高分解CTでびまん性結節性肺病変を示した 2例名瀬徳洲会病院大久保洋一/松浦甲彰症例１ 80歳男性主訴：発熱、頭痛、咳嗽現病歴：宇検診療所より紹介。3日前からの40℃の発熱、咳嗽、喀痰。両側肺野にcrackleあり。Xp上、両側のスリガラス陰影、米粒大の粒状影散在。CRP29.9、WBC12900 症例１ 80歳男性既往歴・生活歴肺炎、右内頸動脈狭窄症、高血圧症、狭心症逆流性食道炎、アルツハイマー型認知症職業：元大工喫煙：30年前にやめた飲酒：ビール３缶/day 症例１ 80歳男性現症：血圧138/68、脈拍88、体温38.6℃ SpO296%(RA)、RR24 全身状態は良好咳嗽・痰がらみ著明両側前胸部にcrackleあり、呼気性wheezeあり症例１ 80歳男性検査所見： GOT60, GPT41, LDH410, ALP123, γ-GTP20, TP7.5, AMY41, BUN18.4, Cre0.89, Na136, K5.3, Cl 97, T-Chol 138, WBC13080, Hb15.3, Ht45.4 Plt20.6, Neut87.3%, CRP29.05 ABG:7.523/24.2/92.8/19.8/-0.9/97.8% 胸部X-p 症例２ 37歳女性主訴：発熱、倦怠感現病歴：約2週間続く発熱を主訴に受診。熱は日中37 ∼38℃くらいで特に朝方高くなり、39℃を越えることもある。他の症状は乾性の咳嗽と倦怠感、時折頭痛を認めるのみ。症例２ 37歳女性既往歴・社会歴既往：特になし内服薬：漢方薬・サプリメント・健康食品を含めてなし家族歴：父親が早くに死去(詳細不明)、母健在職業：事務喫煙：10本/day 17年間、飲酒：飲めない住居：鉄筋コンクリート築6年くらい海外渡航歴：なし、ペット：なし症例２ 37歳男性現症：血圧108/68、脈拍74、体温38.4℃ SpO297%(RA)、RR18 全身状態は良好両側前胸部と右背部に吸気終末期のcrackle その他特に所見なし。喀痰もなし。症例２ 37歳女性検査所見： GOT29, GPT20, LDH319, ALP339, γ-GTP41, TP7.2, BUN8.4, Cre0.53, Na138, K4.7, Cl 102, T-Chol 167, WBC4570, Hb12.2, Ht37.1 Plt34.3, Neut62.8%, CRP5.18 胸部X-p 症例① 症例② 胸部CTでのびまん性結節影二次小葉レベルにおける結節分布の分類 1)小葉中心性分布 2)リンパ路に一致する分布 3)不規則な分布胸部CTでのびまん性結節影細気管支二次小葉太い肺静脈小葉間隔壁臓側胸膜太い気管支など肺動脈が併走終末細気管支胸部CTでのびまん性結節影二次小葉レベルにおける結節分布の分類 1)小葉中心性分布症例① 2)リンパ路に一致する分布 3)不規則な分布症例② 胸部CTでのびまん性結節影 1)小葉中心性症例① 胸部CTでのびまん性結節影 3)不規則性症例② 症例① 小葉中心性症例② 不規則性胸部CTでのびまん性結節影症例①】細気管支炎・気管支肺炎 CTRX→CAMで速やかに解熱し、炎症も改善し退院。【症例②】粟粒結核疑い県立大島病院に紹介。喀痰・血中からの抗酸菌(-)、 BAL・TBLBでも抗酸菌(-)、肉芽腫(-)。QFT7.38と陽性。保健所との協議の結果、 INH+RFP+EB+PZA 開始。現在、治療中。【胸部CTでのびまん性結節影 1)小葉中心性分布びまん性汎細気管支炎・気道散布性肺結核・気管支肺炎・過敏性肺臓炎・ 2)気管支・肺動脈周囲性かつ小葉辺縁性分布 (リンパ路に一致する分布) サルコイドーシス・癌性リンパ管症・悪性リンパ腫・ 3)不規則な分布粟粒結核・血行性肺転移・結語比較的容易に撮影できる胸部単純CT であるが、病理組織学的にさまざまな病態からなる結節性病変が、多くの場合、非特異的な結節影として描出される。そのため、画像の評価に際しては二次小葉の小葉中心構造や小葉辺縁構造といった解剖学的な特徴と各疾患の病理組織学的な特徴を踏まえる必要があり、そのような視野から画像を捉えることで鑑別の手がかりとなる。今回、時期を近くしてそのような 2症例を経験できたので報告することとした。