φ4000mm鉄筋コンクリート管推進の 現場見学会レポート - JSTT 日本非

JSTT 現場見学記
JSTT 現場見学記
φ4000mm鉄筋コンクリート管推進の
現場見学会レポート
奥田 和男
OKUDA Kazuo
㈱協和エクシオ
土木事業本部担当部長
1.
はじめに
2−2 超大口径推進工法の内容
今回のφ 4 , 000 mm 土圧式推進工法は,以下の作業
今回の現場は,内径φ 4000 mm の 2 分割された超大
の流れにより,推進管 139 本を元押ジャッキにより推
口径の鉄筋コンクリート管を推進する工事です。
進します。
全国でも 4 例目であり,内径でいえば世界最大であ
ります。
現在,現場は,139 本のうち,106 本を推進途中で
あり,立坑より約 240 m の地点です。
以下,工事概要,写真,見学者 Q&A,感想等 , まと
めたものです。
2.
A. 推進管(二分割)搬入
↓
B. 推進管の組み立て
↓
C. 推進管を立坑内に搬入・設置
↓
D. 元押ジャッキにより推進・掘削
今回の概要
以下,D → A に戻り,繰り返し実施。
2−1 工事の概要
今回は,推進に当たり,固結型の一次滑材,液状型
①目的
の二次滑材により推力を低減。
横浜市の北綱島及び高田ポンプ場流域における雨水
土被りは,約 12 m,1 % 上り勾配で推進。
排除の整備水準を,5 年確率降雨から 10 年確率降雨に
土質は,大部分が柔らかい(N 値 0 ∼ 3)シルト粘
向上し,高田地区の浸水被害を解消するため,雨水管
土層。
及び分水人孔を築造することを目的とするものです。
①大口径推進管
②工事名
推 進 管 は, 内 径 φ 4000 mm, 外 径 φ 4600 mm で,
北部処理区北綱島第二幹線下水道整備工事
半円状に 2 分割して搬入し,コッター 16 カ所で締結
(その 11)(その 13)
する一体構造。
③工期(その 11 その 13 併せて)
概要の細かい流れは図− 1 のフローのとおり。
H 21 年 3 月 24 日 ∼ H 23 年 3 月 14 日
推進管メーカーは,日本ゼニスパイプ㈱と日本ヒュ
④概要
ーム㈱。
・φ 4000 mm 土圧式推進工 L = 320 . 15 m
②φ 4000 mm 泥土圧掘削機
(今回の見学の対象)
今回は,泥土圧掘削機を採用しており,土砂をスク
・立坑築造 一式
リューコンベアで構内に取り込み,ポンプ圧送にて地
・φ 3000 mm 刃口推進 L = 7 . 5 m
上に搬出。 方向修正ジャッキ(1000 KN × 8 本)及び,
・φ 2000 mm 刃口推進 L = 8 . 7 m
ローリング防止のためスタビライザーを装備。
⑤発注者
掘削機の外形は,φ 4640 mm と大口径のため,5 分
横浜市 環境創造局
割で搬入し,現地で組み立て実施。
⑥施工者
以下,関連の写真は,写真− 1 ∼ 11 のとおり。
奥村・三ツ和建設共同企業体
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3.
質疑応答
現場を見た後,事務所に戻り活発な質疑応答があり
ました。
以下に何点かを記載します。
(1)Q:1000 R の曲線施工に対する余掘りはどれく
らいか。
A:約 30 mm の余掘りで実施。
(2)Q:推力の管理と,滑材の注入量はどのような
考えで実施したか。
A:推進は元押し装置でのみ管理。
滑材は,当初推力が上がりはじめの段階で 2
次注入量を増やしたが,今は 1000 リットル
/ 本(定量)+ αで安定,推進している。
(3)Q:土被りが 12 m であるが,バッキングは生じ
なかったか。また対策はどうか。
A:当初,30 本くらいはバッキング設備で対応
した。バッキングは,160 t を想定。
図− 1 超大口径管の組立てフロー
写真− 1 施工ルート
写真− 2 推進管の見学風景
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写真− 3 発進立坑囲障工
写真− 4 発進立坑内
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4.
写真− 5 泥土圧推進機
写真− 6 推進管理状況
写真− 7 推進管の接合状況
写真− 8 超大口径管の組立て
写真− 9 推進管内
写真− 10 立坑内の元押し状況
感想
本工法について熟知していない私にとっては,非常
に新鮮で,参加できたことが大変良い経験になりました。
以下,感じたことを数点記載します。
①現場は,狭い敷地内に効率的な設備配置をしてお
り,入念な仮設計画を検討をされた事で,安全面の
配慮も行き届いており,立坑下部への移動も安心し
写真− 11 推進機部
て対応できました。
②推進管の仕様,運搬,組立て,推進時の管理・課題
などの面で,事前に検討・準備を十分行い,施工時
5.
おわりに
のトラブルを最小限に抑えることにより,安定した
この度,見学会を開催いただいた(一社)日本非開削
推進を実現しています。
(3 本 / 昼夜とのこと)
技術協会及び,施工の奥村・三ツ和建設様に大変感謝し
③推進は,地元に配慮した施工サイクルを確立し,安
全施工に努めていました。
ています。
今後,更なる検討により,適用が拡大・更なる安定
今後に向けては,世界初の超大口径推進工法を他の
した工法に技術進歩する事を期待します。
現場へ適用拡大するため,調査データを蓄積し活用さ
有難うございました。
れることを期待するところです。
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