特別支援学校中学部生徒が 「はい,~です」と答えるための支援 徳島県立阿南支援学校 田中 清章 1 指導目標 【長期目標】 先生や目上の人に丁寧な言葉づかい をすることができる。 【短期目標・標的行動】 先生に質問されて,呼名されたら, 「はい,~です」と答えることができる。 2 現状のABC分析 教員の質問 丁寧に しゃべる ルールなし 丁寧にしゃ べった経験 少ない ため口で許して くれる先生 「はい, ~です」 褒められな かったり(↓) 褒められたり(↑) 褒め言 葉なし (↓) 上手にしゃべ れなかった (↓) 丁寧にしゃべるの に違和感(↓) 3 3 解決策のABC分析 褒められた(↑) ○が付いた(↑) 教員の質問+ 記録表 丁寧に しゃべる ルールあり 「はい, ~です」 流暢に言え るまで練習 先生は生徒が注 目してから話す ルール を守った (↑) スムーズに しゃべれた (↑) 先生の承認・笑顔 (↑) 4 4 方法 【対象児】 特別支援学校中学部生徒26名 1年生12名,2年生8名,3年生6名 【指導場面】 2グループに分け実施(火・木曜日13名ずつ) 自立活動(SST)週1時間 【般化場面】 自立活動(SST)以外の授業場面 【教材】 絵カード,「はい、~です」カード 教室での練習記録用紙 5 SST授業 で指導 ベースライン はい:19% です:24% 事後テスト はい: % です: % ・パターン化 ・正 確 性 ・流 暢 性 の指導を行い 「日常生活の 指導」 で指導 手続き(1) SST授業での介入 レベル1:集団で行う(正確性) 1.絵カードを提示して,ゆっくりのテンポで一斉に声を 出して「はい,○○です」と物の名称を言う。 2.言葉に出して、何度も練習する。 レベル2:集団で行う(流暢性) 1.スピードを早くし、反射的に言葉が出てくるようにす る。 2.何度も繰り返し練習し、「正確に」 且つ「流暢に」言 葉が出るようにする。 7 手続き(1) レベル3:個人で行う • 絵カードから実物に質問を変えることで、より般化場 面に近い質問を用意する。 • 1人ずつ指名し、答えられた時に、本人に見えるよう にその場でシートに○をつけて、動機付けを高める。 各クラスでの介入 • レベル1から3を,各学級で朝の日常生活の指導の 時間に練習を行い,練習回数を増やす。 8 記録方法:課題分析を行い記録する 事前・事後テスト 実施日時 基 礎 と な る 行 動 テ ス ト 12/8 12 /9 12 /13 4 2 1 5 × × × × ‐ △ ○ × 「はい」と言う ○ △ ○ × 「○○です。」と言う。 × × ‐ × × △ × × 先生の方向を向く (先生が話し出したら) × ○ × ‐ 先生が教卓に立ったら,席に座る ○ ○ ○ ○ 先生の話にうなずきながら 手を90度にして、挙手をする 標的行動: 前 12/7 実施場面番号 よ り 望 ま し い 行 動 事 正しい姿勢で座る (先生が話し出している間:5分程度) ■一人でできたら○、できなかったら×、プロンプト付きでできたら△を付けます。 / 結果 ベースラインの標的行動の生起率平均は, 「はい」が19%,「~です」が24%であった。 介入後の標的行動の生起率の平均は,「は い」が68%,「~です」が83%であった。 場面や人が変わっても,「はい,~です」と答 えられる生徒が増えた。 13 考察 生徒が教員の方に注目しているのを確認し てから,話し出そうとする教員が増えた。 正確に早くしゃべれるようになる(流暢性)と, 練習場面以外でも,「はい、~です。」と答え られるようになった。 集団で声を出して練習することで,普段声 の小さい生徒も大きな声を出すことができて いた。 14
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