1~3の数字カード、音声、数を ドットで示したカードのマッチン グができる ~刺激等価性の考え方を活用して ~ 阿南支援学校ひわさ分校 田中敦子 事例の概要 年度当初は、「8」をみて「じゅうよん」と言 うなど数字カードを見るとカードが示した数字を 表す音声とはマッチしていないが、何らかの数字 を表す音声で答えることはできていた。これまで、 音声をきいてカードを取ったり、カードを見て音 声で言う指導を繰り返し行ってきたが、一進一退 の状態でなかなか定着しなかった。 そこで、刺激等価性の考え方を活用して、数字 カード、音声、数をドットで示したカードのそれ ぞれの関係の正答率をだし、正答率の高い一つの 関係に絞って指導を行い、定着を図った。 対象児のプロフィール 小学部 3年 男児 精神発達遅滞 諸検査結果 新版K式発達検査2001 (21年12月1 5日実施) 全領域2:2 姿勢・運動2:0 認知・適応1:10 言語・社会2:7 指導目標 長期目標 1~3までの数字の理解ができる。 短期目標 提示された数字と対応させて,1~3個の具 体物を数えながら入れたり,置いたりするこ とができる。 標的行動 1~3までの数をドットで示したカードを見て、 対応する数を音声で答える。 指導手続き 1.6つの関係の正答率を調べる。 ア 1~3の数字カードを見て、音声で答える。 イ 音声を聞いて、数字カードを選ぶ。 ウ ドットカードを見て音声で答える。 エ 音声を聞いてドットカードを選ぶ。 オ 数字カードを見て対応するドットカードを選ぶことがで きる。 カ ドットカードの数を見て数字カードを選ぶことができる。 2.正答率が高い関係から指導を行う。 今回は、アイの関係は成立していたので、次に正答率が高 いウの 関係から指導を始めた。 3.1日1回対面学習の時間に指導する。1・2・3それぞれの数 字を3回ずつ指導する。 ・ドットのカードを見せて「これは?」と聞く。 ・正しく答えられたら、「正解」「いいよ」など言葉で賞賛 する。 ・間違ったら、ヒントとして数字カードを見せる。 記録のとり方 1.2.3それぞれの数字について1日3 回ずつ指導する。 正答であれば○、誤答であれば×とし、1 日ごとの正答率をだす。 正答率80%以上が5日間続けば達成とす る。 結果 指導1 ウの関係正答率 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% ベースライン 指導1 結果 ウの関係指導前後の正答率 120% 100% 80% 60% 40% 20% Series1 Series2 0% 指導2 標的行動 1~3までの数字カードを見て、数をドットで 示したカードを選ぶことができる。 指導2 オの関係正答率 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% 12/20 12/21 12/22 1/11 1/12 1/13 1/14 1/16 指導3 標的行動 数をドットで示したカードを見て、それに対 応する数だけマグネットを置くことができ る。 指導3 サの関係の正答率 120% 3 の み 取 り 出 し 学 習 100% 80% 60% 40% 20% 18 ・1 9 1/ 21 1/ 24 1/ 25 1/ 26 1/ 28 1/ 31 2/ 1 2/ 2 2/ 3 2/ 4 2/ 7 2/ 8 0% 1/ 指導4 指数字を見てそれに対応する数字カードを選 ぶことができる。 指導4 ソの関係正答率 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% 2/16 2/17 2/18 2/21 2/22 2/23 2/25 2/25 結果のまとめ 指導1では、対面学習中に周囲の物音や出来事 が気になり、集中できないときもあり、なか なか定着しないところがあったが、繰り返し 学習することで何とか達成することができ た。 1つの関係が成立するとその他成立していな かった2つの関係は指導しなくても成立した。 残りの1つの関係も少ない指導回数で成立し た。 結果のまとめ 指導1・2で、数字カード、音声、ドットカードすべ ての関係が成立したので、指導3では刺激の種類を増 やして「マグネットを置く」を加えた。ベースライン ではマグネットを操作することが難しく、新たに加 わった6つの関係のうち2つの関係しか成立していな かったが、指導3で1つの関係が成立するとその他の 3つの関係も成立した。 さらに「指数字」という刺激も加え、さらに8つの関 係が加わったが、ベースラインの段階で7つの関係が 成立しており、成立していなかった1つの関係も指導 4を行うとすぐに成立した。
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