オリーブ代謝産物の微生物変換による新規食品機能性成分の開発 [PDF

オリーブ代謝産物の微生物変換による新規食品機能性成分の開発
岡山大学大学院自然科学研究科(農学系)
神崎 浩
1. 背景・目的
2. 当該年度の実施内容
3. 成果及び事業化の見通し
1.研究背景
1.オレウロペインから化合物B
1.オレウロペインから化合物Bへのワンポット酵素合成
1.オレウロペインから化合物B
1.オレウロペインから化合物Bへのワンポット
酵素合成
① アーモンド由来β-グルコシダーゼとパ
ン酵母を用いてオレウロペインから化
合物Bへの変換に成功した
① 消費者の食品の安全安心への意識が向
上し,天然由来成分の期待が大きい
② 天然物を直接食品へ添加する事業・天
然由来生理活性物質探索は既に実施例
が多く,これから事業化するにはハー
ドルが高い
③ これまでに,微生物二次代謝産物の複
雑な構造の一部を別の微生物由来の酵
素により変換することにより,医薬品
開発に結びつけた実績がある
2.これまでの研究
① 岡山県産オリーブ葉抽出液に含まれて
いるオレウロペインアグリコンのアル
デヒド型(化合物A)をパン酵母に
よって新規化合物であるアルコール型
(化合物B)に還元することに成功し
ている
3.今年度の目標
① オリーブ葉に豊富に含まれるオレウロ
ペインから化合物Bへの構造変換
② 新規化合物の生理活性の検討
① オレウロペインから化合物Bへの構造変換の方法
として,ワンポット変換を用いた
濃縮・精製
HO
HO
HO
HO
O O
COCH3
O
H 3C
O
H
脱グルコシル化 HO
β-グルコシダーゼ
O
O
OHC
O-Glucose
オレウロペイン
O O
COCH3
CH3
化合物A
還元
パン酵母
HO
O
O O
COCH3
O
HOH2C
CH 3
化合物B
この方法を用いることにより,以下の利点がある
・工程を簡略化できる
・精製による収率の低下を防ぐことができる
② ワンポット変換における様々な変換条件の検討を
行った
② オレウロペインから化合物Aへの変換に
はpH 7.0よりpH 5.5の方が,25ºCより
37ºCの方が適していることが分かった
③ オレウロペインから化合物Bへの変換で
はβ-グルコシダーゼで反応させた後に
パン酵母を添加する方法が効率が良
かった
2.化合物B
2.化合物Bの抗酸化活性測定
① 化合物B,オレウロペイン,化合物Aは
それぞれα-トコフェロール以上の抗酸
化力を示した
② オレウロペインと化合物Aはアスコル
ビン酸Naと同程度の,化合物Bはそれ
以上の抗酸化活性を示した
① DPPH法による抗酸化活性測定を行った。その際,
水溶性抗酸化食品成分の代表例であるアスコルビ
3.事業化への見通し
ン酸Na(ビタミンC),脂溶性抗酸化食品成分の
代表例であるα-トコフェロールを比較物質として ① 簡単に抽出できるオリーブ葉エキスか
らの化合物Bのワンポット酵素合成
用い,評価した
2.化合物B
2.化合物Bの抗酸化活性測定
② オリーブやパン酵母といった消費者の
抵抗の少ないものから生成され,高い
抗酸化力を有する化合物Bの抗酸化食
品成分への応用