が必要かつ適当な変更・調整 を行うことであり、障害のある子どもに 対し、その状況に応じて、学校教育を受 ける場合に個別に必要とされるもの』 「学校の設置者及び学校に対して、体制 面、財政面において、均衡を失した又は 過度の負担を課さないもの」 認 定 二 知的発達の遅滞の程度が 前号に掲げる程度に達しない もののうち、社会生活への適 応が著しく困難なもの 時代の変換へ 「障害者」であるかどうかの問題から、 共生社会の実現へと大きく舵を切ってい る。 当然、研究も従来のものと合わせ、障害 者以外の「その他」の者達が、障害者と 共に暮らす方略を探求する必要がある。 文部科学省(2012)共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育シ ステム構築のための特別支援教育の推進(報告)より 26年度の有川研究室の取り組み 出生前診断に対する学生の意識 3つの研究について 命と「障害」について 2 2015/4/11 尺度の作成 調査内容 予備調査は,N大学Iキャンパスの学生と家族 39名に出生前診断の賛否について自由記述式 のアンケートを行い,その結果をもとに15の 質問項目で構成された調査用紙を作成した。 この調査用紙を用いて,N大学の学生213名に 対し無記名式質問紙調査法を用い,5件法によ る回答を求めた。 調査用紙回収後,15の質問項目の因子構造を 検討するため,因子分析を行った。 実験手続き N大学教育学部に在籍する学生120名であった。 2.実験期間 201X年11月に実施した。 3.実験内容 ,被実験者を60名ずつ無作為に1群,2群に分けた 質問紙回答後,1群は実験群であり,出生前診断に関する ドキュメンタリービデオ(「NHKスペシャル~出生 前診断その時夫婦は~」)を視聴した。2群は対照群で あり,出生前診断に直接関係しないドキュメンタリービ デオ(「花子」)を視聴した。ドキュメンタリービデ オ視聴後に,再び出生前診断に関する質問紙への回答を 求めた。 5.分析方法 各群において,因子分析により抽出された各因子から設 定された4つの尺度について,それぞれの尺度得点を算 出し,それを用いて,各尺度間の差についてt検定を行っ た。 ビデオ視聴前後の変化2 ビデオ視聴前・後の変化1 「障害」という言葉のもつ意味 障害者アートから見る「障害」 3 2015/4/11 尺度の作成 調査内容 「障害者が作った絵や作品に対して,どのような絵を 思い浮かべ,その絵にどのようなイメージや特徴を 持っていると考えるか」,「アーティストが作った絵 や作品に対して,どのような絵を思い浮かべ,その絵 にどのようなイメージや特徴を持っていると考える か」の2つの質問に対し,自由記述式のアンケートを 行った。 自由記述式のアンケートを実施した結果を基に,KJ 法を用いて項目を「福祉的な視点」「芸術的な視点」 に整理,統合を行った。 この調査用紙を用い,A大学の学生,教職員210名を対 象に無記名式質問紙調査法を用い回答してもらった。 実験刺激の例 対象 A大学の学生109名(教育学部学校教員養成 課程学校教育コース特別支援教育専修30名, 教育学部49名,他学部28名,その他2名) である。 実験群・対照群の配置 本実験ではスライドAとスライドBの2種類 の実験刺激を使用するため,被験者109名を スライドAは55名,スライドBは54名に無 作為割り付けを行った。 特別支援学校の生徒の作品 情報あり群 情報なし群 美術科の学生の作品 4 2015/4/11 障害者に関わる側への介入に 関する研究 障害者を変えるから、周囲が変わる 教育学部1年生 A、B氏 参加者は,N大学K学部T専修に在籍する 大学1年生の女性A氏とB氏であった。両者 ともに,小学校または中学校に特別支援 学級在籍の子はいたが,関わった経験は ほとんどなかった。 Cさん 介入 知的障害のある24歳、成人女性。 24歳8ヶ月時に行ったVineland-Ⅱ適応行動尺 学生参加者A、B氏にCさんのコミュニケー ションの特徴や、関心の高い話題につい てまとめたコミュニケーションテキスト を作成し渡した。 黄(2002)をもとに全発話数を分類しデータ とした。 度の結果(各領域の相当年齢)は,受容言語 は2歳4ヶ月,表出言語は1歳10ヶ月,読み書 きは5歳,身辺自立は3歳9ヶ月,家事は3歳 4ヶ月,地域生活は2歳1ヶ月,対人関係は2 歳,遊びと余暇は2歳4ヶ月,コーピングスキ ルは5歳9ヶ月であった。なお,運動スキルの 2領域については基準をクリアしていた。コ ミュニケーションは,話すことが主であるが 身振りも交えて行っていた。 5 2015/4/11 有川研究室 E-Mail : [email protected] Twitter: https://twitter.com/aripiyon Facebook :https://www.facebook.com/arikawa.hiroyuki HP: http://aric han nel .jp/ 6
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