2010年度 古田研究室 紹介パンフ - 九州大学大学院工学研究院

有機機能分⼦子化学研究室
(古⽥田研究室)
研究分野
スタッフ
研究室構成
有機合成化学、錯体化学、光化学、ペプチド化学、RNA進化工学
教 授 古田弘幸 W3号館 706 号室 ☎092-802-2865
准教授 井川善也 W3号館 705 号室 ☎092-802-2866
助 教 戸叶基樹 W3号館 712−2 号室 ☎092-802-2867
博士研究員(インド)-2 名、D4-1 名、D3-1 名(学振)、D1-2 名、 M2-6 名、M1-5 名(うち飛び級1名)、B4-4 名、
HP URL
http://www.cstf.kyushu-u.ac.jp/~furutalab/ e-mail: [email protected]
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九州大学 古田研究室
研究キーワード ポルフィリン、金属錯体、機能性色素、組織化、RNA、人工進化
研究概要 本研究室では、自然が生み出した機能性物質であるポルフィリン分子や RNA
に人工的な変異を与えることで、自然界にはない機能を生み出し、次世代の機能性分子へ
と進化させることを目標として研究を行っています。
ポルフィリンと RNA 分子、いずれも分子レベルでの「変異と進化」の特性を有する生命
機能分子を研究対象としていることが、古田研究室の特色です。
「変異と進化」の特性を活用する、機能性分子の創製にチャレンジすることにより、これ
ら生命分子の背後にある変異と進化のメカニズムを化学的に解明するヒントが得られるこ
とを期待しています。そこでの知見を元に研究を進めることで、生命システムを構成する
機能分子群の「進化の原理」を取り入れた、従来の概念とは全く異なる「物質創製の新し
い方法論」を打ち立てることが可能になると考えています。私たちが創製した新しい機能
性分子の出現により、環境やエネルギーといった、現在の人類が抱える重要な課題にブレ
ークスルー的解決がもたらされ、持続的で発展可能な社会が実現することを夢見ています。
(1) 自然と人工の融合による機能性有機化合物の設計・合成
有機材料は軽量で柔軟であり、加工しやすいことから、多くの市場での需要が高まりつ
つあります。その適用範囲は、太陽電池、記録媒体、ディスプレイ、照明など多岐にわた
ります。近年これらの技術は飛躍的に向上をとげ、一部の商品は市販化されています。し
かし、その技術の発展と革新に欠かせないのは新しい機能性有機化合物であり、新物質の
創製を支えているのは有機合成化学なのです。
本研究室では自然界の生み出した機能性有機化合物であるポルフィリンに、人工的な変
異(混乱、融合、拡張)を与えることで、様々な新物質を作り出してきました。それらの
研究成果は国際的にも高く評価されており、毎年コンスタントに多数の一流国際雑誌に掲
載されています。時にはその表紙を飾ることもあります。
(2) 新たに創製した有機材料の機能評価
古田研究室では新しい有機材料の合成だけでなく、機能評価も活発に行っています。例
えば、吸収・発光特性の評価、酸化・還元能の測定、理論計算による電子構造の解析、X
線解析による立体構造の解明などです。さらに、これらの知見を基盤に、高効率分子触媒、
分子認識センサー、スイッチング素子の開発などの応用
展開にも取り組んでいます。
専門性の高い応用研究では、国内外との共同研究も積
極的に実施しており、
「新物質の創製を基盤とした機能開
発」研究の醍醐味を十二分に味わうことができます。ま
た、これらの研究を通じ、有機合成化学だけでなく、光
化学、錯体化学、理論化学、生体化学など幅広い分野の
専門知識と技術を身につけることができます。
(3) 機能性 RNA の人工創製とポルフィリンのバイオ展開
RNA は DNA と類似の構造をもち、一部のウィルスでは DNA に替わり遺伝情報の保持・
伝達を担っています。また RNA は蛋白質酵素と同様、複雑な立体構造を形成できるため、
触媒機能をはじめとする機能分子としても重要な役割を担っています。2006 年と 2009 年
の両年、RNA の多様な能力に深く関連する研究がノーベル化学賞と医学賞をダブル受賞し
ています。
これら生体内で
見られる RNA の
多彩な機能を人工
的に創製・拡張し、
生命進化研究やバ
イオテクノロジー
分野に貢献する研究も盛んに行われています。本研究室では RNA 人工創製する二つの方法
論である「構造を設計する手法(分子デザイン)」と「膨大な数の RNA 配列の混合物から
目的の機能をもつ配列を選別する手法(進化工学)」を巧みに融合した新しい手法を開発し
てきた。この方法により、様々な機能を持つ新規 RNA を従来法より効率的に創製できます。
この技術を基盤として、バイオテクノロジーの有用な技術を作り出すと同時に、近年勃興
しつつある合成生物学など基礎科学的にも興味深い課題にアプローチしています。
また、ポルフィリンを基盤とした機能性化合物に RNA やタンパク質、細胞との相互作用
能力を付与し、バイオイメージングなど医学分野への展開を目指した分子を創製する研究
も展開し、有機合成化学、生化学、細胞培養など、広い技術を用いて研究を行っています。
研究室の方針
有機合成、錯体化学、生体関連化学の知識を基盤に、計算化学から遺伝子工学までの幅
広い手法を駆使して、新しい機能性分子の設計・合成を行います。さらにそれら新分子の
解析を通し、分子科学の「新しい概念」を生み出すことを研究の基本姿勢としています。
学生は各自のテーマを追求し、その成果は英語論文や国内外の学会で発表します。
古田研は常に世界レベルの研究室を目指し、外国人研究員の受け入れ、海外の著名な研
究者の招聘、海外のトップ研究室との共同研究、博士課程学生の海外の一流研究室への派
遣(数ヶ月 1年)、などを積極的に行っています。次時代を担う意欲を持ち、世界に通用
する研究者を目指す学生には魅力的な研究室だと思います。
卒業生の進路は、従来のアカデミック、石油化学系だけでなく、近年は材料系、バイオ
系や食品系などまで、より幅が広くなっているのも特色です。
古田研をもっと知りたい人は、ぜひ研究室 HP を訪れてください。