有機化学III 宮地 弘幸 有機化学III 芳香族化合物の反応性 SBO54 芳香族化合物の求電子置換反応の 反応性および配向性に及ぼす置換基 の効果を説明できる。 復習: ベンゼンに特徴的な反応 ベンゼン環の典型的な反応は 求電子置換反応である. ベンゼン環が電子の源として,すなわち塩基として作 用する反応. ベンゼン環と反応する化合物は電子が欠乏している 化合物,つまり求電子試薬(すなわち酸). 復習: 誘起効果(p37) 電子親和性(電気陰性度)がσ結合を介し隣接原子の静電的環境に影 響を及ぼす(σ結合中の電子が隔たる)作用(I効果、Inductive effect). O,N,ハロゲン等原子は電気陰性度が大きく炭素と結合している場合結 合電子を自らの方向に引き付け,電子吸引性置換基として作用する.生 じた電荷の隔たりはδ+およびδーで示す. δ+ δ- 誘起効果はσ結合を介して伝わる. 結合が複数介在すると急激に効果 は小さくなる. 二個目(β位)の炭 素はFの誘起効果 を殆ど受けない! δ- 復習: ベンゼン環上置換基の誘起効果 (inductive effect) 復習: アルキル基の誘起効果による配向性 復習: 誘起効果により電子吸引性を示す置換基の場合 共鳴効果; π結合電子のような動きやすい電子対は、完全に片側に移動す ることにより結合が完全に+と-に分極する。このような結合の分 極を共鳴効果という。 復習: 共鳴効果により電子供与性を示す置換基の場合 復習: 共鳴効果により電子吸引性を示す置換基の場合 復習: ハロゲン置換基の考え方 複数置換基を有するベンゼンに対する求電子置換 反応では、何処が置換されるのだろうか? 反応性と置換位置の予測は出来るだろうか? 出来る! 規則がある!! 二置換ベンゼンに対する求電子攻撃 二置換ベンゼンに対する求電子攻撃 二置換ベンゼンに対する求電子攻撃 置換ベンゼンの合成戦略 置換ベンゼンの合成戦略 置換ベンゼンの合成戦略 多環ベンゼン系炭化水素の反応性 ナフタレンの求電子置換は何故1位でより起こり易いか? 共鳴構造式の内C(1)位攻撃では二つベンゼン環構造が保持される。 一方,C(2)位攻撃での共鳴構造ではベンゼン環構造は一つのみ。 求電子剤は置換ナフタレンを位置選択的に攻撃する 求電子剤は置換ナフタレンを位置選択的に攻撃する 求電子剤は多環芳香族を位置選択的に攻撃する シャトルカード確認課題復習 E:求電子反応剤 置換ベンゼンに求電子反応剤が反応する場合,R置換基の種類により,配向性に関しては,1)オル ト-パラ配向とメタ配向に大別される.R置換基は反応性に関しては活性化基と不活性化基に大別さ れる. 以下の四角にオルト-パラやメタ,活性化や不活性化の文字を記せ. -F -NH2 -OCH3 -CH3 -COH -Br -SO3H -CO2H -NO2 反 応 性 -Ph -OH -NHCOCH3 -Cl -H -CO2CH3 -I -CN -COCH3 A オルト-パラ配向 B オルト-パラ配向 C メタ配向 D 活性化基 E 不活性化基 F 不活性化基 -N+R3
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