分子生物学Ⅱ

分子生物学Ⅱ
1. 
2. 
3. 
4. 
細胞膜 6/ 3, 8
小分子の膜輸送 6/ 8, 10
蛋白質の輸送 6/15, 17
蛋白質の小胞輸送 6/22, 24
細胞膜 cell membrane
役割
l  障壁(細胞膜は細胞の境界を規定する)
l  情報の受容
l  物質の取り込みと排出
l  細胞の運動
l  細胞内小器官の形成
細胞膜の主成分 細胞膜(厚さ 5nm)の構成成分
● 脂質: 構造 脂質二重膜(lipid bilayer) ● タンパク質: 機能 情報・物質のやりとり
流動モザイクモデル
シンガー・ニコルソン,1972
主要な脂質
● リン脂質(グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質)
グリセロリン脂質
脂肪酸、グリセロール、リン酸、コリン・セリン・エタノールアミン
スフィンゴ脂質
脂肪酸、スフィインゴシン、コリン
● 糖脂質
スフィンゴミエリンから合成される。
糖は細胞膜の外側。ガングリオシドなど
● ステロール
コレステロール:流動性や透過性を低下。リン脂質を固定
リン脂質(最も主要な脂質)
特徴:
● 両親媒性分子
親水性、極性: コリン・セリン・エタノールアミン、リン酸、グリセロール
疎水性、非極性:脂肪酸
かならずシス
リン脂質
グリセロリン脂質
エタノールアミン
セリン
スフィンゴ脂質
コリン
コリン
疎水相互作用 水から疎水性分子が排除される力 方向性を持たない 二重膜へ(ミセルを回避)→小胞形成へ
脂肪酸の不飽和度(不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸)
二重結合はかならずシス型
脂肪分子の形状 飽和度は脂質二重膜の厚さに影響する
脂肪酸が短い
不飽和が多い
流動性高い
相転移:液体⇄二次元結晶(ゲル)
側方拡散 速い
フリップフロップ ほとんど起こらない
人工細胞 リポソーム liposome
黒膜 脂質膜の透過性を解析 コレステロール:
リン脂質を固定 流動性や透過性を低下
ラフト(筏)
コレストロールとスフィンゴ脂質に富む
厚い、蛋白質が多い、
物質輸送、情報伝達
ホスファチジルコリン:スフィンゴミエリン ホスファチジルコリン:スフィンゴミエリン:コレステロール 脂肪滴
細胞質
脂質の分布の違い
糖脂質は外側
ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン(負電荷)は内側
ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンは外側
内側(細胞質)へ フリッパーゼ
外側へ(スクランブラーゼ)→マクロファージ
ホスファチジルイノシトール(マイナーだが重要な脂質)
ホスファチジルイノシトール
膜の目印
情報伝達に関与
phosphatidylinositol kinase
イノシトールリン酸 Phospholipase 悪玉コレステロール LDL: Low-Density Lipoprotein cholesterol
善玉コレステロール HDL: High-Density Lipoprotein cholesterol 1
9
H
H
H
ジヒドロキシアセトン
リブロース
フルクトース
糖脂質
環の形成
異性体
水溶液中では,糖分子のアルデヒド基やケトン基は,同じ分子
単糖には,原子の空間配置だけがたがいに異なる異性体がいくつも存
内のヒドロキシ基と反応しやすい。この反応により,分子が閉
在する。たとえば,グルコース,ガラクトース,マンノースは同じ化
じて環が形成される。
学式
(C6H12O6)
をもつが,
1 個か 2 個の炭素原子につく基の配置が違う。
スフィンゴミエリンから合成
ゴルジ体で糖鎖付加
O
H
2
C
HO C
3
H
H
4
5
C
C
OH
H
OH
CH2OH
H
H
H
O
1C
OH
C
OH
C
OH
3
4
CH2OH
5
H
OH
4
HO
OH
1 グルコース
H
H
CH2OH
O
H
OH
H
H
OH
H
HO
2
3
OH
H
CH2OH
O
5
4
C
2
O
5
H
OH
6
H
6
C
1
H
CH2OH
H
H
OH
H
1
3
2
H
OH
OH
リボース
各炭素原子につけた番号に注意。
H
CH2OH
O
HO
OH
H
H
OH
H
H
H
OH
ガラクトース
OH
グルコース
CH2OH
O
OH
H
OH
OH
H
HO
H
H
H
マンノース
このようなわずかな違いでは,糖の化学的性質はあまり変わらない。
しかし,酵素やほかのタンパク質はこの差を見分けるので,生命活動
にとっては重要な意味がある。
細胞は糖鎖という服を着ている
インフルエンザ(H7N9)の電子顕微鏡写真
(提供元: 国立感染症研究所)
インフルエンザウイルスの構造と感染
H:ヘマグルチニン
N:ノイラミニダーゼ
インフルエンザの侵入と脱出
インフルエンザウイルスのHAは細胞表面の糖鎖の構造を識別する
H5N1(致死率100%)
河岡 義裕(CREST)
コンピューターで作った抗ウイルス薬
ターゲット:ノイラミニダーゼ
タミフル
感染後の投薬
リレンザ
コンピューターで作った薬
ノイラミニダーゼの立体構造からタミフ
ルを設計
キーワード
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脂質二重膜
両親媒性
リン脂質
–  ホスファチジルエタノールアミン
–  ホスファチジルセリン
–  ホスファチジルコリン
–  スフィンゴミエリン
不飽和脂肪酸(シス型)
コレステロール
糖脂質
リポソーム
flip-flop
膜タンパク質
機能
● 
● 
● 
● 
運搬体(トランスポーター、チャネル)
受容体(リセプター)
酵素
連結体
存在形態
膜貫通型
脂質結合型
蛋白質結合型
グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー
脂質結合型膜蛋白質
膜蛋白質の構造
膜貫通タンパク質
(transmembrane protein)
膜貫通ドメイン αへリックス 20〜30アミノ酸 疎水性
βシート(βバレル)
αへリックス:真核生物と細菌の細胞膜
βシート(βバレル):細菌、オルガネラの外膜
アミノ酸配列から膜蛋白質を予想できるか?30%は膜蛋白質
アミノ酸配列から膜蛋白質を予想できるか? ハイドロパシー
創薬ターゲットGPCR
これまでに開発された医薬品のうち、45%は受容体に作用する薬剤であり、そのほとんどが
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)であることがわかっています。したがって、GPCRは最
も医薬品に結びつきやすい標的と考えられ、創薬にはその研究を行うのが近道です。
3
6
アクアポリン
βシート:βバレル(樽)のものが多い
膜蛋白質の特性
細胞質ドメイン:還元的 SH
細胞外ドメイン:酸化的 S-S結合 糖鎖付加
膜蛋白質を研究する
●  精製:界面活性剤、可溶化、リポソームで再構成
●  膜蛋白質複合体の解析
●  機能・構造解析
X線結晶解析、NMR
●  膜蛋白質の流動性を調べる
細胞融合
FRAP FLIP
界面活性剤(Detergent)
臨界ミセル濃度)
(critical micelle concentration 実験例
Na+-Kポンプを可溶化
(界面活性剤)
↓
精製
↓
リポソームへ挿入
↓
機能解析
バクテリオロドプシン
光エネルギー→レチナール→プロトン輸送
バクテリオロドプシン
光エネルギー→レチナール→プロトン輸送
4
7
光合成細菌の光合成活性中心
細胞融合で膜蛋白質の側方拡散の速度を解析する
Fluorescence Recovery after Photobleaching
膜蛋白質
GFP
Fluorescence Loss in Photobleaching
問題点:1分子の動きではない→single-particle tracking 連結体
eg カドヘリン
蛋白質の側方拡散の制御
1.自己集合
2.巨大分子との結合
細胞外
細胞質
3.隣接細胞との結合
キーワード
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膜蛋白質
ハイドロパイシー
界面活性剤
膜貫通ドメイン
GPIアンカー
FRAP,FLIP