M ・N ・ ロイの植民地脱化論にっいて ー世界経済論の方法へ の 一視角ー

・N
中
世界 経済 論 の方法 への 一視 角1
・ロイ の植 民 地 脱 化 論 に つ い て
M ・N ・ロイ の植 民 地脱 化 論 に つ いて
M
1
一、 問 題 の 視 角
罵
、七 四
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一
旧来 の世 界経 済 論 の基 本 構 成 た る 帝 国 主 義 論 と民 族解 放斗 争 論 の統 一的 把握 の概 念 の中 で 両者 の有 機 的 接 点 の範 疇、 す
な わ ち構 造 的 に は後 進 資 本 制 の展 開 と し て の所 謂 植 民 地 脱 化 論 (
国三ぎ δコ匠①
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。膏 ) の領 域 が す こぶ る 不十 分 の儘 放 置
ユ を され て い た事 は今 日 の段 階 に於 い て は既 に明 ら か と な って い る。 そ の主要 な内 容 は 帝 国 主 義資 本 の型 (な℃⑦
)と 植 民 地 (
半
植民地 ・従属国 を含む)民 族資 本 の型 を 両 者 の有 機 的 関 係 の中 で位 置 ず け 、 そ の 上 部 構 造 と し て の 階 級 分析 を 媒 介 と し て 双
方 の経 済 構 成 11国 民 経 済 の基 本 性 格 を 明 白 にし 、終 局 的 に は世 界 経 済 の重 層 的 構 造 規 定 への 一の境 界 領 域 的 方 法 (
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8島) を 確 立 す る こと から 成 立 し て いる と 言 え よ う 。 かか る問 題 設 定 は正 に戦 後 の現 在 に至 る 世 界 経 済 の中 核
に 迫 る も の に他 な ら な い。
旧来 、 帝 国 主 義 論 の範 躊 に せ いぜ い広 域 経済 論 と し て 固定 的 に 解 消 さ れ て し ま った 、 いわ ば 戦 前 迄 の植 民 地 発 展 否定 の
論 唖 と 戦後 に於 け る 所謂 後進 国 ﹁開 発 ﹂ 論 の論 燭 か冊 に は マル ク ス主 義 世 界 経 済 理 論 か ら の媒 介 項 が 殆 んど 完 全 に脱 落 し
て いた と言 って よ い。 こ の意 味 で 民族 資 本 の概 念 、 民 族 資 本 の機 能 等 が脱 化 過 程 の中 で 帝 国 主 義 母 国 の政 策 と 対 応 し て 再
吟 味 さ れ な け れ ば な ら な い の で あ る 。 抑 々民 族 資 本 な る 範 疇 は 如 何 な る 意 味 に 於 い て も 原 理 論 的 な も の で は な く 、 世 界 経
(
5)
済 の 不 均 等 発 展 の歴 史 的 構 造 の裡 で 資 本 の 置 か れ た 条 件 を 多 次 元 的 に 示 唆 す る 概 念 に 他 な ら な い 。 け れ ど も 民 族 資 本 の か
か る 形 態 は 単 純 に 現 状 分 析 の み に 拘 わ る も の で は な く 、 帝 国 主 義 母 国 に 於 け る 政 策 11 金 融 資 本 の 一定 の型 の 形 成 過 程 に 対
応 せ る局 面 と し て段 階 論 的 に 理解 され る必 要 が あ る。
(
6)
M ・N ・ ロ イ は コミ ン テ ル ン の 実 践 的 理 論 家 で あ る が 、 彼 の 植 民 地 脱 化 論 を 採 り あ げ る 所 以 は 、 彼 が こ の 思 想 の 父 で あ
る が 故 に 、 そ の 心 血 を 注 い だ 中 国 革 命 の 指 導 過 程 を 通 じ て の 彼 の 脱 化 論 的 な 独 特 の 思 想 が 醗 酵 し て いく 論 理 を 追 跡 す 6 こ
ヘ
へ
と に よ っ て 前 記 の 空 白 に 一つ の 橋 を わ た す こ と が 出 来 る の で は な い か 、 と 考 え た か ら で あ る 。
(1)
戦後植民地 ﹁解体﹂論 11新植民地主義論 の論理 はコミンテルン植民地テーゼ の非資 本主義 的発展 の道 と いう概念 であ り、 ソ連 学界主流及び我国 で
も大阪市大 グ ループが この解釈 をと っているが、 かなり事実と乖離し て歪曲的である。 最 近、
ソ連 でも ﹁植民地脱 化論﹂的見解 が出現 しているこ
とは注目されよう。 前者としては、門oo
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(2) ここで言う型とは、宇野 教授 の所 謂金 融資本 のタイプと いう概念 と典型 の概念 を含む。宇野 弘蔵 ﹁
経済学方法論 ﹂九九一 一〇〇頁。
(3)
例えば我国 では、プ ロレタリア科学研究所編 ﹁植民地問題 ﹂昭 6は戦前 の マルクス主義 にもとつく代表的著作であるが、母国金融資本 によ る植民
地経済、土着工業資本 の発展は ﹁原則として阻止﹂され、そ の要因は資本蓄積 の不可能 に帰せられる。同書六九 -七〇頁。
(4) 例えば、松井清 ﹁低開発国経済論﹂
、森 田桐郎 ﹁
南 北問題﹂等 に植民地脱化論 の論 理的吟味 は欠 けて いる。
(5) ここでめ不均等発展 の概念 は、生産力 と 生産関係 の矛盾が ﹁構造的 に不純な関係 を前提 とし﹂ て 歴史的具体的 に 現成 したも のと して 抱えられよ
う。 宇野弘蔵 ﹁資本論と社会主義﹂ 二 一九一 二二〇頁、阿 ﹁経済学 の方法﹂四 二頁。
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、
七五
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者 であ ったが、︿父﹀は ロイ であ るとされた。こ の外 にパー ム ・ダ ット等 の脱化論 的見 解があ ったが、 (ωe這﹂5) シ ューヴィ ソは μイの見解 を無
条件 の (
引用符なき) 脱化論と表 現した。 も自.
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二、 ロイ の植 民 地 脱 化 論 の形 成
M ・N ・ロイ の植民 地 脱 化 論 に つ いて
、 、
七六
、
ロイ の植 民 地 脱 化 論 は 二 つの視 角 の 交差 か ら 成立 って いる。 一は帝 国 主義 母 国自 体 の経 済 的展 開
M ・N ・ロイの植氏地脱化論 について ・
ω そ の理 論 構 成 。 と し て の脱 化 過 程 1一金 融 資 本 の政 策 変 動 、 二 は植 民 地 経 済 に於 け る階 級 的 対 応 過 程 11民 族 資 本 の自 律 的 展 開、 であ り、 前
(
1)
者 の企 図 が 後 者 の ︿二 つ の途 ﹀ を そ の各 自 の条 件 に従 って決 定 し、 そ の状 況 が 前 者 を規 定 す る と い う いわば 相 互 浸 透 的 構
ヒ 造 を 有 し て いた 。 彼 の思 想 的 原 点 は コ ミン テ ル ン第 二回 大 会 に於 け る レー ニン起 草 の ﹁民 族 及 び 植 民 地 問 題 テ ーゼ﹂ に対
ヨ す る ﹁補 足 テ ー ゼ﹂ に盛 られ た 三民 ブ ロ ッ ク論 、 す な わ ち、 レー ニン のい わぽ ブ ルジ ョ ア民 族 解 放 運 動 的 な 四 民ブ ロ ック
論 に対 し、 プ ロ レタ リ ア ン . ヘゲ モ ニー、 ブ ルジ ョ アジ ーと の合作 の初期 段階 への戦 術 的 限定 、 プ チ .。
77ル の動 揺 性、 非
資 本 主 義 的 発 展 綱 領 の必 要 を 主 内 容 と ず る、 当 初 よ り植 民地 ブ ルジ ョアジ ーを権 力 範疇 と し て他 の次 元 に 峻 別 す る 発想 に
こそ 存 し て い た。
さ て帝 国 主義 母国 の条 件 と し て ロイ に よ れば 帝 国 主義 世界 戦 争 に よ る 信 用組 織 の戦後 イ ン フ レによ る破 壊、 低賃 金 と 重
税 に よ る大 部 分 の工業 国 人 民 の購 買 力 の著 し い減 退 11生 活 水 準 の引 下 げ 等 の戦 後 危 機 は、 主 導 国 に於 け る貨 幣 循 環 の調 整
① 工 業 生産 の高 度 成 長 の非 恒常 的 ・不安 定 性 ② 生 産
と イ ン フ レ克 服 、 技 術改 良 に よ る 生産 コスト引 下げ の結 果 と し て の生 産 の著 し い生 長、 外 国 貿易 の拡 大 と いう 三指 標 に表
徴 され る資 本 主 義 の 一時 的安 定 と し て克 服 さ れ たが 、 こ の安 定 も
能 力 と実 際 生産 量 の巨き な 乖離 ③ 英 帝国 の解 体 ④ 仏資 本 主 義 の没 落 ⑤ 米 国 のデ フ レ危 機 徴 候 ⑥ ソ同 盟 の発 展 ⑦
る 中 国革 命 の発 展 と いう構 造 的要 因 に よ って 再 び 深 刻 な 過 剰 生 産 11 恐 慌 の危 機 に導 か れ る 必 然 性 を も つ。資 本 主 義 国 は 一方
で産 業 合 理 化 に よ り、 他 方 で 労働 者 の賃 金 11生 活 水 準 切 下げ に よ り こ の危 機 を乗 り 切 ろ う と す る が、 結 局 これ は当 該 国
ヘ
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市 場 の破壊 によ る悪 循環 を惹 起 す る に 終 り、 結 局、 も う 一つ の自 己 救 済 法 と し で 植 民 地 市 場 の資 本 輸 出 によ る 工 業 化 "質
ヘ
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ぬ
的 拡 大 、 換 言 す れ ば 植 民 地 低 賃 金 労 働 力 の組 織 的 搾 取 (収奪ではなく 11筆者) を 逐 行 ず る に至 り 、 そ の結 果 と し て植 民 地 は
ヨ 漸 次 帝 国 主 義 の政 策 的 変 更 の下 に植 民 地 た る地 位 を 脱 出 す る に至 ると いう も の であ った 。 世 界資 本 主 義 の状 況 分 析 は コミ
ソ テ ル ソ 規 定 と 変 る も の で は な か った が 、 そ の特 色 は 過 小 消 費 論 的 視 角 か ら 外 国 市 場 の拡 大 の 必 然 性 11 単 な る 外 延 的 な 拡
ヘ
ヘ
ロ
ノ
大 で はな く 、 内包 的発 展 の限 界 (
独 占 ) に よ る 外 延 的 な 発 展 の 質 的 転 換 11 を 視 る 点 に あ った 。 ロイ に よ れ ば 、帝 国 主 義 の資
本 輸 出 を 基 軸 と す る 対 植 民 地 政 策 路 線 の転 換 は 土 着 ブ ル と の 政 治 的 妥 協 、 ブ ル ジ ョ ア 民 族 政 権 の 成 立 11 強 化 を 導 出 す る 。
へ
他 方 、 植 民 地 ブ ルジ ョ ア ジ ー は 、 母 国 の資 本 輸 出 に よ る 漸 次 的 工 業 化 を 物 的 基 盤 と し て 反 帝 反 封 建 植 民 地 革 命 (下 か ら
へ
の革 命 ) の戦 列 よ り 離 脱 し て 、帝 国 主 義 と の 妥 協 の 下 に 大 ブ ル を 中 核 と し て 、 小 ブ ル ジ ョア ジ ー を も 遂 に は 、 上 か ら の ﹁革
命 ﹂ ロ反 革 命 に引 入 れ る に至 る。 民 族 ブ ルジ'
ヨアジ ー は祖 国 の工 業 化、 財 政 の自 立、 関 税 防 壁 と いう 三 つ の根 本 的要 求 を
持 って い るが 、 帝 国 主 義 の政策 変 更 を 通 じ て結 局 、 こ の経 済 綱 領 は実 現 さ れ る だ ろ う し、 植 民 地 ブ ルジ ョアジ ー は自 身 の
ア 経 済 発 展が 帝 国 主 義 の枠 の中 で 可 能 であ る と いう 思 想 を も ち 、保 証 を 得 て いる のであ る。
以 上 の よ うな 二種 の視 角 が革 命 の二 つの道 11脱 化 論 と非 資 本 主 義 発 展 1一 に収 斂 す る ロイ の理 論 を 構 成 し た ので あ る が、
そ の現 代 的 意 義 が 認 めら れ る のは勿 論、 資 本 輸 出 を手 段 と す る植 民 地 脱 化 の構 造 11政 策 的 解 明 の部 分 であ り 、 母 国 の国 内
き 市 場狭 隘 化 と労 働 者 の消 費 低 下 を 直 截 に 結 合 す る 過小 消 費 説 的 論 理 は レー ニン の不均 等発 展 旺 国内 市 場 創 出 の論 理 を ま つ
迄 も な く、 原 理 論 と して は誤 であ り 、 段 階 論 11現 状分 析 と し て は実 証 に 不十 分 であ る。 し か し、 ロイ に おけ る脱 化 論 の形
成 は抑 々イ ンド に対 す る 英 国 の具 体 的 政 策 評 価 に基 " て いて 本質 的 に 当 初 よ り 柔 軟 な実 践 的視 野 が 貫 徹 し て い る の であ
る。 コ、
ミンテ ル ソと の関 係 に於 いて そ の輪 廓 を 一瞥 し ょう。
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ロイ は コミ ンテ ルン第 二回 大 会 で既 に イ ン ド に お け る急 速 な産 業 的発 展 が 中 産 階 級 の民族 主義 運動 と は全 く 独 立 に被
む 抑 圧老 の革 命 運 動 を出 現 さ せ、 これ は欧 州 帝 国 主 義 の崩 壊 を も た ら す事 を予 告 し て いた が、`
これ が よ り 明確 に イ ンド の植
民 地脱 化 の視 点 に分 極 ・ 結 晶 し て い った のは 一九 二 二年 の第 四回 大 会 か ら 二 八年 の第 六 回 大会 に かけ て であ った 。 第 四
.
七七
回 大会 で彼 は欧 州 の金 融 的 混 乱 は帝 国 主 義 に、 世 界資 本 主 義 の均 衡 が 再 確 立 さ れ う る新 市 場 を探 求 せ し め つ つあ り 、 西 欧
M .N ・ロイ の植民地脱化論に ついて ・
▼ 、
M ・N ・ロイ の植民地脱化論に ついて .
七八
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資 本 家 は イ ン ド と中 国 の よ うな 諸 個 の工 業 化 を 促 進 す る事 に よ って新 し い経 済 均 衡 を 達 成 し ょう ど して いる と論 じ、 他 方
民族 ブ ルジ ョケ.
ジ ー は増 大 す る 工業 化 と 利潤 搾 取 機 会 の増 大 に よ って帝 国 主 義 の保 護 を求 める から 民 族 の革 命 的斗 争 は労
(
10)
農 を 代表 す る前 衛党 の指 導 の下 で の み終 局 的 勝利 を得 る こと が出 来 ると 主 張 した 。 第 四 回 大 会 は ロイ の分 析 を支 持 し、 著
ほ 名 な東 方 問題 テ ー ゼ を決 議 し たが 、 そ れ は アジ ア植 民 地諸 国 に於 け る土 着 資 本 主 義 の急 速 な 発 展状 況 を 承認 し、 革 命 が ブ
レ
ヘ
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ルジ ョ ア革 命 の域 を乗 り越 え る 必然 性 を 強 調 した 点 で、 脱 化 論 の可 能 性 へ 一
,
歩 近 づ い たも の であ った。 つ いで 一九 二 四年
の第 五 回 大会 の席 上、 ロイ は民 族 資 本 主 義 が 急 速 に成 長 して いる イ ンド に於 い て は民 族 ブ ルは既 に 英 帝 国 を 支持 す る方 向
に 移 行し た ど断 じ、
﹁何 故 な らば イ ンド ・ブ ルジ ョアジ ーは誰 よ り も良 ぐ大 衆 の 不満 が 経 済 的 な も ので あ り、 民 族 的 な も
は 更 にジ ・ ヴ ・ 、
の では な い事 を 知 って い る か ら であ る ⋮ ⋮大 衆 は民 族 的 な 搾 取 に は 反対 し て起 ち あが らな いが 、資 本 家 ・地 主 の階 級 搾 取
(
12)
に は た ち あ が る 。﹂と 述 べ 、更 に ﹁イ ンド の搾 取 階 級 は被搾 取 者 か ら の防 禦 を要 求 し て いる 。 イ ンド資 本 主義 は英 帝 国 主義
の腕 の中 に直 接 と び ・ん だ が、 同じ 傾 向 が 他 の諸 国 でも 間 も な べ み られ る であ ろ兎 ・﹂ と分 析 し た・ 厚
エフ報 告 草案 中 の民族 解 放 運動 と の直 接 関 係 保 持 の公 式 に 関 して、 これ は、 支 持 の性 質 は現 実 の諸 条件 に よ って決 定 され
ねば な ら ぬ と い う レ! ニ ン ・ テ ーゼ の精 神 と 抵 触 す る と批 判 し、 か か る植 民 地 の条 件 は実 際 に変 化 し た と為 し、 前 述 の
イ ンド の実 例 を 引 用 し て、 民族 運 動 に おけ る ﹁最 悪 の沈 滞 ﹂ の裡 で革 命 的 た りう る勢 力 は労 農 、 就 中農 民 な のであ り、 植
民 地 の革 命 的。
プ ロ レタリ アー ト に就 い て のみ 語 る 事 は 単 な る ロ マン チ シズ ム に他 な ら ぬ か ら、 彼 等 と直 接関 係 を確 立 す べ
り き であ る と 主 張 し た。 こ え て 一九 二 六年 に は彼 の脱 化 論 は彼 の く下 か ら の革 命 V 理念 に照 応 す る、 そ の前 提 と し て確 立 し
た と 考 え ら れ る。 彼 に よ れ ぽ、 イ ンド民 族 ブ ルジ ョアジ ーと プ ヂ ・
、
ブ ルと の深 ま る対 立 は スワ ラヂ党 を 分 裂 さ せ た が、 そ
れ は大 ブ ル の立 憲 主 義 と 小 ブ ルの革 命 的 傾 向 の問 の橋 の消 滅 即 ち英 帝 国 主義 と イ ンド ブ ルジ ョアジ ー の慶 祝 す べき 妥 協 の
ハ 最 後 の障 害 が う ま く 除 去 さ れ た こ と一 従 って 一定 限 度 内 で のイ ンド 工業 化 の許 容 を意 味 す るも ので あ った。 中 国 よ り モ ス
クワ に帰 還 した 二七年 九 月 に起 草 した イ レド 問 題 に関 す る決 議草 案 に於 い て彼 は次 のよ う に分 析 した。 ﹁帝 国 主 義 は そ の
破 滅 へ導 く よ う に戦 後 の危 機 の外 へ自 身 を導 いてく れそ う な新 し い道 を非 常 に用 心 深 く 歩 む に違 いな い。 そ の新 政 策 の含
意 す る も のは イ ンド の漸 次 的 な 植 民 地 脱化 であ るが 、 そ の結 果 と し て イ ンド は 漸 次 従 属 国 か ら 主権 国 への発 展 を 許 容 され
る であ ろ う。 イ ンド ブ ルジ ョア・
ジ ーは潜 在 的 ラ イバ ルと し て抑 圧 され る代 り に帝 国 主 義 金 融 の ヘゲ モ ニー の下 に経 済 的 発
展 のパ ー諮 ナー たる 事 を 許 容 さ れ る。 イ ツド は後 進 的 農 業 国 から 近 代 的 工 業 国- 英連 邦 の 一員 へ変 る であ ろう。 資 本 主義
の戦後 危 機 に よ って英帝 国 主 義 に強 制 され た政 策 が 植 民 地 搾 取 の新 し い形 式 と新 し い方 法 の為 に旧 弊 な 形 式 と方 法 を 廃 棄
し つ つあ る限 り 、 イ ンド は植 民 地脱 化 の過 程 にあ を 。 ⋮ ⋮ 経 済 領 域 の これ ら の変 化 は 政治 的結 果 に及 ぶ 。 緩 慢 で はあ るが
植 民
あ 地 脱 化 の不 可 避 の過 程 は世 界 帝 国 の解 体 の萌 芽 を 蔵 し て いる 。﹂
(モンターギ ュ・チエルムスフォード改革一倍註 ) に潜
応 の仕 方 から 自 身切 実 に体 験 し たブ ルジ ョアジ ー に対 す る 不 信 であ った 。第 一次 大戦 中 の製 造 品供 給 市 場 と し て の イ ンド
以 上 の よう な ロイ の植 民 地脱 化 論 の基 底 に潜 む 理 念 は 歴 史 的 に は英 国 の対 印 政 策 に対 す る イ ンド ・ブ ルジ ョアジ ー の対
をそ のま ま で は保 持 不可 能 と な った ﹁英 帝 国 主義 の注 目 す べき 政 策 転 換
む 目 的 は イ ンド ・ブ ルジ ョアジ ー に対 し て英 国 支 配 の下 でも そ の政 治 的 野 心 を実 現 す る こ とが も は や不 可 能 で はな く な っ
た こと を 赤 裸 々にす る事 に よ って革 命 運 動 の分 裂 を策 す事 であ ったつ ⋮ 英 国政 府 が イ ンド ・ブ ルジ ョアジ ー に譲 歩 す れ ば
す る 程 、 イ ンドブ ルジ ョア ジ ー は益 々野 心 的 と な る 。 外 国 人 と 独 占 の権 利 を 公然 と相 争 う 地 位 に到 達 す る迄 は帝 国 主 義資
イ ・ ド ・ブ ルジ ・アテ
は 大衆 を 騙 し・ 大 衆 を 会議 派支 持 に引 入れ よ うと 努 め 房
であ り ﹁英 国 支 配 の打
本 と 妥協 す る 必要 が あ る事 は明 白 であ る。 而 し て英 帝 国 主 義 が 大衆 の助 け な く し て は打 倒 さ れ 得 な い こと も 彼 等 は先 刻 承
知 し て いる.
即
七九
倒 はブ ルジ ョアジ 澗と 大 衆 と の共 同 行動 に よ って成 就 され るだ ろ う。壕 し か し 、こ の結 合 が 完 全 に成 就 さ れ る方 法 は未 だ 問
の 題 と し て残 る。﹂
M ・N ・ロイ の植 民 地 脱化 論 に つ いて
M ・N ・ロイ の植民 地 脱 化 論 に つい て
.八 ○
結 局 、 ロイ に と って、帝 国 主義 の世 界経 済 に おけ る政 策 (
主体的)的 次 元 と土 着 資 本 及 び 二重 に搾 取 さ れ る 人民 の対 応 的 .
次 元 を弁 証 法 的 な相 互 滲透 の重 層 的 11多 次 元 的構 造 と し て把 握 し ょうと す る基 本 視角 の中 に ︿二 つ の途 > H植 民 地 脱 化 と
︹
19)
.
労 農党 指 導 下 の非 資 本 主義 的発 展 ¶ と いう対 極 的 な思 想 の構 成 が 生 ま れ 、 夫 は右 の ︿具 体 的 条 件﹀ に添 った場 合 に植 民 地
脱 化 論 と し て結 晶 化 した と 言 え よ う。
巳
(1 ) 二 つ の道 と い う視 角 が 文 革 の中 で 根 本 理 念 と し て提 起 さ れ、 歴 史 的 にも 変 法 維 新 と 太 平天 国、 義 和 団 と 七 て規 定 さ れ た こと は 注 目 に値 す る。 戚 本
禺 ﹁帝 国 主 義 か そ れ とも 売 国 主 義 か﹂、 北 京 周 報 一九 六七 年 一五 号 、 十 五 頁 。
目●芝 o詳 訳 oロ機器 馨 ω ユ①﹃ 屠.H Qnω・b●鎚 ∼邸ωb。・邦 訳 一二 ニー 一七 二頁 。
(2) レ ー ニン の草 案 報 告 に基 いて 十 二項 に わ たり 、 世 界 を はじ め て抑 圧 国 と 被 抑 圧 国 と に分 かち 、 民 族 解 放 を 体 系づ け た根 本 テ ーゼ 。 窟 oa ぎ9 一αΦω
Z。二貫 ×'、
国& 旦
竃 ・Z・ぎ く.
ω 巨 ωωごp 8 0三爵 層q駄 く・。h 9 ま 。﹁三9﹂ 8 ω讐目冨 ∪。8 ヨ①三 ・・も 喝﹄ 蕊 一 日 ㊤・
(3 ) 補 足 テ.
ーゼ は九 項 から 成 って いる 。 レ ー ニン、 村 井 訳 ﹁民 族 問題 ﹂第 三 分 冊附 録 、 ニ 二 五1 二一一
= 頁参照。
(4) 即
(5) H三α二 合 渉。 ω齢 ロ聾 n磐 8 0h夢 0 6三 ロ①器 ﹃。︿。一幕 ご・﹀ 噂し ミ
資 本輸出市場獲 得斗争激化-
新革命 の前提成立 の脈絡 で、 ロイと同じ視点に立 つ。 又彼 は、英 国と中国を世界経済 におけ る資本
(6) ブ ハ; リ ンは 過 小 消 費 的な 視 点 と し て μーザ を 批 判 し な が ら 安 定 後 の危 機 に つい て は合 理 化 - 商 品 生 産 増 加 - 国 吋 市 場 吸 収 力 の減 少 一勤 労 大 衆 購
主義 関 係 の 二 つ の主要 対 極 と視 、 前 者 を 資 本 主義 一般 の趨 勢 た る 没落 の表 現 と し 、 米 国 の みを 上 昇 線 にあ る と 規 定 す る。 佐 野 ・西 訳 編 ﹁国 際 無 産
売 力 の引下げ1
階 級 運 動 ﹂ ス タ :ブ ハ著 作集 第 十 六巻 、 二 五 八、 二 六 一頁 、 四 五 四 一 四 五 五頁 参 照。
(7 ) ℃﹁。8ざ 目 匹窃 ①・≦・一
けざ 農 ﹁。鴇。ω 号 ﹁ 訳。日日彗 一
。・け響 冨 ロ 一三・ヨ 註 。・覧⑦層∪診 仲興 言 巳 .一
¢器 讐ゆ。ユ一
9ω●ωo。
。
、
・(8 ) ﹁蓄 積 は所 得 以 上 に出 る 生産 の超 過 であ る ⋮ こ の蓄 積 は 消 費 資 料 に と ρて そ れ に照 応 し た 市 場 の増 大 が な く と も、 又 こ の市 場 が 縮 小 す る 場 合 さ え .
生 産 手 段 の為 に新 た な 市 場 を開 く 。﹂ レ ー ニン全集 ② 一四 ニ ー 四 三頁 。 (9 ) ℃8 8ぎ 昌 α①ω ﹃ ≦ 9紳ぎ 口σq﹁①馨 。・α。﹃囚。日ヨβ三のけ一
ω魯 曾 ぎ 8 3 舞 坤
§ 鈴ρ 一露 朗 ω﹂ ミ リωQ。﹂ 望 1 5 b。●
(10 ) ℃﹃08 犀o目 α①ω <冨属o口 際o昌σq器 器oω山田 閑oヨヨ 三ω二。な魯 3 ぎ 8 ヨ 暮 坤
o慈 す 一露 。。りωω.沼 川一 切㊤。
。.
ド
の◆①AG。・
(11 ) H①一帥の
馨 N①Nロ﹁ 〇二①三 時8 σqρ 憎﹃08 冨o一一幽①ω< 一
興 8 昌 訳o渥 冨 器$ 伍①﹃ 閑■同■oDω■・
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(12 ),零 08 ぎ 口 α$ O・宍 8 σq﹁①。αω窃 αo﹃ 民.同こ 田 民
(14 ) O冨 ユΦ。・切.寓 99。9 噂6∩〇二 のけ ω窪讐 。豊 ①・。 貯 ωε 葺8 。・再器 貫- 彗 。老 ざ冨 e一
8 。h①器 言﹁5 ℃。=受 唇 自霞 冨 昌ぎ 卸 uo骨p一
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(13 ) い8 娼o冠 ピロげω骨 讐a 醐
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ロイ の植 民 地 脱 化 論 の構 築 に 与 って 力 あ った 最 大 の実 践 的 要 素 が
(18) 一げ団
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(19)
ロイはインドの場合、下から の道として二三年 の書簡及 びアセンブ リ ・レター の中で共産党を中核 として包含す る統 一戦線的 労農党 の結 成を主張
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㈱ 中 国 革 命 に於 け る ロイ の 脱 化 論 的 論 理 の 形 成 。 中 国 革 命 の 歴 史 的 体 験 で あ った こ と は 疑 い な い 。 加 え て 中 国 の 場 合 に は 植 民 地 脱 化 の持 つ歴 史 的 意 義 は 最 も 切 実 に 戦 後 世
界 の 状 況 に 繋 が っ て く るゆ と い う の は 、 イ ン ド の 如 き 単 一支 配 型 の 完 全 植 民 地 と は 多 少 異 な り 、 中 国 の 場 合 は 種 々 の型 を
持 つ 複 数 帝 国 主 義 と 半 独 立 国 家 の 多 様 な 対 応 関 係 と し て の所 謂 半 植 民 地 構 造 を も ち え た か ら で あ る 。 そ し て 、 か か る構 造
は 一見 し て 明 ら か な よ う に 戦 後 の A ・A ・﹂ A 地 域 に お け る ﹁新 興 国 ﹂ と ﹁新 植 民 地 主 義 ﹂ の 対 応 関 係 の 正 に 原 型 を 創 出
し た も の で あ った と 言 え よ う 。
ロイ は 一九 二 六 年 末 に コ ミ ン テ ル ン か ら 広 東 政 府 に 顧 問 と し て 派 遣 さ れ 、 二 七 年 初 か ら 蒋 介 石 ク ー デ タ ー を 経 て 七 月 下
旬 に 漢 口を 離 れ モ ス ク ワ へ出 発 す る 迄 の 約 半 ケ年 に わ た っ て ボ ロヂ ン 、 ガ ロ ン を は じ め と す る 武 漢 政 権 内 コ ミ ソ テ ル γ代
表 団 の 中 に 在 っ て ボ ロヂ ン と 並 ん で指 導 的 役 割 を 果 し 、 彼 の 独 特 の 思 想 は 当 時 の 中 国 共 産 党 の 革 命 路 線 の 旋 回 決 定 過 程 に
小 さ か ら ぬ 影 響 を 与 え た の で あ った 。
先 ず 中 国 革 命 に 対 す る 帝 国 主 義 の拘 り 合 い に 関 し て 、 冒イ は そ れ を 資 本 主 義 の安 定 化 に 対 す る 強 力 な 挑 戦 と し て 把 え る
と 同 時 に 、 ア メ リ カ 帝 国 主 義 を 中 核 と す る 帝 国 主 義 の中 国 革 命 介 入 の 根 拠 と し て の 世 界 経 済 に お け る 中 国 市 場 の 重 要 性 に
つ い て ﹁中 鼠 に 対 す る 帝 国 主 義 の 政 策 は 国 際 政 治 の 基 礎 に 在 る 矛 盾 し た 経 済 的 利 害 の 絡 み 合 い に よ って 決 定 さ れ る 。 中 国
と の貿 易 は世 界 資 本 主義 安 定 化 の 一つの重 要 な フ ァク タ ーで あ る。 と い う の は資 本 輸 出 国 にと っては中 国 は 最大 利 潤 を生
M ・N ・ロイ の植 民 地脱 化 論 に つい て ・
八 一
、.
M ・N ・ロイの植民地脱化論 について 、
・
八二
(
1)
む投 資 市 場 たり う る であ ろ う か ら 。Lと規 定、更 に、
.中 国 と 他 の植 民 地 .
・半 植 民 地諸 国 に於 い て米 国 そ の他 の帝 国 主義 国 か
ら の ﹁資 本 輸 出 によ って工 業 化 が達 成 さ れ得 るな ら ぽ 世 界資 本 主 義 の安 定 化 への大 き な 前 進 と な る だ ろ砲 。﹂と 予 言 し、こ
ヨ り
の目 的 を 追 求 す る帝 国 主義 の新 し い政 策 志 向 の典 型 は 中 国 に対 す る ア メリ カ の ︿自 由 帝 国 主 義﹀ に象 徴 さ れ る と視 る。 即
ち 、、アジ ア の共産 党 が指 導 す る民 主 革 命 にと って の脅 威 は帝 国 主 義者 と軍 閥 の大 砲 と 軍 艦 に在 る ので は な く、 最 大 の脅 威
と し て の新 し い ア メリ カの傾 向 ー イ ンド に おけ る 英 国 の新 政 策 と 類似 す るi 、 即 ち 巧 妙 な 工 作 を 以 って下 か ら の革 命 を 中
イ 断 ず る 意 図 の下 に中 国 革 命 に再 び 介 入 し て来 た こと に あ る。 ロイ は更 に ア メ レ カ ︿自 由 帝 国 主義 > 1ー ア メゾ カ金 融 資 本 の
対 華 政策 の内 容 に つい て ﹁米 国 政 府 の表 面 的自 由政 策 は 二 つの状 況 に帰 す こと が 出来 る 。① 米国 の製 造 業 者 が 中 国 と の貿
易 を 切望 ナ る事 、 ② 米 国 の金 融 業 老 が 中 国 ∼の投資 に関 心 を持 って い る事 ﹂ と 指 摘 し、 そ の実現 条件 と し て ﹁ブ ルジ ョア
民 主 政府 が 中 国 で強 化 さ れ る 事 が 米帝 国 主 義 の利 益 であ り、 事 実 夫 は中 国 で の米 国 の地 位 を強 め る の に専 ら 役 立 つであ ろ
う。 これ が く啓 蒙 的 で合 理 的 な帝 国 主 義﹀ と いう こ の米 国 の政 策 が 他 の帝 国 主 義ブ ルジ ョア ジ ー の主 要 グ ループ に よ って
支 持 され る理 由 で教 魏 。﹂ と分 析 し た。 英 国 及 び フ ラ ン スも この ア メリ カ型 の政 策 に追 従 し て いる と 規 定 さ れ た施 、 日 本
帝 国 主義 の対 華 政 策 の分 析 は 殆 んど な さ れ て い な い し、 そ の特 殊 性 は殆 んど 触 れ ら れ て いな い。 要 す る に ロイ によ れば 、
﹁時 が 移 る に つれ て必 然 的 に 中 国 に対 す る帝 国 主義 支 配 の形 態 も 変 化 す る に違 いな い。 不 平 等 条 約 、 治 外 法 権 、 租 界 は 一
。﹂.
更 に ロイ に よれ ば 、 こ の よう な 破 篭 を 採 用 し得 る経 済 的 論
定 の条 件 、 一定 の搾 取 形 態 の 下 で こそ 必要 な の であ った 。 しか し、 か か る 諸 条件 が 違 って し ま った現 在 で は中 国 に於け る
,資 本 主 義 的 支 配 は これ ら の強 制 的特 権 な し に維 持 さ れ難
拠 と し て の 過 剰 資 本 の蓄 積 は 積 極 的 に は 殆 ん ど 米 国 資 本 主 義 の み に 限 定 さ れ 、 そ の 他 の 資 本 主 義 国 の 過 剰 資 本 の蓄 積 は 急
ヘ
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コ
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速 に 減 少 し て い る か ら 、 米 国 の み が 自 由 帝 国 主 義 を 続 け る 余 力 を 持 ち 、 従 って 中 国 革 命 を ひ そ か に 、 平 和 的 に覆 す 経 済 的
能 力 を 持 ち 得 る の で あ る 。 他 方 、 米 国 の 資 本 輸 入 に よ って そ の 他 の 帝 国 主 義 国 が 中 国 か ら 押 し 出 さ れ る こ と は 肯 じ な い か
'
ら逃 帝 国 主義 相 互 の競争 が激 化す るが 、 こ の状 況 は中 国 革命 の進 展 に役 立 つの みと 彼 は考 え て いた 。
要 す る に ロイ は帝 国 主 義相 互 の 不均 等 発 展 を 結 果 と し ては 正 し く見 通 し て い たが 、 理 論 的 には や は り 過少 消 費 説 の影響
を蒙 って米 国を のぞ く帝 国 主 義 母 国内 部 の 不均 等 発 展 の視 点 、 従 って夫 等 が決 し て全 体 と し て衰 退 過 程 に在 る の で は な く
対 華 政策 にむ し ろそ の矛 盾 が 典型 的 に突 出 し て来ざ る を え な いと いう積 極 的 主 張 に迄 は繋 ら な か った。
帝 国 主義 に対 応 す る中 国ブ ルジ ョア ジ ーを 中 心 と す る 階 級構 造 の変 化 に就 い て は、 ロイ は中 国 大 ブ ルを買 辧 、 銀 行 家、
き 貿 易 輸 出 入商 、 中 国 小ブ ルを 都市 手 工 業者 、.
都 市 小 商 人 、 イ ンテ リ及 び俸 給 生 活 者 と規 定 し、 何 よ り も先 ず 蒋介 石 クーデ
き ター 11南 京 政 権 の成 立 を ブ ル ジ ョアジ ーの裏 切 り と 視 たが 、 これ を導 き 出 し た帝 国 主義 の志 向 に就 いて そ の直 前 に ﹁近年
・帝 国 主義 にと って は中 国 に 在 る 専 ら封 建 的 11軍 事 的 要 素 に基 づ く支 配 を維 持 す る事 は益 々困 難 と な って ⋮ ⋮ 帝 国 主義 は中
国植 民 地 に おけ るそ の社 会 的基 盤 の拡 大 に努 め て いる が 、 これ は 帝 国 主義 とブ ルジ ュア上 層 と の妥 協 の可能 性 を 開 翰け と
述 べ た。 更 に帝 国 主 義 が植 民 地ブ ルジ ョアジ ー に対 し て 一定 の譲 歩 を進 ん で行 う態 度 は中 国 ブ ルジ ョアジ ーに、 帝 国 主義
と の妥 協 の下 でそ の経 済 発 展 は可 能 であ る事 を 示 唆 す 6 も の であ った し、 実 際 ロイ は、 土 着 資 本 の発 展 が こ の条 件 下 に惹
ヘ
ヘ
へ
起 しう ると 考 え て いた。 即 ち、 中 国 は非 常 に重 要 な ︿新 市 場 ﹀ で あ る か ら、 各 帝 国 主義 相 互 の矛 盾 と 中 国 介 入 の仕方 に 異
り 、 無 条 件 の政 治 的支 配 と新 し い方 法 "門 戸 開 放 政 策 に分 れ る。 中 国 大ブ ルジ ョア ジ ー のう ち 金 融 ・銀 行 家 は 戦 争 に敢 て
反対 し な いが、 工 業ブ ルジ ョアジ : は反 対 す る 。 従 って ﹁こ の よう な 状 況 下 では 帝 国 主 義 の 介 入 の仕 方 は 直 接 的 で 嫁 な
け い。 ⋮ ⋮ 危険 は 帝 国 主義 の他 の介 入方 式 にあ る 。﹂ 夫 は 国民 革 命 の指 導権 を 帝 国 主 義 と 妥協 し て .
中 国資 本 主 義 発 展 の条 件
を創 出 す る階 級 に奪 取 せ し め る事 であ る。 ロイ の予想 は適 中 し中 国革 命 は挫 折 した が 、 ロイ は こ の失敗 を ボ ロヂ ン と 中
共 に よ る大 ブ ル ジ ョ ア ジ d の過 大 評 価 と そ れ に 照 応 す る小 ブ ルジ ョアジ ー の役 割 の過 小 評 価 に存 した と 断 じ 、 特 に 中 国 ・
ほ ブ ルジ ョアジ ー の ︿反 革 命 の結 晶 化 過 程 に 就 いて の不十 分 な 理解 の所 産 ﹀ た るを 言 い、
︿結 晶 化﹀ を① 革命 陣 営 に お け る
M .N ・ロイの植民地脱化論 について .
八三
、
M ・N ・ロイの植民地脱化論 について ・ 八四
凋 玉章 等 の 一種 の左 翼 軍 閥 勢 力 の形 成 と 矛盾 の現 実 化 、 ② 西 山 会 議 派 の形 成 、③ 蒋介 石 の中 山 艦 ク ーデ ター、 ④ 北 伐 の開
始 、 と い う 四 段階 に区 分 し、 夫 々 の段 階 の革 命 的意 味 を客 観 的 に は革 命 的 な 勢 力 に止 って いた第 一段 階 から 客 観 的 な 反 革
ヘ
ヘ
ヘ
へ
命 の胚胎 と し て の第 二 段階 を 経 て、 ブ ルジ ョアジ ー の全 国 的 な反 革 命 の起 点 た る 第 三 段階 、 そ の勢 力 拡 大 と ブ ルジ ョアジ
ヘ
ヘ
ー の反 撃 段階 と し て の北 伐 を 抱 え 、 結 局 、 民 族 ブ ル の階 級 的 背 反 に帰 結 す る全 過 程 は 主観 的 に はブ ルジ ョアジ ー の勢 力 拡
大 の試 み と規 定 す る。 こ の過 程 を 通 じ て中 国 共 産党 の誤謬 は基 本 的 に は来 る べき 不 可 避 の階 級 斗 争 の準 備 と し て の独 立 勢
か と し て の 勤 労者 階 級 11労 働 者 ・農 民 ・小 ブ ル の力 を 発展 さ せ る必 要 を 無 視 し、 結局 こ の誤 り が革 命 過 程 で小 ブ ルを 動 揺
む さ せ 、 ブ ル ジ ョア
■ジ ー裏 切 の後 はそ の陣 営 に移 行 し た と視 る。
`
ロイ の中 国 社会 本質 の規 定 は、 ど ち ら かと 言 え ば封 建派 に近 く、 中 国ブ ルジ ョアジ ー の薄 弱 性 と そ の形 成 の特 殊 性 認 識 ・
ハ
お に 基 く も の であ った が、 民 族 ブ ルジ ョアジ ー の反 封建 的性 格 は そ の為 に 一層 明 白 に帝 国 主 義 と の妥協 の下 で の資 本 主 義 発
展 の方 向 へ収 斂 さ せ る要 因 と し て画 かれ る。
へ め 結 局 、 中 国 民 族 ブ ル への不信 、 警 告 と中 共 五全 大 会 にお け る ボ ロヂ ソ派 と の激 烈 な 論 争 を経 て、 ロイ の ︿二 つの途 ﹀ 思
想 はよ り 明 確 に 分 極 化 し た。 植 民 地脱 化 の道 に対 応 す る ︿下 か ら の道 ﹀ の定 式 は、 ① 三ブ,
ロ ックに よ る、 プ ロ レタリ アー
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ト独 裁 への過 渡 と し て の民 主 独 裁。 ② 国民 党 軍 隊 成 員 の大 部分 を な す 土 地 なき 農 民 を 引 つけ る 下 か ら の急 進 的農 業革 命 。
③ 重 工 業 、 運 輸 、 公 共 事 業 部 門 の国 有 化 を中 核 とす る非 資 本 主 義 的 発 展 11 共産 党 指 導 下 の ︿新 し い タ イプ の国 家﹀、 と 云
う 三項 に集 約 でき よう 。 そ の為 の中 国。
フ ル背 反 後 の新 任 務 は① 民 主 勢 力 の動 員 とプ ロ レタ リ ア ー トの 最 小 限 要 求 の実現 、
り ② 農 村 権 力 の奪 取 、 ③ 革 命 軍 の再 組 織 と 中 央 化 11新 し い解 放 軍 の創 造 と いう こと であ った。
ロイ の革 命 思 想 の分 極 化 の発 展 の中 で・最 も 不安 定 な要 素 は中 国 小ブ ル の革命 性 に つい て の微 妙 な理 解 であ 輪W 基 本 的
に は 労農 と 同様 な利 害 に立 ち う る と 視 て いた が、 (これは正しか ったが⋮⋮)実 際 上 は国 民党 左 派 の分 離 11 武 漢 政 権 の崩 壊 で
●
レ ぎ ル レ ひ
政 治 的 次 元 で は こ の見 解 は外 れ たひ 七 か し、 中 共 五全 大 会 を 通 じ て彼 の 八二 つ の途﹀ 思想 が 一応 完 成 さ れ た事 は、 次 の言
葉 で も察 せ られ る。 ﹁中 国 革 命 の 二 つ の途 と は結 局 一はブ ルジ ョア民 主 主 義 路 線 を指 向す る。 こ の艮 望 は帝 国 主 義 金 融資
本 の ヘゲ モ ニー下 で の資 本 主 義 的 発 展 の時 期 の開 始 を意 味 す る。 即 ち 夫 は 中 国 が資 本 主義 安 定 化 の道 具 に旋 回 し た こと を 、
意味
(
19)
.
,
(
20)
す る 。﹂ 又、 第 二 の展 望 は ︿非資 本 主義 的 発 展 ﹀ の く新 し い タイ プ の革 命 > 1一 ︿革 命 的小 ブ ル国 家 ﹀ であ る 。 ロ.
イの
こ のよ う な視 角 が 中 国 革命 のそ の後 の展 開 にと って文 字 通 ゲ 植 民 地 脱 化 論 の原 点 の意 義 を持 ち得 た こと は次 の敲 述 に示 さ
れ る。 即 ち コフ ルジ ョアジ ーは 再 び民 族 運 動 の指 導 権 を掌 握 し、 そ れ を 土 着 資 本 主 義 の利 益 であ る狭 隘 な 道 に、 即 ち 所与
の条 件 の下 に 不可 避 的 に帝 国 主 義 と妥 協 に導 く 道 に逸 す べく 努 めた ゆ 蒋 介 石 を 首領 と す る。
ブ ルジ ョア民 族 主 義 の計 画 綱領
は軍 事 的 征 服 を 通 じ て の全 国 統 一と中 国人 民 を 搾 取 ナ る権 利 に就 いて 帝 国 主 義 と協 定 を締 結 す る事 から 成 って い煽 卵L
ロイ の ︿二 つの途 ﹀ 論 は 毛 沢東 の新 民 主 主義 論 に おけ る思 想 と 非 常 に類 似 し て いる し、 事 実 、 ロイ の下 から の農 業 革 命
ヘ
ヘ
へ
路線 は毛 沢 凍 の井 筒 山 根 拠 地 か ら の出 発 に事 実 上、 継 承 さ れ て い ると 言 え よう 。 植 民 地 脱 化 の道 は 正 に そ の後 の 国民 党 政
権 に よ る特 殊 な資 本 制 展 開 と し て の官 僚 資 本 主 義 の形 成- 第 二次 大戦 で挫 折 す るが 一 によ って実 証 さ れ よ う。 夫 は 同時 に
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。・ ロ イ は 、 又 残 忍 ・貧 慾 な 旧 い 帝 国 主 義 に 替 る 自 由 な 、 人 間 的 な
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・,
ロ イ の植 民 地 脱 化 論 に つ い て
八五
﹃ロヨ僧器 帝 鼠 主義 と表 現 す る。 ℃機08ぎ =白鍵
そ の主 要 な パ ー ト ナ ー であ った 米 帝 国 主義 の金 融資 本 の新 し い タイプ の形 成 を ﹁レンド ・リ ーズ﹂ 成立 に先 立 って歴 史 的
即
原型 と し て類 推 さ せ う る も の であ った。、
(1 )
(2 ) 図三 皇
謬
や
署 ●㊤。。1 ㊤O.
∪ 。2 ヨ 9 β
霞 ≦ ①算①= o口 o諸 無 ⊆藏くo ユ興
(3 ) ピ ・ピmぴ①ユき 円 ①く匠 〇三 。・ヨ 唖Ψ
賢
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× 。 団団 旦
げa N噛閃 ①≦ ωす ロ一
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(4 )
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U。2 日 ①暮 ωも
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(6 )
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M ・N ・・
ロイ の極 民 地脱 化 論 に つ いて
(7 ) 一三⊆.
L )8 ロヨoコ房"娼・一軋。。∼ 一お G ,
(8) ぎ 峯 噛U8 ロヨΦ三 ωら ●8 ①●
八六
F
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(9) 目窪Ω` uo2 ヨ①暮 。。.娼・一〇ρ Ψ N$ 。 ロイ は 各 論文 の 中 で大 ブ ル、 ブ ルジ ョアジ ー、 民 族 ブ ル、 土 着 ブ ルと い う各 表 現を 用 い て い るが 、 ブ ルジ ョ
ア ジ L と民 族ブ ル、 土 着 ブ ルは同 意 義 で ( 大 ブ ルは そ の上 層 と し て考 え て いた か ら 、 買 弁 を 大ブ ルと し、 民 族 ブ ルの範 疇 に入 れ な い 毛沢 東 規 定 と は
異 る。 但し 、・七 回 プ レ ナ ム に於 け 6 スタ ー リ ン の中 国 の民 族 ブ ルの極 小 にプ ロレ タ リ ア ヘゲ モ ニ! の必 然 性 を視 る楽 観 論 とも 異 り 、 大 ブ ル噛 含 め た
(10) Hげ国 ■
噛Uooβ臼o暮 ω噂℃。NB ●
ブ ル ジ ョアジ ーを 安 易 に は 評価 しな か った 。
(11) 同げ置 二 Uooロ§9 房 鰯戸 卜⊃隠 ●
(12) 同三α・
噂Uo6ロヨ。言ρ 覧 b。Nら・ ロイ は 蒋 を 自 称 ボ ナ パ ルテ ィズ ム、 民 族 ブ ル の代 表 と 視 る。 目 ︽ oxO澱 一
塁 8 ぎ 〇三 コ2 , 鍵 一ωS
(13) 一げ置 こ Uooロヨo暮 。o.や 一8 ●
(14 ) Hげ一
画ニ Uo2 ヨ9 け9 署 ・一。。O﹂ 一〇一・,
(15 ) ロイ の中 国 社会 認 識 は、.従 来 の スタ ー リ ン的 ・.コミ ンテ ル ン規 定 と 変 ら な い。 中 国 ブ ル形 成 に つい て、 大 ブ ルは帝 国 主 義 と の提 携 一買 弁 出身 、 中
小 ブ ルは地 主 ・高 利 貸 出身 の故 に、 革命 とく に農 業 革 命 を 指 導 す る 力 はな い と 云う 。 ζ .2 .澗o団 ﹁閑。くo一
口自05 目口Ω 函oコ冨 耳 ①くo一口ユ。ロ ぎ 0注 舜 ﹂
(16 ) 蒋 ク ーデ タ ー後 、 ロイ は ボ ロヂ ン の左 翼 軍閥 に依存 す る北 伐 続 行 論 に対 し て急 進 的農 業 革 命、 農 民 武 装 、 新 し い革 命 軍 創 設 、 農 村 自 治政 府 の ス ロ
一〇ωρ じコo﹁一
一
P 第 二章 参 照。 ヵ・ZO諄 ザ 卿 ×・国自象P ,
UO2 ∋Φ具ρ 署 ・b。b。㎝IN悼①・
第 七章 にま と めら れ てい る 。 ロイ は
、
ー ガ ン によ り プ ロレ タリ ア ソ ・ ヘゲ モ ニー下 の武 漢 政 権 三 民 ブ ロ ック強 化、 南 方 根 拠 地 強 化 論 を 主 張 し た 。 閃・冥o﹁9 俸 ×・国¢忌 ロ" 言 .2・即oざω
ヨ圃
ω巴oロ8.〇三舜 曽唱﹂ O・ こ の論 争 に就 い て は 竃 ・Z●閃oざ 言 鴇①×℃①ユoコo。 凶
旨 〇三 部 "一逡 9 0巴。口鉾即
(17 ) 閃・Zo﹁暮 露 ×●団⊆巳 量 Uooβヨoロ房℃℃・ 9 ・
問 題 を モ スク ワに 照会 し たが 、 回 答 はあ い ま い であ り 且 つ奥 行 不 可 館 だ と 述 べて い る。 前 掲 書、 四 二頁 。
(18 ) ロイ は小 ブ ルジ ョアジ ー を 帝 国 主 義、 ブ ルジ ョアジ ー に よ る被 搾 取 階 級 と視 てそ の革 命 性 を疑 わ な か ったが 、 同 時 にそ の半 封 建 的 出 身 に よ っ て農
(19 ) 閃■20H葺 卸 ×・国β岳P U8 ロヨo暮ωサ唱・bo8 ・、
、.
業 革 命 の指 導 は 不 可能 と 規 定 し た。 こ の立 場 は 毛沢 東 の論 理 と非 常 に似 て いる。
(20 ) 一三α孟 Uo8 目①暮 ω噛Ψ Nミ ● 三民 ブ ロッ ク政 権 の中 で プ ロレタ リ ア ー トが 政 策 決 定 を 行 い、 斗 争 を指 導 す る フ ァ ク タ ー であ ると さ れ るつ
(21 ) 一三 皇 08 ロヨΦ碁 9 ヤ トσ①⑩・
'
・
・ .
(22 ) 新 民 主主 義 論 に よ る第 三 の社 会 構 成 は 社会 主 義 への過 渡 と し て の新 民 主 主 義 社 会 一労 農 同 盟 を基 礎 と し 、プ ロ レタ リ ア . ヘゲ モ ニー下 の非 資 本 主
義 発 展 最 低 綱領 を も つ、 連 合 政 権 (実 質 的 には 三 民 ブ ロ ック) であ っえ。 毛 沢 東 ﹁新 民 主 主 義 論 ﹂ 参 照 。
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1
.
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㈲ コ ミ ン テ ル ン に よ る 批 判 と そ の 限 界 。 レー ニ ン の 非 資 本 主 義 発 展 と い う 原 思 想 を 機 械 的 に 、 即 ち ス タ ー リ ン 的 に
(
1)
パ タ ! ン化 し た コミ ン テ ル ン の植 民 地 革命 路線 の主 流 は戦 術 的 に は 四民 ブ ロ ック であ り、 夫 は 例 えば クー シネ ン、 マヌ イ
ル ス キ(
尾 の ロイ 植 民 地 脱 化 論 批 判 に 見 ら れ る 。.更 に そ の ス テ ロ タ イ プ を 創 った ス タ ー リ ン の東 方 革 命 の 展 望 は 、 西 欧 の 安
定 化 と 東 洋 の革 命 化 と い う 機 械 的 分 離 、 更 に そ の後 三 〇 年 代 に か け て 資 本 主 義 第 三 期 11 一
,
般 的 危 機 の急 追 段 階 論 に 基 づ
ヨ き 、 中 国 国 民 党 を 原 則 的 に 誤 った 視 角 で 把 握 す る 方 向 を つく っ た こ と は 、 例 え ば 七 回 プ レ ナ ム と 十 二 月 決 議 が 背 反 の 危 険
を 大 ブ ル ジ ョ アジ ー に み な が ら も 、 結 局 ロイ の警 告 を 無 視 す る 形 で 、 民 族 資 本 の 蒋 殊 な 形 式 と し て の中 国 大 ブ ルを 抱 え 得
な か った 事 を 如 実 に 示 し て い る 。 ち な み に ス タ ー リ ン的 な コミ ン テ ル ン の こ の よ う な 植 民 地 視 角 は 戦 後 五 〇 年 代 半 ば ま で
む 世 界 革 命 路 線 の 中 で 尾 を 引 い た の で あ った 。
これ に対 し て コ、
ミン テ ル ン の 政 策 決 定 の 中 で ト ロ ツキ ー 反 対 派 を のぞ い て 、 比 較 的 Fイ の く二 つ の 途 V 思 想 に 近 い見 通
し を 理 論 的 に 持 っ て い た 少 数 派 は N ・ブ ハー リ ン、 P : ミフ に 代 表 さ れ よ う 。 ブ ハー リ ン は 中 国 革 命 の見 通 し と し て 二 つ
の道 を 規 定 し 、 そ の前 提 と ← て マ ル ク ス の 所 謂 非 資 本 主 義 的 発 展 に つ い て の不 可 避 性 を 否 定 し 、. ﹁マ ル ク ス ・ エ ン ゲ ル ス
う は こ の進 路 (
後 進 国 の革 命 ) の 性 質 を 正 に 諸 条 件 の 全 複 合 に 従 属 せ し め た ﹂ 事 を 確 認 七、 中 国 革 命 に お け る 外 国 ブ ル と の
︿提 携 の 道 ﹀ の可 能 性 に 触 れ 、 こ の 場 合 に は ﹁中 国 は 封 建 制 度 を 除 去 し 、 内 乱 の混 乱 を 除 去 し た 後 に 外 国 の 信 用 と 外 債 と
き の 影 響 を 受 け て 急 速 に 資 本 主 義 的 に 発 展 し 、 ヨ ー ロ ッ パ に ︿追 い 付 く ﹀ で あ ろ う 。﹂ と 分 析 し た Q ブ ハ! リ ン の こ の脱 化
(
7)
論 的 テ ー ゼ は ︿レ ー ニ ンと ス タ ー リ ン の 間 ﹀ に 位 す る と 言 う よ り も レ ー ニ ン ・テ ー ゼ の発 展 ど し て 、 ロイ の 視 角 と 基 本 的
八七
に は 一致 す る 。 コ ミ ン テ ル ン極 東 部 の実 質 的 指 導 者 で あ った ミ フ も ア メ リ カ 帝 国 主 義 の 下 で の 中 国 資 本 主 義 の 発 展 と い
5、
お 脱 化 論 的 視 点 を 持 って い た が 、 ロ イ を 激 賞 し て い る 事 は 興 味 深 い 。 イ ン ド ・中 国 に 於 け る か か る ︿二 つ の 途 ﹀ が 実 際 過 程
ヘ
へ
と し て 、 ど の よ う に 絡 み 合 って 現 成 し て い っ た か は 、 実 証 の 領 域 と し て 而 も 多 様 な 関 係 に 分 解 す る も の と し て 今 後 の 研 究
M ・N ・ロイ の種馬 地脱 化 論 に つい て ・
M ・N ・巨イ の極民 地脱 化 論 に つい て
八八 ・
に残 さ れ る が 、 要 は 、 コミ γテ ル.
ン の植 民 地分 析 が 基 本 的 に は遂 に、 世 界経 済 と 分対 応 に お い て ︿二 つの途 ﹀ を 認 識 出 来
ず 、 中 国 革 命 及 び 戦 後 にも ち こし た A ・A ・L A地 域 の新 し い状 況 を 長 期 に互 って 把 握 で き な か った こ と は否 めな い。 中
国 は四 九 年 迄 、 周 知 の如 く 、 レ ー ニン の所 謂 二 重政 権 を支 え る社 会 経 済 体制 .
の 二重構 造 11 ︿上 から ﹀ と く下 から ﹀ の 二 つ
の道 の相 互 滲透 過程 をも った の であ った。
(1 ) ク ー シ ネ ソ は コミ ン テ ル ン第 六回 大 会 で詳 細 にわ た って 脱 化 論 を批 判 し たが 、 そ の基 本 視 点 は 、 イ ンド 工 業 化 は 一時 的 譲 歩 であ り 、 イ ンド 国 内 市
場 の急 速 な テ ンポ の拡 大 は 罠 にす ぎ な いと 云 う も のだ った。.勺容 8評o旨 α。ω ㊥・乏。一算 050q﹁oωω窃 ⊆①﹁ 訳oヨ8二巴。・eぢoず①口 ぎ 8 § pけち5巴ρ 鼻 茸 o﹁
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(2 ) マ ヌイ ル スキ ー は、 ロイは 民 族 運 動 の犠 牲 に お いて 植 民 地 の社 会 主義 運 動 の重 要 性 を 誇 張 し て いる し 、民 族運 動 が ど こ でも 一定 コー スを た ど り 、
. そ の有 用性 を喪 う 事 は事 実 で な いと 批 判 し た。 ρ 冨 o︼
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(3 ) 例 え ば 、 ス タ ー リ ン の中 国 革 命 戦 略 は 国 民 党 を 革 命 的 土着 小 ブ ル党 と 規 定 す る視 角 か ら 出 て いた。 大 ブ ルを除 いた 三民 ブ ロッ ク の概 念 の中 で民 族
ブ ルと小 ブ ル,の概 念 が 混 同 さ れ た が 、 こ れ は結 局 、 中 国 の資 本 制 発 展 の過 小 評 価 に由 来 す る も のであ った。 スタ : リ ソ ︿東 洋 人 大 学 の政 治 的 任 務 に
(4 ) 戦 後 の ︿新 興 国 ﹀ の植 民 地 脱 化 、 独 立 主 権 を 承 認 せ ず 、 帝 国 主 義 の単 な る欺 瞞 と 規 定 し て い る。 例 え ば 、 イ ンド の ﹁偽 独立 ﹂ に つ い て P ・ダ ット
就 い て﹀ ﹁ス タ ・ブ ハ著 作集 第 十 四巻 ﹂ 四 八〇 一 四 八 一頁 。
は帝 国 主義 支 配 の単 な る ﹁形 態 と 方 法 ﹂ の変 化 と し て 、 詳 細 に 分 析 し て い るが 、 私 見 で は か かる (変 化 ) こそ 植 民 地 脱 化 そ のも の を意 味 す る。 P ・
Ψ お.
(二 八年 ) に お い て 労農 同
ダ ット ﹁大 英 帝 国 の危 機 ﹂邦 訳、 昭 二 六、 八 三- 八 六頁 。 こ の よう な 視 角 は 、 帝 国 主義 と イ ン ド独 占 体 或 はイ ンド 資 本 主 義 の関 係 評 価 を めぐ っ.
て 一
連 の困 難 な論 争 を 惹起 し た 。 町 田 穰 吉 編 ﹁最 大 限 利 潤 の法 則 ﹂ 三 章参 照 。
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,
(6 ) ブ ハー リ ン ・岡 田訳 ﹁資 本 主 義 の安 定 と無 産 階 級 運 動 ﹂ 一六 〇 頁、 従 って、 ブ ハー リ ン によ れ ぽ 、 中 国 の発 展 の 現 段階
(5) ブ ハー リ ン ﹁報 告 と討 論 の結 語 ﹂ スタ ・ブ ハ著 作 集 第 十 一巻 、 四 四〇 頁 。 .
盟 は、 ブ ルジ ョアジ ー に対 す る斗 争 を 含 ん で いる 。 ﹁報 告 と討 論 の結 語 ﹂ 四〇 一頁 。
(9 ) 閃・2。﹁3 露 × .曽 αぎ華言 .Z・ぎ 団.
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(7 ) ω..出①一
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(8 ) ミ フ外 務 省 訳 ﹁中 国 革 命 ﹂ 二六 二 頁 。 勺容 8 ざ 巨 一〇 ℃一〇ロ¢日 α$ ①×①騨ロニ︿押oヨ 搾o①ω Ω①﹁ 訳 ●一●ω。直。
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三 、結 び "新 し い問 題 の提 起 。
冒 頭 の課 題 た る世 界 経 済 論 の方 法 再 構 築 は、 植 民 地 脱 化論 と 下 か ら の道 1一人 民 民 主 主 義体 制 論 と に分 極 して いく と同 時
に こ の相 互 滲 透 の歴 史 的 構 造 を持 つ ︿二 つの途﹀ 視 角 の解 析 と導 入 に よ って戦 後 新 植 民 地 主 義 の世界 経 済 構 造 に対 す る接
近 の原 点 を 明 確 化 し、 同 時 に 就 中 、戦 後 、 既 に世 界 史 を動 か す勢 力 に成 長転 化 し た所 謂 A ・A ・L A の国家 資 本 主 義 の本
質 と 構 造 を 把 握 す る為 に は植 民 地 脱 化 の原 思 想 こそ 決定 的 な 媒 介 項 と な る のであ る。 植 民 地 脱 化 の視 点 を出 発 点 と し て世
界 経 済 の 不均 等 発 展 構 造 を特 徴づ け て いく 場 合 、 植 民 地 脱 化 の槓 杆 と して 土着 民 族 資 本 の パ タ ! ンと タイプ を 帝 国 主義 の・
金 融 資 本 の タ イプ と の関 係 に お いて規 定 す る必 要 が 不 可 欠 と な って いる。 試 論 的 に問 題 の新 じ い設定 と いう形 で総 括 す れ
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ぼ 、 中 国 に おけ る 産 業資 本 のパ タ! ンが官 僚 資 本 の タイ プ で出 現 し て いく 歴史 的 段階 に照 応 し て外 部 か ら こ の脱 化 過 程 を
構 造 的 に制 約 し て いた帝 国 主義 資 本 は、 米 帝 国 主 義 11穏 健 な 帝 個 主 義 と し て の 政 策 形 態 を 持 ち 、 三〇 年 代 の精 麦 借 款 ・
ユ 銀協 定 か ら戦 時 中 の ︿ア メ リ カ戦 時 国 家 独占 資 本 主 義 ﹀ の確 立 に照 応 す る厖 大 な 対 華経 済 援 助 の形 式 を と った 国 家 資 本 輸
出 に象 徴 され 、 勢 力 圏 概 念 の域 を 超 え た 広 域経 済 圏 の形 成 を そ の世 界 政 策 志 向 と し て持 つに 至 るよ うな 金 融資 本 な の であ
った。 方 法的 に以 上 のよ う な 試 論 的 問 題 設定 は 歴史 的 自 由 帝 国主 義 或 は啓 蒙 的 植 民 政策 に対 応 す る 土着 資 本 と いう 外 因 的
(
2)
1 内 因的 視 角 の結 合 を 念 頭 に おき つ つ、 段 階一 現状 分 析 を通 じ て、 無 限 多 様 な 状 況 矛 盾 の重 層 的 な相 互決 定 の構 造 視 角 と
して 論証 - 実 証 し て いか ね ば な ら な い であ ろ う 。
(1) 国家資本輸出 の概念 に就 いて行沢教授 の指摘された問題点 (
国際 経済学序説、対外援助 につい て)は残るが、米国の戦後援助 の場合、国内的 には
政的援助 (一一%)運搬費用 (一二%) 1は合計 五八億余 ドルであ ったが、
﹁これはこ の期を遮 じての米国 の (
援助)総支出二六〇億 ドパの優 に二割
以 上を占 め、 マーシャル計画を除 いては最も大き く、 且 つ、米国輸出 に占める対華援助 の商 品部分 の比重 は戦後 三年を通じて平均十 一% 以上、殊 に
軍需工業独占体 への追 加発 注 の為の旧貯蔵物資 の拡散、対外的 には米国 の軍事技術 ・装備 ・設備 の定着 によるアメリカ商品市場 の創出 という点が指
摘 され、就中、中国 の場合、戦後五年間だけ の ﹁援助﹂総額-軍需資財 ・武器 (
六〇% )
、生産手段 (
七%)
、原料食糧そ の也消費品 (一〇%)
、財
M .N .ロイ の植 民 地脱 化 論 に つ いて ,
八九
ゲ .アスタ フイ エフ ︿7 メリカ帝国主義 と 一九四五一四九年におけ る中国の外国貿易V東方学研究所ザピ スキ十 一号、 一九五五年、 モスク ワ刊、
四六年 には 一六%に達 し、米独占の目標 とした二〇% に近づ いた。夫 は ﹁米国 の商品 ・資本輸出 の国家独占的形態 ﹂にほかならな いと言われる。
M ・N ・ロイ の植 民 地脱 化 論 に つい て
九〇
七 一-七 六頁参照。
戦後、米国 の対華直接投資 は官 僚資本 と癒着 し、それと の種 々の合弁 ・協定を結 んだが、典型的な例 は台湾省で四九年春迄 に二二の米価と国民党
の合弁会社が作られ、計三八二 の工 ・商 企業 を支配した。ヴ ェ﹂アヴ ァリソ ・ソ研 訳 ﹁太平洋 をめぐ る帝国主義諸国 の斗争﹂四五〇頁。
、
(2)
母国 の経済成長 に対する植 民地の役割 をめぐ って宮崎犀 一氏 の提出 (
引用)された新 ス、
ミス主義乏新 バーグ主義者 の対立視点 一土着 の変革諸 力を
強調す るか、
﹁世界経済における基本的配置移動 の原因並び に結果であるような諸 革新 を可能 にす る﹂ような外 国貿易 の転換 に重点をおく かという
視角 は、脱化論 の延長としての新植民地主義分析 にと って方法的示唆 を与え ると言えよう。宮崎犀 一 ︿
自由 帝国主義﹀
、 思想六七年五号、 七一= 頁 。
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