IgG4関連疾患のエフェクター細胞とクラススイッチ機構 - ノーステック財団

ノーステック財団 Talent補助金 / 研究紹介2011
「IgG4関連疾患のエフェクター細胞とクラススイッチ機構の解明」
研究者名:山本 元久
所属・役職:札幌医科大学 助教
研究分野
共同研究者:
背景・
目的
研究の
成果
将来
展望
研究キーワード
番号:H23 T-1-7 分野:医学系研究 キーワード:IgG4関連疾患
IgG4関連疾患は、高IgG4血症と罹患組織への著明なIgG4陽性形質細
胞浸潤および線維化を特徴とし、臓器特異的(涙腺・唾液腺・膵・胆管・
腎・肺・下垂体・甲状腺・前立腺など)に慢性炎症を惹起し、未治療の
まま経過すると不可逆的な臓器障害を呈し得る病態である。しかしそ
の病態ではT細胞やB細胞などの異常が指摘されているが、まだ不明
な点が多い。そこでこれら免疫担当細胞の相互作用と過剰なIgG4への
クラススイッチ機構を明らかにすることを目的とする。
病理組織学的結果から、IgG4関連疾患では制御性T細胞以外に、今ま
で指摘されていないM2マクロファージが多数浸潤していることが明ら
かになった。M2マクロファージからはIL-4、IL-10、TGFbが産生される。
IL-4はTh2炎症の場を形成し、IL-10は瀘胞内でシグナルを受けたB細胞
のクラススイッチを過剰にIgG4へ傾ける作用を有する。またTGFbは線
維化を促進させることから、この病態におけるM2マクロファージの重
要性が推察された。
本研究の成果により、IgG4関連疾患のイニシエーターの一つにM2
マクロファージが挙げられたことから、M2マクロファージはIgG4関連
疾患の新しい治療標的になり得る。また同時に間質性肺炎や肝硬
変などの難治性線維化を呈する進行性の病態においてもその治療
戦略は有用である可能性がある。さらなるIgG4関連疾患の病態解明
とM2マクロファージ制御手段の開発を行っていく予定である。
IgG4へのクラススイッチ
Bcl-6
Tfh
IL-10産生
M-CSF
B
IL10
形質細胞
IL21
IL-4産生
Th2
組織内血管
GATA3
GATA3
Foxp3
Foxp3
GATA3
好酸球浸
潤
naïve
T
IL-10産生
Tre
g
TGFb産生
IL-5産生
IgG4
Y
YY
単 球
リンパ
瀘胞
DC
Y
M2マクロ
ファージ
TGFb産生
Th2過剰炎症状態
IgG4関連疾患の病態
線維化