肝動脈塞栓術の治療成績と適応 - e-CLINICIAN

得
ら
れ
に
く
い
。
局
所
制
御
効
果
の
向
上
を
目
的
に
門
単
に
動
脈
を
塞
栓
す
る
だ
け
で
は
腫
瘍
の
完
全
壊
死
は
︵
残
存
︶
に
は
門
脈
血
流
が
多
分
に
関
与
し
て
お
り
、
(2
2
2)
古
典
的
肝
癌
は
動
脈
血
で
栄
養
さ
れ
て
い
る
。
一
方
、
T
A
E
の
理
論
れ
て
い
る
。
以
上
の
よ
う
に
、
T
A
E
後
の
局
所
再
発
方
向
が
逆
転
し
、
栄
養
血
管
と
な
る
可
能
性
も
示
唆
さ
腫
瘍
辺
縁
部
の
門
脈
枝
が
、
動
脈
血
流
遮
断
時
に
血
流
世
界
中
で
最
も
多
く
行
わ
れ
て
い
る
治
療
法
で
あ
る
。
に
対
す
る
有
効
な
治
療
法
の
一
つ
と
し
て
広
く
普
及
し
、
り
報
告
さ
れ
て
以
来
、
切
除
不
能
な
肝
細
胞
癌
︵
肝
癌
︶
す
る
。
ま
た
通
常
は
肝
癌
の
導
出
血
管
と
な
っ
て
い
る
断
の
み
で
は
壊
死
を
免
れ
、
経
過
中
に
増
大
し
顕
著
化
浸
潤
部
は
門
脈
か
ら
も
栄
養
さ
れ
て
お
り
、
動
脈
の
遮
癌
の
高
分
化
な
腫
瘍
部
分
や
、
古
典
的
肝
癌
の
被
膜
外
肝
動
脈
塞
︶ 栓
は 術
1 ︵
9
7
7
年
に
は
じ
め
に
Transcatheter arterial emboli-
背
景
肝
は
動
脈
と
門
脈
の
二
重
支
配
で
あ
り
、
動
脈
血
Yamada
流
を
遮
断
す
る
こ
と
で
肝
実
質
を
あ
ま
り
障
害
せ
ず
に
zation : TAE
肝
癌
の
み
を
壊
死
に
陥
ら
せ
る
こ
と
が
で
き
る
と
い
う
ら1)
に
よ
E
後
の
局
所
再
発
は
決
し
て
少
な
く
な
い
。
早
期
の
肝
の
が
T
A
E
の
理
論
で
あ
る1)
。
し
か
し
な
が
ら
、
T
A
肝
動
脈
塞
栓
術
の
治
療
成
績
と
適
応
宮
山
士
朗
CLINICIAN ’08 NO. 566
80
し
、
被
膜
の
な
い
塊
状
型
や
び
ま
ん
型
の
腫
瘍
で
の
治
で
き
る
、
極
め
て
適
応
の
広
い
治
療
法
で
あ
る
。
し
か
態
や
腫
瘍
の
状
況
に
応
じ
て
治
療
範
囲
や
強
度
を
調
節
ラ
チ
ン
も
使
用
さ
れ
始
め
て
い
る
。
わ
れ
わ
れ
は
孤
立
一
般
的
で
あ
る
が
、
近
年
で
は
抗
癌
剤
と
し
て
シ
ス
プ
を
注
入
後
に
ゼ
ラ
チ
ン
ス
ポ
ン
ジ
で
塞
栓
す
る
方
法
が
ピ
オ
ド
ー
ル
と
エ
ピ
ル
ビ
シ
ン
な
ど
の
抗
癌
剤
混
合
液
用
い
た
T
A
E
が
ス
タ
ン
ダ
ー
ド
と
な
っ
て
い
る
。
リ
区
域
塞
栓
術
の
開
発
以
来
、
マ
イ
ク
ロ
カ
テ
ー
テ
ル
を
場
合
で
あ
る
。
腫
瘍
個
数
に
は
制
限
が
な
く
、
全
身
状
以
上
、
難
治
性
腹
水
や
脳
症
な
ど
肝
不
全
状
態
に
あ
る
T
A
E
ら4)の
や 方
法
ら5)
に
よ
る
区
域
塞
栓
術
や
亜
CLINICIAN ’08 NO. 566
門
脈
本
幹
閉
塞
例
、
血
清
総
ビ
リ
ル
ビ
ン
値
3
"
/
dL
手
術
不
能
な
古
典
的
肝
癌
が
適
応
と
な
る
。
禁
忌
は
T
A
E
の
適
応
し る
つ た
つ め
あ 、
る3)R
。 F
A
の
前
処
置
と
し
て
の
適
応
も
一
般
化
A
で
の
焼
灼
範
囲
の
拡
大
や
播
種
の
リ
ス
ク
が
減
少
す
栓
術
へ
と
発
展
し
た
。
こ
の
技
術
は
そ
の
後
の
亜
区
域
塞
栓
術
や
超
選
択
的
塞
注
入
す
る
こ
と
で
肝
壊
死
が
生
じ
る
こ
と
を
報
告
し
、
で
あ
る
リ
ピ
オ
ド
ー
ル
を
門
脈
枝
が
描
出
さ
れ
る
ま
で
れ
る
こ
と
も
多
い
。
T
A
E
を
先
行
す
る
こ
と
で
R
F
場
合
で
も
、
再
発
病
変
に
対
し
て
は
T
A
E
が
施
行
さ
発
し
や
す
く
、
初
回
は
手
術
や
R
F
A
で
治
療
さ
れ
た
っ
て
も
T
A
E
で
加
療
さ
れ
て
い
る
。
ま
た
肝
癌
は
再
そ
の
中
で
脈
も
同
時
に
塞
栓
す
る
ら2)種
は 々
、 の
動 方
脈 法
か が
ら 考
油 案
性 さ
造 れ
影 た
剤 が
、
Nakamura
療
効
果
は
乏
し
く
、
動
注
化
学
療
法
な
ど
他
の
治
療
法
Matsui
81
が
優
先
さ
れ
る
。
切
除
や
ラ
ジ
オ
波
焼
灼
術
︵
Uchida
frequency ablation : RFA
性
あ
る
い
は
5
個
程
度
の
腫
瘍
の
場
合
は
、
2
F
以
下
︶
に
比
べ
て
局
所
再
発
率
Radio-
が
高
い
た
め
に
、
肝
癌
治
療
ガ
イ
ド
ラ
イ
ン
で
は
腫
瘍
奨
さ
れ
て
い
る
が
、
実
際
に
は
よ
り
小
さ
な
腫
瘍
で
あ
径
3
!
以
上
、
個
数
4
個
以
上
の
場
合
に
T
A
E
が
推
(2
2
3)
A:CT にて肝右葉に腫瘍を認める(矢印)
。B:右動脈では腫瘍
は A6の1枝より栄養されている(矢印)
。C:TAE 中に門脈枝
が高度に描出された。D:1年後の CT にて腫瘍には高濃度のリ
ピオドール集積を認め、再発を認めない。また周囲肝実質に梗塞
を認める。
て
の
効
果
に
期
待
す
る
と
い
う
の
が
一
般
的
で
あ
る
。
瘍
で
は
動
脈
門
脈
同
時
塞
栓
に
よ
る
存
在
が
明
ら
か
な
場
合
に
の
み
施
行
し
、
限
局
効 し
と 果 た
し を 腫
目
指
し
、
進
行
例
で
は
ablation
欧
米
で
は
化
学
療
法
と
し
て
の
認
識
か
ら
定
期
的
に
施
drug delivery system
︵ 行
さ
れ
る
こ
︶ と
や が
β 多
線 く
を 、
発
生
す
る
Y microsphere
(2
2
4)
な
ど
、
本
邦
で
は
入
手
で
き
な
い
塞
栓
物
質
が
使
用
さ
99
ら1)
の
報
告
で
の
1
年
生
存
れ
始
め
て
い
る
。
doxorubicin-coated bead
Yamada
T
A
E
の
治
療
成
績
DC bead
1
9
8
3
年
の
邦
で
の
T
A
E
に
対
す
る
考
え
方
は
、
画
像
で
腫
瘍
の
外
側
副
路
は
可
能
な
限
り
検
索
し
塞
栓
し
て
い
る
。
本
枝
内
に
リ
ピ
オ
ド
ー
ル
が
流
入
す
る
ま
で
注
入
す
る
、
梢
ま
で
カ
テ
ー
テ
ル
を
挿
入
す
る
、
塞
栓
領
域
の
門
脈
亜
区
域
塞
栓
術
と
の
相
違
点
は
、
亜
々
区
域
枝
よ
り
末
E
を
分
割
し
て
施
行
す
る
。
ま
た
い
ず
れ
の
場
合
も
肝
E
の
適
応
は
な
く
、
左
右
肝
動
脈
レ
ベ
ル
か
ら
の
T
A
両
葉
に
多
数
の
腫
瘍
を
認
め
る
場
合
に
は
選
択
的
T
A
︵ の
マ
イ
ク
ロ
カ
テ
ー
テ
︶ ル
を を
施 用
行 い
し た
て 超
い 選
る6)択
。 的
本 塞
法 栓
と 術
Ultraselective TAE
!小肝癌に対する超選択的塞栓術
て
塞
栓
す
る
、
な
ど
の
点
で
あ
る
︵
図
!
︶
。
し
か
し
、
CLINICIAN ’08 NO. 566
0
・
2
"
程
度
の
細
か
い
ゼ
ラ
チ
ン
ス
ポ
ン
ジ
を
用
い
82
!TAE 時の門脈描出の程度と局所再発の関係
︶
の
3
段
階
に
分
類
し
︶
、
塞
栓
領
域
全
体
あ
る
い
は
そ
で
の
描
出
︵
描
出
の
程
度
を
、
描
出
な
し
︵
︶
、
腫
瘍
周
囲
枝
の
描
出
と
局
所
制
御
効
果
の
関
係
に
着
目
し
、
門
脈
進
歩
し
た
。
わ
れ
わ
れ
は
超
選
択
的
塞
栓
術
中
の
門
脈
局 R
所
再 C
発 T
率 を
38 用
% い
と た
、 T
T A
A E
E で
の は
治 3
療 年
成 生
績 存
は 率
急 77
速 %
に 、
の
Takayasu
CLINICIAN ’08 NO. 566
れ
を
超
え
た
描
出
︵
Grade0
で
は で
4
32
年 %
間 、
で
8
4
%
に で
再3
7
検
討
し
た
と
こ
ろ
、
5
"
以
下
の
腫
瘍
で
の
4
年
間
で
Uchida
の
局
所
再
発
率
は
−
%
で
あ
っ
た
が
、
Grade1
発
を
認
め
た
︵
図
!
︶
。
リ
ピ
オ
ド
ー
ル
が
門
脈
枝
内
Grade1
と
判
の 定
中 さ
に
十
分
流
入
し
た
場
合
に
は
良
好
な
局
所
制
御
効
果
が
Grade2
得
ら
れ
る
こ
と
が
判
明
し
た
が
、
Grade2
れ
た
腫
瘍
は
全
体
の
4
6
%
し
か
な
く
、
Grade0
83
栓 に
な は
ど 過
に 度
よ の
る カ
技 テ
術 ー
的 テ
不 ル
成 挿
功 入
も に
含 よ
ま る
れ6)空
、 気
全 塞
体 栓
の や
成 血
Grade2
Grade2
と
な
る
腫
瘍
を
増
加
績
は
以
前
の
報
告
よ
り
や
や
改
善
し
た
に
止
ま
っ
た
。
Grade0
治
療
成
績
の
向
上
に
は
ら5)術 率
の で は
4 の 44
" 3 %
以 年 、
下 生 1
の 存 9
腫 率 9
瘍 は 0
に 67 年
対 % の
す 、
る 1
亜 9
区 9
域 3 ら4)
塞 年 の
栓 の 区
域
術
塞
で
は
栓
Matsui
2
0
0
2.
1
0∼2
0
0
6.
6に治療した5cm 以下の2
3
1病変での TAE 時の門脈描
出の程度と局所再発の関係
4
年
生
存
率
67
%
、
局
所
再
発
率
33
%
、
2
0
0
1
年
ら7)
の
5
"
以
下
の
腫
瘍
に
対
す
る
I
V
(2
2
5)
!Cone-beam CT を用いた超選択的塞栓術
A:CT にて肝左葉内側区の TAE と RFA で加療した腫瘍に再発
を認める(矢印)
。B:右前斜位の総肝動脈造影で細い栄養血管
と(矢印)
、淡い腫瘍の染まりを認める(矢頭)
。C:スポット撮
影正面像。栄養血管を選択し TAE を施行した。D:手技中の conebeam CT でほぼ腫瘍部のみにリピオドールが注入されていること
が確認できる。
1)文
献
∼
∼
(2
2
6)
︵
福
井
県
済
生
会
病
院
放
射
線
科
部
長
︶
す
る
と
確
信
し
て
い
る
。
し
て
い
く
こ
と
が
、
肝
癌
患
者
の
予
後
の
延
長
に
直
結
る
。
よ
り
低
侵
襲
で
効
果
的
な
T
A
E
を
目
指
し
努
力
い
、
今
後
T
A
E
の
需
要
は
さ
ら
に
高
ま
る
と
思
わ
れ
高
齢
の
肝
癌
患
者
の
増
加
や
加
療
期
間
の
延
長
に
伴
お
わ
り
に
小 の
さ み
な を
栄 用
養 い
血 て
管 超
の 選
見 択
逃 的
し 塞
に 栓
よ 術
る を
再 行
発 っ
も て
経 き
験 た
し た
た6)め
。 、
が
求
め
ら
れ
る
。
ま
た
わ
れ
わ
れ
は
当
初
D
S
A
装
置
さ
せ
る
こ
と
が
重
要
で
あ
り
、
こ
れ
に
は
手
技
の
熟
成
歩
に
よ
り
治
療
成
績
の
さ
ら
な
る
向
上
が
期
待
さ
れ
る
。
に
塞
栓
領
域
の
確
認
が
可
能
と
な
っ
た
︵
図
!
︶
。
こ
A
装
置
で
の
の
よ
う
な
最
新
技
術
の
導
入
、
器
具
や
塞
栓
物
質
の
進
CLINICIAN ’08 NO. 566
cone-beam CT
Yamada, R., et al. : Hepatic artery embolization in 120
patients with unresectable hepatoma. Radiology, 148,
397 401(1983)
Nakamura, H., et al. : Treatment of hepatocellular
carcinoma by segmental hepatic artery injection of
adriamycin-in-oil emulsion with overflow to segmental
portal veins. Acta. Radiol., 31, 347 349(1990)
2)
現
在
は
フ
ラ
ッ
ト
パ
ネ
ル
デ
テ
ク
タ
を
搭
載
し
た
D
S
技
術
に
よ
り
、
手
技
中
84
Yamakado, K., et al. : Radiofrequency ablation combined with chemoembolization in hepatocellular
carcinoma : treatment response based on tumor size and
morphology. J. Vasc. Interv. Radiol., 13, 1225 1232
(2002)
Uchida, H., et al. : Transcatheter hepatic segmental
arterial embolization using Lipiodol mixed with an
anticancer drugs and Gelfoam particles for
hepatocellular carcinoma. Cardiovasc. Intervent. Radiol.,
13, 140 145(1990)
Matsui, O., et al. : Small hepatocellular carcinoma :
treatment with subsegmental transcatheter arterial
embolization. Radiology, 188, 79 83(1993)
Miyayama, S., et al. : Ultraselective transcatheter
arterial chemoembolization using a 2-F tip microcatheter for small hepatocellular carcinomas :
relationship between local tumor recurrence and
visualization of the portal vein with iodized oil. J. Vasc.
∼
∼
∼
Interv. Radiol., 18, 365 376(2007)
Takayasu, K., et al. : Targeted transarterial oily
chemoembolization for small foci of hepatocellular
carcinoma using a unified helical CT and angiography
system : analysis of factors affecting local recurrence
∼
and survival rates. AJR Am. J. Roentogenol., 176, 681
688(2001)
(2
2
7)
CLINICIAN ’08 NO. 566
85
3)
4)
5)
6)
7)
∼