有機化学演習 スタンダード薬学シリーズ3 化学系薬学 I. 化学物質の性質と反応 第7章 アルケン・アルキンの反応性 SBO 46 シン付加 46.1 付加反応のタイプ • アルケンへの反応として代表的なものは、炭 素ー炭素二重結合への付加反応である。こ のとき、アルケンのπ結合が切断され、π電 子が新しいσ結合の形成に用いられる。 46.1.1 シン付加とアンチ付加 • アルケンの二重結合部分の平面に対し、オレ フィン炭素との間に新たに形成される二つの σ結合が、同じ側であるときをシン付加、反 対側であるときをアンチ付加という。 46.2 シン付加 • アルケンに対する代表的なシン付加 ・接触水素化(接触還元) ・エポキシ化(オキシランの生成) ・ヒドロホウ素化 ほかに、オスミウム酸化、カルベンの反応、 過マンガン酸カリウム酸化 オゾン酸化の第 一段階、臭素付加(生成物はアンチ付加)の 第一段階 など 46.2.1 アルケンの水素化 • アルケンは(重)金属触媒下、水素(分子)と反 応し、炭素ー炭素二重結合が還元されたア ルカンを与える。 46.2.2 アルケンのエポキシ化 • アルケンに過酸(R-CO3H)を反応させると、オ キシランが得られる。エポキシ化はシン付加 により三員環エーテルを与え、出発物質のア ルケンの幾何異性は保持される。 Cf. オキシランの酸加水分解 • 酸触媒を用いてオキシランを加水分解すると、 二つの水酸基がアンチの関係にあるグリコー ルが生成する。 46.2.3 アルケンのヒドロホウ素化 a. ヒドロホウ素化の反応機構 • アルケンにジボラン(ボラン)を反応させると、 付加反応が進行する。 このときの位置選択性は、立体障害と電気陰 性度から逆Markovnikov則に従う。 46.2.3 アルケンのヒドロホウ素化 b. ヒドロホウ素化の立体化学 • ヒドロホウ素化はシン付加で進行する。このと き、生成物の水素の位置関係はアンチ(トラン ス)である。 46.2.3 アルケンのヒドロホウ素化 c. ヒドロホウ素化-酸化によるアルコール合成 • アルキルボランに塩基性条件下で過酸化水 素を反応させると、CーB結合と同じ立体(立 体保持)でCーO結合が生成する。 第84回 問7-c • オレフィンへの付加反応における生成物の構 造式の正誤を答えよ。 第86回 問4-1 • cyclohexeneに次の付加反応を行った。得ら れる主生成物は分離可能な1対の鏡像異性 体となるか。ただし、配座異性体は分離でき ないものとする。 • m-クロロ過安息香酸を反応させたときの生成 物 第91回 問7-b • シクロヘキセンに次の反応を行った。得られ る主生成物は、ラセミ体となるか。ただし、立 体配座異性体は考えないものとする。 • m-クロロ過安息香酸を反応させたときの生成 物 第91回 問7-c • シクロヘキセンに次の反応を行った。得られ る主生成物は、ラセミ体となるか。ただし、立 体配座異性体は考えないものとする。 • m-クロロ過安息香酸を反応させたときの生成 物に、さらに酸触媒による加水分解反応を 行ったときの生成物 第91回 問7-e • シクロヘキセンに次の反応を行った。得られ る主生成物は、ラセミ体となるか。ただし、立 体配座異性体は考えないものとする。 • ジボランを反応させた後に、さらに塩基性過 酸化水素水溶液で酸化反応を行ったときの 生成物 第93回 問6-c • 反応式における主生成物の正誤を答えよ。 第93回 問6-d • 反応式における主生成物の正誤を答えよ。
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