◎ぷらっとほ∼む◎ №36 土地に関する法律問題 その6 平成26年7月 松原市総務部政策法務課 これまでに考えてきたことを踏まえて、引き 続き、土地に関する法律問題について考えて する権原を失い、BはAに対して建物を収去して土地 を明け渡す義務を負います。契約の解除については、 №25・26を参照して下さい。 いきます。 3 Cとの関係について 1 主体の問題 次に、AはCとの関係では何をすべきなのでしょう 「№3法律問題を解決するために必要なこと は?」において、法律問題を解決するためには、主 体を特定すること(誰と誰との間の問題なのかを明 らかにすること)が大切であるとお話ししました。 今回は、このことを、土地に関する法律問題という 側面から考えてみます。 事例として、Aが土地を所有しており、Aはその土 地をBに対して賃貸し、Bがその土地上に建物を建て、 Bがその建物をCに賃貸しているとします。そして、A は、Bが土地の賃料の支払いを長年怠っているため、 Bとの賃貸借契約を解除し、土地を返してもらいたい と考えています。この場合に、Aは誰に対してどの様 な請求をするべきなのかを考えてみましょう。 か。これまた当然のことですが、BとCとの間の建物 の賃貸借契約は、BとCとの間のものなので、Aがそ の契約を解除する類のものではありません。では、A はCに対しては何もしなくてもよいのでしょうか。Aが Bに対して建物を収去して土地を明け渡すことを求め る訴訟を提起し、勝訴し、判決に基づいて強制執行を しようとしても、建物を使用しているCの存在によって 強制執行が実現しないことがあり得ます。 ここでは、Aは土地の所有者であるということに着目 して考えてみましょう。Cは、Aと契約関係にはありま せんが、Aが所有する土地上の建物を使用すること によって、言わば間接的に土地を使用しています。そ して、Cが土地を使用することは、BがAとの間で土地 建 物 の賃貸借契約をし、CがBとの間で建物の賃貸借契 (B 所有→C に賃貸) 約をすることによって正当化されていたものです。と 土 地 (A所有→Bに賃貸) 2 Bとの関係について まず、契約の解除については、当然のことですが 契約の相手方であるBとの間で行うべきことです。現 実に土地上の建物を使用しているのはCですが、Aと Cは何ら契約関係にはありません。Aは、契約を解除 するに当たっては契約の相手方であるBだけを相手 とすべきなのです。 契約が解除されると、BはAが所有する土地を使用 ころが、AがBとの間の土地の賃貸借契約を解除した ことによって、この正当化は成り立たなくなっているの です。 従って、AはCに対して、建物から退去して、土地を 明け渡すことを、土地の所有権が侵害されていること を理由として、請求すべきということになります。 4 まとめ 今回の事例に限らず、問題を解決するためには、 それぞれの登場人物との間の関係を丁寧に検討す る必要があります。 作成者:政策法務課 余川章一郎(弁護士)
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