人口以外の保健統計

人口以外の保健統計
講義40 甲田
1
GIO
• 生命表と平均寿命について理解すると共に、
種々の傷病統計を知る。
2
SBO
1.生命表の諸関数と平均寿命について説明で
きる。
2.国民生活基礎調査の方法と結果の概要を説
明できる。
3.患者調査の方法と結果の概要を説明できる。
4.その他の主要な保健統計の名称を列挙でき
る。
3
集団の平均寿命を知りたい
4
平均寿命の計算1
世代生命表（コホート生命表）より求める。
ある年の出生集団（cohort, ある世代の集団）を、その
全員が死亡するまで観察し、全員の生存期間からもと
める。
ヒトでは百年を越える観察期間を必要とする。
コホート研究：ある集団を調査・研究の終了するまで観
察する研究手法。
生命表作成に必要な期間は？
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平均寿命の計算2
現状生命表より求める
年齢階級別
死亡率
特定集団の現状の死亡状況が、将来も変化が無く
継続すると「仮定」して、その集団の死亡減少の状
態を表す生命表。
即時性と短期の観察で行えるので、一般に、生命
表といえば、
「現状生命表」のこと
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現状生命表
•
•
•
•
同時に生まれた者10万人
当該年の年齢別死亡率に従って死亡し
死亡率の現状は不変と仮定すると
その10万人が年々減少して最終的に0になる
までの過程の全体像がわかる
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各年齢の人口は一定：定常人口
② 1年後は0歳における死亡率で生存数が減少
③ 2年後は1歳における死亡率で生存数が減少
④ Ｘ年後のＸ歳における生存数 lx
人
口
0歳 1歳 2歳
① 毎年10万人が出生
Ｘ歳
生命表諸関数
死亡率
生存率
生存数
死亡数
定常人口
平均余命
平均寿命
寿命中位数
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死亡率
ｑｘ
• X歳に達した者がX＋1歳に達する前に死亡
する確率。
• 死亡率が年齢階級別にわかれば生命表は作
成できる。
10
死亡率、男性
S22
幼児死亡率
が高かった
S22の高齢者の
死亡率はH22と
差が少ない
H22
幼児死亡率
が減少
11
生存率
px
X歳に達した者がX＋１歳に達するまで生存
する確率。
px = 1 - qx
死亡
率
12
死亡数
ｄｘ
X歳における生存者（ｌｘ）のうち、X+1歳に達し
ないで死亡すると期待される者の数
ｄｘ＝ lx × qx
死亡
率
13
死亡数、男性
H22年
老人に多い
S22年
乳幼児に多い
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生存数ｌｘ
出生したｌ0（10万人）が前述の年齢階級別死
亡率で死亡していく場合、X歳に達するまで
生存する人の数
lx+1 = lx - dx
15
生存数、男性
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定常人口
• 毎年同時に10万人の出生
• 年齢階級別死亡率が不変
• 人口ピラミッドは一定の形に収束（定常状態）
• x歳以上定常人口：Tx
•
= x歳における生存数 lxが全員死亡するまで
の年数の和
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平均余命 êx = Tx / lx
Tx=x歳以上の
定常人口
Tx＝個人の余命の総和
lx
余命
lx
18
② 1年後は0歳における死亡率で生存数が減少
③ 2年後は1歳における死亡率で生存数が減少
④ Ｘ年後のＸ歳における生存数 lx
この人々の余命は0年
人
口
この人々の余命は1年
この人々の余命は2年
Ｘ歳
0歳 1歳 2歳
① 毎年10万人が出生
Ｘ歳以上の定常人口 Tx
Ｘ歳の人々の平均余命＝Tx÷lx
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平均余命、男性
平均余命の
逆転の理由は?
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平均寿命
０歳における平均余命
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寿命中位数
出生者のうちちょうど半数が生存し、半数が
死亡すると期待される年数
平均寿命とどちらが長い？
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平均寿命の延びと寿命中位数の延び
平均寿命の延びに比べて
寿命中位数の延びは少ない
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日本の生命表
完全生命表 ( Complete Life Table )
５年毎の国勢調査の確定人口と人口動態統計の
死亡数から死亡率を得て作成
第21回生命表（平成22年）が公開済み
簡易生命表 ( Abridged Life Table )
推計人口を用いて作成
毎年公開される（平成25年簡易生命表、厚生労働
省のHP参照）
国勢調査による人口を基に、
その後の出生・死亡・転出・転
入を加減して算出
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第21回生命表（平成22年）男
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H26の平均寿命は、
男80.50年、女86.63年
27
28
• 40歳まで生存：
S40年頃まで増加
• 90歳まで生存：
S50年以降に増加
• 65歳まで生存する人
の割合：
男88.4％、女94.0％
• 90歳まで生存する人
の割合：
男24.1％、女48.3％
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種々の傷病統計
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国民生活基礎調査
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国民生活基礎調査
•
•
•
•
国民健康調査（S28-）
国民生活実態調査（S37-）
保健衛生基礎調査（S38-）
厚生行政基礎調査（S28-）
• S61に一本化し拡充したもの
• 厚生労働省が実施、抽出調査
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国民生活基礎調査
• 3年毎に健康調査項目を含む大規模調査
• 2年間は世帯構成や所得など小規模調査
• 健康調査項目としては、自覚症状、主観的な
健康状態、通院状況、生活への影響
• 平成19年、22年、25年は大規模調査年
• 国民の側の調査（調査票に世帯員が記入）
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有訴者の状況
• 有訴者率：病気やけがで自覚症状のある者
の割合。
• 人口千対312
• 年齢が高くなって上昇する
• 10-19歳が最も低い
• 腰痛・肩こり・手足の関節痛が多い
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35
性別にみた有訴者率の上位５症状
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通院者の状況
•
•
•
•
傷病で通院している者
人口千対370
10～19歳が最も低い
高血圧症・腰痛症・肩こり・むし歯が多い
37
38
性別にみた通院者率の上位５傷病
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悩みやストレス
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患者調査
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患者調査
• 実際に医療機関を受診した人の数や原因疾
患、入院患者数、在院日数など
• 医療機関の利用状況から国民の健康状態を
患者の調
把握
査ではな
• 医療機関の側の調査
い！
• 厚生労働省が実施
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対象と方法
• 層化無作為抽出された医療施設
• 3年に1度調査
• 10月の指定した1日における外来又は入院
中の患者と、同年9月中の退院患者について
• 医療施設管理者が回答する
例）Ｈ23年度は10月18日
から20日のうちの
医療機関ごとに指定した1日
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受療状況：推計患者数
H23は134万人
入院
(単位:千人)
1600
H23は726万人
外来
(単位:千人)
8000
総数
7000
1400
総数
病院
1200
6000
1000
5000
800
4000
600
3000
一般診療所
病院
2000
400
一般診療所
200
1000
歯科診療所
0
0
40
昭和･･年
45
50
55
59
62 2 5
平成･年
8
11 14 17 20
40
昭和･･年
45
50
55
59
62 2 5
平成･年
8
11 14 17 20
注：診療所の調査の期日については、平成17年から休診の多い木曜日を除外した。
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75-84歳
でピー
ク
乳幼児
で高い
年齢とと
もに上昇
45
入院受療率
が高いのは？
外来受療率
が高いのは？
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受療状況のまとめ
• 推計患者数：入院134万人、外来726万人
• 入院受療率：10-14歳最低、年齢と共に上昇
精神疾患、循環器（脳血管）系疾患
• 外来受療率：男は80-84歳、女は75-79歳で最高
消化器(歯科)、筋骨格系疾患、
循環器、呼吸器が高い
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入院患者の重症度等の状況
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その他の衛生統計
• 感染症発生動向調査-----厚労省・感染症法
• 食中毒統計-----------------厚労省・食品衛生法
• がん登録----------厚労省・がん登録等の推進に関
する法律
• 脳卒中登録-----------------自治体等・健康増進法
• 国民健康・栄養調査------厚労省・健康増進法
• 学校保健統計調査--------文科省・学校保健法
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形成評価試験
1. 平均寿命はある年の死亡者の年齢の平均から求める。
2. 平均余命はｘ歳の者のその後の生存年数の期待値である。
3. 我が国の女性の平均寿命は85歳を超えている。
4. 国民生活基礎調査の大規模調査は健康調査項目を含む。
5. 国民生活基礎調査は国勢調査と同時に行われる。
6. 国民生活基礎調査では有訴者率がわかる。
7. 国民生活基礎調査では通院者率がわかる。
8. 患者調査の回答者は入院および外来患者である。
9. 入院受療率が高いのは精神疾患である。
10. 脳卒中登録の実施主体は厚生労働省である。
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