自由遊び場面での カードによる遊びの要求

10年経験者研修 特定課題(学校活性化プラン)研究
小学部児童が
アナログ時計を学習する
阿南支援学校ひわさ分校
教諭 十川 貴子
1
指導目標
【長期目標】
15分単位のアナログ時計を見て正確な時
間を音声で答えることができる。
【短期目標】
前期:「○時」のアナログ時計カードを見て正
確な時間を音声で答えることができる。
後期:「○時」「○時30分」「○時15分」「○
時45分」のアナログ時計を見て正確な時間
を音声で答えることができる。
2
標的行動
・くもんアナログ時計カードで「○時」と
音声で答えることができる。
3
現状のABC分析
算数の時間
時計の学習経験なし
目の前に
くもん時計
カード
がでてくる
「何時?」という質問
どこを見るのか
ヒントなし
答え合わせなし
(正誤が不明)
(ー)(↓)
「○時」と
正確に答える
裏の答えと
ぴったり合う
感覚なし(↓)
「正解」「すごい」
の言葉なし(↓)
「ざんねん」の
言葉なし(↑)
終わったら
自立課題(↓) 4
4
解決策のABC分析
算数の時間
答え合わせあり
(正誤がわかる)(ー)(↑)
裏の答えと
ぴったり合う
感覚あり(↑)
時計学習経験あり
正解すると
「正解」「すごい」
の言葉あり(↑)
目の前に
くもん時計カード
「何時?」という
質問
「赤い針を見て」という言葉
かけと指さしのヒントあり
「○時」と
正確に答える
間違うと
「ざんねん」の言葉
あり(↓)
やりなおしあり
(↓) (↑)
終わったら時計の
おもちゃの本(↑)
5
5
方法
【対象児】
A児(支援学校小学部4年男児)
知的障害・左まひ
【指導場面】
算数の時間の対面学習
【般化場面】
算数の時間の自立課題(時計カードを見て○
時という文字で書かれたチップをマッチングす
ることができる)
【教材】
くもん時計カード、アナログ時計の針をまわす
おもちゃ、記録用紙
6
手続き(1)
【ベースライン】
1 カードを見せて「何時?」と聞く。
2 児童が答えたら、何も言わずに次のカードを見せる。
【指導1】
※終わったら「この時計の本で遊ぼうね」と言う。
1 カードを見せて「何時?」と聞く。
2 「赤い針を見てね」と言う。
3 児童が正確に答えたら「正解。すごい。」と言いながら裏の答
えを見せる。
4 児童が間違ったら「ざんねん。」と言って裏の答えを見せて、も
う一度表を見せて「何時?」と聞く。
5 12枚のカードが終了したら、時計のおもちゃを渡す。
7
手続き(2)
【指導2】
1 カードを見せて「何時?」と聞く。
2 児童が正確に答えたら「正解。すごい。」と言いながら裏の
答えを見せる。
3 児童が間違ったら「ざんねん。」と言って裏の答えを見せて、
もう一度表を見せて「何時?」と聞く。
4 12枚のカードが終了したら、時計のおもちゃを渡す。
8
記録方法
・正解したら○
間違ったら×
・正答率をグラフにする。
達成基準・中止基準
・達成基準:正答率80%以上が連続5回以上
・中止基準:正答率20%以下が連続2回以上
9
結果(1)
時計カードを見て「○時」と答える
「○時」の
カードマッチング
120
100
80
指導1
ヒントあり(「赤い針みて
ね。」)
答え合わせあり
「正解」
終わったら時計のおもちゃ
60
指導2
ヒントなし
答え合わせあり
「正解」
終わったら時計のおもちゃ
般化
自立課題
カードマッチング
40
ベース
ライン
20
0
10
結果(2)
ベースラインでは、全て「12時」と答えた。
指導1で「赤い針を見てね」1日目から正答率が
上がり、2日目から80%以上となり、6日目に目
標達成した。
指導2で「赤い針を見てね」という言葉かけをなく
したが、100%を継続できた。くもんカードの赤い
針と青い針の見方が理解できた。
般化場面の自立課題では、カードマッチングの教
材で1日目に間違えた後は100%を継続できた。
その後、学校の時計(針が短針・長針同色)と家
庭の時計で般化が見られた。
11
考察(1)
短針と長針の色が違うくもんの時計カードを
使用し、どの針を見るのかを言葉かけする
とすぐに理解できた。
「○時」は赤い針が数字を直接指しているの
で本児にとってはわかりやすかった。
答え合わせをして「正解」という事実が本児
にとって好子になっている。
12
考察(2)


時計のおもちゃは、左まひの手先の不自由さから操
作に支援が必要であったが、何回も操作し,一人で
遊べるようになった。「青い針を動かして7時にして
ね」という音声を聞いて、○時は全て操作できた。「
終わったら時計ゲーム」と自分から言っていた。
集中時間が非常に短く,机上での学習を嫌がること
もある本児にとっては、学習後に時計のゲームを行
うことはたいへん良かった。
13
標的行動2
時計カードを見て○時30分と答えることができる
。
120
100
指導1
ヒントあり(「赤い針が示
す数字に赤丸」「6の数
字の下に青で30の数
字」)
答え合わせあり
「正解」
終わったら時計のおも
ちゃ
80
60
40
指導2
ヒントなし
答え合わせあり
「正解」
終わったら時計のおも
ちゃ
20
7日
6日
5日
11月…
11月…
31日
30日
29日
26日
25日
23日
22日
19日
18日
17日
16日
12日
4日
2日
27日
24日
20日
18日
14日
13日
12日
11日
10日
7日
6日
5日
4日
9月3日
0
10月…
ベースライン
14
9日
22日
17日
16日
15日
11日
10日
1月9日
1月8日
21日
20日
19日
18日
17日
14日
13日
12日
11日
10日
7日
6日
5日
ベースライン
4日
30
12月2日
40
30日
29日
28日
27日
19日
16日
15日
14日
13日
12日
20
11月8日
標的行動3
○時と○時30分を混ぜた時計カードを見て答えることができる
100
90
80
70
60
50
指導1
ヒントなし
答え合わせあり
「正解」
終わったら時計のおも
ちゃ
10
0
15
結果




・○時30分は、赤い針(短針)が示す手がかり(
数字に赤丸)がなくすと正答率は下がった。
・さらに○時と○時30分を混ぜたカードを示すと
最初に覚えていたはずの「○時」を「○時30分」
と言う等正答率がさらに下がった。繰り返し学習
すると正当率は上がった。
・○時15分は、赤い針が○時の数字に近いとこ
ろを示すため、理解が早かった。
・○時45分になると7時45分は「8時45分」と答
える等赤い針に近い場所の数字を読むようにな
った。
16
考察



・最終的に、1時・1時15分・1時30分・1時45
分の時計カードと時間を書いたカードチップのマ
ッチングはできた。(○時の数字は一定)
・○時は短針が示す数字どうりに読むと正解す
るので児童はすぐに理解できたが、短針が動き
、同時に長針が指す時間も考えるという時と分
の同時処理が難しい。
・今後は、赤い針(短針)がどのように動くのか、
どこまでが1時でどこまでが2時を示すのかを視
覚的に示した時計教材と、右回りに針を動かし
て短針がどのように動いていくのかを体験する
指導を取り入れる必要がある。
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