SPring-8で _ POs-Ca の 再結晶化効果に迫る ※POs-Ca = Phosphoryl Oligosaccharides of Calcium 江崎グリコ株式会社 健康科学研究所 田中智子 1 本日の内容 1. グリコ の企業紹介 2. 新素材POs-Caについて 3. 初期う蝕, 脱灰・再石灰化とは 4. POs-Caによる再石灰化効果 5. BL40XUでの再結晶化の検証 6. おわりに 1.グリコ の企業紹介 3 江崎グリコと健康の出会い 牡蠣(かき);グリコーゲン(エネルギー 源) 医薬品よりも栄養食品として利用 治療よりも、 病気にならない 健康な体をつくる 予防が大切 予防医学的発想 創業者 江崎利一 4 2.リン酸化オリゴ糖カルシウム POs-Ca® について 5 POs-Caの調製方法 日本、アメリカ、欧州の 7カ国で特許取得の グリコオリジナルの国産素材 ※POs-Ca = Phosphoryl Oligosaccharides of Calcium 高水溶性カルシウム POs-Ca CH2OH P CH2O O CH2OH O OH O OH HO OH OH O O OH OH OH 62-phosphoryl maltotriose P CH2O CH2OH O OH O OH HO O OH 63-phosphoryl CH2OH CH2O O P OH maltotriose O O OH OH OH O O OH CH2OH CH2OH O OH OH OH O OH HO CH2OH O OH O OH OH OH 63-phosphoryl maltotetraose ミュータンス連鎖球菌に資化されない。 pH緩衝作用を有する 人工プラーク形成抑制 CH2OH CH2O O P OH OH HO CH2OH O O OH O OH CH2OH O OH O OH O 64-phosphoryl CH2OH O OH OH OH O OH OH maltopentaose 7 3.初期う蝕, 脱灰・再石灰化とは 8 脱灰と再石灰化 脱灰 :健全なエナメル質からカルシウムやリン酸が溶出すること。 再石灰化 :初期う蝕で失われたカルシウムとリン酸を取り戻すこと。 Ca10(PO4)6(OH)2 + 8H+ (ハイドロキシアパタイト) 再石灰化 脱灰 10Ca2+ + 6(HPO4)2- + 2H2O 9 ミクロでみた初期う蝕の再石灰化 脱灰 脱 灰 部 位 再石灰化後 ▼エナメル質表面 50μm ▼エナメル質表面 再 石 灰 化 部 位 50μm 初期う蝕は再石灰化により回復する! エナメル質断面の走査電子顕微鏡写真(島津製作所SSX-550) 10 TMR法で捉える脱灰・再石灰化 脱灰部位 再石灰化部位 200μ 200μm SOUND REM DEM Mineral volume (vol.%・μm) TMR法による再石灰化の検証 90 SOUND 80 70 60 REM 50 40 30 DEM 20 10 0 0 200 Depth (μm) 400 SOUND;健全部, DEM; 脱灰部, REM;再石灰化部 12 4.POs-Caの再石灰化 13 1.67 咀嚼唾液中のリン酸とカルシウム比 Ca/P =1.67 Ca/P比率 ハイロキシアパタイト比 2.0 Ca/P ration Ca/P= 1.67 1.0 0.0 POs-Ca非配合ガム POs-Ca配合ガム Takii et al ., 2009 14 5.BL40XUでの POs-Caの再結晶化効果検証 15 POs-Caで再石灰化処理した エナメル質の結晶変化は? ハイドロキシアパタ イトの結晶として回 復しているのか? ? ミネラル量の回復 だけなのか? OR 脱灰歯 16 POs-Caによる再石灰化の検証 POs-Caによる再石灰化 Mineral volume (vol.%μm) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 100 200 300 400 Depth (μm) ミネラル量の回復を再石灰化として評価 BL40XUでの 測定方法 →Beam→ SPring-8 beam サ ン プ ル 3,000mm 広角 WAXRD 小角 SAXS 180mm 図) 広角X線回折と小角X線散乱 18 POs-Ca の溶出 再結晶化 再石灰化 POs-Ca 配合ガム 刺激唾液分泌 唾液中の Ca2+の増加 良好なCa/P バランス プラーク内pH の上昇 PO43Ca PO43- 2+ 2 Ca + 歯エナメル質 19 6. まとめ 今回の研究で POs-Caを配合したガム が、初期う蝕を再石灰化・再結晶化させる ことをSPring-8の施設を利用することによ り、はじめて確認できました。 歯の健康寿命を改善させる商品開発に繋 げ、グリコは人々のQOL向上に貢献して いきます。 謝辞 本研究に多大なるご尽力を頂きました 高輝度光科学研究センター 八木直人 先生,太田昇先生,松尾龍人先生 鶴見大学 歯学部 花田 信弘 先生、今井 奨 先生 東京医科歯科大学 歯学部 田上 順次 先生、 北迫 勇一 先生 に深く感謝いたします。 21 22
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