1008第2章

ヒトの五感
第2章
視覚
聴覚
本能的なおいしさと文化的なおいしさ
感覚中枢
嗅覚
触覚(末梢感覚)
味覚
舌の構造と味覚の仕組み
味蕾
受容体の種類=味の種類
味細胞
甘味
酸味
塩味
旨味
苦味
拡大
味神経
舌表面
現在、確認されている受容体は5種類
拡大
味蕾
呈味物質が結合できる受容体
が存在
受容体に化学物質が結合するとその
刺激が味神経を通して脳の感覚中枢
に伝わる
味は5種類である
受容体の構造と呈味物質との構造には関連性がある
(ただし、詳細は解明されていない)
舌の部位と味覚
味覚以外の味
辛味
味蕾(受容体)の多い部位は存在
→味を強く感じる部位がある
渋味
しびれ感覚である
痛覚である
味蕾(受容体)の種構成はどの部位でも同じ
→特定の味だけを強く感じる部位はない
1
唐辛子の辛味
お茶の渋味
徐々に強い刺激をもとめがち.....
食べ物の味がマイルドになる理由
茶のカテキン
ほっぺたや舌のタンパク質に結合
しびれて麻痺
痛めつけられて喜んでいる
倒錯の世界
感覚や刺激の伝達が鈍る
甘味
甘味は万人に受け入れられる感覚であり、
習慣性がある(脳内エンドルフィンが分泌される)
本来の甘味物質
糖質に対する感覚
エネルギー物質を見分ける
ために重要
CHO
HCOH
HOCH
CH2OH
HCOH
HOCH
HCOH
HCOH
CH2OH
HCOH
CH2OH
キシリトール
ブドウ糖
O
NH
COOH
CH2
受容体と化学構造の
関係は謎である
CH2
O
S
O
サッカリン
H2N-CH-CONH-CH-COOCH3
アスパルテーム
甘いものが嫌いというのは
甘過ぎるものが嫌いという
こと
エネルギーにならない人工甘味料
万人受けする献立は甘口である
塩味
塩味を示すのは食塩(塩化ナトリウ
ム:NaCl)のみ
Na+
Na+(ナトリウムイオン)が塩味受容体に
結合することによって得られる感覚
ナトリウムは血液中の主要陽イオン
不足すれば電解質バランスが崩れて死を迎える
海から離れた動物にとっては確保が難しい物質
したがってナトリウムを感知する必要があった
ただし、塩味に習慣性はない
2
人工塩味量は存在しない
H+
酸味
酸味は水素イオンH+によって生じる
米酢:酢酸
柑橘類の酸味:クエン酸
漬け物の酸味:乳酸 など
甘いはずのものが酸っぱいとは何を意味するのか......
ナトリウムを求めて汗を吸うチョウ
腐敗を示す注意信号
開発できれば大ヒット商品だが....
苦味
旨味
苦い物質に共通の構造はない
苦味の閾値はもっとも低い
苦いものは毒である
食
アミノ酸
ペプチド
日本人が確立したダシの味
英語でも UMAMI
人類共通の旨味はタンパク質の分解物であ
るペプチド・アミノ酸による
タンパク質の存在を意味する
習慣性を伴う味覚
食べてはいけないものを
見分ける重要な感覚
西洋人には感知できないタイプの旨味がある
まとめ
本能的な味覚(おいしさ)とは
甘味(エネルギー)と旨味(タンパク質)を好み、
必要に応じて塩味(ナトリウム)を求め、
酸味(腐敗)に注意し、
苦味(有害成分)を回避することになる
彼らは昆布と鰹のダシの中で
昆布ダシしか感知できない
(味の素の味だけを感知している)
日本食ブームであるが
西洋人は本当に味わっているだろうか
お子様ランチは
本能的おいしさに溢れている
尖った味、変わった食べ物は飽きられる
定番の食べ物は本能的においしいもの
これらの旨味は核酸の分解物
幼児期に体験しないと感知できない
3
文化的なおいしさ
甘くない酒を味わうには
知識と経験が必要
私たちはいつから苦いもの酸っぱいものを
受容したのだろうか
万人が好む匂い
欧米人が嫌がる匂い
日本人が苦手な匂い
私たちは舌と鼻の両方で
味わっている
匂いの受容も幼児期に決まる
どんなに臭くても…..
シュールストレミング
4
食感(食品の物性)を決める要素
硬さ 壊れやすさ
粘り
料理は目でも楽しみます
付着性
滑らかさ
どちらのタラコがおいしそうに見えますか
温度
食パンの好みには東西差がある
サクサク、カりカり
基本は6枚切り
もちもち、フワフワ
お 70
い
し
い 60
ト
ー
言葉を調べることで
どのような食感が
好まれているかを
明らかにできる
ス
ト
の
食
感
表
現
で
あ
る
と
し
た
ヒ
ト
の
割
合
関西では5枚切りが人気
(
%
50
40
30
20
10
) 0
関東
近畿
関東は薄いトースト
関西は厚めのトースト
図2-3.おいしいトーストの食感表現に関する地域差 関東では8枚切りも好まれる
文化的なおいしさ
文化的なおいしさ
チーズの匂い
辛味
本能的なおいしさ
苦味 果物の香り 照り焼きの香り
甘味 旨味
食感渋味
形状 色 脂っこさ 適度な塩味
納豆の匂い
本能的なおいしさ
さわやかな酸味
アルコールの刺激
刺激的な酸味
5