黒小っ子通信 第9号 - 堺市教育センター

黒小っ子通信
堺市立黒山小学校(校長室だより) No.10 号
http://www2.sakai.ed.jp/kuroyama-e /
〒587-0003 堺市美原阿弥 93(☎ 072-361-0602)
平成 23 年(2011 年)1 月 6 日(木)発行
北野 幸世
伝統の中にある合理性
~ 春の"七草粥"について考えましょう ~
"黒山小学校だより"でも書かせていただきましたが、改めて、新年明けましておめでとう
ございます。旧年中は本校の教育活動に対しまして、ご理解並びにご協力を賜り、厚くお礼申
し上げます。ありがとうございました。今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
来る 1 月 10 日(月)には、成人を迎える 20 歳の若者たちの式典が行われます。舞台でのア
トラクションの後、昔の友達と旧交を温め合うことでしょう。式に出席する新成人の態度には、
見ていられないような見苦しい姿のものもあり、その様子が報道されることも多い中、美原区
の成人式に臨む人たちは、大人としての自覚と責任を持って式はもとより、今後の日々の生活
を営んでくれることを、彼らの多感な年頃に関わった者の一人として、心から願っています。
「七草」とは、1月7日の朝、粥(かゆ)に入れ
ところで、明日7日は、
「七草」の日です。
て食べる7種の野菜、あるいは、これを食べて祝う行事のことを言います。この行事は、厄払
いと健康を祈るもので、古くから日本で行われている、いわば国民的行事です。
七草の種類とその効能は、次のとおりです。
セリ・・・・・セリ科の多年草。日本で最も栽培の歴史の古い野草の一つ。消化を助け、
黄疸をなくす効能がある。
ナズナ・・・・アブラナ科の一年草。ぺんぺん草とも言う。視力・五臓に効く。
ゴギョウ・・・キク科の二年草。昔は若葉を餅に入れてつき、草餅にした。吐き気・解熱・
痰に効果がある。
ハコベラ・・・ナデシコ科の一年草または二年草。歯ぐき・排尿によい。
ホトケノザ・・シソ科の一年草または二年草。春の七草のホトケノザはキク科のオニタビ
ラコである。歯痛に効く。
スズナ・・・・カブの古名。ヨーロッパ原産で、日本には中国から渡来したと言われ、古
代から重要な野菜であった。消化の促進、しもやけ・そばかすに効く。
スズシロ・・・大根の古名。古くから日本人に親しまれ、広く料理に用いられている。胃
を強くし、咳・神経痛に効能がある。
昔は、正月 6 日に摘み草をして、その日の夜に"はやし言葉"を唱えながら包丁でたたき、
翌朝は、刻んだ葉を粥に入れて炊き込んだ七草粥を、家族皆で無病息災を願って食べました。
"はやし言葉"には、豊年を祈る意味がこもっているようです。また、粥の中に餅を入れると
ころも多いと聞きます。今では都市化により、摘み草の風習はなくなり、スーパーなどで買っ
てきた七草で粥をつくり、食べる習慣だけが残っているようです。
平安時代を代表する女流文学者である清少納言の書いた随筆文学の始祖とも言われる『枕草
子』の中に、
『七日の若菜、六日、人の持て来・・・』という一文があります。おそらく、こ
の頃から正月7日の朝に無病息災を願って食べる習慣が、貴族の間では行われていたものと思
われます。現代の生活様式や食生活の原型ができるのは、室町時代の頃のようですので、七草
粥にするようになったのも、この時代以降のことでしょう。いずれにしましても、伝統的な習
慣である七草ですが、そこには数々の思いや、越冬の強い七草だからこそ、冬期の健康のため
に、青いものを捕食するというような合理的な意味があるとのです。さすが!!昔の人の習慣
は、理にかなっていますね。ちなみに、私も七草粥をおいしくいただく予定にしています。
(も
ちろん、スーパーで購入した七草セットを使ってですが・・・。
)少し見にくいですが、よく
ご存知のスズナ・スズシロを除く 5 つの若菜を下に載せてみました。
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基本的生活習慣は確かな成長の鍵
~ よく身体を動かし、よく食べ、よく眠る習慣をつけましょう ~
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いよいよ今日から 3 学期です。1 月は旧暦では、
「睦月」
(むつき)と言われ、その語源・由
来としては、親戚や知人が相互に往来し、仲睦まじくする月というのが最も有力な説のようで
す。
(その他、稲の実を初めて水に浸す月=「実月」
【むつき】が転じたとする説や、元になる
月で、
「もとつき」が「むつき」に転じたとする説などあります。
)
ところで、子どもたちが健やかに成長していくためには、適切な運動と調和のとれた食事、
十分な休養と睡眠が大切であることは、いまさら言うまでもないことですし、子どもたちがこ
うした生活習慣を身につけていくためには、保護者の皆様にご協力いただくべき役割は、かな
り大きいところであります。が、最近の子どもたちを見ると、
「よく身体を動かし、よく食べ、
よく眠る」という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が、大きく
乱れていることを感じています。たとえば、堺市の 3~6 年の全児童を対象にした学習状況調
査では、次のような結果が出ています。① 夜 10 時以降に就寝する児童の割合は、49%(約 5
割)であること。② 朝食を食べないことがある小・中学生の割合は、小学生で 15%、中学生
では 22%にも達していること・・・など。このような今日の子どもたちの基本的生活習慣の乱
れは、学習意欲や体力・気力の低下をきたす要因の一つとして、指摘されています。昨年7月
に公表された「
「小・中学校全国学力・学習状況調査」結果によれば、毎日朝食を食べる子ど
もほど、ペーパーテストの得点が高い傾向にあることが明らかになっています。また、基本的
生活習慣に関連して、家族の一員としてお手伝いする子どもほど、道徳観や正義感が身につい
ている傾向にあることも明確にされています。こうした結果を見ますと、家庭における食事や
睡眠など、子どもの基本的生活習慣の乱れは、もはや個々の家庭や子どもの問題として見過ご
しにすることはできないことを強く感じます。社会全体の問題として取り組むべき重要な課題
となっているという認識を新たにするとともに、とりあえずできることから始めいく必要があ
ることを痛感しています。
「早寝、早起き、朝ごはん」運動を各ご家庭で推進していただくことを切にお願いします。