3.労働時間の弾力化と課題

3.労働時間の弾力化と課題
◇新しい労働時間制度の導入◇
1987年、93年、98年
労働法の改正により、弾力的な労働時間制度が可能になる
メリット
①労働力需要の変動への対応が可能に(企業にとっての弾力化)
②労働時間の自己決定を可能に(個人にとっての弾力化)
◇弾力的な労働時間制度とは◇
変形労働時間制度…企業の労働力需要の予測に合わせて、労働者自身が働く
時間の配分を決めることができる
フレックスタイム制…一定の枠内であれば、勤務時間を自分で選択できるよ うに
すること(図を参照)
裁量労働制…仕事の進め方を自分で決定できるよう、労働者に決定権を与え る。
「専門業務型」と「企画業務型」に適用される制度で、労働時間の上 限は「みな
し労働時間制」として定められる
3.労働時間の弾力化と課題
◇弾力的な労働時間制度を推進する意図と背景◇
意図
・労働時間を労働者自身が変更できるようにする→勤労意欲の上昇
・時間管理に関する"意識"を身につけさせる→時間あたりの生産性向上
・労働者の生活リズムの調和→ワークライフバランスの追求
背景
・裁量性が高い仕事の増加
・・・上司が管理するよりも労働者自身がマネジメントした方が効率的
・効率化や創造性が必要とされる仕事の増加
・・・時間管理を身につけさせることで発揮できるように
・生活リズムや仕事の進捗状況に調和可能な労働時間へ
・・・労働者自身がワークライフバランスを
◇労働時間弾力化の前提条件◇
・需要予測が正確であること
・権利行使の条件が揃っていなければ実行不可能である
(いわゆるブラック企業では難しい。また労働組合の存在も重要である)
3.労働時間の弾力化と課題
◇労働時間の弾力化が機能するための諸条件◇
a.仕事の質・量と納期:適正な仕事の質・量と納期が定められていること
・・・納期から逆算したとき、作業量やクオリティが適切かどうか
b.仕事の目標設定:明確な仕事の目標があるかどうか
・・・業務内容が明確か、タスクを詳細にリストアップできているか
c.仕事の裁量度:進捗管理や遂行手段の選択権付与
・・・課題…参加義務のある会議や朝会を減らせるか
解決策…クラウド型グループウェアの活用
d.評価制度:成果による評価と評価基準の明確化
・・・業績評価と情意評価を適切に運用しないと、弾力化は望めない
解決策…歪んだ評価(例:労働時間の長さで出世が決まる)の廃絶
e.自己管理能力:労働者の自己管理能力の育成
おわりに:労働時間の弾力化を目指して
◇ディスカッション◇
-議題労働時間の弾力化に向けて、学生のうちに取り組めることとは何か
労働時間を短縮化させることで、我々は様々な恩恵にあずかることができる。
具体的には、仕事と私生活の調和を保ったり、一時間あたりの生産性を向上させた
り、より創造性や効率性を発揮して働けるようになるだろう。
さて、労働時間の短縮化を実現するためには、「労働時間の弾力化が機能するため
の諸条件」のスライドで確認したように、労働者自身に「五つの条件」が求められるこ
とを先ほど指摘した。
そこで今回のディスカッションでは、我々が先ほど挙げた「五つの条件」を満たすよう
な労働者になるために、「学生時代にどのような取り組みをするべきなのか」「どのよ
うに生活するべきなのか」を考えてみたい。