Nara Women's University Digital Information Repository Title 奈良帝室博物館正倉院掛・大宮武麿氏寄贈図書展:第十五回図書展 示 Author(s) 奈良女子大学附属図書館 Citation 奈良女子大学附属図書館:奈良帝室博物館正倉院掛・大宮武麿氏寄 贈図書展:第十五回図書展示,2002 Issue Date 2002-10 Description 奈良女子大学附属図書館第十五回(平成14年10月∼平成15年10月開 催:文学部、附属図書館共催)図書展示『奈良帝室博物館正倉院掛 ・大宮武麿氏寄贈図書展』の資料 URL http://hdl.handle.net/10935/2609 Textversion publisher This document is downloaded at: 2014-11-18T14:21:14Z http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace 第 十五 回 図 書 展 示 平成 十 四 年 十 月 ﹃奈 良帝 室博 物館 正倉 院掛 ・大宮 武麿 氏寄贈 図書 展﹄ ∼ 。 奈 良 女 子大 学 附 属 図 書 館 は' 一九 九 九 年 八 月 ' 大 学 に程 近 い奈 良 市 北 半 田東 町在 住 の大 宮 義 雄 ・晴 子御 夫 妻 から 、 晴 子氏 の義 父 に当 た る大 宮 武麿 氏 旧蔵 の図書 の寄贈 を 受 け た 大宮 武 麿 氏 は 一八七〇 年 ( 明 治 三年 )' 氷 室 神 社 社 掌 も 勤 めた守 慶 を 父と し て' 奈 良 高 畑 町 に生 ま れ 、 一八 九 六年 ( 明 治 二九 年 ) よ り漢 国 神 社 社 掌 。 一九〇 八 年 ( 明 治 四 一年 ) か ら は奈 良 帝 室 博 物 館 ( 今 の奈 良 国立 博 物 館 )に技 手と し て勤 務 、正倉 院 掛 を兼 ね た。以 後' 没 年 の 一九 四 五 年 ( 昭 和 二〇 年 ) ま で博 物 館 に勤 め る。 享 年 、 七 十 五歳 。 す な わ ち ' 明 治 か ら 昭 和 に か け て'奈 良 に生 ま れ 神 職 に就 き 博 物 館 員 を 務 め た 大 宮 武 麿 氏 は '奈 良 の古 代 以来 の歴 史 と 文 化 の伝 統 を ' 身 を 以 て受 け 継 いだ 人 であ った 。 とす るな ら ば ' そ の人 の遺 二三 一点 。 今 回 は、 そ の中 から 十数 点 を 選 び ' し た蔵 書 は、 奈 良 の歴 史 と 文 化 の伝 統 を ' 同 じ 奈 良 に学 ぶ 我 々に伝 え てく れ るも のと 言 え よ, つ。 稀観 本 寄 贈 さ れ た蔵 書 点 数 は計 - ( 蔵 書 の中 で学 術 的 にも 特 に貴 重 と 思 わ れ る 写本 三点 ) Ⅱ 奈 良 帝 室 博 物 館 正倉 院 掛 と し て ( 博 物 館 や 正倉 院 所蔵 資 料 の大 宮 氏 によ る 手 写本 な ど 、博 物 館 ・正倉 院 ゆ か り の書 物 。 な ら び に大 宮 氏 の勉 学 の跡 を 物 語 る自 筆 の ノー トな ど ) Ⅲ 学 者 ・文 人 と の交 友 ( 博 物 館 所 蔵 ・寄 託資 料 を 研 究 す る学 者 と の交 流 と 研 究 への協 力 、 お よ び 明 治 ・大 正 期 の著 名 な 漢 学 者 、 土 屋 鳳 洲 と の交 流 を 示 す も の) の三部 構 成 に し て展 示 した 。 1 Ⅰ 稀 親木 1 寂 恵 法師歌 語 写本 一冊 十 三世紀 から十 四世紀 にかけ て の歌僧 ・寂恵 は俗名 は安 倍 氏、 宗尊 親 王 の近習と し て鎌 倉 歌壇 にお いて活 躍。 そ の後京都 に戻り、出家 し て順教 房寂恵 と名乗 り'藤 原為家 の教 え を 受 け る。 本書 は'晩年 の正和 三年 (二 二一四) に' 初 め て為 家 のも とを訪 れた 日 のこと を 回想 Lt為家 の和歌十 首 を選び評 したも の。 これま で水 戸彰考館 に 元禄期 の転 写本 が唯 写本 一冊 一知 ら れ る のみであ ったが、本書 は彰考 館本 を遡 る こと約 五十年 の寛永 二十年 二 六 四三) 中 院 適材 筆 の最善本。 2 日讃 歌 注 後鳥 羽院 が'定家 ・家 隆 ・慈 円ら 十 六 人 に自讃 の歌 十首 を選ば せた とさ れ るが'実 際 は 鎌 倉 中期 の成立 かと推定 さ れ て いる私撰集 の 「 自讃 歌 」 に注釈 を施 したも の。南 北 朝 の歌 人 ・頓 阿 の注とさ れ るも の以来、多 く の注釈書 が作ら れ た。本書 は奥 書 に 「 右 '宗 祇 よ り 兼 載 へ相伝 の注な り」 とあ るが、 既 に知ら れ て いる 「 宗 祇 注」 と も 「 兼 載 注 」 とも異 な る 写本 一冊 注。 奥書 に 「 慶安 五暮春 中旬書也」 とあ るよう に、 江戸時 代初期 の写本。 3 帝 旅雑 記 幕 末 の歌 人 ・勤 皇 の志 士、伴林 光平 の天保 十 1年 (1八 四〇) 三月 から 天保十 三年 五月 ご ろま で の旅中 のメ モ。 光 平自筆。 光平 は河内 出身 。 因幡 の飯 田秀雄 、紀州 の加納諸 平 ' 江 戸 の海 野遊斎 ・伴信友 ら に学 んだ。 本書 は'自 ら の和歌 のほか、行 程 の覚 書 ・師 の歌 論 の聞書 ・賀 茂真淵 '香 川 景樹ら歌 人 の評判 ・荻 生祖殊 の著 作 の抜書 な ど内 容多岐 に渡 る。 写本 一帖 光 平 は後 に天諌組 に参加 し、 文久 四年 二 八六 四)京都 で刑 死。 Ⅲ 奈良 帝 室博 物館 正倉 院 掛 と し て 4 東大寺 正倉 院御封 之掛様 井印錦之図 関白鷹 司輔 平 ( 文 化十 年 二 八 二 二) 没'七 十 五歳 ) に求 めら れ て東 大寺 北林院 法印成 。 範 が転 写 した' 正倉 院南 倉 の錠と鍵 ( 印輪) の絵 図 の写 し であ る。輔 平 の本 意 は'錠 に掛 けら れた勅封 の図 にあ った が'秘 図中 の秘図 のた め、代 わ ってこの図が献上さ れたと いう ・ 一 ヽ 2 了「 5 東 大 寺 墾 田地 図 写本 i鋪 大宮 氏 に よ る正倉 院御 物 「 東 大 寺 墾 田 地 図」 の臨 模 であ る。 原絵 図 は、 神 護 景 雲 元 ( 七 写本 1冊 い 大宮 氏 六 七) 年 の東 大 寺 寺 領 検 注 のた め描 か れ た 越 中 国 の寺 領絵 図。 こ の年 は班 田 の年 で' 東 大 雑記 寺 は寺 領 確 認 のた め大 規 模 な 検 注 を 行 う 必 要 が あ った。 6 歴史 ・文 学 ・語学 の諸 事 項 に つい て和 漢 の古 典 籍 か ら の抜 書 き を中 心 に纏 め た 一冊 の ノー ト. 中 でも ' 阿蘇 神 社 に関 す る抜 書 き は 、 1部 ﹃古 事 類 苑 ﹄ か ら の引 用 も 見え 、 詳 写本 学 者 ・文 人と の交 友 細 を究 め る。 Ⅲ ︽大 矢 透 と の交友 ︾ 7 成 実 論 天長 点 国 語学 者 ' 大 矢 透 の著 作 ﹃仮 名遣 及仮 名 字 体 沿革 史 料 ﹄ の 1編 . ﹃沿革 史 料 ﹄ 所 収 「 地蔵 十輪 経 元慶 点 」 で は、 大 宮 氏 が 浄 書 にあ た って いた が ' 本 書 で は氏 の事 務 多 忙 によ り そ れ 野 山 のな げ き 写本 一冊 が叶 わな か った と本 書 政 文 に 見え る。 著 者 か ら 大 宮 氏 に献 呈さ れ た 一 . 冊。 8 伴 林 光 平 の歌集 。ラ イ フワー ク であ った陵 墓 調 査 の折 々に詠 じ た 和 歌 を 収 め る。奥 書 に、 。 大 正十 1 (t九 二 二) 年 大 矢 透 蔵 本 を大 宮 氏 が 書 写 し た由 が 記 さ れ て お り I 館 員 と 利 用者 ( 参 考 出陳 ) と いう 事 務 上 の つきあ いを越 え た 交 友 が 偲 ば れ る。こ の時 期 、大 矢 は奈 良 に在 住 し て いた 西大 寺 本 金 光 明最 勝 王経 の国 語学 的 研 究 ︽春 日政 治 と の交 友︾ 9 春 日政 治 は、 も と奈 良 女 子高 等 師 範 学 校 教 授 で) 、 後 に九 州 帝 国 大 学 教 授 に 転 じ た 国 語学 者 。 春 日 は、 大 矢 透 の依 嘱 を 受 け ' 奈 良 帝 室 博 物 館 に 寄 託 さ れ て いた こ の経 巻 を 、 大 正 十 三年 から 昭 和 八年 ま で' 九 年 の年 月 を か け て調 査 した 。 本 書 緒 言 に は、 博 物 館 員 大宮 氏 へ の謝 辞 が 記さ れ て いる。 3 10 丘壇 山故事 必読成語考 写本 1冊 明 の丘⑥ o8 t ,524 ( 広東省壇山県) に仮 託 した類書 の和刻本 の写 しであ る。もと春 日政治 一冊 。 の蔵書 であ ったが'それを大宮 氏が、今 も奈良 女 子大 の近く東 向北商 店街 にあ る豊住書店 版本 で見付 け購 った ことが奥書 から知られ る。本文中 の貼り紙 は、大宮 氏 による補 正である ※ ㊥ 08 1,524- 「 1 ,」 + 「 容」 の大漢 和番号 ︽土 屋 鳳 洲と の 交 友 ︾ 11 晩晴 楼詩紗 ( 下巻) 明治 の漢学者'土屋弘 ( 鳳洲) の漠詩集。豊 かな学 殖と文才 が遺憾 なく発揮された集中 大 正元 (7九 二 1 )年八月十 1日付 の詩 は' 六朝詩へ初唐詩とさまざ まな詩 風を見 せ る。 この書 が刊行さ れた明治十九 二 八 1枚 八六)年 より、土屋は吉野師範校長を務 めた。 12 土屋弘より大宮武麿宛 はがき 岩代国飯坂 ( 現 ・会津若松市)旅宿 より'大宮 氏 に宛 てた絵葉書。 文中 には'名峰氏 の 文 学 部 附 属 図書 館 人間 文 化 研 究 科 大 谷 千 俊 秋 太 以上 件 で大宮 氏が迅速 に事を運ん でくれた こと への礼と' ラジ ウ ム温泉 に浴し体 調が回復 した 旨が記され ている。土屋は この時 七十 二才。 共催 協力 長谷川 ↑
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