ゴマダラカミキリに対する薬剤の効果 ゴマダラカミキリとカイガラムシ類は防除時期がほぼ重なる。そこで、カイガラムシ類及びゴマダ ラカミキリの両方に登録のある薬剤の効果について検討した。 試験1 露地試験による残効性 試験2 雨除け試験による残効生 薬散後の降雨が多い条件では、どの剤も残効は 低い。特に有機リン系薬剤は殺虫効果も食害阻止 効果も無い。 薬散後の降雨がない条件では、ダントツ、モスピランと も殺虫効果、食害阻止とも7日以上の高い残効が ある。ただし、食毒によりゴマダラカミキリが死に到る までは、2~3日が必要。 表1 露地試験による残効性 供試薬剤 ネオニコ ダントツ水溶剤 チノイド 系 モスピラン水溶剤 モスピラン水溶剤 スタークル/アルバリン 顆粒水溶剤 有機リ スプラサイド乳剤 ン系 ダーズバン乳剤 カーバ オリオン水和剤 メート系 無処理 希釈 供試虫 倍数 の状況 4000 正常 苦悶 死亡 4000 正常 苦悶 死亡 2000 正常 苦悶 死亡 1000 正常 苦悶 死亡 1500 正常 苦悶 死亡 1000 正常 苦悶 死亡 1000 正常 苦悶 死亡 正常 苦悶 死亡 1日後 接種 食害 程度 2 8 3 4 3 0~± 1 9 2 1 7 6 4 8 1 1 1 3日後 接種 8 1 1 8 2 0~± 8 1 1 10 ± + + 7日後 接種 6 2 2 9 食害 程度 ++ ++ + 1 7 2 1 +~+ + + ++ 10 ++ ++ 10 ++ ++ 6/17 3 3日前 6/18 12 ネオニコチノイド系薬剤の影響によ り苦悶する成虫に対し、比 較的温度が低く、多湿条件 下で、無処理の葉を与えて 一定の期間経過した場合、 回復する個体が多い。 ことが明らかになっている。 これらの結果から、 ++ 1.カイガラムシ類防除に有機リン系薬剤を用いた場合、ゴマダラカミキリ ダーズバンはゴマダラカミキリ成虫には登録はない 6/16 60 これまでに、 食害程度は接種48時間後に判定 ++ ポット植え伊予柑に薬剤処理し、ネットで被覆後放虫し、48時間後に効果を判定 薬散後、24時間は雨除け管理 供試虫数:10匹 接種:6/20 薬散日:1日後(6/19)、3日後(6/17)、7日後(6/13) 食害程度 -:無、±:食害痕数カ所、+:無処理の1/2以下、++:無処理と同等 月日 6/13 降水量(mm) 7日前 表2 雨除け試験による残効性 7日後接種 希釈 供試虫 3日後接種 食害 食害 供試薬剤 倍数 の状況24時間後48時間後 程度 24時間後48時間後72時間後 程度 ダントツ水溶剤 4000 正常 2 5 1 1 ± ± 苦悶 6 5 8 1 死亡 2 10 1 8 モスピラン水溶剤 2000 正常 2 2 7 2 ± ± 苦悶 6 1 3 8 死亡 2 7 10 無処理 正常 7 7 10 10 10 苦悶 ++ ++ 死亡 1 1 ポット植え伊予柑に薬剤処理し、ネットで被覆後放虫し、所定時間経過後に効果を判定 薬散~効果判定まで雨除け管理 供試虫数:10匹(3日後接種の無処理は8匹) 3日後接種:薬散日:6/24、接種6/27 7日後接種:薬散日6/28、接種7/5 食害程度 -:無、±:食害痕数カ所、+:無処理の1/2以下、++:無処理と同等 10 ± 9 10 食害 程度 6/19 6 1日前 6/20 58.5 接種 6/21 15 6/22 判定 に対する防除効果はほとんどない。 2.薬散後に降雨が多い条件下では、カーバメート系、ネオニコチノイド系 0mm 18mm 81mm 73.5mm 薬剤ともゴマダラカミキリに対する残効は短くなる。 3.ネオニチノイド系薬剤の効果を高めるためには、薬散後2~3日続 けて晴れる日に防除を行う必要がある。
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