∪.D.C.る21.315.51:るる9.3.018.52 日 無 酸 素 銅 線 の 立 諸 特 性 PropertiesofHitachiOxygen-FreeCopperWires 皆 川 Michio 要 伯 夫* Minakawa 旨 従来の無酸素銅は高級銅材として需要が限られていたが現在では低コストで広く工業用銅材として供給でき るようになった。口立無酸素銅は純度99・99%以上酸素0.0010.%以下の高純度銅であり,耐水素ぜい化性の みでなく・電線用銅材としてもすぐれた諸特性をもち,なかでもタフピッチ銅に比べ高い電導率をもちねん回, 繰返し曲げ・冷間圧接部の強さなどの実用上重要な機械的性能にもすぐれている。軟化温度もタフピッチ銅に 比べやや高く電気用導体として有利な材料である_J て近い値である(タフピッチ銅の密度は標準値8.89g/cm3である)。 】.緒 口 無酸素銅は1931年ごろよりタフピッチ銅を木炭脱酸する方法に 4.導 より生産が開始され,その後逐次改良され最近では低周波誘導炉に 電 率 生産各ロットの無酸素さお鍋からとった試料を熱間圧延および伸 より還元性ガス中で溶解,連続鋳造が行なわれるようになってきた。 線して2・6皿m軟銅線とし,20℃における導電率(IACS%)を測定し わが国においては貴賓溶解による生産が行なわれ,電子管用材料 た○図1ほ分祁を示している.。また比較のた捌こ同種の原料銅から などの限られた用途にのみ使用されていたが,日立電線株式会社に 製造されたタフピッチ銅の値を同図に示したし〕無酸素銅ではタフピ おいては昭和40年にわが国で初めて高度に日動化された連続溶解, ッチ銅より高い値が得られ,またタフピッチ銅では得がたい102% オーダーのものも得られている。 連続鋳造設備による多量生産が行なわれ,すでに製品として累計 20,000tに達する製造実績をもつにいたった(⊃ 銅の導電率に対する不純物の影響については鼓近ではP.Gregory これらの無酸素銅はおもに伸銅品類に加工されているが,裸線と 民らの輯告があるがしヨ),100ppm以下の国柄不純物では酸素,リ してもすぐれた諸特性をもち,多量イト産による低コストとあいまっ ン,扶などの順で固ヰ鳩抗を増加させる。このうち酸素が最も大き て従来のような高級銅としてでなく広く電線類として利用されるよ な影響をもち,全小純物を固溶しているとみられる無酸素銅におい うになった。 てほ 本文では主としてH立無酸素銅線¶1種の生産および試験検炎に ;少ないためタフピッチ銅にまさる導電率を有するもの と ̄考えられる・・一方タフピッチ銅においては含有酸素により不純物 よって得られたデータをもとにしてその諸特性について報告する二 が酸化され結晶粒界に析出するため容易に比較的良好な導電率を維 持することができるが,無酸素銅の場合は不純物が間柄するので酸 2.無酸素銅の純度および成分 素遣のみでなく全小純物の厳重な管理が必要である∴. 原料銅には高純度の電解銅(カソード銅)が用いられ,COガス 銅線の導電率の測定についてはJIS規格(JISC3002電気用銅線 ふん囲気中で低周波誘導炉により連続溶解および連続鋳造が行なわ 1試験方法)などで長さ1mの電気抵抗および重量から導電率を訊刊 れ,電線用としてはおもに125mm角,180kgのさお鍋に鋳造され する方法がとられているれこの場合密度は8.89g/cm3をとってい るり るので無酸素銅線の場合は前述のように8β4g/c血うをとらなけれ 連続操業により生産されるのでl姑貿ほ安定し均一なものが得られ ばならない.∴ る。点近生産した無酸素さお鍋の分析伯ほ表1に示したように銅分 5.耐水素ぜい化性 99・993%,その他の不純物の合計0.0052%(平均),そのうち酸素は 平均0.0007タgという高純度の無酸素銅であるっ 水素ぜい化は結晶粒界にCu20が介在するタフピッチ銅に軒掛こ 現われる。これは800、850℃の高温で水素中加熱された場合,結晶 3.密 度 粒界に沿って拡散浸入した水素によりCu20が還元され高圧水蒸気 無酸素銅は酸素0・03∼0.06プ左を酸化物の形で含む_タフピッチ銅に が発生するためであり,酸素含有量の著しく少ない無酸素銅でほこ 比べ酸素をほとんど含まないので密度が高い【、無酸素さお鍋を熱問 圧延および冷間加工により2.6mm軟銅線とし,密度を測定した結 果は平均値として8.939g/cm3が得られたのr・さ,標準値として8.94 タフピッチ鋼線 g/cm含をとっている。この値は純銅の密度8.96g/cm3(1)にもきわめ 無酸素鋼線 \ ′ベイ ∫ (芭 表1無酸素釦(1種)の銅分(ア左)と不純物(×10 ̄ヰ%)分析伯 !SilAglNi;Pblsn;Bi Sb 蔓 As!0 S Fe P 車べS Cu ■′′-X/ 99.992 鞋ど斗竺[斗牛車竺ごぎこし竺ヒ? 三二_rプニ竺!2∼3 ∼99.994 10 (3)l(12)l(2)l(2.) いl(1ノ (4)l・ウ\・l(7) 0 .(7)!(。十こ2、 100.5 衷Lr】()内の値は不純物分析値の平均(×10-4プg) 日立電線株式会社電線工場 101.0 101.5 102.0 導電率(%) 図12・6mm軟銅線の導電率(IACS%)の分布 -62- 102.5 無 立 日 酸 素 銅 特 諸 線 1047 性 3 無根黄銅棟 ハU し■rL【【■タフビリチ銅線 30 (NEFて址亡 20 20 小堀m謀苗 (璧淋) 繋 ご)叫 X / ×----、× 10 京 10 )く 萱 ×\ 、、×/ 0 0 25 100 素 (blタフピッチ銅(100倍) 銅(100倍) 葦群 60 15 40 10 20 5 L≡1、一 水素中加熱後の顕徴鎧組織 図2 、J 0 州=ナ半仁た:0.2mm 30 て忘 巴 蜜 2.6 0.8 石;f ■中二:10g 加 熱:8500c.30打Iin 水素;tl-i】 線 (牽耳) 酸 東軍±ニ塩+丹安 無 20 つ互) 三 ra〉 一ヽ 80 5.0 径(mm) 20 図3 宣ゴ 水素中加熱後の機械的性能 ーヽ 10 V 141618 20 22 24 26 28 30 32 -一一卜無根叔糾純 一一Y一-タフピッチ銅線 34 45 0 「.13一 引貼放さ 射せL曲げ州放(抑 0 岡4 0.08mm無酸素銅線の水素11加熱後の耐屈曲性の分布 れ環境一廿 (巾∈ヤ警T) の現象はみとめられないJ図2(a)および(b)に850℃,30min水 素太中で加熱した5.Ommの無酸素銅およびタフピッチ銅線の組織 像を示した。タフピッチ銅ほ結晶粒界にノ別大のいわゆる力 ̄-プソグ nU 盲) 八U シ〕 萱 レイソと呼ばれる典型的な水素ぜい化組織を示しているが,無酸素 25 銅では粒子の粗大化がみとめられるのみで粒界は健全である。この 仲〆、て ような水素ぜい化組織がみとめられる限界酸素量は0.0016%と考え 2。+【L られ,l三l立無酸素銅一1種の管理Fl標は0.0008%(実績は表1を参照) lO 20 30 40 50 60 断血縮少率(%) としているこ. 図3は8.3111m荒引線を5.Omm∼0.8mmに冷間線引を行ない, 冷間加工度と引張性能の関係 図5 水素気流中で850℃,30min加熱したのち常温において線の機械的 性能を測定したもので,タフピッチ銅線の僚機的性能ほ著しく低下 5 ∧U するが,無酸素銅線の性能低下はほとんどない。このような水素ぜ 引張強 さ 49 い化は試料の表面層から進行するため線径が新化、ほど頗著に現わ 48 れ,特に繰返し伸げの低下に現われる。0.08mmの線について850 47 ℃,30min水素中加熱を行なったタフピッチ銅線は取り扱いが困難 4 £U 屈曲性を維持している。 ゝ ゝ\ ▲4 5 44 43 42 小磐描こひ る.機械的諸特性 2 40 ・HT る.1加工硬化性と引張性能 41 ぴ 39 高純度の無酸素銅と多くの酸化物を含むタフピッチ銅の冷間線引 1 聖 38 加工による引張性能の変化を検討するため,8`3mm荒引線から10 ニシJ (∈∈○爪N=J.望(芭 (M∈ぜ\址さ なほどもろくなるのに対し無酸素銅線は図4に示したように高い耐 --<-無酸素鋼線 --ズーータフピッチ鋼線 37 0 36 ∼60%の断而縮小率を与えた場合およびさらに加工を進め0・Smm 2.0 まで伸線したときの各サイズごとの引張性能をみた。この結果は図 3.0 4.0 5.0 6.0 仕上線径(mm) 5および図るに示したようにタフピッチ銅と無酸素銅の間にはほと 図6 硬銅線の引張性能 んど差がみとめられず,工業的には同一の加工によってJIS規格 (JISC3101電気用硬銅線)などに定められた硬銅線または半硬銅線 る.2 の引張強さおよび伸びを容易に得ることができる。 ねん回および屈曲特性 る.1で使用したと同一の試料およぴ400℃,1h無酸化焼鈍を行な -63- 1048 昭和42年10月 評 _lエ 論 第49巻 第10号 巾無酸素銅線 ----タフピッチ鋼裸 25O チャック間長き 70nlm タフピ・ノナ銅線 子ャック 30 無醸黄銅線 (匡) (回) 2 ハUnU 撃匡+、[¶ 1 5 ハU 里亙J、代¶ チャック問1・主さ 70皿m 1 0 (り チャック同左き 70mm (這) 0 \粁一一-「払l-----ペ 2.0 4.0 3.0 仕_L線径 5.0 6.0 ぐmm) 内側曲げ半径1.0×線径 点一且十重+丹■葉 5 30 20 x--が㌦ノーーJ-≠-----1一一一ふ----廿ノ 10 1.0 2,0 3.0 4.0 5.0 0 6.0 意[且±宅+親繋 「勺側川=r、‡t繕1.0入射至 レふ---γ∬ 図7 、、、ユー----二二二= (U レ 1.0 (寅) 5 ハU 41016 22 28 図8 46 52 58 64 70 76 82 88 i+ん匝=直(回) 仕上線径 硬銅線の耐ねん回,屈曲特性 40 34 軟銅線の耐ねん回,屈曲特性 図9 2.6mm硬鋼線のねん回伯の分布 ったものを試料とし,ねん回および繰返し曲げ試験を行なった結果 を示したのが図7および図8である。また図9には2.6mm硬銅線 一一く-無酸素銅線 -⇒ケータフピッチ鋼線 のねん同値の分布を示した。このように無酸素銅線のねん回屈曲特 1 30 性はタフピッチ銅に比べ著しく高い値を示すが,この原因は組織内 1 20 に酸化物を含まないのでひずみ硬化が均一に進み,また破断の切欠 〉( / ‡軟官′"4号 / 1 10 (互) けが生じにくいことによるものと考えられる。 このような無酸素銅線の応用例として平編組線の耐伸縮曲げ回 「⊥ 0n 東国一±童+増整 数,みぞ付トロリ線のねじりと屈曲性および平角銅線の耐屈曲性な どについて検討した。表2は30mm2平編組線をチャック間長さ 300mm,伸縮区間120mmとし破断に至るまでの伸縮回数を測定し / / 90 / 糾 た結果で,タフピッチ銅心線との比較で示した。表3は85mmヨお 70 よび110mm2みぞ付硬鋼トロリ線のねじり試験(チャック長さ300 60 mm,180度R三復)および繰返し曲げ(内側半径25mm,90度左右)試 50 験の結果を示したものである。図10には厚さ6.5mm,幅18mmの 半硬乍亨(2号) 光一一一一一一姫′ 40 20 軟質および硬質平角銅線のフラットワイズの繰返し曲げ試験(90 25 30 内側半径(mm) 度左右)結果を示した。いずれの例においてもタフピッチ銅に比べ 図10 無酸素銅がすぐれた値を示し,その差は硬質のほうが大きい。この 平角線の耐屈曲性(フラットワイズ曲げ) 例のみでなくねん回屈曲特性はいずれの場合でも確実に良い値が 得られ,しかもタフピッチ銅の1.5∼2.0倍にも及ぶということは重 要な特性の一つである。 蓑2 7.加熱軟化特性 30mm2平縦糸11線の伸縮曲げ回数 銅材 無酸素銅ほタフピッチ参剛こ比べ軟化しにくい(3〕といわれており, 撫 軟 摺 -㌍の ̄ ̄表別 目\ ̄ ̄ ̄-\\\ 硬銅線について加熱軟化性を検討した。 7.12.るmm硬銅線の軟化温度 素 緑 木数/径(本/mm) 断面縮小率90%の冷問加■l'二を一ソ・えた2.6mm硬銅線を100∼500 編組線幅(mm) 26,3 編組線厚(mm) 2.5 ℃のソルトバス中1hの加熱を行ない,常温で引張敢さを測定した 結果を図11に示した。この図から無酸素銅線およびタフピッチ銅 の半軟化温度を求めるとそれぞれ270℃およぴ200℃となり無酸素 銅はタフピッチ銅に比べ約70℃高い軟化温度を示した。 伸 第1 縮 第 第 回 数 平角銅線の軟化温度 銅 線 タフピッチ銅線 l 軟 質 576/0.26 健 汽 576/0.26 歓 待l秋 576/0.26 男 576/仇26 23.2∼25.5 25.4∼26.8 23.1∼23.7 24.9∼25.6 2.32∼2.72 2.40∼26.2 2.32∼2.58 2.48∼2.62 回 126,000 89,441 49,400 31,701 23 2 回 134,250 69,810 42,231 32,364 00 3 回 143,600 70,490 48,100 34,263 均 134,617176,580 46,577 32,777 j¶ 個)1平 半硬質および硬質の平角銅線を150∼500℃のソルトバス中1h加 1,216/0.18 素 00一34 7.2 離 「 表3 モミ=二二二二ニーーーーーーーーーーー、 __、_特 性 値 ね じ り (回) 、 ̄ ̄ ̄、 \ み ぞ付硬鋼ト 繰 返 ロリ し 曲 線 げ(回) の 諸性能 引 張 荷 重 (kg) 銅 サ イ ズ 材 無 酸 素 銅 タフピッチ銅 無 酸 素 銅 85mm2みぞ付ト ロリ線 1,850∼2,550 740∼990 29∼32 110mm2みぞ付ト ロリ線 1,150∼1,800 310∼760 26∼30 -64- タフピッチ銅 20∼25 116∼23 伸 び (%) 無酸素銅i タフピッチ銅 3,330∼3,400 3,200∼3,450 3.0∼3.4 2.6∼4.8 4,300∼4,430 4,150∼4,450 3.6∼4.2 3.4∼4.6 無 酸 素 銅 タフピッチ銅 立 無 酸 素 線 銅 特 諸 の 1049 ー・一無根黄銅 一十一夕フピ ′子細 Ly ■7 40 /伸こじ、 (塗 モ 一一一無根巌納繚 一耕一ク7ピ′・手鋼線 吐 3 nU 小憩渓一廿 ぃ雫≡T 【廿- 頚 謀 石 35ト拝=:で=ミ\ さ 望30 1てJ 40 45 ′一ソい ∈ NEFて虹さ ㌃35 50 ("∈乍叫ご 5 ハU `10† rx-〆顎ニー巧 ′′ ノ十 _、「,_、/′● Eや\ 25 、\\…摘羊 30 萱 25ト リ他撫 \-叫さh-▲-. l;■--一-一一一、一 ̄ 20 200 300 400 500 100 加熱温度(Oc),(60min) 図11硬銅線の加熱軟化曲線 200 3nO 2咄---1。。2。。 百緬 500 4nO 加熱工左度・:Oc),絹Omin) 図12 加寿いまい空 しDc)∴60min) 図13 半硬質平角銅線の加熱軟化曲線 熱を行ない,常温で引張弧さおよび伸びを測定しそれらを匡=2お 表4 よび図13に示した。この図から半軟化温度を求めると表4の値が 項 得られ,加工度の高い硬質のはうがタフピッチ銅との温度差は小さ 銅 硬質平角銅線の加熱軟化曲線 平角銅線の軟化温度 半 目 材 軟 硬 化 温 度(℃) 半 質 夜 いが無酸素銅のほうがタフピッチ銅に比べかなり高い軟化温度を示 無 酸 素 銅 275 350 した。 タフピッチ銅 255 295 7.3 500 400 賀 無酸素銅の軟化温度 7.1および7.2に示したように無酸素銅はタフピッチ銅に比べか 表5 なり高い半軟化温度をもつことが明らかである。無酸素銅の軟化の モ\\\ 様相は区=1∼図13に示したように軟化の開始がタフピッチ銅より \ こ 遅れ,高温側へずれたような軟化rL白線を示している。タフピッチ銅 は無酸素銅より低温側から軟化がはじまる傾向がみられる。タフピ ッチ銅においては組織中に酸化物を含み,冷問加工により酸化物周 \ 85血m2みぞ付 トロリ線 みぞ付硬鋼トロリ線の圧接部の諸性能 ね じ り (回)1繰返し曲げ(回) 備 鮒素銅lタフピッチ銅;細素銅 1,029 15′-32 500∼1,200 ∼4,809 辺の不均一ひずみを生ずるとともに,酸化物自体が再結晶の核とし 荒引練で圧接 ねじりほ拝目口 までの値 0∼5 (4) 110mm2みぞ付 トロリ綻 て働くため無酸素銅よりも早く,低温側で再結晶が開始されるもの 考 (4) 650∼830 698∼851 18一〉21 7∼12 トロリ線で圧 接ねじりほ破 断までの値 と考えられる。このように無酸素銅はタフピッチ銅に比べ軟化しに くく,導電率も高いので硬銅線の架空送電線の導体としては温度上 昇による軟化やクリープなどに対しても安全側にありむしろ好まし る。実用上からみた場合,トロリ線のJIS規格(JISE2101みぞ付硬 い特性である。 鋼トロリ線)では母材の繰返し曲げを8回以上,接続部のねじりを 100回以上と規定しており,無酸素銅トロリ線のねじりは規格値の7 8.冷間圧接性 ∼10倍,繰返し曲げ回数は接続部でも約2倍というすぐれた値を得 冷閃圧接法ほすべての作業が常温で行なわれ,加熱軟化すること ている。このように無酸素銅は実用条件の過酢なトロリ線用銅材と がないので弧さの高い接続部が得られるが,接続部は高度の変形を しても有効な材料である。 うけ線軸に直角の方向にメタルフローが生ずる。タフピッチ銅の場 9.結 合,このメタルフローにともない介在酸化物も流動し,接続面内に 繊維状に分和する(4)ため屈曲に強い接続部を待i・こくい欠点を有して 無酸素銅ほ高純度の工業用銅材であり,裸線としても高導電率, いる。他方無酸銅においては酸化物がないため耐屈曲性の向上が期 耐水素ぜい化性,耐ねん回,屈曲性,冷間圧接部の強さなどの特性 待されるので,成形加工および実用条件の過軒な85mm2および がタフピッチ銅に比べ著しくすぐれており,軟化温度も高いので有 110mm2みぞ付硬鋼トロリ線について冷間圧接を検討した。 効な材料である。日立電線株式会社は現在低コストで広く供給でき 85mm2トロリ線の場合は材料荒引絞の冷間圧接を行ない十分焼 る態勢を整えており,今後の工業材料の進歩にともないさらに広い 鈍してから冷間仲線により85mm2みぞ付トロリ線に仕上げ,接続 需要に応ずるため研究を進めている。 部を試料とした。110mm2トロリ線の場合は110mm2みぞ付トロ 終わりにのぞみ諸データを提供された社内各工場の諸氏に厚くお 礼申し_Lげる。、 リ線を圧接し試料とした。各接続部はねじり試験(チャック長さ 300mm,180度往復)および繰返し曲げ試験(内側曲げ半径25mm, 参 90度左右往復)に供した。表5はその結果を示したものである。無酸 (1)ASM∴Metals 素銅はタフピッチ銅に比べいずれの場合でも良好な値を示した。特 (2)P.Gregory,A.上Bangay, 207(May.1965) に耐屈曲性の向上が著しい。しかしながら接続部は強度の変形加工 を受け,また線軸方向に直角の方向に繊維組織が発達しているため 110mm2の場合ほ母材の値(表3を参照)よりもかなり低下してい -65… Handbook 鳶 文 献 (1948)903 T.L.Bird:Metallurgia (3)中島,小松,外村,神林, 窯柳:古河電工時報41,27(昭 41-6) (4)山路,中村:日立評論45,340(昭38-2) 7】,
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