後期ゼミ活動まとめ セーフティネットの政治経済学 企業年金の未来 雇用改革の時代 小泉内閣の労働市場の方針 ~総合雇用対策~ H13.9・20 3つの課題に対応する施策 • 雇用の受け皿の整備 • 雇用のミスマッチの解消 • セーフティネットの整備 市場になじみにくい本源的生産要素を市場化することによって生 まれた不安やリスクを社会全体でシェアし市場を安定化させるこ と <問題点> <解決策>セーフティーネット 年金への不安 401K 非正規社員の権利 非正規社員の権利是正 失業保険給付の不備 失業保険給付 職業紹介事業の未熟 雇用の受け皿 ~新市場・新産業の育成による雇用創出~ • 規制・制度改革を通じた新市場・新産業の 育成 • 産業競争教化 雇用のミスマッチの解消 ~官民の連携化・能力開発・就業環境の整備~ • 民間活力を活かした能力開発機会の創出 • 就業機会の多様化の応じた環境整備 • 職業紹介制度の整備 セーフティネットの整備 • 失業者の生活安定と就業の促進 • 中小企業に対するセーフティネット Deflation 物価低下傾向 企業収益悪化 株価低下 地価低迷 設備投資 抑制 資産デフレ 逆資産効果 貸し渋り効果 消費行動の変化 賃金抑制 賃下げ 雇用抑制 雇用削減 所得(GDP) 減少 消費 先送り 債務残高 増加 金融資産 残高増加 消費不況 実物資産 減価 セーフティネットと市場の補完関係 「市場で競争すること」 「信頼し協力すること」 互いに補う関係 市場競争の世界には、信頼や協力の制度が奥深く埋め込ま れており、相互信頼を前提とする「協力の領域」があってはじ めて「市場の領域」もうまく働くのである。 この信頼や協力の制度に当たるのが、リスクを社会全体で シェアするセーフティネットである。 競争 グローバル化 協力・安 心・信頼 市場の失敗 新古典派的のもととなる合理的経済人 将来を含めたすべての情報をたちどこ ろに察知し、予算制約下で最適な情報 を選択できる 100財の中からそういった選択を行うのは 不可能(企業も同じ) 慣習に従った行動をとらざるを得ない 安心信頼の制度下では人々は長期的 期待形成を慣習に従って行う 破壊 人々は他人の行動に合わせて行動す るようになる 市場の不安定化(バブルの発生・崩壊、デ フレ) ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理 論』 第十二章「長期期待の状態」 長期期待は決して合理的計算にもとずくので はなく、所有と経営の分離に伴って増加する大 衆株主の群集心理に支配されるようになり、そ して“現状がいつまでも続くという仮説が揺らぐ とき”が揺らぐとき市場は“悲観と楽観の波にさ らわれる” グローバルスタンダートの導入=SNの破 壊 他の文化・歴史に根ざした制度の部分的導入 セイフティーネットに穴をあける 市場の不安定化 *日本では80年代から徐々にはじめれ ていた 例 IMFは世界中で自由化とともにグローバル スタンダード型SNを導入してきた 世界中で失敗 その地域の歴史・文化にあったセーフ ティーネットが必要 セーフティネットの具体例 ペイオフ 拓殖銀行等の破綻時 ペイオフ制度の存在が取り付 け騒ぎの伝染を防いだ もしこれがなければより多くの銀行が 破綻に追い込まれていた 本源的生産要素は、本来的に市場になじま ない性格を持っている。 市場化になじまない性質を盛持つ財を市場 化しなければ成り立たないとすれば、資本 主義経済というのは、その成立と同時に市 場化の限界を抱えているのである。 それゆえ、セーフティネットとそれに連結し た制度やルールが必要である。 3つの本源的市場 • 労働市場:労働は人間自身に付着してい るもの・労働力を測るものさしが無い・所有権の 衝突 • 貨幣市場:貨幣は実体が無い →無限に信用を増大する可能性がある →信用創造の面で不安定 • 土地市場:流動性が限定されている・商品とし ての単価が高い 3市場の中でもとりわけデフレスパイ ラルを断ち切るためには労働市場の 健全化が必要 日本の現状 雇用制度の変化(市場型へ) 変化に対応していない社会保障制度 労働市場の問題点 • • • • 年金 失業保険 職業紹介システム 流動化への対応 『雇用改革の時代 働き方はどう変わるか』 労働市場の流動化を促進 →雇用改革の必要性 ・非正規雇用者の権利 ・職業紹介事業 ・失業保険給付制度 産業構造の変化 ・バブル崩壊以来の過剰雇用 ・社会主義国が崩壊、国際労働市場の変化 ・国際技術革新競争への乗り遅れ ⇒ 産業調整が必要 産業構造改革の流れの中で、有限な経済資源(労働) を、生産性の高い比較優位部門にシフトさせることは長 期的に見て、必然的なものである。 従来の産業間労働異動 ・新規学卒者の就職先の変化 ・同一企業グループ内での配置転換・出向 ⇒ 失業を伴わないですんでいた 今後の産業間労働異動 ・低成長 → 子会社の量産による中高年管理職のポストを作り 出すことは不可能 ・人口構造の変化 → 労働者の中高年齢化は、年齢に大きく依存した 昇進・賃金慣行(年功賃金制)の保持を困難に ↓ 市場を通じた労働力の産業間・企業間労働移動が必要 ⇒ 失業者の発生にはセーフティーネットを 非正規雇用者の権利 【問題 点】 ①正規・非正規雇用者間の賃金格差 ②労働組合への加入資格が一般に無い ⇒企業別組合に属しているかが、雇用保障・生涯 賃金の両面に反映 ③本来適用されるべき低所得層に、主要な社会保険 が適用されていない 【解決策】 規制緩和などによる非正規雇用者の権利拡大 具体例) ①労働者派遣法の派遣事業の対象業務範囲、 派遣期間の上限規制など ②派遣先での労働条件の明確化や、紛争処 理体制の確立、プライバシーの保護など明 確な規制の確立 ③形式的な事前規制方式でなく、事後的な規 制 の確立 職業紹介事業 【問題 点】 ①職業紹介無料の原則 ②広域紹介事業への規制 ③職業紹介事業と派遣事業との兼業禁止 → 「人材ビジネス」発展の妨げや、派遣先での職業 訓練機能などメリットが奪われている 【解決策】 ①有料を許可することで、より質の高いサービスを 提供でき活性化につながる。 ②情報の共有化をはかり、広域的な職業紹介を行なう ③「人材ビジネス業」の発展 ⇒『範囲の経済性』が期待可 ④職業紹介・派遣の兼業自由化 ⑤規制緩和(事前的な規制ではなく、あくまで事後的に 対処、個別紛争処理機能を強化など) ⇒より多くの選択肢を提供することで、マッチ率を高める 失業保険給付 【問題 点】 ①モラルハザード(フリーライダー・高齢常用雇用者など) ②給付条件のハードルの高さ (離職前6ヶ月以上の支払いなど) ③給付期間が短い(最長で、330日間) ④ 能力開発の規制が強すぎる ⑤少数精鋭+アウトソーシングの進展 →今後、パートや派遣労働の増加が見込まれる ⇒失業のリスクに陥りやすい形態の雇用者の多くが、 雇用保険の対象範囲に含まれていない 【解決策】 ①モラルハザードを防ぐために、需給期間に応じて 段階的に需給額を下げる ②強制拠出 ③受給期間の延長 ④教育ローンの活用 ⇒失業給付を、失業事故に備えた保険という 本来の姿に戻すためには、非常用雇用者の 対象範囲拡大の方向での見直しが必要 現行の労働法全般にいえる改善点 ①新しい経済環境の下で労働市場の効率的な機能 を阻害するものと、強化するものに分ける。 ②判例法も労働法規の規制対象となる「労働者」 の範囲を、ある程度限定することが必要。 ③事前的な規制を撤廃し、事後的な規制に置き換 える規制改革。 まとめ 人口構造の変化、産業構造の変化、低成長、グローバル化 となった今、労働市場の流動化の促進するのを図るためには さまざまな規制を緩和し、時代にあった雇用改革の見直しが 必要とされる 確定拠出型年金 日本版401K これからの年金制度 現在の確定給付型の問題 • 少子高齢化に伴い運用が困難に。 • 低成長時代において金利維持が困難。 • 中途退職の阻害(流動化の妨げ) 拠出型のメリット <労働者> • ポータビリティー • 運用商品選択可能 <企業> • 運用リスク解放 • 有能な人材確保 <金融市場> • 市場活性化 <労働市場> • 流動化 拠出型デメリット <労働者> • リスクがある • 将来設計が立て難い <企業> • 人材が流出 • 教育・説明が必要 <金融市場> • 整備が必要 <労働市場> • 整備が必要 失業保険 職業紹介事業所 拠出型導入による予想される問題 • 流動化に伴う衰退産業の人材流出 • 教育の必要性 • 既存の年金制度との関連性を明確化、年金制度を 体系化 • 困窮時の引き出しについて検討余地 • 年金からの脱退時の対応(結婚退職など) • 税制優遇が乏しい 求められる金融商品 投資信託 <求められる条件> 長期的に運用できるもの 低リスクのもの 内容が明確なもの 元本確保型 ハイブリッド型 導入した企業の例 <導入目的> • すかいらーく⇒もともと流動性が高い • サンデン⇒債務 • IT産業⇒人材確保 <問題点として> 運用管理機関や教育等にかかるコスト 労働組合、従業員の同意 将来不安 まとめ 新しい年金システムとして導入された確定拠出型 年金は、メリットはあるが現在のシステムにとって 代わるためにはまだ、段階的な整備(問題点の改 善等)が必要である。 今後、この年金システムは徐々に浸透していき導 入企業も増えていくであろうが現段階ではまだその 評価はしがたい。果たしてこのシステム導入が衰 退しつつある労働市場を活性化していけるのかと いう点が注目されるであろう。
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