Title 合成tRNAフラグメントの再構成並びにRNA - Osaka University

Title
Author(s)
合成tRNAフラグメントの再構成並びにRNAリガーゼによ
る結合反応に関する研究
西川, 諭
Citation
Issue Date
Text Version none
URL
http://hdl.handle.net/11094/32034
DOI
Rights
Osaka University
川西薬
氏名・(本籍)
学位の種類
(
s]
議
かわ
J
I
I
字
博
土
学位記番号
第
学位授与の日付
昭和 53 年 3 月 25 日
学位授与の要件
薬学研究科薬品化学専攻
425 3
号
学位規則第 5 条第 1 項該当
学位論文題目
合成 tRNA フラグメントの再構成並びに RNA リガーゼによる
結合反応に関する研究
(主査)
論文審査委員
教授池原森男
(副査)
教授上原喜八郎教授田村恭光教授冨田研一
論文内容の要旨
緒
圭ど』
日間
近年の分子遺伝学の発展は目ざましく,核酸の化学合成もその解明に大きな役割を果してきた。最
近では人工的に合成された tRNA! ♂の遺伝子が実際に in vivo で、その機能を発現し J) 又合成した
Somatostatine の遺伝子を組み込んだ大腸菌からは,
Somatostatine が productive に得られるに至っ
ている 3) 一方 RNA の化学合成は DNA のそれに比べ, 2' 水酸基が存在するために,困難かつ労力を要
し,特定の塩基配列を持ったオリゴヌクレオチドとしては 9 mer 3 )4) が最長のものである。又 DNA リ
ガーゼのような結合酵素の存在も最近まで明らかでなく,より長鎖のものを得ることは困難であった。
しかし機能を持つ核酸として最初に一次構造が決定されたのは tRNA 5) で今までに 50種以上のものの
構造が明らかにされている。当初からその構造と機能との関係は「蛋白質と核酸の相互作用」の観点
から興味が持たれ,様々な方法でその相互作用を明らかにする試みがなされてきたが,未だ完全な解
明には至っていない o tRNA の化学合成は有機化学的にも興味ある課題であるが,この相互作用を解
明する上にも,有効な方法であると考えられる。
今回演者は,先ず\化学的に合成された Yeast tRNAA1a フラグメントと天然フラグメントを再構成
しそのアラニン受容活性を調べ,合成フラグメントが天然由来のものと同様アミノ酸受容活性を持つ
ことを初めて明らかにした 3) 次に最近発見された T4RNA リガーゼ
反応を試みた。その結果,
7)
による合成フラグメントの結合
RNA リガーゼ反応についていくつかの新しい知見を見出す
E
.c
o
l
i tRNAfMet の Y 末端の 17mer 9 ) 及びシ末端の 10mer の合成を行った。
8)
とともに,
円i
ぷu
qL
本論
第一章
合成オリゴヌクレオチドと tRNA フラグメントの再構成
tRNA を RNase で限定分解し,得られた断片を組み合
わせアミノ酸受容活性の回復から認識部位を探る方法
(再構成)叫がある。化学的に合成された tRNA フラグ
図 1
メントがアミノ酸受容活性を持っかどうかは興味ある問
題なので,演者は先に当教室で合成された Yeast tRNAA1a
・
C
G
HAGC
Cmφ
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・
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1
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1
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.
7
)
4 mM ATP
2
0mM KCl
1
0 mM MgCl2
25μM 1
4
C
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i
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e (50μCi!μmole o
r 130μC i!μmole)
ARSase (
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-?、一G
・『
Gf
・
表 1
(図 1 )との再構成を表 1 に示す条件で行なった。
=出 .C 一
メント 11)
」U
と Torula YeasetRNA A1a の RNase T. 限定分解フラグ
/シ L-G
て
mer G-G-G-C-G-U o3), G-U-G-G-C-G6
)
?A/
GDd
D2
DG
の 2 つの 6
U
Q
の 3' 末端 9 mer C-G-U-C-C-A-C-C-A 3 ) 及びグ末端
0
0
限定分解フラグメント
合成フラグメント
図1.
結果を表 2 ,図 2 に示す。
表 2
Components
3'-Component 1
4
C
i
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c
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r
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r
a
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e
d A
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I+ll+ 田 +F20-34+F36-46 (
9
) 0
.
2
2
3
'H
(
1
0
)
.
o164
1
a(
RNAA
1
)
3
'H+5'H
(
2
)
3
'H+5'Q
(
3
)
3
'H+l
l
(
4
)
3'H+ll+ 皿+ F2
3
4(
5
)
01+F
3
6
4
6+5'H
(
6
)
1+5'H
(
7
)
1+5'Q(8)
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7
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.
9
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0
.
6
3
3
'halb 単独 10) で、はアラニン受容活性は全くない o 3'half+5'-half(2) は intact tRNAl) に対して 72
%
又 3 〆- half+5'-quarter:2) も 12% の活性が認められた。従って D loop から anticodon loop までは
アラニン受容活性にあまり重要で、ないと考えられる。
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E二コ合成フラグメント
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ーー・天然フラグメント
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ュ
;
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図2
1
0I
9j~
・・・・・
つi)
。
一方,
0.6%
(3.4%)
。
合成フラグメントを含む再構成分子では,
:4), :5) , :8),
E
。
。
に僅かながら活性が認められた。そ
こでこれらの活性が実際に complex を形成してアミノ酵を受容しているのかどうかを検討するため,
3
'-component と 5' -component の量比を変えて,活性の変化を調べた。(図 3 )
図3
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5
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--ω
ー)
グー component /3' ーと omponent
(2) は 3' half に対し 5' -half が 1~2 当量で受容活性は一定になったが, :3) , :4) , :8) ,は 5'- component
を 4 当量加えるとそれぞれ25% ,
が短い場合,
1
.2% ,
3.4% に増加した口 これは :3) ,
:4) , :8)のようにフラグメント
1 対 l の量比では, complex の形成能が低く, 5
'-component を過剰に加えることにより
complex が増加するためと考えられる。
これらの結果,初めて合成 tRNA フラグメントが天然由来のものと同様にアミノ酸受容活性を持つ
ことが認められた o 5' 夫端の 2 つの 6 mer をつなぐことができれば, 5 ノ quarter に近いフラグメント
となり :3) の結果と比較することができ,
又フラグメントを再構成した後,切断箇所で再結合すること
も興味あることである。
Qd
p
o
ヮ“
第二章
RNA リガーゼの反応について
Hurwitz らにより発見された RNA リガーゼは図 4 -(a) のように linear な poly (rA) の 3'-OH と 5'­
P を分子内で環化結合する反応を触媒する。その後 Uhlenbeck らは図 4 -:b) のようにオリゴマ一同士で
o
も基質,酵素とも高濃度の条件を用いると,分子聞で結合の起ることを見出した JZ)
図4
:
a
)
(
b
)
5
'
P
(Ap)sC
3
'
OH
+
ATP , Mg*
ATP , Mg*
p (Up)sU
acceptor
(Ap)sCp (Up)sU
donor
演者はこの RNA リガーゼを用いてより長い特定の塩基配列を持つリボオリゴマーの合成を目的と
し,先ず、 homooligomer を基質としその反応を調べた口
1. ピロリン酸中間体の同定 (Ap)s A を acceptor とし, p (Up)3U を donor とする反応を表 3 の条件
で行ない次の 2 つの方法で調べた。
表3
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a
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rm
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l
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70-1000pmole (7100μM)
5
0mM Tris-HCI (pH7
.
5
)
1
0mM MgCI2
1
0mM DTT
0
.
1 mM ATP
0.5μg BSA
0.4ー 2 u
n
i
t
T4RNA L
i
g
a
s
e
(A)大腸菌アルカリホスファターゼ (BAP) 低
抗性 count の検出
(B輝基非特異性の RNase M による nearest
neighbour a
n
a
l
y
s
i
s
その結果, product , (Ap)sAp (Up)3U
(34%) ,原料, p (Up)
3U (36%) とともに
未知物質 X (30%) の存在を認めた。 X は(A)
10μ1 ,
の結果 p (Up)3U と解離の数が似かよったも
37。
のであることがわかった。 RPC5 カラムクロマトグラフィーで X を単離し,ホモクロマトグラフィー
(図 5 )で調べると,予 (Up)3 U と同位置に動くが, acceptor に (Ap)s A を用い, ATP(-)の条件
下 RNA リガーゼ反応を行なうと,
間体で,
product の位置に移行した。この結果 X は RNA リガーゼ反応の中
DNA リガーゼの反応機構 13) から類推して,
donor のシー P が ATP で活性化された A (5 ノ )pp
(Up)3U と推測された。実際に 5' , 5' ピロリン酸結合も水解する蛇毒のホスホジエスラーゼ (VPDase)
で水解すると, pU が得られ, ATP の代りに Cd_ 32 pJ ・ATP と用いた時の X を水解すると pA と ;u が
当 mole の割合で得られ(図 6 ),上記の構造が確認された。
以上のことから RNA リガーゼの反応機構は,
DNA リガーゼの場合と同様,図 7 のように 3 段階を
経て起こると考えられる。尚 RNA リガーゼ, AMP complex は Hurwitz らにより単離同定されてい
る a
.,
-270 一
図 5
図6
B
B
A(
5/
)
p
p(
U
p
)
3U
pU
VPDase
P
P
y
y
A(
5/
)
p
p(Up)3U
*
i> A, pU
*
1
. P(
U
P
)
3U
2
. X
3. X+(A
5A+RNA リガーゼ
p)
c七
1
図 7
2
3
L
i
g
a
s
e+ ATP
(
Ap)
5Ap (
U
P
)
3U
4
一一→f. igase- AMP+I
P
PPi
Ligase-AMP+ pU-U-U-U → Ligase 十 A( グ )ppU- U-U-U
A(
5
1
)ppU-U-U-U+ (
A
p
)
5A + Ligase ー→ (Ap)s Ap (
U
p
)
3U+ AMP+L
i
g
a
s
e
Ligase+APP+ (
A
p
)
5A+pU-U-U-U
(
A
p
)
5Ap(
U
p
)
3U+AMP+PPi+L
i
g
a
s
e
2. o
l
i
g
o (A)+ p-oligo (Py) の反応と Oligo (Py)+p-oligo (A) の反応の比較
表4
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Donor
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p
U
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A-A-A-A-A 1
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y
.
表 4 に acceptor として oligo (A) , donor として oligo (Py) を用いた場合の反応をまとめた。
鎖
長が短くなるに従い,収率が低下しているが,総じてこの type の反応はよく進行することが認められ
A
c
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9
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15 寧pA-A-A-A-A
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2
3
。
6
円d
ー*
た。一方 acceptor として oligo (Py)donor として oligo (A) を用いた場合(表 5 ), Up(
3
'), Cp
*(3') が得られ,実際に product を単離後 RNase M 水解で調べる
(
3
')はほとんどなく,大部分 Ap
と, A;(3F) のみが得られた。これは aωptor を過剰に用いているにもかかわらず,図 8 のように
donor分子が重合し,更に分子内で環化結合していることを示している。又Y 末端にリン酸を持った
図8
(U山 U +
宜
RNA リガーゼ*
P(Ap)4A ---4
*
RNaseM
と Ap)4 Ap (Ap)4 勺
~Ap (
3
'
)
(
(
(Up)3Up
; (A
A
p
p
)
)
4
4
A
A)
)
*
;(Ap)5 を donor とした場合,重合反応は防ぐことができたが, (Up)3Up(Ap)5
の増加は認められな
かった。このように oligo (A) は acceptor になりやすいのに対し, o
l
i
g
o (Py) はなりにくいという
結果から,演者は RNA リガーゼには何らかの塩基特異性があると考えた。
第三章
*
X申 Y-Z+pC-C-A
の RNA リガーゼ反応
RNA リガーゼの塩基特異性及び特定の塩基配列を持つリボオリゴマーの合成に RNA リガーゼが利
用できるか否かを明らかにするため種々の化学合成 ribotriplet を基質としその反応を検討した。
acceptor は donor に対し 5 当量,
RNA リガーゼ1. 0
5unit を用い,先に示した条件で反応した。
productは RPC5 カラムクロマトグラフィーで単離し,先と同様の方法で同定した O 結果を表 6 に示
す。いずれの反応においても *
pC-C-A の重合反応は認められず,更に *
pC-C-A 単独で、も中間体の段
*
*
階で止まっていることがわかる。これは pC-C-A が p (Ap)4A とは異なり重合しにくい sequence で
あることを示唆している。
temp
℃
3
7
3
7
3
7
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sw
i
t
hRNaseA a
n
dBAP.
b
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db
yPPCa
f
t
e
rRNaseM d
i
g
e
s
t
i
o
n
.
2
8b
つ'臼
ヴJ
ヮ“
前章の結果と合わせて守考えると,
acceptor になりやすいのは A の多い sequence (A-A-A , C-A-A) ,
なりにくいのは 3' 末端に G を持つ sequence
(U-A-G ,
C-C-G) 及び~Py 塩基の多い sequence
(Cュ
C-A, U-U-C) と推論できる D しかし C-C-C+ *
pC-C-A の結果が示すように, (Py)n+;(A)n の
本
場合程 critÌcal なものではないようである。これは pC-C-A が重合しにくい sequence であることに
*
関係していると考えられる。すなわち ípC-C-A
に対する RNA リガーゼの affinity は小さく,
a
c
c
e
p
t
o
r
は過剰に存在するので, sequence にあまり関係なく比較的結合する。一方 *
p (A)n に対する affinity
は大きいので,
affinity の小さい (PY)n は認識されなくなる」と考えられる。一方合成の観点からは
このような特異性はできるだけ少なくする必要がある。そこで C-C-G , U-U-C について若干反応条
件を変えてみた。その結果いずれも酵素量を増すことにより, product が増加し,又反応温度を下げ
げると更に効果のあることがわかった。この原因は明らかでないが,
pH が少しアルカリ性に傾くた
めと考えられる。又基質と酵素の affinity が増加することも考えられる。又,光照射により脱離でき
る oーニトロベンジル基を糖部 2' 位に持つ C- AONB_A15) は C-A-A に比べ収率は低下するが基質になる
こと,しかし C- C
-AoNB15) は基質にならないことがわかった。従って 0- ニトロベンジル基は RNA リ
ガーゼ精製の際に混入して来る 3' exonuclease の作用を阻害する保護基,又 donor の重合反応及び
分子内環化反応を防ぐ保護基としても有効と考えられる。
以上の結果, triplet のように短い基質でも比較的収率良くつながること,その際 sequence によっ
てはつながりにくいものがあること,しかし条件により収率を向上させうることがわかり,特定の塩
基配列を持つリボオリゴマーの合成に RNA リガーゼが有用であることが明らかになった。
第四章
RNA リガーゼによる合成 tRNA2211 フラグメントの結合反応
E
.c
o
l
i tRNAfMet 1
6
) (図 9 )は蛋白質合成の開始に関与する tRNA でその機能とともに一次構造
も他の tRNA とは異なる特徴を有している。
図 9
演者は当教室で合成されたフラグメント, U-C-C-G
-G~ 7)
C-C-C-C-C-G ,17) C-A-A ,
C-C-A を RNA リガ
ーゼでつなぎ, 3' 末端の 17mer の合成及び、 C-G-C-G と
G-G-G-U-G-G よりグ末端の 10mer の合成を計画した。
1
.
*ρ*
p し-A-Ap C-C-AX OEt の合成
本*
図 10 のような route で p C-A-ApC-C-AX OEt の合成を
行なった。 3' 末端は今後シ方向に鎖長を伸ばして行くこ
とから,分子内環化反応及び重合反応を防ぐために,酸
処理で脱離できるエトキシメチリデンを保護基に用いた。
名反応はホモクロマトグラフィーで確認し,
DE23 カラ
ムクロマトグラフィーで、 product を単離した。最終的に
*
tRNA
{
'
let
E二コ合成フラグメント
*
VPDase の限定分解で pC-A-ApC-C-AX OEt であること
を確かめた。収率は 21% であった。
ヴd
つ臼
qd
図 10
C-C-AX
一
〔 γ_32pJ
ATP, P
.N.
キナーゼ
寧
C-A-A,
pC
-C-AXOEt
O町三
~
DE23
DE2
42
3
C-A-ApC-C-AXOEt
RNA リガーゼ
(
y
_
3
2
p
JATP, P
.N.
キナーゼ
事*
PC-A-ApC-C-AXOEt
DE23
図 11
UCCGGCCCCCG
cpm
、
p
-4
3
0
0
0
(KCl
]
0.4M
2
0
0
0
, , ,
,
, ,
0.2M
。
2
0
4
0
6
0
8
0
1
0
0
f
r
a
.NO.
2
.
本
U-C-C-G-G+pC-C-C-C-C-G の反応
*
p*
C-C-C-C-Gは pC-C-A
と同様に,重合しにくい sequence であることが認められたので,
3' 末
端を保護することなく,又 acceptor U-C-C-G-G も 4 当量の条件で RNA リガーゼ反応を行なった O
productは RPC-5 カラムクロマトグラフィー(図 11) により単離した。ホモクロマトグラフィー,
nearest neighbour analysis ,及び P.N. キナーゼでシ位を( 32PJ ラベ、ル後 VPDase の限定分解で,
*
Pーが U-C-C-G-GpC-C-C-C-C-G であることを確認した。収率は 34% であった D
3
. U-C-C-G-G-C-C-C-C-C-G+*
pC-A-A*
pC-C-AX OEt の反応
acceptor 67μM , donor 17μM , RNA リガーゼ、 70units/ml の条件で反応し, 24時間後に 5% の収
率で product の生成を認め(図 13) ,単離後, n
earest neighbour analysis で、 U-C-C-G-G-C-C-C-
*
*
C-C-GpC-A-ApC一 C-AX OEt であることを石室認した。
4
.
(図 14)
C-G-C-G+pG-G-G-U-G-G の反応
この反応は G が多い sequence のため self-aggregate しやすく困難なことが予想された。しかし
反応に先立ち 70 C ,
0
2 分間の加熱処理を行なうことにより, 25% の収率で、 product の生成を認めた O
以上のようにして E. co
l
i tRNAfMet の Y 末端の 17mer 及びシ末端の 10mer を合成することができた。
この 17mer は現在までに人工的に合成された最長のリボオリゴヌクレオチドである。
司i
ワ』
A
ュ
図 13.
ホモクロマトグラフィー
•
図 14
(1) RNaseM
P.P.C.
•
UCCGGCCCCC~~CAX
•
cpmIAp (3〆) Gp (
3
'
)
•
_
.
.
•
'
•
•
•
1
0
0
1
0
。
3
0
20
4
0
αn
(2) RNaseA &BAP -一一-+ P
.E
.P
.
UCCGGCCCC CjGp CjAApCドAX
cpm
C
d
i
. t
r
i
. Cp
1 2 3
1 , 4 :d
o
n
o
r
1
0
0
5.
。
4 5 6
1
0
20
.a
c
c
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2
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rr
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a
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3
0
3
. :3hrs m
i
x
t
u
r
e
cm
6
. :2
4
h
r
s
図 15.
事
1
. pG-G-G-U-G-G
2
. 30分
3
. 60分
.
.
.
,.
, e,
4
.
120 分
5
. 240 分
f
1
234 5
CGCG+JG-G-G-u-G-G
F
同υ
門i
qL
結論
1. 合成 tRNA フラグメントと天然 tRNA フラグメントの再構成実駄の結果,合成 tRNA フラグメン
トが初めて天然由来のものと同様,アミノ酸受容活性を持つことを認めた。
2. RNA リカーゼによるリボオリゴマーの結合反応を調べ,この反応が ATP 由来の AMP が donor
のグ位にピロリン酸結合した A (
5
')
p
p (Up)3U なる構造を持つ中間体を経て起こることを明らか
にした。
3
. RNA リガーゼにより, r
ibotriplet 同士のように短いものでも比較的収率良くつながることを認
め,特定の塩基配列を持つリボオリゴマーの合成に利用できることを明らかにした。又その際,
RNA リガーゼが塩基特異性を有する知見を得た。
4. RNA リガーゼにより, E
.c
o
l
i tRNAfMet の 3' 末端の 17mer 及びシ末端の 10mer の合成を行なっ
た。
引用文献
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.Miyake , E.Ohtsuka & M.lkehara (
19
7
7
) Heterocycles , 8 , 2
2
9
論文の審査結果の要旨
西川君の業績は第一に,当教室で化学的に合成された酵母アラニン +RNA の 3' 末端ノナヌクレオ
チド及びシー末端の 2 つのヘキナヌクレオチドを,同 tRNA より T 1 RNase 限定分解で得たフラグメン
トとの再構成により,初めてアラニンの受容活性を見出したこと。
次に大腸菌フオルミルメチオニン tRNA の化学合成フラグメントの中, 3' 末端の 17 ケ及びグ末端の
10 ケのヌクレオチド配列を含むものを RNA リガーゼを用いて結合を試み,その合成に成功した。又,
この反応の途次,
RNA リガーゼ反応の真の中間体は donor 分子のシ隣に AMP がピロ燐酸結合した分
子であることを発見したことにある。
これらの成果は充分博士号請求に値いするものと考える。
円i
門/