今回は栄養不良についてです 栄養不良の 2 つの原因 1・飢餓:絶対的栄養不良・・・・・慢性栄養不良(Marasumus) →糖・脂肪・蛋白の順に分解(異化)して必要なエネルギーを得る →貯蔵脂肪(皮下脂肪・内臓脂肪)は減少し、筋は萎縮する。 るいそう状態。筋力は低下するが、循環機能・免疫機能は比較的 保たれる。言い方を変えればバランスよく痩せる。 2・侵襲:相対的栄養不良・・・・急性栄養不良(Kwashiorkor) →様々な疾患・手術により代謝が亢進し栄養必要量が増加した状態 →全体のエネルギー必要量が増大するが、特に免疫・組織修復に多く のタンパクを必要とし、タンパク不足が主体となる →血清タンパク・免疫タンパクが減少し、浮腫・腹水・免疫能低下・ 心不全が出現する。 「医原性栄養不良」はこの型が多い 生体の構成成分 脂肪体重(FBM) エネルギー貯蔵組織 大きく喪失しても 生体機能への影響は 少ない 脂肪 100% 骨格筋 90% 内臓蛋白 80% 70% 血清蛋白 60% 50% 徐脂肪体重(LBM) 生体機能維持組織 少しの喪失でも生体 機能への影響が大きい 細胞外液 40% 平滑筋 30% 20% 10% 0% 1 lbmの求め方(計算式) lbm=体重―(体重×{体脂肪率÷100}) 例)Aさん 身長 160cm 体重 50kg 体脂肪率 32% lbm=50-(50×0.32)→50-16・・・・lbm=34kg LBMの減少と合併症・死亡率 LBM減少率(%) 合併症 死亡率(%) 1段階:10 免疫力減少・感染リスク増加 10 2 段階:20 治癒遅延・衰弱・感染 30 3 段階:30 寝たきり・創傷治癒不能・褥瘡・肺炎 50 4 段階:40 死亡(主に肺炎が原因) 100 * lbmは男性では 15%、女性では 25%が標準だといわれています。それ以下は何 らかの合併症が起こりやすいといえます。当院の患者様は高齢であり、予備力も落 ち、栄養不良から1~3 段階が同時に発症するケースも少なくありません。同時で HELP ME! はなくても、坂を転 げるように 3 段階まで落ちます。 低栄養の自然経過を上の表に示していますが、lbmの 15%減少が続くと細胞免疫能 の低下が生じ、30%減少すると歩行困難となり、40%減少すると座位保持困難とな ります。さらに45%減少では褥瘡が生じ、50%以上では生命の危険性があります。 思い当たる経過を辿った患者さんがいませんか?早期に関わる事が何よりも大事なん です。早期に関わることで、治療費の削減・早期退院・ベッド稼働率のアップにつなが ります。今年は介入基準を見直して、早期に関われるよう考えています。そして、栄養 不良は死に至ることもあることを認識しましょう。医原性栄養不良を作らない、そんな 気持でNST活動に取り組んでいます。 NST委員会
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