全要研 三重県支部通信 第 80 号(平成 26 年 9 月号) 【筆記試験特訓】みえ~る寺子屋・ちょい模試ドリル(4) 横山 慶 先月号に「合格した人、勉強方法を教えて~」というコメントを載せたのですが、いま のところあまり反応がありません。合格者の皆様、ぜひ何か「これいいよ!」という方法 などありましたら、お寄せくださいね。引き続きお待ちしております。 さて以下、前回の解答です。皆さん正解されたかな? ①みみより会 ②新光会 ④京都 ⑤『音から隔てられて』 ⑦全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(全難聴) ⑧平成 11 年(1999 年) ⑨平成 23 年(2011 年) ③OHP ⑥耳マーク それでは今月の「ちょい模試」です。 「日本語の基礎知識」から出題してみました。 ◆今月のちょい模試 【制限時間10分】 Ⅰ.①~⑨に当てはまる語を答えなさい。 ● 1.日本語は、動詞の語幹や名詞に、助詞や活用語尾がくっつくことによって、文法的な 機能があらわされる(①)に属する。語順は比較的 柔軟。 2. 「ふだん使わないが、読んだり聞いたりしたら分かる」語彙を(②)といい、自分が ふだんから使用する語彙を(③)という。②は③より多いのが普通である。 3. 「甘い」という単語は「甘い味」 「認識が甘い」など、複数の違った意味をもつ。この ような単語を(④)という。 4.日本語は、複数の文字種をもち、表記が複雑で「ゆれ」もある。このため多くの人の 読みやすさ等を考慮して、表記の基準が定められている。このうち漢字使用の目安を 示すものとして、 (⑤)表が示されている。 5.1986 年の内閣告示で、 「かな」の使い方が改訂され(⑥)が示された。現代語音の音 韻にもとづくことを原則としているが、 「を」 「は」 「へ」などの(⑦)は従来通りこ のままの表記とするなど、表記の習慣による特例を若干残している。 6.ローマ字について、現在の日本では訓令式表記とヘボン式表記が併存しており、その 表記法は、1954 年内閣告示の(⑧)に従うとされている。訓令式は第 1 表にあたる。 7.各行政機関が作成する公用文における申し合わせ事項として、 (⑨)がある。この中に は、 「原則として漢字で書くものとかなで書くものとが示されており、かなで書くも のとしては「許可しないことがある」などの(⑩) 、 「負担が増えていく」などの(⑪) が挙げられている。 -8- 全要研 三重県支部通信 第 80 号(平成 26 年 9 月号) 【今さら聞けない?派遣要綱】④筆記者の「条件」は? 前回は「どんな範囲で利用可能か」というお話でした。目的によって「やむを得ない」 と認められた場合は、市外あるいは県外でも、使える場合があるようです。 また総合福祉法の施行により、都道府県が、市町村をまたぐ派遣について調整役を担う ことになりましたが「地域格差」により、それがうまくいきにくいことも、時々あります。 利用者にとっては、いつでもどこでも同じ条件で派遣を使いたいところです。 さて、今度はちょっと視点を変えて、要約筆記者側の条件について考えてみましょう。 要約筆記「者」のカリキュラムになり、また民間で任意のものとはいえ、 資格試験も始まったじゃない? だから将来的に、派遣するのは、ぜんぶ 「者」にしてほしいんだけど…利用者さんたちが乗り気じゃないのよねえ。 あー、まあ、各地でよくあることだよね。 「書いてもらう人に、試験まで受けさせて申し訳ない」ってやつ? うん、そうなの。 「一定の技術を持った人を派遣しないと、要約筆記の信用 に関わる」って説明してるんだけど、いまいち納得してくれなくて。 多分、 「そんな難しいこと考えなくても、言われたことを簡単に書いてくれ るだけでいいのに」って簡単に思われてるんじゃないかなあ。 実際には、 「言われたこと」も、知識がないと聞き取れないんだけどさ。 そうかも。そういえば難聴者さん同士で筆談してても、私が混じると 筆談やめちゃうから、つい1人で要約筆記しちゃって疲れるのよね。 ああ、やっぱり? 「要約筆記は気持ちさえあればできる」と 思われちゃってるんだよ。ケイワンになるもとだし、やめた方がいいよ。 一般の人だって「要約筆記は無資格で高い時給もらって」とか言うもん。 えっ、そうなのかしら。もしかして、筆談と同等、くらいに思われてる? うん…はっきり自覚していないかもしれないけど。 要約筆記の場合、通訳が間違えたときに、まず気づくのは、 難聴者よりも、周囲の健聴者なんだ。そして信用をなくしてしまう。 まず「要約筆記は、気持ちだけではできない専門的な仕事」なんだと 利用者さんに思ってもらえるように、要約筆記者も考えなきゃね。 要約筆記の通訳としての信頼性は「いかに話者の意図を把握するか」にかかっています。 どんな話も、自分以外の人の発言である限り、把握し続けるのは難しいことですよね。 -9- 全要研 三重県支部通信 第 80 号(平成 26 年 9 月号) 【連載】 「要約筆記実践セミナー」紙上編(20)~OHC とは?②~ こんにちは、横山です。「実践セミナー」紙上編、今回は「OHC とは?」 の第 2 弾です。前回は「カメラ」であることから、 「出力機器が別途必要な こと」 「直前にはフォーカスを合わせること」 「丁寧に扱うこと」の3点が、 今までとは大きく違う…ということを学んでいただきましたね。 ◆OHC だけが持つ、原理的な「弱点」と危機管理 ~手元明かりの常備を~ OHC が「カメラ」であることは前回、学んでいただきました。 実は、カメラであるがゆえに、今までの OHP 要約筆記にも、そし てパソコン要約筆記にもない、大きな弱点があります。ある意味、 致命的といってもいいほどです。 それは「部屋の明るさ」 、厳密には OHC の周囲の空間の明るさ に、画面(スクリーン)の明るさが極端に左右されてしまう、 という点です。 よく、プロジェクターが少し暗めの場合、部屋全体を薄暗くしてスクリーンを明るく見せよ うとしますが、OHC でこれをやると、画面自体も暗くなるほか、書き手の手元も暗くなって しまいます。逆に、机の場所によっては天井の明かりで、ロールがテカってしまうことも。 OHP だった頃は、ステージ自体の真下に光源があり、部屋が暗くなっても、ステージ部分 とスクリーンは一定の明るさが確保されていました。 また、パソコン要約筆記の場合でも、プロジェクターの明るさは表示用パソコンの液晶とは 無関係ですし、要約筆記者の手元も USB ライトがあれば照らすことができるほか、パソコン 画面自体が発光するので、自分が何を打っているのかが見えなくなることはありません。 (パソ コン要約筆記者なら、USB ライトは「7 つ道具」に入れておきたいところです。 ) つまり、周囲の明るさに極端に影響されるのは、OHC 要約筆記の場合だけなのです。 こうしたことを考えれば、OHC の場合の危機管理のひとつは、スタンドライトなどの手元 明かりを常に持参することで、部屋全体とはある程度独立に、手元の明 るさを調節できるようにしておくことだろうと思います。 (OHC の機 種によってはミニライトが埋め込まれていることもありますが…) その場合、照明角度がアームである程度調節できること、明るさが数 段階に調節できること、電源が乾電池またはコンセントと両用であるこ と、などの特徴があれば、より柔軟な対応ができるかもしれません。 もちろん OHC 自体の機能として「画面の明るさ調整」はできますが、 部屋全体がある程度暗くなってしまうと、あまり意味がありません。 - 10 - 全要研 三重県支部通信 第 80 号(平成 26 年 9 月号) ◆「引き手」の役割の重要性 ~スクリーンからはみ出ないために~ もう1つ、OHC だけに起こりやすいハプニングは「スクリーンから文字がはみ出る」 ことです。OHP と違い、ステージが光らないので、 「どこまでがスク リーンに映っているか」が書き手に分かりにくいからです。したがっ て、引き手が今まで以上にスクリーンを見て、画面をコントロールす ることが重要になってきます。チームワークがモノを言いますね。 ◆「明るさ調整」と「ズーム」をマスターしよう 話が多少前後しましたが、OHC を使うとき、前回の「オートフォーカス」のほか、よ く使う(使ってほしい)機能が2つあります。それが、先ほど書いた「明るさ調整」と、 これまたカメラでおなじみの「ズーム」機能です。 OHC 要約筆記の場合、パソコン要約筆記と同じく、現場で最初に設営するのはスクリ ーンとプロジェクターです。視線移動や、スクリーンへの投映画面の大きさなどを考えて これらを大まかに配置し、その後、入力席を決め、OHC を以下の順番で設営します。 ①ズーム…倍率を調節する。画面のなかに、机上のどこまでが映るかを確認。 ②明るさ…画面の明るさを調整する。開演後の周囲の明るさとのバランスを確認。 ③オートフォーカス…ピントを合わせる。書き始める直前(設営の最後)に押す ズームは「倍率」のことです。ズームアップすると、当然ながら机上の「映る範囲」が 狭くなります。通常はロールの幅全部がスクリーンに映るよう調整するのが基本です。 要約筆記者席を決め、OHC を出したら、まずズームを調節するとよいでしょう。 次に、開演後の会場の明るさを確認し、その明るさにあわせて OHC 側の明るさを調 整します。動画上映などで部屋を暗くする時間があるかどうかなどは、打合せで要確認。 なお、明るすぎて一部がテカる場合は、OHC の位置(要約筆記者席)を移動して天井の 明かりが当たる角度をずらしたり、スタンドライトの角度を工夫して対応します。 ◆おまけ: 「砂時計(映像静止) 」を活用しよう OHC には「ある一瞬の静止画像を映し続ける機能(映像静止機能) 」 があり、ある程度新しい機種になると、これをワンタッチで行えるボタ ンもあります。エルモ社の機種は「砂時計マーク」が目印のようです。 これは、ボタンを押した時点の状態で 画面が静止するので、ロール交換でフォ ーカスが揺れて見づらいなどの場面を、 お客様に見せないで済ますことができま す。ぜひ1度、お試しください。 ↑【L-1ex の取り扱い説明書より】 - 11 -
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