人口以外の保健統計 講義42 甲田 1 このスライドはインターネット上に 公開するため、講義で用いたスラ イドから著作権等に関わる内容を 削除してあります。もし講義で用 いたスライドを閲覧したい場合は 、個別に申し出て下さい。 2 GIO • 生命表と平均寿命について理解すると共に、 種々の傷病統計を知る。 3 SBO 1.生命表の諸関数と平均寿命について説明で きる。 2.国民生活基礎調査の方法と結果の概要を説 明できる 。 3.患者調査の方法と結果の概要を説明できる 。 4.その他の主要な保健統計の名称を列挙でき る。 4 集団の平均寿命を知りたい 5 マウスの生存曲線 平均寿命の計算に必要な期間は？ Exercise Sedentary DR DR+Exercise 平均寿命の計算方法は？ Holloszy et al., 1997 6 平均寿命の計算1 世代生命表（コホート生命表）より求める。 ある年の出生集団（cohort, ある世代の集団）を、その 全員が死亡するまで観察し、全員の生存期間からもと める。 ヒトでは百年を越える観察期間を必要とする 。 コホート研究：ある集団を調査・研究の終了するまで観 察する研究手法。 生命表作成に必要な期間は？ 7 平均寿命の計算2 現状生命表より求める 年齢階級別 死亡率 特定集団の現状の死亡状況が、将来も変化が無く 継続すると「仮定」して、その集団の死亡減少の状 態を表す生命表。 即時性と短期の観察で行えるので、一般に、生命 表といえば、 「現状生命表」のこと 8 現状生命表 • • • • 同時に生まれた者10万人 当該年の年齢別死亡率に従って死亡し 死亡率の現状は不変と仮定すると その10万人が年々減少して最終的に0になる までの過程の全体像がわかる 9 年齢階級別死亡率がわかると生存曲線の全体 像がわかる 10 全体像の例（生存数、男性） 11 生命表諸関数 死亡率 生存率 生存数 死亡数 定常人口 平均余命 平均寿命 寿命中位数 12 死亡率 ｑｘ • X歳に達した者がX＋1歳に達する前に死亡 する確率。 • 死亡率が年齢階級別にわかれば生命表は作 成できる。 13 死亡率、男性 S22 幼児死亡率 が高かった S22の高齢者の 死亡率はH22と 差が少ない H22 幼児死亡率 が減少 14 生存率 px X歳に達した者がX＋１歳に達するまで生存 する確率。 px = 1 - qx 死亡 率 15 死亡数 ｄｘ X歳における生存者（ｌｘ）のうち、X+1歳に達し ないで死亡すると期待される者の数 ｄｘ＝ lx × qx 死亡 率 16 死亡数、男性 H22年 老人に多い S22年 乳幼児に多い 17 生存数 ｌｘ 出生したｌ0（10万人）が前述の年齢階級別死 亡率で死亡していく場合、X歳に達するまで 生存する人の数 18 19 定常人口 • 毎年同時に10万人の出生 • 年齢階級別死亡率が不変 • 人口ピラミッドは一定の形に収束（定常状態） • x歳以上定常人口：Tx • = x歳における生存数 lxが全員死亡するまで の年数の和 20 Tx x歳における生存数 lxが全員死亡するまで の年数の和 21 平均余命 Tx=x歳以上の 定常人口 êx = Tx / lx Tx＝個人の余命の総和 lx 余命 lx 22 平均余命、男性 平均余命の 逆転 の理由は? 23 平均寿命 ０歳における平均余命 24 寿命中位数 出生者のうちちょうど半数が生存し、半数が 死亡すると期待される年数 平均寿命とどちらが長い？ 25 平均寿命の延びと寿命中位数の延び 平均寿命の延びに比べて 寿命中位数の延びは少ない 26 日本の生命表 完全生命表 ( Complete Life Table ) ５年毎の国勢調査の確定人口と人口動態統計の 死亡数から死亡率を得て作成 第21回生命表（平成22年）が公開済み 簡易生命表 ( Abridged Life Table ) 推計人口を用いて作成 毎年公開される（平成25年簡易生命表、厚生労働 省のHP参照） 27 第21回生命表（平成22年）男 28 H25の平均寿命は、 男80.21年、女86.61年 29 30 • 40歳まで生存： S40年頃まで増加 • 90歳まで生存： S50年以降に増加 • 65歳まで生存する人 の割合： 男88.8％、女93.9％ • 90歳まで生存する人 の割合： 男23.1％、女47.2％ 31 種々の傷病統計 32 国民生活基礎調査 33 国民生活基礎調査 • • • • 国民健康調査（S28-） 国民生活実態調査（S37-） 保健衛生基礎調査（S38-） 厚生行政基礎調査（S28-） • S61に一本化し拡充したもの • 厚生労働省が実施、抽出調査 34 国民生活基礎調査 • 3年毎に健康調査項目を含む大規模調査 • 2年間は世帯構成や所得など小規模調査 • 健康調査項目としては、自覚症状、主観的な 健康状態、通院状況、生活への影響 • 平成19年、22年、25年は大規模調査年 • 国民の側の調査（調査票に世帯員が記入） 35 有訴者の状況 • 有訴者率：病気やけがで自覚症状のある者 の割合。 • 人口千対312 • 年齢が高くなって上昇する • 10-19歳が最も低い • 腰痛・肩こり・手足の関節痛が多い 36 37 性別にみた有訴者率の上位５症状 38 通院者の状況 • • • • 傷病で通院している者 人口千対370 10～19歳が最も低い 高血圧症・腰痛症・肩こり・むし歯が多い 39 40 性別にみた通院者率の上位５傷病 41 悩みやストレス 42 患者調査 43 患者調査 • 実際に医療機関を受診した人の数や原因疾 患、入院患者数、在院日数など • 医療機関の利用状況から国民の健康状態を 患者の調 把握 査ではな • 医療機関の側の調査 い！ • 厚生労働省が実施 44 対象と方法 • 層化無作為抽出された医療施設 • 3年に1度調査 • 10月の指定した1日における外来又は入院 中の患者と、同年9月中の退院患者について • 医療施設管理者が回答する 例）Ｈ23年度は10月18日 から20日のうちの 医療機関ごとに指定した1日 45 受療状況：推計患者数 H23は134万人 入院 H23は726万人 外来 46 75-84歳 でピー ク 乳幼児 で高い 年齢とと もに上昇 47 入院受療率 が高いのは？ 外来受療率 が高いのは？ 48 受療状況のまとめ • 推計患者数：入院134万人、外来726万人 • 入院受療率：10-14歳最低、年齢と共に上昇 精神疾患、循環器（脳血管）系疾患 • 外来受療率：男は80-84歳、女は75-79歳で最高 消化器(歯科)、筋骨格系疾患、 循環器、呼吸器が高い 49 50 入院患者の重症度等の状況 51 その他の衛生統計 • 感染症発生動向調査-----厚生労働省・感染症法 • 食中毒統計-----------------厚生労働省・食品衛生法 • がん登録--------------------自治体等・健康増進法 • 脳卒中登録-----------------自治体等・健康増進法 • 国民健康・栄養調査------厚生労働省・健康増進法 • 学校保健統計調査--------文部科学省・学校保健法 52 形成評価試験 1. 平均寿命はある年の死亡者の年齢の平均から求める。 2. 平均余命はｘ歳の者のその後の生存年数の期待値である。 3. 我が国の女性の平均寿命は85歳を超えている。 4. 国民生活基礎調査の大規模調査は健康調査項目を含む。 5. 国民生活基礎調査は国勢調査と同時に行われる。 6. 国民生活基礎調査では有訴者率がわかる。 7. 国民生活基礎調査では通院者率がわかる。 8. 患者調査の回答者は入院および外来患者である。 9. 入院受療率が高いのは精神疾患である。 10. がん登録の実施主体は厚生労働省である。 53
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